家族1人ひとりにあったハミガキの選び方~「マイハミガキ」でお口の健康を守ろう~
ライオンの調査では、約半数の人が家族で同じハミガキを使っていました。でも、お口の健康を守るためには1人ひとりが自分にあった「マイハミガキ」を選んで使うことが大切です。むし歯や歯周病、口臭予防など、目的にあったハミガキの選び方を紹介します。
ハミガキを選ぶ目的はなに?
毎日使うハミガキ。お店には多くの種類のハミガキが並んでいて、それぞれにはいろいろな特長が書いてあると思います。
皆さんが購入する時は、どんな目的で選んでいますか?
口の中をさっぱりさせたいというのはもちろん、
・お父さんは「いつまでも自分の歯でご飯を食べたいから」歯周病予防のハミガキを使いたい
・娘さんは「会社でいろんな人と話して口臭が気になるから」口臭予防のハミガキを使いたい
・子どもは「まずはむし歯になるのを防ぎたいから」むし歯予防のハミガキを使う
などなど、ハミガキを選ぶ目的は人それぞれです。
そのため、ハミガキには目的に応じていろいろな種類があるのです。
約半数が家族で同じハミガキを使用している
しかし、家族と生活している中で、シャンプーやリンスは自分専用のものを使う人が多い一方で、ハミガキの場合は家族で同じものを共用する人が多いのが実情です。
ライオンの調査※1によると、20代では約6割、全体でも約5割の人が「家族で同じハミガキを使っている」と答えています。
お口の健康を守るために、自分の目的にあった「マイハミガキ」を選ぼう!
しかし、お口の健康を守り、快適な状態を保つためには、家族1人ひとりが自分にあったハミガキを選ぶことが大切です。
多くのハミガキは、汚れを落とす、口の中をさっぱりさせるといった基本機能に加えて、「むし歯を予防する」「歯周病を予防する」「口臭を防ぐ」など、それぞれの目的に対応した薬用成分が配合されています。ですから、歯をみがく時は、自分の目的にあった「マイハミガキ」を使うのがおすすめです。ぜひ、それぞれの方にあった自分向きのハミガキを見つけてみてくださいね。
むし歯を予防したい 口臭を予防したい |
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歯周病を予防したい 知覚過敏ケアをしたい |
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歯槽膿漏を予防したい |
「むし歯を予防したい」等の文字をクリックすると、該当するハミガキの選び方を紹介するページにジャンプします。ぜひ自分の目的にあうハミガキをチェックしてみてください。
次から、「むし歯予防」「歯周病・歯槽膿漏予防」「口臭予防」「知覚過敏ケア」それぞれの目的別に、「マイハミガキ」の選び方をご説明しましょう。
「むし歯」を予防したい人の「マイハミガキ」の選び方
むし歯は、歯垢の中のむし歯菌が出す酸によって歯が溶ける病気です。むし歯菌は、砂糖から粘着性の高いグルカン※2をつくり、歯の表面に強く付着します。そのグルカンと細菌のかたまりが歯垢です。歯垢中のむし歯菌は砂糖やその他の糖分を分解して酸を作ります。その酸が歯を溶かす(脱灰)ことでむし歯になってしまうのです。
- 2 多糖であるデキストランとムタンの混合物
むし歯を予防したいなら、「マイハミガキ」は、
●むし歯菌を殺菌する成分
●むし歯菌のすみ家となる歯垢を分解・分散する成分
●歯質を強化、再石灰化を促進する成分
が入ったむし歯予防ハミガキを選ぶと良いでしょう。
むし歯菌を殺菌する成分には、塩化セチルピリジニウムやラウロイルサルコシンナトリウムなどがあります。歯垢を分解する成分としては歯垢分解酵素(デキストラナーゼ)、歯垢を分散しておとしやすくする成分としてはテトラデセンスルホン酸ナトリウムなどがあります。
また、歯質を強化するとともに再石灰化※3を促進する成分には、フッ素(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム)があります。
むし歯予防製品に限らず、現在市販されているハミガキの多くはフッ素が配合されていますが、むし歯が気になる方には、1000ppm超1500ppm以下のフッ素を配合した高濃度フッ素配合ハミガキ※4がおすすめです。
- 3 唾液中に含まれるリンやカルシウムが、歯の脱灰部分に取り込まれて再び沈着すること
- 4 6歳未満の子どもへの使用は控え、手の届かないところに保管してください
ライオンおすすめの「むし歯予防ハミガキ」についてはこちら!
