デンタルフロスを使うタイミングとは?頻度や上手に使うコツをご紹介
デンタルフロスは歯や歯ぐきの健康を守るためにぜひ取り入れたいアイテムですが、これから使いたい人から使い始めたものの習慣化できない人まで、デンタルフロスに関する困りごとはさまざまです。今回の記事では、デンタルフロスを使うメリットや種類と使い方、適切な使用頻度など、デンタルフロスに関する総合的な情報をお届けします。これから使う方もすでに使っている方も、知りたいことやお悩みに合った項目を下のINDEXから選んでチェックしてみてくださいね。
「デンタルフロス」を使ってみたい!使用するメリットは?
皆さんは毎日歯をみがいていると思いますが、それでも、むし歯や歯周病になってしまった、という話を聞くことはあると思います。それはなぜでしょう。下の写真は、ハブラシを使ってみがいてもどれくらい歯垢が残るかを可視化したモデル実験です。ハブラシだけで歯をみがいたあと、チェックしてみると歯の外側はキレイにみがけていますが、歯と歯の間には歯垢(写真で赤くなっている部分)が残っているのがわかります。
このように、歯と歯の間にはハブラシの毛先が届きにくく、残ってしまった歯垢がむし歯や歯周病の原因になってしまうのです。
そこでおすすめするのが「デンタルフロス」。歯と歯の間の歯垢を取り除き、お口の中をキレイにするために、1日1回は使いたいアイテムです。
「デンタルフロス」をおすすめする4つの理由
デンタルフロスは、細い繊維(フィラメント)を束ねて糸状にした製品です。歯と歯の間の狭いすき間に通して、ハブラシでは落としきれない歯垢をかき出すことができます。
ハブラシに加えてデンタルフロスを使うメリットは、以下の4つです。
1. 歯と歯の間の歯垢除去効果がアップ!
歯と歯の間はハブラシの毛先が届きにくいため、歯垢が残りやすい場所です。しかし、ハブラシとデンタルフロスを併用することで、歯と歯の間の歯垢除去率が1.5倍にアップしたという報告※1があります。
- 1 出典:山本他、日本歯周病学会会誌、1975年
2. むし歯や歯周病の原因となる歯垢を取り除ける
歯垢をよりキレイに落とせるということは、むし歯や歯周病の予防につながります。毎日の「フロッシング(歯垢を除去するためにフロスを使うこと)」でむし歯や歯周病を予防しましょう。
3. 口臭の防止や改善につながる
口臭も、食べかすや歯垢などの汚れが原因になります。口臭は自分では気付きにくいものですが、使用したデンタルフロスのニオイが「臭い」と感じたら、口臭があるかもしれません。毎日のフロッシングで歯垢をしっかり取り除くことで、口臭を予防、改善することができます。
4. むし歯や歯周病、詰め物などの不具合を早期発見できる
デンタルフロスを使っていて「いつも同じ場所で引っかかる」「フロスがばらけてしまう」「フロスが切れてしまう」などが気になる時は、むし歯ができている、もしくは詰め物やかぶせものに不具合が起きている可能性があります。また、デンタルフロスを使うと「歯ぐきから血が出る」場合は、歯周病の疑いがあります。いずれの場合も、まずは歯科医院で診てもらうようにしましょう。
自分に合うデンタルフロスって?
