動画でマスター!6〜9歳の効果的な「仕上げみがき」と「点検」の仕方 〜生えかわり期の歯をむし歯から守ろう!〜
生えかわり期は歯の高さがバラバラだったり、歯並びがデコボコしていたりするので、歯みがきが難しい時期です。なので、小学生になっても仕上げみがきは大切です。子どもがみがいた後、みがき残ししやすいところを中心に仕上げみがきを行いましょう。生えかわりの状態のチェックも忘れずに。ポイントをぜひ動画でチェックして。
油断できない!生えかわり期のむし歯
「子どものむし歯は減っている!」ということを耳にしたことはありませんか?文部科学省の学校保健統計調査によると、今の小学生の親世代が子どもだった頃(30年前頃)の6~12歳のむし歯経験者率は約90%であり、ほとんどの子どもはむし歯の経験がありましたが、2015年度は51%と過去最低になりました。これには、「歯みがき習慣」や「フッ素配合ハミガキ」の普及などが関係していると言われています。
しかし、むし歯になる子どもが減っているとはいえ、半数の子どもはむし歯になっているので、油断はできません。
生えかわり期に「むし歯になりやすいところ」はどこ?
下の図は、10~14歳で「永久歯のむし歯になりやすいところ」を歯種別に示したものです。生えはじめの時期からしっかりケアをするために、あらかじめ知っておきましょう。
むし歯経験者が一番多いのは、6歳頃に生え始める「第一大臼歯(6歳臼歯)」です。その他にも7~9歳頃に生えかわる「上の前歯」や、12歳前後に一番奥に生えてくる「第二大臼歯」にも注意が必要です。
生えかわり期の永久歯は「むし歯になりやすい!」
生えたばかりの永久歯には次のような特徴があります。
<生えたばかりの永久歯の特徴>
・歯の表面が粗いため、歯垢がつきやすい
・歯質が未成熟で酸に弱い
・歯並びが凸凹しやすいため、みがき残ししやすい
このように、生えてきたばかりの永久歯をむし歯にしないためにも、永久歯のみがき残しには特に注意が必要です。
いつまで続けている?小学生の仕上げみがき
子どもが小学生になると、仕上げみがきをいつまで続けるべきか迷う方もいるのではないでしょうか?2011年にライオンが行った調査によると、保護者の「仕上げみがき実施率」は、6歳頃から減少していることがわかりました。小学生になると「何でも自分でしたがる」、「自分で歯をみがいているから」 ということで、仕上げみがきをやめてしまう方が多いようです。しかし、子どもだけの歯みがきできちんと歯垢は落ちているのでしょうか?
小学生になっても「仕上げみがき」を続けよう!
学校や歯科医院で行われる歯垢の染め出しの一例をご紹介しましょう。下の写真は8歳の子どもが自分でみがいたあと、歯垢を染め出したものです。染め出し前は一見キレイに見えますが、染め出してみると、生えかわり途中の前歯を中心に歯垢が多く付いており、保護者による仕上げみがきがまだ必要であることがわかります。
また、小学1年生(373名)を対象にした「仕上げみがき実施の有無」と「歯と口の状態」の関係を調べた調査※によると、保護者が仕上げみがきをしている子どもは、していない子どもに比べて「歯垢の付着量」が少ないという結果でした。
これらのことから、小学生になっても仕上げみがきを行うことは、むし歯予防のために大切なポイントだとわかります。仕上げみがきは目安として9歳まで続け、みがけていないところは子どもに伝えるようにしましょう。9歳以上でも、みがけていないところは必要に応じて行うとよいですね。
- ※小林 智香子ら:保護者による仕上げみがきを導入した学校歯科保健活動の効果,日衛学誌,2(1), 50-54, 2007
「仕上げみがき」のポイントを動画でチェックしよう!
