1日の摂取量の目安は350g!野菜不足を解消するためのポイント
野菜はビタミンとミネラル、食物繊維などの貴重な供給源。これらが不足すると、生活習慣病の要因になる可能性があります。摂取量の目安は「1日350g」以上ですが、目標量に届かない人が多いもの。加熱調理でかさ(体積)を減らして食べやすくする、野菜ジュースや青汁を飲むなどの工夫で野菜不足を解消しましょう。
1日に摂りたい野菜の目安量は「350g以上」
皆さん、普段の食事で野菜は足りていますか?
厚生労働省では、21世紀における国民健康づくり運動<健康日本21>で、健康を維持するために必要な野菜の摂取目標量を、成人の場合「1日350g以上」としています※1。その内訳は、緑黄色野菜120g以上、淡色野菜230g以上です。
緑黄色野菜は、にんじんやかぼちゃなど色が濃く、カロテンを豊富に含む野菜の総称で、ビタミンCやビタミンB2、カルシウムや鉄、カリウムなども多く含まれているものが多いです。一方、たまねぎや白菜などは淡色野菜と呼ばれ、特にビタミンCが多く、ビタミンB1や、緑黄色野菜と同様にビタミンB2、カルシウム、カリウムなどが豊富に含まれているものが多いです。
※1 出典:厚生労働省「21世紀における国民健康づくり運動<健康日本21>」
(https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1.html#A15)
野菜350gを写真で示すと、このくらいの量になります。
野菜はビタミンとミネラル、食物繊維などの貴重な供給源で、からだの調子を整えるのに不可欠なもの。野菜を食べると栄養素をバランスよく摂ることにつながり、生活習慣病などを防ぎながら健康で長生きするからだづくりにとても役立ちます。
20~40代の女性は、特に野菜が足りていない!
野菜350gの写真を見て「こんなにたくさん⁉」と驚かれた方もいるかもしれませんね。実際、今の日本では野菜の摂取量が目標値に届いておらず、野菜不足になっている人が多数派なのです。
各年代の「野菜の摂取量」の平均値を男女別に示したグラフ※2をご覧ください。どの年代も目標量に届かない状況で、平均摂取量は、成人男性で約300g、女性で約280g※3です。特に20~40代の女性は、野菜の摂取量が少ない傾向にあります。
※2 厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査報告」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000451759.pdf)より作図
※3 e-ヘルスネット 栄養・食生活
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html)
では、野菜を1日に350g以上食べている人はどのくらいいるのでしょうか?
下記の「野菜の摂取量が350g以上の人の割合」のグラフ※4をご覧ください。野菜を最も多く摂取している60代でも、目標量を摂れている人は4割未満。6割を超える人が野菜不足となっています。また、野菜の摂取量が最も少ない20代女性では、目標量を摂れている人の割合は15%。30代女性では17%にとどまっています。
※4 厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査報告」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000451759.pdf)より作図
「健康のためには野菜を食べるべき」とわかっていても、普段は忙しくてそこまで意識できなかったり、目標量を食べるのは意外に難しかったりするのかもしれません。
特に不足しがちな栄養素は「食物繊維」と「カリウム」
野菜不足になると心配なのが、ビタミンとミネラル、食物繊維などの栄養素が不足することです。これまでエネルギーと食塩の摂り過ぎ、カルシウム不足などは常に注意されてきましたが、加えて最近は「食物繊維とカリウムが深刻な摂取不足」と言われていること※5、知っていましたか?これらが不足すると、高血圧や糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病の要因になる可能性があります。
※5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)報告書・総論
(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083870.pdf)
食物繊維の特徴と働き
食物繊維は、炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルに続く「第6の栄養素」とも言われる大事な成分です。野菜のほか、穀物、きのこ、いも類、海藻などにも多く含まれています。人間の消化酵素では消化されないのが特徴で、水に溶けるもの(水溶性食物繊維)と水に溶けないもの(不溶性食物繊維)があり、どちらもバランスよく摂ることが大事です。
食物繊維の主な働きには以下のようなものがあり、さまざまな病気予防に貢献します。
●糖の吸収を緩やかにして、食後の血糖値の急上昇をおさえる→糖尿病の予防効果に期待
●小腸でコレステロールの吸収を抑え、血液中の脂質のバランスを整える→動脈硬化を防ぐ
●大腸まで届いて腸内細菌のえさとなり、腸内環境を整える→便秘の予防・改善に役立つ
カリウムの特徴と働き
カリウムはミネラルの一種で、とても大事な栄養素です。野菜や果物、穀物に多く含まれています。
カリウムの主な働きには以下のようなものがあり、生命維持や血圧を正常に保つのに必要なものです。
●ナトリウムと作用し合い、細胞の浸透圧を一定に保つ。体内の余分なナトリウムの排出を促す→高血圧予防に役立つ
●腎臓の老廃物の排出を助ける
●筋肉の収縮をスムーズにする
野菜不足を解消するためのポイント
かけがえのない健康を守るためにも、野菜をしっかり食べて、からだに必要な栄養素を補いたいもの。写真では、1日の目標量がわかっても、実際にどのくらいの量を食べればいいのか、あまりイメージできない人も多いのではないでしょうか?
