「歯周病予防ハミガキ」の選び方 「薬用成分」「効果効能」どこを見て選ぶ?
「歯周病予防ハミガキ」に配合の薬用成分を大別すると、「殺菌成分」と、ハレや出血などに対応した「歯ぐきに作用する成分」の2つ。「原因からしっかり予防したい」方には「殺菌成分」配合のハミガキがおすすめ。「歯ぐきに作用する成分」にはいろんなタイプがあるので、自分の歯ぐきの状態に合ったものを選びましょう。
歯周病ってどういう病気?
「歯周病」は、「歯肉炎」と「歯周炎」という歯ぐきの病気を含む総称で、歯ぐきだけに炎症があるものを「歯肉炎」、さらに進行し歯を支える骨など周りの組織まで炎症や破壊が及んだものを「歯周炎」といいます。歯と歯ぐきの隙間の歯周ポケットにたまった細菌のかたまり(いわゆる「歯垢」のことで、「バイオフィルム」とも呼びます)から出る毒素などが起因となって起こる病気です。
知らないうちに進行してしまうおそろしい病気ですが、毎日の歯みがきケアをしっかりして予防しましょう。
歯周病予防ハミガキの薬用成分は、大きく分けて2つ
「歯周病(歯肉炎+歯周炎)予防ハミガキ」に配合されている主な薬用成分は、
① 歯周病の原因となる細菌や歯垢に作用する「殺菌成分」
② 「歯ぐきに作用する成分」
の2つに分けられます。それぞれの成分を詳しくみていきましょう。
「歯周病菌を殺菌する薬用成分」にはどんなものがあるの?
歯周病の原因菌に作用する「殺菌成分」には、下図のようなものがあります。
歯周病を予防するためには、ブラッシングでバイオフィルムを落とすとともに、その原因となる細菌をしっかり殺菌したいもの。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、バイオフィルムのようにかたまりになっておらず浮遊している細菌への殺菌力が高い薬用成分です。一方、多くの薬剤は、バイオフィルムの表面だけしか殺菌できないと言われていますが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)は、バイオフィルムの内部まで浸透して歯周病菌をしっかり殺菌するのが特徴※1です。
「原因からしっかり予防したい」という方は、このような殺菌成分が配合されたハミガキの使用をおすすめします。
- ※1 ライオン調べ (森嶋ら、第53回 日本口腔衛生学会総会、 2004年)
「歯ぐきに作用する薬用成分」にはどんなものがあるの?
歯周病になると、歯ぐきのハレ、出血といった症状が起こります。
歯周病予防ハミガキには、そんな歯ぐきに作用するさまざまな薬用成分が配合されています。歯ぐきの炎症を鎮めハレを予防する成分、歯ぐきをひきしめる成分、血行を促進する成分など、それぞれ歯ぐきへの作用が異なりますので、自分の歯ぐきの状態に合ったものを選びましょう。
薬用成分の特長を活かす「ハミガキ」の処方もチェック
上の表でご紹介した歯周病予防ハミガキの「薬用成分」がとどまりやすい、吸収しやすいなど、ハミガキの処方にひと工夫した製品もあります。
例えば、粘性の高い高分子をバランスよく配合することにより、歯みがき中の泡の膜が歯ぐきに密着しやすく、薬用成分を含んだ泡が歯ぐきに留まって、効果的に作用するものや、薬用成分を歯ぐきに吸収されやすくし、効果的に作用するもの、また、薬用成分は、みがき終わった後のお口のすすぎや、その後の唾液の流れなどによって流されてしまうものですが、流されにくく長時間お口に留まるよう、滞留しやすくしたものなどもあり、薬用成分の特長を活かすよう、ハミガキにも工夫がされているのです。
さらに、やさしく歯ぐきをケアしたりマッサージをしたい方には、研磨剤などの清掃剤を配合していないジェルタイプのものもあります。
成分や効果効能は、商品パッケージをしっかり確認して
さまざまな薬用成分や製剤の処方をご紹介しましたが、いかがでしたか。これらの薬用成分等は商品の裏面に記載されていますが、成分名を覚えるのが苦手というかたもいるでしょう。
商品パッケージには「浸透殺菌」「出血を防ぐ」「高吸収処方で効果的に働く」など、薬用成分の作用やハミガキの処方の特長がわかりやすく表示されているものもあります。店頭で歯周病予防ハミガキを選ぶ時は、ぜひパッケージの表示を参考にして、自分の目的に合ったものを選んでください。
歯周病を予防するには、ハミガキ選びのほかにもできることがあるので、こちらの記事も合わせてご覧ください。
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薬用成分「ビタミンE」の新機能発見
「歯ぐきの抵抗力」を高めて、歯周病を防ぐ!
薬用化粧品などにも使われる酢酸トコフェロール(ビタミンE)は、毛細血管を広げて血流を促進する作用や、抗酸化作用をもつことが知られていますが、さらに、歯ぐきの歯周病への抵抗力を強化する機能があることを、ライオンが初めて発見しました※2。
歯ぐき表層に並んでいる上皮細胞は、互いにタンパク質(細胞接着因子)を介して結合することで歯ぐきの中に異物が侵入することへのバリア、すなわち抵抗力となっています。ところが、細胞接着因子のひとつE-カドヘリンが、細菌の毒素などによってダメージを受けると、結合がゆるみ、抵抗力がおとろえて、内部に病原因子が侵入し、炎症も起きやすくなってしまいます(下図)。ビタミンEは上皮細胞同士の結合を強化して、これを防ぐことがわかったのです。
※2ライオン調べ (柚鳥ら、 Journal of Periodontal Research、52(1)42-50、2017)
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
深澤 哲
ふかさわ てつ
オーラルケアの技術開発ならびに製品開発に約25年間携わってきました。
これまでの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。
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