部分入れ歯・総入れ歯・ブリッジのお手入れ!適切な洗浄や保管について

部分入れ歯・総入れ歯・ブリッジのお手入れ!適切な洗浄や保管について

入れ歯には「汚れや細菌がつきやすい」「ニオイが吸着しやすい」「すき間に細菌が繁殖しやすい」などの特徴があります。清掃が不十分だと、入れ歯のニオイの原因に。部分入れ歯も総入れ歯も必ず外してから清掃し、「入れ歯洗浄剤」などを併用すると効果的。ブリッジのお手入れには、ハブラシだけでなく歯間ブラシ等を。

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「入れ歯」と「歯が抜けているところ」の両方をキレイに!

「入れ歯」を使用している人が、むし歯や歯周病を予防するためには、入れ歯と「歯が抜けているところ」の両方をお手入れすることが大切です。今回は、入れ歯の特徴や注意点から、お手入れ方法までご紹介します。

歯が抜けたら「入れ歯」を!

歯が抜けたままにしておくと、抜けた分だけ噛む力が低下するばかりでなく、抜けた歯のまわりの歯が移動して上下の噛みあわせが悪くなり、どんどん噛む力が弱まってしまいます。歯を抜いた、あるいは抜けた場合は、必ず「入れ歯」や「ブリッジ」などを入れるようにしましょう。

「入れ歯の材料」はおもにプラスチック

失った歯の機能(咀嚼・発音)を回復させるために、歯の欠損状態によって総入れ歯や部分入れ歯を使用します。多くの場合、「入れ歯の材料」にはプラスチックが用いられています。

部分入れ歯

総入れ歯

入れ歯の「注意点」

なくてはならない入れ歯ですが、使用する時はその性質もしっかりおさえておきたいもの。以下のポイントをチェックしましょう。

1. 汚れや細菌が付きやすい

プラスチック製の入れ歯は吸水性があるため、汚れや細菌が付着しやすくなります。

2. ニオイも吸着されやすい

ニオイなども吸着されやすく、清掃を怠ると口臭発生の原因になることもあります。

3. 隙間に細菌が繁殖しやすい

装着中は、粘膜と入れ歯との隙間に細菌が繁殖しやすくなります。

4. 傷がつきやすい

プラスチックは傷がつきやすく、間違ったお手入れ方法で入れ歯の表面に傷をつけると、さらに細菌が付着しやすくなります。

5. 口の粘膜が傷つきやすい

噛むことで入れ歯が微妙に動いて、やわらかい粘膜面がこすられるため、粘膜が刺激されて傷つきやすくなります。

入れ歯の「清掃が不十分な時」に起こること

入れ歯のお手入れが十分でないと、お口の健康状態が悪化することも。未然に防ぎましょう。

1. 口内炎

義歯性口内炎の原因になります。

2. 口臭

口臭の原因になります。

3. 色素沈着や歯石沈着

入れ歯に色素沈着や歯石沈着が起こります。

4. むし歯や歯周病

部分入れ歯の場合、維持装置(クラスプなど)のかかっている歯や残っている歯が、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。

入れ歯の清掃は「優しくていねい」に!

部分入れ歯も総入れ歯も、必ず外してから清掃します。毎食後のお手入れに加え、11回は入れ歯洗浄剤を使用してお手入れしましょう。

1.毎食後のお手入れ

食後は小さな入れ歯でも必ず外し、流水下で清掃しましょう。落として破損したり、排水口に流さないよう、水を張った洗面器の上などで清掃します。ゴシゴシと力を入れすぎないように注意しましょう。汚れが残りやすい維持装置は、変形させないよう注意しながらていねいに清掃しましょう。

2.就寝前のお手入れ

毎食後のお手入れに加えて、就寝前は入れ歯洗浄剤を使ってお手入れしましょう。洗浄剤を使用すると、ブラシだけでは落としきれない汚れのほか、カンジダ菌などの真菌や細菌を除去できます。11回は入れ歯洗浄剤を使いましょう。