デンタルフロスには、大きく分けて「ホルダータイプ」と「ロールタイプ」の2つの種類があります。
1. 初めての方におすすめの「ホルダータイプ」
「ホルダータイプ」はホルダーにフロスが取りつけてあり、手間がかからずにすぐ使えるのが特長。デンタルフロスを初めて使う方におすすめです。ホルダータイプには、前歯に使いやすい「F字タイプ」と、フロスを挿入しにくい奥歯にも、前歯にも使いやすい「Y字タイプ」があります。
2. 慣れてしまえば簡単で、経済的な「ロールタイプ」
「ロールタイプ」は必要な長さのフロスを切り取り、指に巻きつけて使用します。最初は少し扱いにくいのですが、慣れてしまえば簡単で、しかも経済的です。また、指先を使うのでより細かな動きが可能で、力を調節しながら歯垢を落とせます。
ロールタイプの製品は種類が豊富で、製品によってフロスの太さや形状、ワックスや香りの有無などの違いがあります。
デンタルフロスの糸の特長
デンタルフロスの形状は使用性に大きく影響しますが、実はデンタルフロスの糸にもいろいろな種類があり清掃力や使いやすさに影響します。
| ホルダータイプ | ||
|---|---|---|
| (高強度) ポリエチレン |
ポリエステル | ポリエステル |
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![]() |
| ロールタイプ | ||
| ナイロン (膨潤タイプ) |
複合糸 (ナイロン&ポリエステル) |
|
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|
糸の素材としてはナイロン、ポリエステル、ポリエチレンなどがあります。
・ナイロン:最も一般的な素材です。丈夫で歯間の汚れをしっかり掻き出せます。
・ポリエステル:ナイロンに比べ柔らかな質感ですが切れやすいのが欠点です。
・ポリエチレン:強度が高く切れにくいのが特徴です。
また、それぞれの素材に対してワックスの有無があります。
・ワックスタイプ:歯と歯の間に挿入しやすいので、初めての方や詰めものが多い方におすすめです。
・アンワックスタイプ:糸がばらけることで歯垢をからめとるので汚れ落としの効果が高いですが、糸が引っかかりやすいので、大きな詰めものなどがない方におすすめです。
さらに、複合糸や膨潤機能などの機能が付加されているなどいろいろな種類があるので、ライオン製品を例にして解説します。
・高強度ポリエチレン:「ホルダータイプは使い捨てなのでもったいない」と思う方もいるようですが、ライオンのデンタルフロス(Y字タイプ)は高強度のフロスを用いているため、強度はナイロンの3~5倍。洗って繰り返し使えて経済的です。
・ナイロン(膨潤タイプ):唾液に触れると膨らんで歯と歯の間に密着するので、効率よく歯垢を除去できます
・複合糸(ナイロン&ポリエステル):ナイロンとポリエステルを組み合わせた微細な複合糸。狭い歯と歯の間にスルッと通るので、初めての人でも使いやすい糸です。
動画で解説!タイプ別・デンタルフロスの使い方
せっかくデンタルフロスを持っていても、うまく使えず習慣にならない方も多いようです。使い方のコツがわかれば初めてでも簡単に使えるので、ここで確認してみましょう。
「ホルダータイプ(Y字タイプ)」の使い方
まず、ホルダータイプ(Y字タイプ)の使い方を動画でご説明します。
Y字型デンタルフロスの使い方
「ロールタイプ」の使い方
次に、ロールタイプの使い方を動画でご説明します。
デンタルフロス(ロールタイプ)の使い方
デンタルフロスを使う時の注意点と上手に使うコツ
ホルダータイプとロールタイプに共通する、使用時のポイントと注意点をご紹介します。知っておくと効率よく歯垢が落とせて上手にケアできますよ。
1. 歯ぐきを傷つけないよう注意する
歯ぐきを傷つけないように、鏡を見て場所を確認しながら使用します。歯と歯の接している部分(コンタクトポイント)を通す時は少しきつい感じがするかもしれませんが、力まかせに挿入すると歯ぐきを傷つける場合があるので注意しましょう。フロスを横に小さく動かしながら、やさしく挿入するのがポイントです。
2.歯の根元のまわりも清掃する
歯と歯が接する部分はもちろん、歯の根元まわり(歯頚部)もハブラシの毛先が届きにくい所です。歯と歯の間にフロスを通すだけでなく、根元まわりの清掃も忘れないようにしましょう。ロールタイプのデンタルフロスなら歯に巻きつけるように、ホルダータイプのデンタルフロスなら少し角度を変えて清掃するのがコツです。
3.フロスが入りにくい場所は角度を変えてみる
歯並びが悪いところなど、場所によってフロスが入りにくいことがあります。そんな時は挿入する角度を変えてみましょう。スッと入る場合があります。
4. 歯科医師や歯科衛生士から指導を受ける
