食品ロスの現状と対策!家庭での保存や調理の工夫など、私たちにできること
まだ食べられるのに、捨てられてしまう「食品ロス」。地球上では9人に1人が栄養不足で困っている一方で、先進国を中心に多くの食品が捨てられています。私たちにできることは?「食材は必要な分だけ買う」「上手に収納・保存する」「食べ残しをしない」など、今日から実践できる様々な工夫を紹介します。
「食品ロス」は身近で毎日起きている!
食品ロス(フードロス)とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。日本では、国民ひとり当たりに換算すると、「お茶碗約1杯分(約124g)の食べ物」が毎日捨てられています。
皆さんは、「食品ロス」と聞いて、思い浮かぶことは何ですか?
アンケート※では、こんな声が寄せられました。
- ライオン調べ、20~69歳の男女 1004名、2022年4月
食品ロスは、コンビニやスーパー、レストランなど、外食産業での廃棄というイメージがあるかもしれません。しかし、家庭で賞味期限を過ぎて食べられなくなった食品、しなびてしまった野菜などを捨ててしまうのも、食品ロスのひとつですよね。
食品ロスの約半分は、家庭から出ている
食品ロスのうち、実は事業系の廃棄物は55%程度。残りの約半分は家庭から出ているのです。
食品ロス570万トン(年間)のうち、家庭系は261万トン
日本国内の食品ロス量は、年間で570万トン!
食品ロスは大きく2つに分けられ、「事業系食品ロス」が年間309万トン、「家庭系食品ロス」が年間261万トン(令和元年度推計値)※という内訳になっています。家庭での食品ロスも、大きな割合を占めていることがわかりますね。
- 出典:農林水産省「食品ロスとは」
事業系では「食品製造業」と「外食産業」に多い
需要を上回る製造や返品による廃棄、レストランなどでの食品の使い忘れや食べ残しによる廃棄、これらが事業系食品ロスの大きな要因となっています。
事業者は今、食品ロス削減のための努力を求められています。それに対して、私たちも消費者としてどう関わるかを考えたいですね。
●食品ロス(店頭在庫の廃棄)につながるような食材の買い方をしていないか、見直す
●外出先で食事をする時に食べ残しを減らす
●食品ロス削減の取り組みをしている企業を応援する
など、できることがありそうです。
- 出典:「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」令和4年2月時点版、農林水産省
食品ロスが続くと、世界はどうなる!?
食品ロスは、日本国内にとどまらず、世界的に問題を引き起こしています。そのため、国際社会で協力して食品ロスを削減することが求められているのです。
問題1「世界的な食料不足」日本もひと事ではない!
世界では、貧困や紛争などの要因で食料が得られず、約77億人のうち約8億人(9人に1人)が飢えに苦しんでいます。今後、異常気象や干ばつなどにより、食料不足のリスクはさらに高まると予測されています。
そんな中、日本のカロリーベースでの食料自給率※は37%と、先進国の中では最低水準。安定して輸入ができない事態になれば、食料不足になることも十分にあり得ます。
- カロリーベースでの食料自給率:国民ひとりが1日に摂取したカロリーのうち、国産の食物によるカロリーの割合。
- 出典:「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」令和4年2月時点版、農林水産省より作図
問題2「深刻な地球温暖化」にもつながる、生産と廃棄でCO2を排出
農作物の栽培や家畜の飼育、食料品の工場での生産、それらの輸送など、食料の生産には多量のエネルギーを必要とします。それに伴い、温室効果ガスである二酸化炭素CO2が排出されています。
また、食べ切れずに廃棄されたものは、可燃ゴミとして処理されます。ゴミの運搬でCO2を排出するだけでなく、水分を含む食品は燃えにくいため、焼却の際に余分なCO2を排出することになってしまいます。食品をムダにしないということは、排出するCO2削減にもつながるのです。
- 出典:「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」令和4年2月時点版、農林水産省
SDGs「つくる責任、つかう責任」「飢餓をゼロに」でも課題に
食品ロスは、国連加盟国が掲げるSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」でも、解決すべき課題になっています。
持続可能な生産と消費のパターンを確保し、食品ロスを減少させること(つくる責任、つかう責任)や、飢餓をなくし、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成すること(飢餓をゼロに)などが提唱されています。
あなたは食品ロス削減を心がけている?
