「間食のしすぎ」はむし歯の危険信号!なぜ歯みがきが必要なの?

「間食のしすぎ」はむし歯の危険信号!なぜ歯みがきが必要なの?

歯垢の中は、食事をとると酸性になり、しばらくすると中性に戻るというサイクルを繰り返しています。間食をするとむし歯になりやすいのは、歯垢の中が酸性になる時間が長くなってしまうから。ダラダラ喰いは控え、「食べたらみがく」を習慣にしましょう。歯みがきができない時は、ノンシュガーのガムなどで唾液の分泌を促して。

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「間食」がむし歯の原因になる?

「間食するとむし歯になりやすい」などといわれることがあります。それは、なぜかご存知ですか。そもそも、なぜ食事のあとは歯をみがかなければならないのでしょうか?食後の口の中の変化や、むし歯のできるしくみから、その理由を探っていきましょう。

食事や間食のたびに変化する歯垢中の「pH」

食事や間食をするたびに、歯垢の中の酸性度を示す「pH」も変化し、口の中では次の 1 5 のような変化が繰り返されています。

1. むし歯菌が酸をつくる

食べ物が口の中に入ると、むし歯菌(ミュータンス菌)が食べ物に含まれる糖質をエサにして酸をつくります。

2. 歯垢の中が酸性に傾く

歯についた歯垢は本来中性ですが、むし歯菌のつくった酸により酸性に変化します。

3. 歯の表面の「脱灰(だっかい)」が進む

酸の作用により、時間の経過とともに歯の表面のエナメル質からカルシウムやリンなどのミネラルが唾液中に溶け出します。これを「脱灰」といいます。

4. 歯垢の中が中性に戻る

やがて唾液などにより酸が洗い流されたり中和されたりして、歯垢の中は中性に近い状態に戻ります。

5. 歯の表面が「再石灰化(さいせっかいか)」する

エナメル質から唾液中に溶け出したミネラルは再び歯に取り込まれて沈着します。これを「再石灰化」といいます。

※臨界pH:酸によりミネラルが溶け始めるpH

なぜ間食が増えると良くないのか?

「酸性」の状態が続くと、むし歯の原因に!

歯垢の中は1日のうちで、「酸性」になったり「中性」に戻ったりを繰り返していて、それにともない歯の表面のエナメル質からミネラルが出入りしています。そして、ミネラルが溶け出す酸性の状態が続くと、歯に穴が開いてむし歯になってしまうのです。「間食をするとむし歯になりやすい」といわれるのは、歯垢の中が酸性になっている時間が長くなるからなのです。

むし歯を防ぐ生活習慣

1)「食べたらみがく」を習慣に

歯垢がついた歯の表面は、食事や間食のたびに酸にさらされることになります。「食べたらみがく」習慣を身に付け、歯垢のないキレイな口を保ちましょう。どうしても歯みがきができない時は、ノンシュガーのガムを噛むなどして唾液の分泌を促すと良いでしょう。

2)むし歯リスクは「就寝中」にも高くなる

「就寝中」は唾液の分泌量が減り、酸を洗い流したり中和したりする効果が弱まってしまいます。そのため、間食するのと同じようにむし歯リスクが高まります。寝る前には、みがき残しのないようきちんと歯みがきをすることが大切です。

むし歯を防ぐ食習慣

1)よく嚙んで食べる

唾液は口の中の汚れを洗い流すのに役立ちます。唾液をたくさん出すために、食事の際によく嚙んで食べることを心がけましょう。また食べ物が口の中でかみ砕かれる際にも、歯の表面の汚れを取り除いています。いつも軟らかい食べ物をあまり噛むことなく食べていると、歯垢が歯に付着したまま、細菌が増殖を続けることになります。できれば噛みごたえのある食材を食べることも、むし歯予防に有効です。

2)“ダラダラ喰い”は控える

1日の中で、おやつは大切です。ただし、長時間かけてだらだら食べると、口の中はいつもミュータンス菌が酸をつくり続けていることになります。時間を決めて規則正しく間食を楽しむようにしましょう。

3) 「歯の質」向上のためにはバランスの良い食事を!

歯が作られる時の環境の違いなどが歯の質にも影響します。丈夫な歯を育てるためには、歯の土台を作る良質なタンパク質、歯の再石灰化のために必要なカルシウムやリン、また、これらがうまく働くためのビタミン(ACD)などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。

むし歯を防ぐ上手な歯のみがき方

1)ハブラシの基本の持ち方

ペングリップ

パームグリップ

基本的な持ち方は、大きく分けて2つ。鉛筆を持つときのような「ペングリップ」と、手のひらで握るように持つ「パームグリップ」があります。みがく部位に合わせて、みがきやすい方法で持つと良いでしょう。どちらの持ち方でも、ハブラシをギュッと強く握らないように。軽く持つことが大切です。

2)歯みがきの基本

歯みがきには次の「3つの基本」があります。基本を意識して、1カ所あたり20回程度を目安に、ていねいにみがきましょう。

3)ハブラシ使いのテクニック

歯は立体的で複雑な形をしているため、毛先が歯面に垂直に当たるよう角度を工夫しながら、ハブラシの「つま先」「わき」「かかと」を上手に使って、歯の隅々までみがきましょう。

奥側はつま先で、側面はわきで、手前側はかかとで

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むし歯になりやすい歯は?

歯みがきしにくく、歯垢の残りやすいところ

むし歯になりやすいところ

歯と歯の間、奥歯の噛み合わせなどの歯垢の残りやすいところ、歯の根の部分、詰め物のまわりなど、歯みがきのしにくいところは歯垢が残りやすく、「むし歯になりやすい」ところです。下の絵にあるような場所は、特に念入りにみがきましょう。

特に注意したい場所
1. 歯の根の部分にできるむし歯(根面う蝕)

歯周病の進行や、誤った歯のみがき方などで、露出した歯の根の部分に発生します。歯の根の部分は歯垢が残りやすく、歯質もやわらかいので、ていねいにブラッシングしましょう。

2. 治療した歯にできるむし歯(二次う蝕)

歯の治療をしたあとの詰め物や、患部にかぶせた被せ物の周りに歯垢が付着し、それが原因でむし歯が発生します。気付いた時には思いのほか進行していることもあるので、一度治療したからといって安心はできません。

平野 正徳

オーラルケアマイスター

平野 正徳

ひらの まさのり

オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。

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