お風呂の残り湯でお洗濯!菌・汚れ・イヤなニオイを防いで、残り湯を再利用
「残り湯洗濯はニオイや菌が残りそう」というイメージはありませんか?実は、温かい残り湯を使うと、汚れ落ちがよくなり、ニオイは発生しにくくなります!衣類に菌が残る心配も、すすぎ工程に水道水を使ったり、除菌・抗菌効果のある漂白剤を使うなどで対策してください。節約にもなり地球環境にもやさしい、残り湯洗濯のコツをお伝えします。
お風呂の「残り湯」をお洗濯に
一般的な家庭用の浴槽に入るお湯の量は約200L。これだけのお湯を再利用せずに捨ててしまっているとしたら、ちょっともったいないと思いませんか?
残り湯の使い道は、植木への水やり、トイレの流し水、災害時などの非常時への備えなどいろいろ考えられますが、やはりお洗濯に活用するのが一番。残り湯をお洗濯に使うメリットや快適にお洗濯するためのコツをチェックしていきましょう。(残り湯洗濯の実態について、詳しくはこちら)
残り湯を使ったお洗濯の「メリット」
残り湯をお洗濯に活用した際の「メリット」を以下に詳しくご紹介します。
1. 水道代が節約できる
残り湯を「洗い」の工程で毎日使用すると、1か月で約430円、年間で5160円※1の節約になります。お洗濯を続けるほどに、その節約効果も大きくなりますよ。
- 1 ライオン調べ(毎回60Lの残り湯を洗濯に利用するとして、ひと月分の節水量は、60L×30日。1Lあたりの水道代を0.24円として、節約金額を1800L×0.24円/Lで算出)
2.節水になり環境にやさしい
残り湯を「洗い」の工程で毎日使用すると、1か月で約1,800L、年間21,600L※2もの節水効果が得られます。21,600Lは、お風呂(200L /回)で換算すれば108回分、トイレ(5L/回)で換算すれば4320回分に相当します。
- 2 ライオン調べ(毎回60Lの残り湯を洗濯に利用するとして、ひと月分の節水量を60L×30日、一年分を60L×30日×12か月で算出)
また、もし約5000万世帯ある日本の家庭すべてが残り湯でお洗濯をしたとすれば、1年間で日光の中禅寺湖に相当する水が節水できることになります。貴重な水資源を賢く再利用できる「残り湯」の活用は、地球環境を守ることにもつながるのが実感できますね。
3.効率よく汚れが落とせる
残り湯は、入浴直後は40℃くらい、翌朝でも25℃くらいの温度になっています。冬の水道水の温度(5~10℃程度)と比べると温かいため、洗剤の効果も高まり、洗濯物の汚れも落ちやすくなります。
残り湯洗濯に感じるお洗濯の「不安」
「水道水と同じように仕上がるの?」、「残り湯をお洗濯に使いたいけど、菌や汚れ、イヤなニオイが衣類についてしまいそう」。メリットを感じながらも、同時にそんな「不安」を抱いてしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
でも大丈夫!残り湯を再利用するためのポイントをしっかりおさえれば、そんな不安も解消できます。重要なのは、洗濯物のニオイの原因となる残り湯の「菌・汚れ」をいかに防ぐかです。
「菌・汚れ」を防ぐ残り湯洗濯のポイント
残り湯洗濯のメリットを活かし、デメリットも低減するため、以下のようなポイントに気を付けてお洗濯しましょう。
1.お湯を上手に残す
残り湯はできる限り清潔で、さらに高い温度に保った状態でお洗濯に使うのがベスト。そのためにはできるだけお湯を汚さず、冷まさない工夫をして、お湯を上手に残すことが大切です。
お湯を汚さない工夫としては「湯船にはからだを洗ってから入る」「湯船にタオルを入れない」「お湯に浮いた髪の毛やゴミは取り除く」、お湯を冷まさない工夫としては「入浴後はお風呂のフタをしっかり閉める」などがあります。
2.残り湯は「洗い」の工程で使う
残り湯を「すすぎ」の工程で使うと、菌や汚れが洗濯物に残ってしまうことがあります。残り湯を使うのは、最初の「洗い」の工程だけにして、「すすぎ」には水道水を使うことをおすすめします。
ただし、すすぎの時にも残り湯を使用できる洗濯機がほとんどですので、菌や汚れが気にならない方、より節水したい方などは、すすぎ時の残り湯使用についても検討は可能です。
3.除菌・抗菌効果のある漂白剤を使う
菌の心配やニオイが気になる場合は、除菌・抗菌効果のある酸素系漂白剤を、洗剤と一緒に入れてお洗濯しましょう。シミや黄ばみの漂白もできて便利です。
要注意!
洗濯前に衣類の洗濯表示を見て、漂白剤が使用可能かを必ず確認してください。
除菌・抗菌効果のある酸素系漂白剤については、こちらをご覧ください。
4.洗濯物は早くしっかり乾かす
洗濯物は長時間濡れたままにしておくと、菌が増殖し、ニオイが発生してしまうことがあります。生乾きにならないよう風通しの良い屋外に干すか、外干しできない時は乾燥機などを使って、早くしっかりと乾かすようにしましょう。
残り湯洗濯Q&A
皆さんからよく寄せられる「残り湯洗濯」の質問をピックアップしました。
Q1 残り湯にはどんな汚れが含まれるの?
