「むし歯」とは~発生と進行のメカニズム~

「むし歯」とは~発生と進行のメカニズム~

むし歯とは、歯垢の中の細菌が作る酸により、歯が溶けて穴があく病気です。むし歯菌など酸を作る「細菌」、「歯や唾液」、「細菌のエサとなる糖質」の3つの条件が重なると、歯が溶ける「脱灰」と、修復する「再石灰化」のバランスが崩れ、時間の経過と合わせ、むし歯が進行します。予防するにはフッ素が有効です。

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むし歯とは

「むし歯」は、歯に付着した歯垢の中にいる細菌が作り出す酸により、歯が溶かされる病気です。専門用語で「う蝕(うしょく)」ともいいます。むし歯になった歯は「う歯(うし)」とも呼ばれます。

むし歯発生のメカニズム

歯は主にエナメル質象牙質からできていますが、これらは酸に溶ける性質を持っています。

歯の構造

歯に付着した歯垢は、細菌と、細菌が作る粘着性物質からなるかたまりです。飲食すると中の細菌が飲食物に含まれる糖分をエサにして、増殖するとともに酸を作り出します。酸は歯垢の中からなかなか出て行かないため、その間に歯の成分が徐々に溶け出し、この状態が繰り返されると、やがて歯に穴があいた「むし歯」になります。

脱灰と再石灰化

むし歯は、突然歯に穴があく病気ではありません。口の中では飲食のたびに、歯の成分が溶け出す「脱灰(だっかい)」と、成分が再び歯に沈着する「再石灰化」が繰り返し起こっています。脱灰と再石灰化のバランスが保たれていれば健全な歯を維持できますが、脱灰に傾いてしまうとむし歯が進行します。

脱灰

「脱灰」とは、酸の作用により、歯の成分であるリンやカルシウムなどのミネラルが歯から溶け出すことをいいます。

エナメル質は主にリンやカルシウムからなる「ハイドロキシアパタイト」という結晶でできています。歯についた歯垢は、普段は中性ですが、飲食して糖類が口の中に入ると、歯垢の中の細菌が酸を作り出し、酸性に傾きます。その結果、エナメル質からリンやカルシウムが溶けやすくなり、pH5.5以下になると溶け出します。飲食後、歯垢中のpHは4付近まで下がるため、歯の表面は脱灰が進行する環境になります。

  • pHは7が中性で、数値が低いほど酸性

再石灰化

「再石灰化」とは、唾液中に含まれるリンやカルシウムが、歯の脱灰部分に取り込まれて再び沈着することをいいます。
唾液には、口の中の汚れなどを洗い流す働き(自浄作用)や、細菌の作り出した酸を中和する働きがあります。飲食後、酸性に傾いた歯垢の中も、これらの作用によって中性へと戻っていきます。すると、唾液中のカルシウムやリンが、脱灰した部分に再度取り込まれて再石灰化します。

臨界pH

歯垢内で酸が作られ酸性となり、pHが低下して、歯が溶け始める際のpHを「臨界pH」といいます。
エナメル質の臨界pHは約5.5です。
歯の内側や根元を形成している象牙質では、報告により異なりますが臨界pHは6.2~6.7で、より中性に近い状態から溶け始めることとなり、エナメル質より酸に弱いといえます。

初期むし歯

むし歯は、進行すると歯に穴があいてしまいます。その前段階で、エナメル質の内部からカルシウムやリンなどのミネラルが一部溶け出しているものの、歯の表層は保たれていて穴があく前の状態を「初期むし歯」と呼びます。
初期むし歯は、「ホワイトスポット」とも呼ばれ、表面が白く濁って見えることがあります。
この段階であれば、再石灰化によって健康な歯に戻すことが可能です。
しかし、いったん表層が崩れ歯に穴があいてしまうと、再石灰化による修復はできなくってしまいます。

初期むし歯(ホワイトスポット、黄枠内)

  • 写真提供 ライオン歯科材(株)

むし歯の原因

むし歯の原因には、「歯や唾液」「糖質」「細菌」の3つの要素があります。3要素が重なると、時間的な因子と合わせ、むし歯が発生・進行します。これらの要素は「脱灰」と「再石灰化」のバランスにも影響を及ぼし、バランスが崩れるとむし歯ができやすい口内環境となります。

1.歯や唾液

歯の質や、唾液の質、量などは、むし歯になりやすいかどうかを左右します。エナメル質や象牙質、唾液などの性質や状態には個人差があり、むし歯になりやすい人もなりにくい人もいます。歯並びや歯の形状もむし歯に影響しますし、乳歯や生えたばかりの永久歯は酸に弱いので注意が必要です。

2.糖質

食事やおやつなどを含めた飲食物に含まれる糖質の種類や量、飲食の頻度などがむし歯の進行に影響します。糖質の種類の違いによって、歯垢の中の細菌にとって「エサにしやすさ」が異なります。ブドウ糖、果糖、砂糖などはエサにしやすい糖で、細菌が増殖したり酸を作ったりする元になりやすいといえます。また、特に砂糖は、むし歯菌とも呼ばれるミュータンス菌が、酸と同時に、歯垢の元になる粘着性物質を作る材料にも使われます。
間食が多い人、特に糖を含むキャンディーやジュースなど甘いものを頻繁に摂る習慣のある人は、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、再石灰化される時間も短くなります。そのため、ダラダラ長時間食べるひとの歯の表面は、むし歯が進行しやすい環境となります。

3.細菌

細菌のかたまりである歯垢の量や質、細菌が酸を作り出す能力(酸産生能)や歯垢を作る能力(歯垢形成能)などもむし歯に影響します。代表的なむし歯の原因菌としては、「ミュータンス菌」が挙げられ、酸産生能も高く、砂糖を元に粘着性物質を作ることから歯垢形成能も高いといえます。

大人のむし歯

加齢や歯周病などにより歯ぐきが下がり始めたら、一般的なむし歯に加えて「根面う蝕(こんめんうしょく)」への注意が必要です。
「根面う蝕」とは、歯の根元にできるむし歯のことです。歯の根元の大部分は象牙質でできています。通常の歯の表面(エナメル質)より酸に弱いため、むし歯になりやすいうえ、進行も早いのが特徴です。

また、口の中に残っている歯(残存歯)の平均数は年々増加していますが、それとともに、治療した歯の詰め物と歯のすき間から新たに発生するむし歯(二次う蝕)なども増えています。

むし歯予防とフッ素の働き

むし歯を予防するには、歯みがきなどで歯垢や食べかすをしっかり落とすことに加え、「フッ素」を活用することが有効です。フッ素には、むし歯予防に役立つ3つの働きがあります。

1.「再石灰化」の促進

歯から溶け出したカルシウムやリンが再沈着する「再石灰化」を促進します。

2.歯質強化

歯の質を強くして、酸に溶けにくい歯にします。

3.細菌の酸産生抑制

歯みがきで落としきれなかった歯垢の中の細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。

この記事を作成・監修した
マイスター

太田 博崇

オーラルケアマイスター

太田 博崇

おおた ひろたか

オーラルケアの基礎研究・製品開発に30年以上携わり、その間、国立研究所や歯科大学との共同で疾患予防研究もしてきました。
これらの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。

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