歯ぐきが下がってきたら歯の根のむし歯(根面う蝕)に要注意!?

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LION オーラルケアマイスター

平野 正徳ひらの まさのり

歯ぐきが下がってきたら歯の根のむし歯(根面う蝕)に要注意!?

歯ぐき下がりで生じる「新たなむし歯のリスク」

「根面う蝕(こんめんうしょく)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
歯の根元にできるむし歯のことで、歯ぐきが下がり歯の根元が露出すると、そこに新たなむし歯のリスクが生じます。「歯に物が挟まりやすくなった」「歯がときどきしみる」のは歯ぐき下がりのサイン。こんな症状がある方は、注意が必要です。根面う蝕は発症すると進行が早く、これまで守ってきた歯を失うリスクも高いので、ぜひ気をつけたいもの。
今回は、歯の根元がむし歯になるプロセスやケアの方法について詳しくご説明します。

<目次>
「根面う蝕」とは露出した歯の根元にできるむし歯
30代以降になると増えてくる「歯の根元のむし歯」
「歯の根元」がむし歯になりやすく進行が早い理由
「歯の根元のむし歯」のケア方法
歯科医院での定期的な健診が大切

「根面う蝕」とは、露出した歯の根元にできるむし歯

歯は、歯ぐきより上の「歯冠部(しかんぶ)」と、歯ぐきに埋まっている「歯根部(しこんぶ)」とに分けられます。

若い頃は歯ぐきに隠れて見えない「歯根部」ですが、加齢や不適切なブラッシングなどにより歯ぐきが下がってくると、歯の根元部分=根面(こんめん)が露出します。そこにできるむし歯のことを「根面う蝕※1(以下、歯の根元のむし歯)といいます。

  • ※1 「う蝕(うしょく)」とはむし歯の専門的な言い方です。
露出した根面 根面う蝕
  • 画像像提供:ライオン歯科材(株)

30代以降になると増えてくる「歯の根元のむし歯」

「歯ぐき下がり(歯肉退縮)」は20代でも約4割の人にあるとの報告があります※2
そのため30代くらいから「歯の根元のむし歯」ができはじめ、60代では歯ぐき下がりがある人の約半数は歯の根元がむし歯になっているというデータ※2もあります。

  • ※2 杉原ら、根面う蝕の臨床戦略、クインテッセンス出版株式会社、2018年


<歯ぐき下がりがある人の割合>

<歯ぐき下がりがある人の中で
 歯の根元のむし歯がある人の割合>

歯ぐきが下がって歯の根元が露出すると、今まで行ってきた歯みがきだけでは、お口のケアが行き届かないこともあるでしょう。実際、「今まではむし歯がなかったのに、気づかぬうちに歯の根元がむし歯になっていた」というケースはめずらしくありません。「最近、歯に物が挟まりやすくなった」「歯が長く見えるようになった」「歯がときどきしみる」と感じたら、若い方でも注意が必要です。

「歯の根元」がむし歯になりやすく進行が早い理由

歯の根元の大部分は象牙質という組織でできています。そのため、むし歯になりやすいうえ、進行も早いのが特徴です。ですので、歯の根元のむし歯はとても厄介なむし歯と言えます。では、その理由を詳しくご説明しましょう。

理由1 歯の根元の象牙質は酸に弱い

歯ぐきより上の歯冠部は、人間のからだの中で最も硬い「エナメル質」という組織に被われています。一方、歯ぐきに埋まっている歯根部の大部分は「象牙質」というエナメル質よりもやわらかい組織でできています。

ふだんの歯垢のpHは中性付近ですが、飲食をすると歯垢の中の細菌が酸を出すことで、歯垢の中は酸性に傾きます。そして、時間の経過とともに唾液の働きで元の中性付近に戻ります。歯というのは酸に弱く、一定のpH※3を下回ると、歯の成分が唾液中に溶け出します(脱灰)。歯が溶け出すスタートライン※4は、エナメル質が約pH 5.5※5、象牙質は約pH 6.7※5です。象牙質は歯の表面のエナメル質よりも早く(弱い酸で)溶けだし、その時間が長く続く(時間A>時間B)ため、象牙質の根面部分はむし歯になりやすいのです。