A 皮脂や角質、菌などが含まれます
残り湯には、皮脂や角質、体に付着していたホコリなどが含まれます。また、残り湯には菌も含まれていますが、ポイントをおさえれば問題なく洗濯に使うことができます。(菌の存在状況についてはこちらをご覧ください)
Q2 残り湯で洗濯する時は「洗剤の量」を増やすほうがいいの?
A 使用量の目安に従って適切な量を使いましょう
洗剤を必要以上に入れても、洗浄力に大きな影響はありません。いつものお洗濯と同じように、洗濯物や水の量に合わせて、洗剤のパッケージに書いてある使用量の目安に従って使いましょう。(洗剤の濃度と洗浄力の関係についてはこちらをご覧ください)
Q3 残り湯洗濯のおすすめのタイミングは?
A 入浴後なるべく早く洗濯することをおすすめします
お洗濯に使う残り湯は、できる限り清潔で、さらに高い温度を保った状態がベストです。㈱衛生微生物研究センターの調査※3によると、残り湯に含まれる菌の数は、翌日になると「入浴直後の1000倍に増える」場合があるそうです(条件によるため必ず1000倍に増えるということではありません。菌の存在状況についてはこちらをご覧ください)。また、残り湯の温度が30〜40度くらいであれば、冷たい水道水よりも皮脂汚れが落ちやすく、洗剤中の酵素の働きも高まります。衛生面と洗浄力の両面から、夜に入浴した場合には、できればその日のうちか翌朝くらいまでに使用するのがおすすめです。
要注意!
おしゃれ着を洗濯する場合には、水温は「30度以下」が適切です。温度が高すぎると、衣類にダメージを与える可能性があります。
- 3 出典:㈱衛生微生物研究センターウェブサイト https://kabi.co.jp/remaining-hot-water-from-bath/
Q4「入浴剤」を使った残り湯でお洗濯できるの?
A 入浴剤の表示や洗濯機の説明書を確認しましょう
基本的には洗濯水として使える可能性が高いですが、入浴剤の種類によっては洗濯物に色移りしたり、洗濯槽を傷めたりすることがあります。また、給水ポンプが詰まって風呂水が給水されなくなってしまうことも。残り湯が使えるかどうかは、入浴剤の製品表示や洗濯機の取扱説明書を見て確認しましょう。
Q5 入浴剤の色が衣類についてしまったら?
A 再度洗濯することで洗い落とせる場合があります
入浴剤には、有効成分のほかに色素などが配合されています。すすぎ工程にも残り湯を使用し、さらに柔軟剤も併用した場合や、つけおき洗いをした場合などに、衣類に着色することがあります。これは、柔軟剤の界面活性剤と入浴剤の色素が反応してできた化合物が、衣類に吸着されたことが原因です※4。
こうしたトラブルを防ぐため、残り湯の使用は「洗い工程」のみにし、すすぎ工程には水道水を使いましょう。衣類に着色してしまった場合は、もう一度洗剤で、なるべく早く洗濯すれば洗い落とすことができます。それでも落ちない場合は、漂白剤を使ってお洗濯をしましょう(漂白剤が使用可能かどうかは、事前に洗濯表示で確認してください)。
- 4 出典:日本浴用剤工業会(https://www.jbia.org/safety6.html)
Q6 残り湯洗濯に「柔軟剤」は使用できるの?
A 注意点を守れば、安心して柔軟剤を使用できます
残り湯の使用を「洗い工程」のみにし、「すすぎ工程」には水道水を使っていただければ、普段通り柔軟剤を使用することができます。すすぎ工程に残り湯を使用した時、残り湯に入浴剤が入っていた場合などは、衣類が着色してしまう可能性がありますのでご注意ください。(詳しくはこちらをご覧ください)
Q7 白いシャツを残り湯で洗うと黄ばまないか不安!
A 残り湯洗濯は、むしろ黄ばみ予防に効果あり!
黄ばみの主な原因は、皮脂汚れなどの蓄積や酸化です。白さを保つには、皮脂汚れを残さないように洗濯することが大切です。温かい残り湯を使えば、冷たい水道水で洗うよりも汚れは落ちやすくなります。つまり残り湯を活用することは、黄ばみの予防にむしろ効果的といえます。
Q8 「長期収納」する衣類のお洗濯にも使えるの?
A 洗剤と一緒に漂白剤を使えば◎
長期収納する衣類のお洗濯は、黄ばみやニオイの原因となる汚れをきちんと落とすことがポイントです。温かい残り湯を使う方が汚れは落ちやすくなるので、むしろ活用すると良いでしょう。除菌・抗菌効果のある液体酸素系漂白剤を一緒に使い、つけおき洗いなどをしてシミや汚れをきちんと落としておけば、来シーズンも気持ち良く着ることができます。しっかり乾燥してから収納してください。(漂白剤が使用可能かどうかは、事前に洗濯表示で確認してください)。
Q9 「赤ちゃんの衣類」のお洗濯に残り湯を使ってもいいの?