さて、ここでは生鮮食品を選ぶ時、あなたが食品ロス削減を心がけているかどうか、2択の質問に答えてみましょう。
あなたは、AとBのどちら派ですか?
A 生鮮食品は割高でも必要な分を購入
B 量が多くても、お得な方を購入
ライオンのアンケート※では、Aの必要な分を購入する人が45.9%と多数派。Bの27.5%を大きく上回りました。「必要以上に買いすぎないように」という意識は高いようです。
ところが、こちらの質問では…。
A 店頭で手前に並んでいるものから購入
B 賞味期限の長いものを選んで購入
Bが62.1%と多数派。Aはわずか14.5%でした!
並んでいる商品の中から、賞味期限や消費期限が長いものを選んでしまう傾向が高いようです。たしかに、家庭で食べきるためには、保存期間の長いものを選びたいですね。
でも、消費期限や賞味期限が近い商品はお店で処分されてしまうので、すぐに食べるものならば、手前に並べられているものから選ぶことも、食品ロス削減につながりますね。
- ライオン調べ、15~79歳の男女2243名、2021年6月
暮らしの中でできる食品ロス対策:日々の実践編
食品ロスの現状や問題点がわかったら、実際に私たちの暮らしの中のムダをなくしたいですね。ここでは、食品ロス対策をご紹介します。できることを今すぐCheck!
1.食品ロス削減の心得 基本5か条
1.必要な分だけを買う!
2.賞味期限の近いものから購入する!
3.食べきれる分だけ注文する!
4.作り過ぎない!
5.残さず食べる!
これは、皆さんの「普段の生活の中で食品ロス削減のために心がけていること」をまとめたものです。※
普段の買い物や外食、家での食事で、すぐに実践できそうなことですね。
- ライオン調べ、20~69歳の男女1004名、2022年4月
2. 冷蔵庫の中身を管理、使い忘れをなくす
冷蔵庫内がパンパンで奥のものが見えないと、存在を忘れていて、気づいた時には腐っていた…などということも。何がどこにあって、いつまでに食べるか、冷蔵庫の中を整理しておきましょう。
同じものは同じ場所に、定位置を決める
たとえば、「豆腐と納豆は2段目」「ヨーグルトとチーズは3段目」など、庫内での定位置を決めておくと探しやすく、使い忘れがありません。
トレイやカゴを使って小物を整理する
小さいもの、細かいものはバラバラに収納すると、奥のものが取り出しにくくなります。「パン用のジャムとバター」、「ご飯用の梅干しと佃煮」、「味付け用の調味料類」など、同じシーンで使う小物は、トレイやカゴを使って整理すると、奥のものまで取り出しやすくなるのでおすすめです。
消費期限・賞味期限の近いものを手前へ
日持ちしないものや早く使い切りたいものは、使い忘れないように、庫内の手前の方に置きましょう。
「消費期限」と「賞味期限」はどう違う?