  • ※3 酸性、中性、アルカリ性を表す尺度。pH7を中性とし、それより数値が低いほうが酸性、高いほうがアルカリ性となる
    ※4 専門的には臨界pHといいます(下図参照)
    ※5 杉原ら、根面う蝕の臨床戦略、クインテッセンス出版株式会社、2018

<飲食後の歯垢中のpHの変化>

  • 臨界pH:酸によりミネラルが溶け始めるpH

理由2 分解された象牙質のコラーゲンは修復されない

歯の根元のむし歯は、歯の歯冠部のむし歯よりも進行が早いのも特徴ですが、それは象牙質の組成が関係します。
歯の表面を覆うエナメル質の組成はカルシウムやリンなどの無機質(ミネラル)が約96%、有機質が約4%です。対して象牙質は無機質(ミネラル)が約70%で残りの約30%は有機質、そして、有機質のほとんどはコラーゲンです。

歯冠部のむし歯は歯の表面のエナメル質から、酸によりミネラルが溶け出す(脱灰)ことでむし歯が進行しますが、脱灰された歯は唾液によって修復(再石灰化)されます。唾液には溶けてしまった歯のミネラルを元に戻す働きがあるのです。(ただし、この修復が追いつかないとむし歯が進行します。)

一方、歯の根元のむし歯は、

●酸によりミネラルが溶け出す(脱灰)
●細菌が出す、もしくは唾液などに含まれる酵素(コラゲナーゼ)によって、コラーゲンが分解される

という2つのプロセスによって、むし歯が進行します。
象牙質でも再石灰化は起こりますがコラーゲンは修復されません。そのため、エナメル質と比較してむし歯が進行しやすいというわけです。

「歯の根元のむし歯」のケア方法

年を重ねるごとにかかるリスクが高まり、気づかないうちに進行していることも多い歯の根元のむし歯。健康な歯を守るためにも、これまでの歯みがきをちょっと見直してみましょう。

1.高濃度フッ素配合ハミガキを使う

歯冠部のむし歯と同じように、歯の根元のむし歯にもフッ素が有効です。高濃度フッ素配合ハミガキ(1450ppm)を使うことをおすすめします。フッ素には再石灰化を促進する、歯の質を強化する、歯垢中のむし歯菌が酸を作り出すのを抑制するなど、むし歯予防に役立つ働きがあります。
象牙質はエナメル質よりもやわらかい組織なので、やさしく丁寧にブラッシングするようにしましょう。

高濃度フッ素配合ハミガキの表示例

パッケージにフッ素の配合量(1000ppm超1500ppm以下)が表示されています。

2.歯間清掃を行う

歯と歯の間の清掃も大切です。この部分の清掃が不十分だと、歯周病になるリスクが高まり、歯ぐきが下がることにもつながります。歯と歯の間はハブラシの毛先が届きにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、すみずみまで清掃するようにしましょう。

3.フッ素洗口液を使う

子どものころからむし歯が多い、加齢や服薬などで唾液の分泌量が減ったなど、むし歯になりやすい口内環境の方は、ドラッグストアでも購入できる、医薬品のフッ素洗口液を使うことも効果的です。1日1回ブクブクするだけで、フッ素がすみずみまで行き渡り、使えば使うほど歯の質を強くしてくれます。ご使用の際は、添付文書をよく読んでお使いください。

フッ素洗口液の表示例

パッケージには「一般用医薬品の分類(ここでは第1類医薬品)」や「ムシ歯予防薬」等の記載があります。

歯科医院での定期的な健診が大切

歯の根元のむし歯は進行が早いため、早期発見、早期治療・メンテナンスが大切です。加えて、歯ぐき下がりによる根面の露出を防ぐためには歯周病の予防も重要です。定期的に歯科医院を受診して、お口の状態をチェックしてもらいましょう。

歯の根元はむし歯になりやすい場所なので、これまで歯冠部にむし歯がなかった人でも歯の根元がむし歯になる可能性はあります。歯ぐきが下がって根面が見えはじめたら、それは新しいむし歯のリスクのサインです。今までとは違う、大人ならではのお口の状態にあった、毎日のオーラルケアを実践しましょう。

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