「乳歯の生えかわり」の時期や順番は?年齢別「点検」のポイントも紹介
子どもの歯は6歳から12歳にかけて乳歯から永久歯へと生えかわります。あごの中で乳歯の下に永久歯が根を作り始めると、乳歯の根が少しずつ溶け、押し出す形で永久歯に生えかわる仕組みです。この時期は子どもがみがいた後の点検が大切!6歳~9歳の子どもには、上の前歯や第一大臼歯の溝のみがき残しがないか確認を。
生えかわり期の子どもの「お口の状態」で気になること
生えかわり期にはお口の中の状態がめまぐるしく変化するため、いろいろ気になることも多いのではないでしょうか。2015年のライオン調べで、6歳から12歳の子どもをもつ保護者に「子どものお口の状態で気になること」を聞いたところ、1位が「みがき残し」、2位が「歯並び」でした。
気になる方が多い「みがき残し」や「歯並び」は乳歯から永久歯への「歯の生えかわり」が深く関係しています。今回は、「歯の生えかわり」のしくみと「点検」のポイントについてみていきましょう。
乳歯の歯の間に隙間があるけど大丈夫?
下の写真は、5歳の子どもの口の中です。歯と歯の間に隙間があるのがわかります。このように隙間があるのは、身体とともに、顎が成長しているからなのです。顎の成長とともに、歯が並んでいるところも大きくなっていくため、隙間ができてきます。この隙間は、これから生えてくる「永久歯」が「乳歯」よりもひとまわり大きいため、「永久歯」が並ぶために必要なスペースなのです。
乳歯から永久歯への生えかわる時期
子どもの歯は6歳から12歳頃にかけて「乳歯」から「永久歯」へと生えかわっていきます。「乳歯」の数は20本、「永久歯」の数は「第3大臼歯(親知らず)」を除くと28本です。
歯の生えかわりについて注意すべきことは、永久歯の生える期間や順序が、生える平均的な時期と大幅にずれていないか、また乳歯が抜けて次の永久歯が生えるまで6ヶ月以上経っていないかなどです※。
- ※文部科学省 『「生きる力」をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり』より
「歯の生えかわり」ってどのように行われるの?
生えかわりで抜けた乳歯をみると、根っこがないことにお気づきでしょうか。乳歯が抜けて、永久歯が生えてくるまで、顎の中でどんなことがおきているのでしょう?生えかわりのしくみを下の図で解説します。
乳歯のむし歯もしっかり治療!
乳歯がむし歯などで早期に抜くようなことになると、その後に生えてくる永久歯が動いてきてしまって、歯並びに影響する場合があります。乳歯のむし歯もしっかり治療しておきましょう。
生えかわりの状態もよくみておこう!
下の写真のように乳歯が抜ける前に内側から永久歯が生えはじめている場合には、歯並びに影響することがあるので、歯科医院で診てもらうとよいでしょう。
こんな「くせ」にご注意を!
「頬づえ」や「爪かみ」のクセを長く続けると、歯並びに影響することがあるのをご存知でしょうか?自分で改善できるものについては、保護者の方より教えてあげるようにしましょう。
また、片方の顎ばかり使って食べ物をかむ「片がみ」のくせは、顔の形や歯並びにも影響する場合があるため、歯科医院で相談してみて下さい。
生えたての永久歯はむし歯になりやすい
生えかわり期にはお口の中に「乳歯」と「永久歯」が混在します。「永久歯」は「乳歯」よりも黄色味を帯びていて、前歯の先端はギザギザしています。また生えてきたばかりの「永久歯」は、奥歯のかみ合わせの溝が深いのも特徴です。
生えたての永久歯は、「歯の表面が粗いため歯垢がつきやすい」、「歯質が未成熟で酸に弱い」さらに、「歯並びが凸凹しやすいためみがき残ししやすい」という特徴があります。生えてきたばかりの永久歯をむし歯にしないためにも、みがき残しには特に注意が必要です。さらにフッ素配合ハミガキを使い、歯科医院でのフッ素塗布をするなど、積極的にむし歯予防を行いましょう。
「歯の状態」に合わせた点検ポイント
子ども自身が歯をみがいた後に、下記のポイントで点検し、目安として9歳までは仕上げみがきを続けましょう。9歳以上でもみがけていないようであれば、必要に応じて行うとよいでしょう。
6〜9歳
第一大臼歯の噛み合わせの溝や、上の前歯のみがき残しに注意しましょう。
9〜11歳
前歯の歯並びが凸凹しやすいのでみがき残しに注意。9歳以上は、歯肉炎が増えてくるため、仕上げみがきの際、デンタルフロスをていねいに行いましょう。
12歳
生えている途中の第二大臼歯もきれいにみがけているか確認しましょう。
みがき方はこちらをご覧ください。
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なぜ、生えかわり期は、前歯の歯並びが凸凹しやすいの?
この前歯の生えかわる時期は「みにくいアヒルの子時代」とも呼ばれ、前歯が下の写真のように「ハ」の字のように中央が開いて生えてくるため、一見、歯並びが悪いように見えるのです。その凸凹した歯並びには、みがき残しにも注意が必要です。
下の図のように、続いて隣の前歯が生えることで、中央の歯が真ん中におされて歯の生えている向きがそろい、隙間がなくなってくるのがこの時期の歯並びの特徴です。
生えかわりに何か問題がないか、むし歯や歯肉炎になっていないかなど、定期的に歯科医院で診てもらうとよいでしょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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