デンタルフロスの選び方や使い方がわからない場合は、歯科健診や治療で受診した際に、歯科医師や歯科衛生士に教えてもらいましょう。「デンタルフロスをうまく使えなくて…」「自分に合ったデンタルフロスはどう選んだらいいですか?」など相談すれば、きっと丁寧に説明してもらえるでしょう。
5. 出血が続く時やフロスが引っかかる時などは、歯科医院に相談する
歯ぐきの状態によっては、使い始めから出血することがあります。もし出血が続くようであれば、使用を控えて歯科医師に相談することをおすすめします。また、使用中にフロスが引っかかったりほつれたりする場合は、詰め物の不具合があったり、むし歯や歯石があることも。そのような時も、歯科医師に相談すると良いでしょう。
「デンタルフロス」の使用を習慣化するための工夫
歯垢が残ったままになっていると、唾液中のカルシウムなどと結びついて石灰化し、歯石に変化していきます。歯石になってしまうと、ハブラシや歯間清掃用具では落とすことができません。歯間清掃用具は、できれば1日1回は使うようにしましょう。
そうはいっても毎日となると、使うべきだとわかってはいてもつい忘れてしまう、という人も多いのではないでしょうか。
ライオンが行った調査※2より、デンタルフロスを習慣にできている人の工夫を紹介します。
- 2 ライオン調べ、デンタルフロスの使用を「習慣にできている」と自己申告した人150名、「習慣にできていない」と自己申告した人150名、20~60代男女、2025年
毎日やっていることとセットで行う
「歯みがきと一緒に行う」「いつも寝る前に行う」など、日常の生活習慣とセットでデンタルフロスを使っているという工夫が見られました。「毎日やっていること」とセットで行うよう心がけると、使うタイミングが決まって忘れずに使用できるようです。
よく目につく所に出しておく
デンタルフロスの使用を習慣にできていない人の中には「普段目につかない所に置いてあるので、つい忘れてしまう」という声がありましたが、習慣にできている人は「ハブラシとセットで置いておく」、「浴室やリビングにも置いておく」など、いつも目に入る場所に置いておき、デンタルフロスを使用することを忘れないための工夫が見られました。また、「すぐに使えるように容器から出しておく」という人も。確かに容器から出して置いておけば、すぐに使えて便利ですよね。
自分が使いやすいデンタルフロスを見つけている
習慣にできている人は習慣にできていない人と比較して、いろいろなデンタルフロスを試し、自分が使いやすいお気に入りのデンタルフロスを見つけて購入していました。デンタルフロスの使用を習慣にできていない人の中には「上手に使えない」という声がありましたが、自分が使いやすい商品を見つけることができたら、デンタルフロスを習慣にするハードルも下がるのではないでしょうか。
いつも持ち歩く
また、「いつもデンタルフロスを持ち歩いている」というコメントもありました。化粧ポーチなどに入れておけば、お化粧直しのついでにデンタルフロスが使えますね。
家族で声を掛け合う
「デンタルフロスを忘れないように、夫婦で声をかけ合う」という微笑ましいコメントもありました。デンタルフロスを促すアラームをセットしたり、メールやLINEが飛んでくるように設定しておくのもいいですね。
デンタルフロスには様々な種類があり、選ぶ楽しさもあります。ぜひいろいろ試してお気に入りのものを見つけて、毎日のケアに取り入れてくださいね。
最後に、デンタルフロスについてわかりやすくまとめた動画がありますのでご覧ください。
<自分に合ったデンタルフロスを見つけよう>
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
ここでは、Lidea読者の皆さまからいただいたデンタルフロスの疑問について、回答をご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
Q.デンタルフロスはいつ使うといいの?
A. 特に「寝る前」の使用がおすすめです
いつでも良いですが、普段の歯みがきとセットで、特に寝る前の歯みがき時にお使いいただくのがおすすめです。その理由は、就寝中は唾液の分泌が少なくなり、口の中の細菌が増殖しやすい環境になるためです。寝る前にデンタルフロスで細菌のかたまりである歯垢をできるだけ取り除くことで、リスクの高い就寝中の口の中をより清潔に保ち、口の中の健康を維持することにつながります。
Q. デンタルフロスの使用頻度は?
A. 「1日1回」は使用するのが理想的です
取り残した歯垢は2~3日で石灰化が始まるといわれ、徐々に取りにくくなります。ですから、1日1回はデンタルフロスを使っていただくと良いでしょう。
Q.デンタルフロスでの歯垢除去は歯みがきの前とあと、どちらに使うのが正解?