生えかわり期は子どもがみがいた後、みがき残ししやすいところを中心に仕上げみがきを行いましょう。乳歯と永久歯が混在し凸凹しやすい歯並びには、みがき方の工夫が必要です。ぜひ動画で確認してみてくださいね。
基本的な姿勢
ハミガキを飲み込みにくい「立たせみがき(後ろみがき)」の姿勢で行いましょう。保護者が子どもの脇か後ろに立ち、子どもの頭がふらつかないよう、お腹や脇で頭を支えます。みがく場所によって見づらいところがあれば、寝かせるなどしてみてください。
ハブラシの持ち方
ハブラシは軽い力でみがける「ペングリップ」(鉛筆の持ち方)で持ちましょう。
優先的に仕上げみがきするところとみがき方
まず、歯垢が残りやすい「上の前歯」と「奥歯のかみ合わせ」をみがきます。
上の前歯の外側
人差し指で上唇をおさえます。歯と歯ぐきの境目がよく見えるようにします。「歯の基本のみがき方」でみがきます。
奥歯のかみ合わせ
奥から前にハブラシを動かしてみがきます。奥歯の噛み合わせの溝には歯垢が入り込んでいます。1カ所につき20回以上みがきましょう。
生えかわり期の歯並びに合わせてみがく工夫
前歯が凸凹しているところは、ハブラシを横に当ててみがくと奥に凹んだ部分に毛先が当たりにくいため、ハブラシを縦に当てて上下に細かくみがきましょう。
生えている途中の歯(第一大臼歯)は背が低いため、ハブラシを奥から前に動かしているだけでは毛先が当たりません。ハブラシを斜め横から当ててみがきましょう。
デンタルフロスで歯と歯の間を清掃
人指し指で頬をよけ、清掃する部分をよく見えるようにして、歯と歯の間を清掃します。
デンタルフロスの使い方はこちら
お口の状態もチェック
毎日の仕上げみがきの時にも、何か異常がないか確認することが大切です。
例えば、下の写真のように、歯が黒くなっているところや白く濁ったところは無いか、また歯ぐきがブヨブヨして赤みがあるところは無いかなどを確認してみてください。
また、下の写真のように、乳歯が抜ける前に内側から永久歯が生えはじめている状態の場合には、歯並びにも影響することがあるため、気になるところがあれば歯科医院で診てもらうとよいでしょう 。定期的に歯科健診を受けておくと安心です。
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
歯の生えかわり期の歯みがきアイテムを選ぶポイントは?
子どもの歯みがきに使用するアイテムを適切に選ぶことは、効率的、かつ効果的な仕上げみがきにもつながります。「基本アイテム」の選び方をご紹介します。
ハブラシ
子ども用のハブラシは様々な種類があります。選ぶときのポイントは、ハブラシが口の大きさや使う人の手に合ったものであることが大切です。子ども自身がみがく時には、「生えかわり期用」のハブラシを、保護者が仕上げみがきをする時は、「仕上げみがき用」のハブラシをそれぞれ用意することをおすすめします。パッケージに記載してある年齢等の表示を確認して選びましょう。
仕上げみがきに「タフトブラシ」を活用しよう!
生えかわり期に歯垢が残りやすいところをみがく際、「みがき方の工夫」をすることをご紹介しましたが、それ以外にも「タフトブラシ※」を使用すると、生えている途中の歯(第一大臼歯)や凸凹した歯並び、抜けた歯の周りなどに、毛先をきちんと当ててみがくことができます。
タフトブラシは、毛束が一つでできている部分みがき用のハブラシで、ハブラシではみがきにくい歯の面の清掃に適しています。
フッ素配合ハミガキ
むし歯予防のためには、フッ素配合ハミガキを使うことが重要です。生えたばかりの永久歯はエナメル質の石灰化が不十分で酸に対する抵抗性が弱いため、生えてから2~3年の間はむし歯になりやすい期間が続きます。フッ素はエナメル質の石灰化を促進し、むし歯の原因菌(ミュータンス菌など)が出す酸に溶けにくい、強い歯にする働きがあります。
ハミガキ選びのポイントは、商品のパッケージに「フッ素」(フッ化ナトリウムなど)と記載されているものを選ぶようにしましょう。下の表は、6~14歳の子どもの、ハミガキの「使用量」と「すすぎの時の水の量」の目安です。ハミガキに含まれるフッ素は、歯みがき後、口の中(歯、粘膜表面など)にとどまり、効果を発揮します。フッ素を口の中に残すため、すすぎは少量の水で1回行うようにしましょう。
デンタルフロス
歯と歯の間の歯垢は、ハブラシだけでは十分に落とすことはできないため、デンタルフロスを使いましょう。歯と歯の間は、小学校低学年のうちは子ども自身で操作することが難しいので、保護者が行うとよいでしょう。
デンタルフロスは様々なタイプがありますが、Y字型のデンタルフロスは奥歯にもラクに届くのが特長で、お子さんにもおすすめです。
手鏡
子どもが歯をみがく時に手鏡を使って、次のポイントを確認して歯をみがく習慣をつけましょう。
・ハブラシの毛先を歯にきちんと当てているか
・ハブラシを小刻みに動かすことができているか
・一番奥でみがきにくい「第一大臼歯」にハブラシは届いているか
など、アドバイスしてあげてくださいね。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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