2種類の期限表示には、以下のような違いがあります。
●消費期限(肉や魚、豆腐、お惣菜など)
「安全に食べることができる期限」で、品質の劣化が早いものにつけられる表示。「期限を過ぎたら食べない方がよい」ということを意味します。
●賞味期限(加工肉や漬け物、お菓子、調味料など)
「おいしく食べることができる期限」で、日持ちする食品につけられる表示。「この期限を過ぎたら食べられない」ということではないので、自分で判断することが必要です。
ただし、どちらも開封前の状態で、「要冷蔵」「直射日光を避けて保存」などの表示を守って保存した場合の期限です。
開封後は、品質や風味は変化しやすくなるので、ニオイや見た目、味などから判断して、表示されている期限にかかわらず、早めに食べましょう。
通常、消費期限及び賞味期限は「年月日」を表示しますが、賞味期限を教示すべき食品のうち、製造日から賞味期限までの期間が3か月を超えるものについては、「月日」表示もあります。
中身が見えるように透明の容器を使う
容器に何を入れたか忘れやすい人は、中身が見えるガラス製やプラスチック製を選ぶのがおすすめです。
冷凍庫の引き出しは「縦置き」にする
深さのある冷凍庫は、重ねて入れてしまうと下のものが見えないので、取り出しにくく、使い忘れてしまいがち。「縦置き」にするだけで、スッと取り出せるようになります。
在庫リストを貼る
冷蔵庫のドアなどに、中身の在庫リストを貼り、買った日付や消費・賞味期限を書いておくと、使い忘れを防げます。100円均一ショップなどで手に入る、マグネット付きホワイトボードも便利ですね。
3. 新鮮なうちに上手に保存して鮮度をキープ
食材を食べ切れずに冷蔵庫の中で腐らせてしまうのは、保存方法も影響しています。適切に保存すれば、鮮度を保ったまま長持ちさせることができるので、食品ロス削減につながります。
葉野菜がしなびないように保存
水分が抜けやすい葉野菜は、乾燥しないように保存するのがポイント。
ほうれん草は、ぬらしたクッキングペーパーで根元を包み、ジッパー付き保存バッグに入れて冷蔵庫の野菜室へ。なるべく立てて保存しましょう。
切ったキャベツは、ぬらしたクッキングペーパーで切り口を包み、ジッパー付き保存バッグに入れて野菜室で保存します。切り口から黒ずむことがなく、長持ちします。
玉ねぎやピーマンをスライスして冷凍保存
涼しい時期は常温保存できる玉ねぎですが、カットした使いかけは、ジッパー付き保存バッグに入れて野菜室へ。玉ねぎのほか、パプリカやピーマンなども、すぐ使わない時は薄く切って冷凍保存すると、凍ったまますぐ使えて、火の通りも早いので便利です。
きのこ類は冷凍保存OK
きのこは使い忘れていると、しんなりして傷みやすい食材。石づきを取ってから、使いやすい形にしてジッパー付き保存バッグに入れて冷凍保存すると、汁物や炒め物にポン!と入れられて便利ですよ。数種類の「きのこミックス」にしてもいいですね。
ご飯・パンは冷凍保存がおすすめ
「ご飯を冷蔵庫に入れたら、かたくておいしくなくなった!」という経験はありませんか?ご飯は冷蔵保存よりも、冷凍保存が正解。温かいうちに小分けにしてラップで包み、冷めてからジッパー付き保存バッグに入れて冷凍します。解凍する時は、凍ったまま電子レンジで熱々に加熱すると、ふっくらと仕上がります。
カビが生えやすいパンは、アルミホイルに包んでから、ジッパー付き保存バッグに入れて冷凍保存がおすすめ。アルミホイルで包んだままトーストすると、水分が逃げずにふっくらとおいしく食べられます。
ご飯もパンも、冷凍すれば4週間ほど保存できるので、おいしく食べ切ることができますね!
肉や魚は1回に使う分ずつ冷凍
肉や魚は、パックごと冷凍すると霜がついて劣化しやすいので、パックから出して冷凍保存します。1回に使う分ずつ、下処理して冷凍しておくと、使う時には解凍も早く、すぐに調理ができるので助かります。
※1 ここから先は外部サイトへ移動します。価格やサービス内容については、各サイトに記載されている内容をよくお読みになり、ご自身の責任でご利用ください。
※2 通販限定販売品は、「取扱店舗を探す」ではご案内しておりませんのでご了承ください。
肉や魚に下味をつけて保存
時間に余裕があれば、さらにひと手間かけて調味料で下味をつけたり、肉そぼろなどを作ったりしておくと、日持ちがするうえ、料理のレパートリーも広がります。肉そぼろはチャーハン、オムレツ、スープなどに便利ですよ。
食材と調味料を調理バッグに入れて保存
週末に買いだめしても、平日は結局、作る時間がなくなる…。そんな人は、食材を無駄にしないためにも、休日や隙間時間を利用して「仕込み」をしておきませんか?