A 大人の衣類と同様に使えます
残り湯の菌やニオイ対策には、除菌・抗菌効果のある酸素系漂白剤を一緒に使って不安を解消しましょう。赤ちゃんの衣類についたシミの除去にも有効です。しっかり乾燥させることも大切です。
Q10 「給水ポンプ」がない時は?
A 新しい給水ポンプを準備しましょう
一般的には洗濯機に付属していることが多いですが、付属の給水ポンプが壊れたり、失くしてしまった時には、家電量販店やホームセンターなどで購入することもできます。洗濯桶などで浴槽からお湯を運ぶという方法もありますが、体に負担がかかって大変!給水ポンプの購入をおすすめします。
Q11 「給水ポンプ」のお手入れのしかたを教えてください!
A フィルターのゴミをこまめに取り除きましょう
給水ポンプのフィルター部分や洗濯機の風呂水給水口にゴミがついたままで使用すると、水の出が悪くなります。フィルターを取り外して、使い古したハブラシなどを使って水洗いしましょう。給水ホースは、洗濯槽クリーナーでつけおき洗浄します。詳細は給水ポンプの取扱説明書を確認しましょう。
残り湯の管理は安全に
便利な残り湯ですが、活用するためには、入浴後、お湯を流さずに浴槽内に残しておかなければなりません。小さなお子さんやペットのいるご家庭では、浴槽内への転落など万一の事故が心配です。
そのような事故を防ぐためにも、お風呂のフタはしっかり閉めて、「安全」に管理しておくようにしましょう。
残り湯洗濯の実態
ライオンの調査によると、「6割以上の方」が残り湯洗濯の経験があることがわかりました※5。
また、残り湯洗濯の経験がある方の中で、継続期間が1年以上は約7割、更に10年以上続けていると答えた方も35%に上りました※6。
水道代の節約のほか、節水を意識している方も多いことがわかります※6。残り湯洗濯を選ぶ方が多いのは、環境保全に対する意識も関係しているかもしれません。
入浴後3時間未満が30%、約6割の方が遅くとも12時間以内に残り湯洗濯をしていました※6。残り湯の温度が高いうちに利用することは汚れ落ちの向上にも繋がるため、理想的だと考えます。
実際、残り湯洗濯を実践している方の約半数は、「衣類の仕上がり」に満足しているという結果に。約9割の方は、仕上がりについて特に不満を抱えていないということもわかりました※6。
- 5 ライオン調べ、洗濯を1週間に1回以上実施している20~60代500名、2021年
- 6 ライオン調べ、洗濯を1週間に1回以上実施しており、残り湯洗濯をした経験のある20~60代301名、2021年
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
残り湯にはどれくらいの「菌」がいるの?
1mLあたり1,000〜100万個の菌がいる。
ライオンが一般家庭のお風呂の残り湯※を調べたところ、1mLあたり1,000~100万個の「菌」を検出しました。
- 浴室使用年数5年以上の家庭5軒、4人が入浴
同様のデータは、㈱衛生微生物研究センターの調査でも明らかになっています。湯を張った直後の風呂水には1mLあたり数十個程度の菌しか含まれていませんが、入浴後は数百個から数千個に、そしてさらに翌日になると風呂水の菌数は数十万個から数百万個へと増えることがわかりました。入浴直後と比べる、実に約1000倍にも増える場合があるそうです(ただし、条件によるため、入浴直後や一晩放置後に、必ず細菌数が増えるということではありません)。
入浴人数 | 入浴前 | 入浴直後 | 一晩放置 |
---|---|---|---|
2名 | 40 | 110 | 250,000 |
3名 | 40 | 360 | 290,000 |
5名 | 80 | 2,700 | 1,200,000 |
- 細菌数:1mL当たりの細菌の個数。培養検査によって算出。
- 出典:㈱衛生微生物研究センターウェブサイト https://kabi.co.jp/remaining-hot-water-from-bath/
残り湯を使ったお洗濯の場合、これらの「菌」や「汚れ」が洗濯物から感じるイヤなニオイの発生原因になるため、しっかり落とすことが大切になります。「除菌・抗菌効果のある酸素系漂白剤を使う」「すすぎには水道水を使う」などのポイントを守って、気持ち良くお洗濯をしましょう。
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
洗剤の量を増やすと「洗浄力」もアップするの?
容器の裏に記載されている「洗濯物の量」「水量の目安」を参考に!
汚れの量や種類などにもよりますが、一般的には洗剤はある一定の濃度になると、それ以上濃くしても洗浄力はほとんど変わらなくなります。むしろ、濃くした分だけすすぎにたくさんの水が必要になるので、環境にも家計にも負担をかけてしまいます。洗剤は、洗剤容器の裏面に記載されている「洗濯物の量」「水量の目安」を参考に、適量をきちんと量って使いましょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
片木 徹也
かたぎ てつや
洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。
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