人生100年時代に備える!「噛んで」食べることの大切さ
健康な歯で噛めることは、人生100年時代を支える大きな柱にもなります。歯が少なく、入れ歯も入れない高齢者は、認知症発症リスクや転倒リスクが高まるという研究報告があります。今ある歯を1本でも多く残すには、日常のセルフケアや歯医者さんでのケアなど4つのポイントが。お口の健康も体の健康同様、予防が大事です。
歯の本数が少ないと、認知症リスクが高まる!?
年々、平均寿命が延び、「人生100年時代」ともいわれる昨今、「歳を重ねても、いつまでも健康に暮らすこと」は、多くの人の願いです。
そのためのからだ作りは、現代を生きる私たちの課題ともいえます。
実は「健康な歯」も、その大きな柱になることをご存じですか?
歯が少ない高齢者は、20本以上の歯がある高齢者に比べ、認知症の発症リスク※1や転倒リスク※2が高まり、さらに、歯がほとんどない人でも、入れ歯使用者は非使用者のようにはリスクが高まらないという研究報告があります。
また、「残っている歯の本数が多いほど長生き」という報告も※3。
歯の本数や噛むことと「高齢者の健康」に深いつながりがあるなんて、意外と感じるかもしれませんね。
考えてみれば、自分の歯が多く残っていると、歳をとってもしっかり噛んで食べることができ、健康のために必要な栄養を摂りやすくなります。また、よく噛むことで、脳に流れる血液の量が増え、良い刺激を与えてくれともいわれます。
いつまでも元気でいるには、「噛んで食べること」がとても大切なのです。
- ※1 T. Yamamoto et al. Psychosomatic Medicin 2012;74,241 65歳以上、4425名の愛知での4年間の追跡調査
- ※2 T. Yamamoto et al. BMJ Open 2012;2:e001262 前年に転倒履歴がない65歳以上、1763名の愛知での3年間の追跡調査
- ※3 P. Holm-Pedersen et al. J Am Geriatr Soc 2008;56,429 デンマークの70歳、573名の非障害者を21年追跡調査
「フレイル」は「要介護の一歩手前」の状態
「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?これは、今話題のキーワードで、加齢による筋肉減少や認知機能、気力の衰えなどにより活力が低下し、生活機能が障害されて心身の脆弱化が出現した状態をいい、「要介護になる手前」ともいえる一方、適切な措置で生活機能の維持向上が可能な状態でもあります。
身体的には、手足が細る、体重が減る、疲れやすくなる、歩くのが遅くなるといった症状が見られ、放っておくとさらにその症状が悪化し、「要介護」になるリスクが高くなってしまうといわれています。
覚えておきたいのは、フレイルになっても早い段階なら「適切な対処で再び健康な状態に戻れる可能性がある」ということです。
フレイルの予防や対処に必要なのが、「栄養」「運動」「社会参加」の3つといわれています。
このうち栄養は、食べる機能を担うお口とは、切っても切れない深い関係。
むし歯や歯周病を患っていたり、歯が少ないという理由で食べ物をしっかり噛むことができないと、十分な栄養を摂るのはむずかしくなりますよね。時には、深刻な栄養失調状態を招くことも…。
アメリカのある研究グループが調査したところ、高齢者が低栄養状態に陥る要因としてダントツ1位となったのが、「口腔状態の悪さ」でした※4。
貧困などによる食料不足よりも何よりも、お口の状態がからだの栄養状態に影響を与えたのです。
このように、シニアが十分な栄養を摂るにも、フレイルになった時に健康を取り戻すにも、「しっかり噛んで食べる」ことが必要不可欠!お口の健康を守ることの重要さが伺えますね。
- ※4 C. E. Burks et.al. J Am Geriatr Soc; 2017 Mar 21. アメリカ・ノースカロライナ大学等のグループによる、65歳以上の救急診療患者252人を対象とした調査。「低栄養状態」は、身体状態と問診アンケートで判定
お口の健康を守ることは「未来の自分への投資」
自分の歯を1本でも多く残してお口の健康を守ることは、からだや脳の健康につながります。からだや脳が元気ならば、趣味や生きがいを存分に楽しめて、おいしく食べられ、思いっきり笑えて…といいことずくめ!将来、元気で幸せな高齢者になるための足がかかりといえそうです。
20~30代の若い世代はもちろん、シニアの方だって遅くはありません。失ってからでは遅いお口の健康。ぜひ、歯みがきのしかたなど毎日のケアを見直して、いつまでも健康な歯と歯ぐきキープしましょう。また、歯を失ってしまった場合でも、入れ歯などで噛む機能を保つことが大事です。
日常のセルフケアとプラスアルファのケアで、今ある歯をキープ!
今ある歯を1本でも多く残して、いつまでもしっかり噛んで食べるためには、「日常のセルフケア」「歯医者さんでのプロフェッショナルケア」「入れ歯のケア」「適切な生活習慣」の4つがポイントとなります。
おすすめするケア 4つのポイント
1. 日常のセルフケア
歯を失う原因の約3分の2は、むし歯と歯周病です※5。歯ぐきが下がってきた中高年の方は、歯周病とともに歯の根元のむし歯「根面むし歯」にも注意が必要です。毎日のケアでは、これらを引き起こす「歯垢」をキレイに落とすことが何よりも肝心となります。
・まずは基本。きちんと歯を磨きましょう → 歯みがきに自信があっても約8割の人にみがき残しあり
・歯間ブラシ、デンタルフロスなどによる歯間清掃も合わせて行いましょう → こちらのリンクからご自分に合った用具や使い方を
- ※5 「第2回 永久歯の抜歯原因調査」 平成30年 公益財団法人8020推進財団
2. 歯医者さんでのプロフェッショナルケア
お口に不具合がなくても、1年に2~3回、歯医者さんで定期的に健診を受け、必要に応じた処置をしてもらうことも大事です。むし歯や歯周病のチェックに加え、日常の歯みがきでは取り切れない歯石の除去といった口腔内清掃や、正しい歯みがき方法などの保健指導を受けましょう。
3. 入れ歯のケア
入れ歯を使用している人がしっかり噛んで食べるためには、お口のケアとともに入れ歯のお手入れや、入れ歯の噛みやすさなどもポイントです。
・入れ歯の清掃をしましょう → 「入れ歯(義歯)」や「ブリッジ」の適切なお手入れ方法
・入れ歯の噛みやすさを確保しましょう(歯医者さんでの入れ歯調整や、入れ歯安定剤の使用等により、装着性の向上と、痛みや違和感、食べ物のはさまりなどを軽減しましょう) → 「入れ歯(義歯)安定剤」を正しく選んで快適に過ごそう!
4. 適切な生活習慣
お口のケアと併せて生活習慣も見直しましょう。
・栄養バランスの良い食事を心がけましょう → 農林水産省/「食事バランスガイド」について
・適切な運動で健康状態や筋力を維持しましょう
悪くなってからでは戻りにくい
お口の健康も全身の健康も、予防が大事。悪くなってからありがたさに気付く前に、日々のケアを実践しましょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
深澤 哲
ふかさわ てつ
オーラルケアの技術開発ならびに製品開発に約25年間携わってきました。
これまでの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容