A.自分がやりやすい順序で使用すればOKです
デンタルフロスは、ハブラシだけでは取り除けない歯と歯の間の歯垢を落とすために使用するものなので、順序はどちらでも構いません。また、デンタルフロスを習慣にするためには、自分がやりやすく、気持ち良さを実感できる使い方をするのが一番ですから、ご自身にとってしっくりくる順序で使用していただければと思います。
なお、デンタルフロス使用の順序については、歯みがきの前に行った方が歯垢除去率が高いとする論文と、歯みがきのあとに行った方が歯垢除去率が高いとする論文の両方が存在します。それらの論文を包括して評価した報告※3(システマティックレビュー)が2022年に発表され、デンタルフロスを歯みがきの前に使用してもあとに使用しても、歯垢除去率に有意な差はなかったと記載されています。つまり、歯みがき前後で歯垢の落ち具合に差はないということです。
- 3 Silva C 他、Int J Dent Hyg. 2022
Q. デンタルフロスを使用すると出血するけど大丈夫?
A. 出血が続く時は歯科医院に相談しましょう
歯ぐきに炎症がある場合などは、デンタルフロスを使い始めた頃に出血する場合があります。継続してデンタルフロスを使用しても出血が続いたり痛みがある場合には、歯科医院で相談することをおすすめします。
Q.毎日デンタルフロスをしているのにフロスが臭くなる原因は?
A.歯垢がきちんと落とせていないなどの可能性があります
歯垢は時間の経過とともにニオイが強くなってくるので、取り残した歯垢があると、フロスが臭くなってしまいます。歯と歯が接する部分にフロスを通すだけでなく、根元まわりも清掃すると良いでしょう。ロールタイプのデンタルフロスなら歯に巻き付けるように、ホルダータイプのデンタルフロスなら少し角度を変えて清掃するのがコツです。
それでもフロスが臭い場合は、歯周病やむし歯がある、詰め物が合っておらず隙間に歯垢が溜まっているなどの可能性があります。歯科医院に相談してみてください。
Q.「デンタルフロス(ロールタイプ)」をうまく指にまくことができません
A. フロスを結んで輪にして使うサークル法という方法もあります
デンタルフロスの両端を結んで輪(サークル)を作ります。指にかけて操作する方法です。図のように、中指、薬指、小指で輪の内側から握るように持ちます。あとは指にまく方法と同様に、歯の側面に沿わせて数回上下に動かして歯垢を落とします。指がうっ血しやすい方にもおすすめの方法です。
Q.「デンタルフロス(ロールタイプ)」を奥歯の歯間に挿入するのが難しいです
A. フロスを少し長め持ってください
通常は指と指の間が1~2cmの長さになるよう指にまきますが、奥歯に挿入しにくい場合は指と指の間隔を少し長めにするとやりやすい場合があります。
Q.「デンタルフロス(ロールタイプ)」が歯と歯の間に引っかかってうまく外せません
A.片方の指のフロスを外して外側に引き抜きます
フロスが詰め物に引っかかったりしてうまく外せない時は、無理に外そうとせず、片方の指のフロスを外して、外側に引き抜くとスッと取れます。フロスが引っかかったり、ほつれたりする場合は、歯と歯の間にむし歯や歯石があったり、詰め物が合っていない場合があります。歯科医院で相談すると良いでしょう。
Q.矯正中にデンタルフロスを使っていいの?
A.もちろん使用可能です
ハブラシの毛先は、歯と矯正装置のすき間や、歯とブラケットとの境目などにはどうしても届きにくいものです。そのため、ハブラシだけでなくデンタルフロスなどの歯間清掃用具も併用して、歯垢や食べかすを除去すると良いでしょう。
Q.デンタルフロスは子どもに使ってもいいの?
A.もちろんOK!むし歯予防のためにぜひ使って
乳歯のエナメル質は弱く、むし歯になりやすいので、子どものむし歯予防にもデンタルフロスで歯垢を取り除くことは有効です。子どもが自分で上手に扱えない場合は、保護者の方が仕上げみがきの時に使ってあげると良いでしょう。
この記事を作成・監修した
マイスター

オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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