例えば、「リード プチ圧力調理バッグ」なら、食材と調味料を入れて冷蔵・冷凍保存しておけば、食べたい時に電子レンジでチン!するだけで料理が完成します。
冷蔵・冷凍OK!庫内でスペースもとりません。
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※2 通販限定販売品は、「取扱店舗を探す」ではご案内しておりませんのでご了承ください。
4. 野菜は捨てるところを最小限に
野菜の「へたや芯を取る」「皮をむく」といった下ごしらえの時、もったいないやり方をしていませんか?思っているより、食べられる部分は多いです!
なす…ヘタを切り落としすぎない
ヘタとガクを一緒に、ざっくりと切り落としていませんか?
ガクの下に包丁の刃を入れて、ガクと一緒にヘタをそぎ落とすと、ヘタの内側の実が無駄になりません。
ピーマン…ヘタを下に押して取る
縦に半分に切ってから、ヘタを親指で下に押すと、ヘタの部分だけをコンパクトに取ることができます。ヘタを取ってから、ワタと種を取り除きます。
玉ねぎ…芯の部分だけ取る
半分に切ってから、包丁で斜めにV字の切り込みを入れ、つながっている芯の部分だけを切り落とします。
にんじん、大根、ごぼう、しょうが…皮をむかない
野菜の皮をむくのが習慣になっている方も多いと思います。でも、皮をむくと生ゴミを増やすことになります。また、皮の近くに栄養や風味がある野菜もあり、食べられるのに捨ててしまうのはもったいないですね。
これらの野菜は、キレイに洗って泥を落とし、皮ごと食べることができます。
●にんじん
薄切りやせん切りで使うことの多いにんじんは、皮をむかなくても、食感はそれほど変わりません。皮にはβ-カロテンが多く含まれています。
●大根
皮の近くはかたいですが、みそ汁など、薄めに切って煮るなら大丈夫。大根おろしも皮ごとおろすことができます。
●ごぼう
ごぼうは皮の近くに香りや風味があるので、泥を落としたら、皮をむかずに使ってかまいません。アクが強く、切り口が空気に触れると黒くなるので、切ったら水にさらしてアクを抜きます。
●しょうが
キレイに洗えば、皮ごと使ってかまいません。特に、煮豚などの臭み消しで使う時や、すりおろして汁をしぼる時などは、皮付きでも気になりません。
じゃがいもはゆでてから皮をむく
じゃがいもは生のまま皮をむくより、ゆでたり蒸したりしてから皮をむく方が、薄くむくことができます。
皮や芯、葉っぱを有効活用
大根の皮、にんじんの皮は、細切りにして、きんぴらにできます。
ブロッコリーの茎の外側のかたい皮、生しいたけの軸、キャベツの芯なども、細切りにしてスープに入れたり、みじん切りにしてチャーハンやドライカレーに混ぜ込んだりすると、おいしく食べられます。
大根やかぶの葉は、緑黄色野菜で栄養たっぷり。青菜としてそのまま刻んで汁物に入れるほか、サッとゆでてから細かく刻んで、ちりめんじゃこやツナ、油揚げなどと炒めてもおいしいです。
つい買いすぎたり、忙しくて腐らせたりして、食べ物を捨ててしまうのは、罪悪感がありますよね。
買ってきた食材をムダなく、おいしく食べ切る工夫ができると、気分がいいですし、栄養もしっかりとれます。さらに食品ロス削減につながり、良いことばかり!私たち1人ひとりが暮らしの中でできることを、ぜひ実践していきましょう。
食品ロス対策で皆さんがやってみたこと、作ってみた料理、感じたことなど、ぜひコメントで教えてくださいね。お待ちしています!(Lidea編集部)
この記事を作成・監修した
マイスター
リビングケアマイスター
杉本 美穂
すぎもと みほ
家事関連の製品企画、マーケティングを約20年、生活者向け講習会などを約10年経験してきました。
毎日大変な料理や食事の後片付けなどを手早くラクにできるように、わかりやすくお伝えしていきます。
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
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