「歯周病」や「歯槽膿漏」を予防したい人の「マイハミガキ」の選び方
歯周病(歯肉炎・歯周炎)は、歯周病菌が出す毒素などにより、歯周組織に炎症が起こる病気の総称です。「歯槽膿漏」は歯槽※5や歯周ポケットから膿の排出が見られる症状を示す呼び方です。
この歯周病は次のように進行していきます。最初に、歯周ポケットの中に歯周病菌などが定着して、歯垢(歯周病プラーク※6)を形成します。すると、歯垢の中の細菌が出す毒素などが歯ぐきの炎症を誘発します。炎症が拡大し歯周病が悪化すると、歯ぐきばかりか歯を支える骨「歯槽骨」まで破壊されて、歯が抜けてしまう場合もあります。
- 5 歯の根が収まっているあごの骨の穴
- 6 歯周病菌を含む菌の集合体
歯周病や歯槽膿漏を予防したいなら、「マイハミガキ」は、
●歯周病菌を殺菌する成分
●歯ぐきの腫れや出血など炎症を抑える成分
●組織を修復したり抵抗力を強化する作用のある成分
が入った歯周病予防ハミガキを選ぶと良いでしょう。
歯周病菌を殺菌する成分には、塩化セチルピリジニウムやイソプロピルメチルフェノールなどがあります。塩化セチルピリジニウムは、唾液中などに浮遊している細菌への殺菌力が高い薬用成分です。またイソプロピルメチルフェノールは、歯周ポケット内の歯垢(歯周病プラーク)の内部まで浸透して、歯周病菌をしっかり殺菌するのが特長です。
歯ぐきの腫れを抑制する成分にはε-アミノカプロン酸、歯ぐきの腫れや出血を抑える成分にはトラネキサム酸などがあります。
また、歯ぐきのおとろえが気になる方は、歯ぐき細胞を活性化して組織の修復を促す作用のあるアラントインやビタミンE、腫れ、出血に加え歯ぐきのコラーゲンが壊れるのを防ぐ(分解を抑制する)作用もあるトラネキサム酸などの成分が入ったハミガキで、歯周病を予防するのがおすすめです。ビタミンEには血行促進作用もあります。
歯槽膿漏や歯槽骨の状態が気になる人は、オウバクエキスが含まれたハミガキもおすすめです。オウバクエキスは収れん作用のある成分ですが、ライオンの研究では歯槽骨の破壊に関与する破骨細胞への分化を抑制する作用が認められている歯槽膿漏予防に役立つ成分です。
「口臭」を予防したい人の「マイハミガキ」の選び方
口臭の主なニオイ物質は、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」という3つの揮発性硫黄化合物です。これらのガスは、口の中の細菌が食べかすや口の中のはがれた粘膜などに含まれるたんぱく質を分解して作り出されます。
口臭を予防したいなら、「マイハミガキ」は、
●口内の細菌を殺菌する成分
●細菌のかたまり(歯垢や舌苔※7)を分散し落としやすくする作用のある洗浄成分
が入った口臭予防ハミガキを選ぶと良いでしょう。
- 7 細菌や食べかす、はがれた粘膜などが舌の表面に付着してできた白い苔状のもの
口内の細菌を殺菌する成分には、塩化セチルピリジニウムやラウロイルサルコシンナトリウムなどがあります。ポリリン酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムは、細菌のかたまりである歯垢や舌苔を分散し落としやすくする作用があります。
ライオンおすすめの「口臭予防ハミガキ」についてはこちら!
「知覚過敏」をケアしたい人の「マイハミガキ」の選び方
知覚過敏とは、むし歯などではないのに、冷たいものやハブラシの刺激などによって一時的に歯がしみたり痛んだりする症状をいいます。歯ぐきが下がるなどにより歯の内側の象牙質が露出すると、内部の神経に外の刺激が伝わりやすくなるために起こります。
知覚過敏をケアしたいなら、「マイハミガキ」は、
●刺激が神経に伝わるのをブロックする成分
●象牙質の表面にある穴を封鎖する成分
が入った、知覚過敏ケア用ハミガキを選ぶと良いでしょう。
刺激が神経に伝わるのをブロックする成分には硝酸カリウムがあります。露出した象牙質の表面から内部につながる細い管(象牙細管)を通して刺激が神経に伝わるのをブロックします(図 枠内上段)。
象牙質の表面にある穴を封鎖する成分には乳酸アルミニウムがあります。刺激が伝わる通り道である象牙細管を封鎖することで、知覚過敏による痛みを防ぎます(図 枠内下段)。
ライオンおすすめの「知覚過敏ケアハミガキ」についてはこちら!
薬用成分の特長を活かす「ハミガキの処方」にも注目!
「マイハミガキ」を選ぶ時は、目的にあった効能がある薬用成分が配合されていることが大切ですが、それに加えて薬用成分がとどまりやすい、吸収されすいなど、ハミガキの処方に工夫がされているかどうかも注目したいポイントです。
薬用成分は歯みがき後のすすぎや唾液などによって流されてしまうものですが、例えばフッ素が長時間お口の中に留まるように歯をコーティングする成分が配合された製品があります。
また、粘性の高い高分子をバランスよく配合すると、歯みがき中の泡の膜が歯ぐきに密着しやすくなります。それにより、薬用成分を含んだ泡が歯ぐきに留まって効果的に作用するように工夫した製品もあります。
薬用成分の特長を活かすよう、ハミガキにも様々な工夫がされているのです。
こうしたハミガキの処方が、商品パッケージに表示されている製品もあります。店頭で選ぶ時に、ぜひ参考にしてください。
自分の目的にあった「マイハミガキ」を選ぶポイントをお話ししました。
予防歯科で大切なのは、自分にあったケアをきちんと行うこと。そのためには「ハミガキ選び」も大切です。
製品の中には、例えば「むし歯予防」と「知覚過敏ケア」など、複数の効能をもつハミガキもあります。毎日のケアをより効果的にするため、自分にあった「マイハミガキ」をみつけてみてください。
「Myハミガキの日」
ハミガキは、歯と口の健康を守るうえで大切なオーラルケアアイテムの一つですが、約半数の方が家族で同じハミガキを使っているのが実情です。しかし、お口の健康を守り、快適なお口の環境を保つためには、自分のお口の状態に合ったハミガキを選ぶことが大切です。そこでライオンは、より多くの人に自分のハミガキを選ぶ新習慣を持ってもらうため、毎月1日を「Myハミガキの日」として、一般社団法人日本記念日協会に申請し、2021年12月16日に認定を受け、新たな記念日として制定されました。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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