知らなかった!「ミュータンス菌」を、むし歯菌と呼ぶのはどうして?
むし歯は「歯垢」の中の菌がつくる"酸"によって歯が溶ける病気。口の中にはいろいろな種類の菌がいて、酸を出す菌もたくさんいるのに、なぜ「ミュータンス菌」は「むし歯菌」と呼ばれているのでしょうか。その理由の1つが「歯面に強く付着して、歯垢を作りやすい」から。歯垢分解酵素を配合した製品でむし歯を予防しましょう。
むし歯に大きく関与する「ミュータンス菌」
「むし歯菌」とも呼ばれる「ミュータンス菌」という言葉を、耳にしたことはありますか?
むし歯菌の正式名称は、「ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)」といい、大きさは約1μm (マイクロメートル、 1/1000mm)の球状のとても小さな菌です。口の中にいる口腔連鎖球菌の一種で、写真のようにつながって増えていきます。
むし歯は「歯垢(プラーク)」の中の菌がつくる“酸”によって歯が溶ける病気です。口の中にはいろいろな種類の菌がいて、歯を溶かしてしまう酸を出す菌もたくさんいます。
その菌の中で、なぜ「ミュータンス菌」は「むし歯菌」と呼ばれているのでしょうか。その理由をご紹介しましょう。
理由①「歯面に強く付着して、歯垢を作りやすいから」
ミュータンス菌は、水に溶けない「グルカン」というネバネバ物質を作り、歯に強くくっつく性質があります。ミュータンス菌がグルカンをつくると、菌が洗い流されず歯の表面にとどまりやすくなります。そこに細菌の塊ともいえる歯垢が形成されます。
理由②「酸を作る能力が高いから」
ミュータンス菌は砂糖やブドウ糖から酸を作ります。特に周りに砂糖が沢山あると、体の中に多糖として糖を蓄え、周りに糖がなくなると、体の中の糖を分解して酸を作ります。
理由③「酸性の環境に強いから」
酸を作ると周りの環境が酸性に傾きますが、ミュータンス菌は酸性の環境でも弱ることなく、酸を出し続けます。
ネバネバ物質「グルカン」の正体は?
ミュータンス菌がつくるネバネバ物質の「グルカン」は、ブドウ糖が長く結合(α1-6結合とα1-3結合)した多糖です。このうち、α1-6結合を分解する酵素を「デキストラナーゼ」、α1-3結合を分解する酵素を「ムタナーゼ」といいます。
「デキストラナーゼ」は一部のハミガキや洗口液にも配合されていて、歯垢を分解・除去する働きを発揮します。
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気をつけたい!実は赤ちゃんにも「うつる」ミュータンス菌!
ミュータンス菌は親から子へとうつります。そもそも生まれたばかりの赤ちゃんの口にはミュータンス菌は存在しません。
では、なぜこの菌が子どもにうつるかというと、親の唾液が原因です。同じスプーンを使うなどすると、ミュータンス菌がうつる機会となります。ミュータンス菌は硬い組織(歯)がないと、生育できないので、特に歯が生えてきた、生後約1歳半から2歳半頃までの期間は注意が必要です。
まわりの大人もしっかりと口の中をキレイにして、スキンシップをするようにしましょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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