野菜の量の目安は、生野菜なら両手1杯で約70g、温野菜なら片手1杯で約70gです。なので、1日に350g摂るには、生野菜なら両手に5杯分食べなければなりません。かなりの量に感じる人も多いと思います。不足分を補うためには、食べ方や調理法をほんのちょっと工夫してみましょう。
加熱してかさ を減らす
野菜を蒸したりゆでたりすると、
カット野菜(200g)も加熱すると
いつものみそ汁やスープに野菜を多めに加えて具だくさんにするのも、手軽に摂取量を増やせておすすめです。
味に変化を加え、食べ飽きない工夫をする
生野菜サラダは、野菜をそのまま食べることができるので、調理により損失してしまうような栄養素をしっかり摂れて、毎日でも食べたいところ。でも、生のままだと量をたくさん摂らなければならないし、毎日だとマンネリで飽きることも……。そこで、ドレッシングやディップで変化をつけましょう。
マヨネーズ、ゴマだれ、ケチャップなどをそのままディップとしてつけてもおいしく食べられます。また、ヨーグルト(無糖または微糖)と、マヨネーズやゴマだれ、またはケチャップを混ぜると、さっぱりヘルシーな味に早変わり。お好みでカレー粉をひとつまみ加えてみても良いでしょう。
野菜の小鉢の追加や野菜ジュース、青汁を活用する
外食で麺や丼などの単品料理を食べる時には、おひたしや煮物など野菜の小鉢を追加しましょう。
また、忙しかったり、一人暮らしだったりで料理がままならないなど、食事だけではどうしても不足する場合は、野菜ジュースや青汁などで補うのもいいでしょう。ただし、市販されているジュースは、食物繊維の量が少なく、また糖類が添加されていてエネルギー量が高いものが多いので、それだけに頼るのではなく、あくまでも“補助”として活用するのがおすすめです。
クッキングペーパー×電子レンジの簡単メニューで、野菜不足を解消!
水でぬらしたクッキングペーパーで野菜をくるみ、電子レンジで加熱(チン)する「ぬら・くる・チン!(ぬらして・くるんで・チン)」の調理法も、野菜料理が手軽にできておすすめです。たっぷりの温野菜サラダも、すばやく、おいしく仕上がります。お鍋でゆでるより手間が省けて、ビタミンやカリウムなど水に溶けやすい栄養素の損失も少ない※6といううれしいメリットも!
※6 ブロッコリーを使用して実験。ゆでた時と比較すると電子レンジ加熱時では、実験値で1.5倍量のビタミンCが残った(「栄養たっぷりの「野菜」をたくさん食べる調理の工夫」)
温野菜サラダの作り方
1.耐熱皿に水でぬらして軽く絞ったクッキングペーパーを敷き、大きさを揃えて切ったお好みの野菜(写真は約300g)を並べる。
2.もう1枚ぬらしたクッキングペーパーをかぶせ、電子レンジ(600W)で約5分間加熱する。
3.お好みのドレッシングを添える。
「ぬら・くる・チン!」だと、なぜ手早くおいしく加熱できるの?
電子レンジは、電波が食品に含まれている水分子を振動させ、その摩擦熱で食品を温める仕組みです。野菜を水でぬらしたペーパーでくるむ「ぬら・くる・チン!」なら、野菜の内側(野菜自体の水分)と外側(ペーパーの水分)の両方からすばやく、ムラなく加熱できます。
にんじんの断面と表面の温度を、サーモグラフィーを使って見ると、その差は歴然!
これなら忙しい毎日でもスピーディーにおいしく調理できて、野菜をしっかり摂れそうですね。
食物繊維とカリウムがしっかり摂れる食べ方のポイント
日本人に特に不足しがちな食物繊維とカリウムを摂るためには、まずは野菜をしっかり食べることが肝心ですが、ほかにも摂取量を増やす方法があります。
主食を工夫する
玄米や全粒粉のパンなどの精製度の低い穀物は、食物繊維が豊富。また、胚芽米はカリウムを多く含みます。ただし、玄米は消化されにくい傾向があるので、高齢者の場合は、白米に少し混ぜるか胚芽米にするといいでしょう。
果物を食べる
果物はビタミンなどが豊富なうえ、食物繊維とカリウムも多く含まれています。生でそのまま食べられるので、調理によって損失しやすいカリウムも無駄なく摂れます。
摂取量の目安は1日200g。りんごなら1個、みかんなら2個が目安になります。
ただし、いくらでも食べてよいわけではなく、食べ過ぎには注意しましょう。果物には果糖が多く含まれるので、中性脂肪値を上げて肥満を招く可能性があります。また、極端に摂り過ぎると、高血糖を招く可能性もあります。
調理法を工夫する
水溶性食物繊維やカリウムは水に溶けやすい栄養素なので、摂取量を増やしたいなら調理法に気を配るといいでしょう。生で食べるほか、野菜は、汁物やスープの具に使ったり、細かく刻んでごはんに混ぜ、炊き込みごはんにするなど、料理の具に使うのもおすすめです。栄養素を余さず摂れます。
ただし、腎臓病の人は、重症度によってカリウムの摂取量制限をする必要があります。ご注意ください。
いかがでしたか。これまでの食生活を振り返りながら、1日に必要な野菜と果物をしっかり食べて、健康なからだをキープしましょう!
この記事を作成・監修した
マイスター
ヘルスケアマイスター
芳賀 理佳
はが りか
くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。
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