STEP1:ブラシで清掃する

ブラシを使って入れ歯を水で洗い流します。

STEP2:水、もしくは、ぬるま湯に入れる

外した入れ歯は、「入れ歯洗浄剤」を溶かした水もしくは、ぬるま湯に入れます。

STEP3:仕上げ洗いをする

よく浸した後、ブラシを使って軽い力で仕上げ洗いをします。なお、落として破損させないよう、水を張った洗面器などの上で洗うようにしましょう。

もしかしたら間違っているかも? 知りたい!正しい入れ歯の洗い方

Q:部分入れ歯のお手入れは、装着したままハブラシでみがいても良いですか?
A:装着したままはNG!小さな部分入れ歯でも必ず外しましょう。

部分入れ歯をつけたままだと、ばねの下など掃除しにくい部分の汚れが残ってしまう場合があります。また、部分入れ歯と接している自分の歯のケアができません。

Q:ハミガキで入れ歯をみがいてもいいですか?
A:専用の入れ歯洗浄剤を使いましょう。

入れ歯をしたままハミガキで入れ歯をみがいてしまう人がいますが、清掃剤(研磨剤)を含んだハミガキで入れ歯をみがくのは避けて下さい。入れ歯に傷をつけてしまうことがあります。

Q:洗浄剤に長く漬けると、汚れがよく取れますか?
A:“長く漬ける=汚れ落ちがいい”とは限りません

製品の使用方法を守りましょう。また、使用済みの洗浄剤は繰り返し使わないでください。

Q:熱湯で洗うと消毒効果が高まりますか?
A:変形することがあるので避けましょう

入れ歯の多くはレジンというプラスチックでできています。変形の原因になるため熱湯で洗うのは避けてください。

入れ歯の「保管」方法

入れ歯は熱や乾燥に弱く、そのままにしておくと変形や変色、ひび割れの原因になるので、水を入れた容器に入れて「保管」しましょう。

入れ歯を外したあとの「歯と口のお手入れ」もお忘れなく!

自分の入れ歯をきちんと掃除をしている人でも、つい忘れがちなのが「入れ歯を外したあと」の歯と口のケア。毎日使う入れ歯と同様、自分の歯と口のケアも大切です。

総入れ歯の場合でも、お口のお手入れは大切

総入れ歯を使用していると、いわゆる「歯ごたえ」という食物への感触が低下してしまうため、口の中に食べかすが残りやすくなります。時には驚くほど大きな食べ物の塊が残っていても、本人は気付かないこともあるようです※1 。口の中を清潔にするためにも、入れ歯そのものの清掃はもちろん、お口の中のお手入れも大切です。

1 口腔ケアQ&A 施設口腔保険協会/日本口腔疾患研究所監修 中央法規出版 2006

POINT

POINT 「総入れ歯を外したあと」の歯と口のケアのポイント

頬の筋肉を強く動かしながら口をすすぐ

総入れ歯の方のお口のケアの第一は、「口すすぎ」です。ただし、23回クチュクチュと軽くすすぐだけでは不十分。頬の筋肉を使って、右、左と強く動かすのがおすすめです。

入れ歯で覆われている上あごの粘膜や歯ぐきなどをブラッシングする

普段、入れ歯で覆われている上あご(口蓋部分)や歯ぐき、頬の内側の粘膜は、細菌などが繁殖しやすい場所です。口をすすぐことに加え、「やわらかめのハブラシ」や「粘膜ケア用ブラシ」などで、やさしくブラッシングすることが大切。歯ぐきはマッサージするように清掃し、舌苔(ぜったい)が付いている場合は舌も掃除しましょう。

<やさしくブラッシングする部分>

入れ歯安定剤を使用している方は、口の中に残ってしまった入れ歯安定剤もキレイに取り除いてください。

「部分入れ歯」の場合は残っている歯の健康を第一に考える

「部分入れ歯」は、残っている歯の健康を保つことを第一に考えて、お手入れしましょう。残っている歯がむし歯や歯周病になると、噛む機能を果たせなくなったり、ついには歯を失うことにもなってしまいます。部分入れ歯を使用している人は、孤立している歯や、部分入れ歯のところに汚れがたまりやすかったりするので、歯みがきも注意や工夫が必要です。

POINT

POINT 「部分入れ歯を外したあと」の歯と口のケアのポイント

「入れ歯の金具(クラスプ)がかかっていた部分」はていねいにみがく

「入れ歯の金具がかかっていた歯」や「まわりの歯ぐき」は、特に汚れがたまりやすく、むし歯や歯周病になりやすい部分です。ヘッドの小さなハブラシや、タフトブラシなどを使って、ていねいにみがきましょう。

「孤立した歯」は毛先がきちんと当たるように工夫する

「孤立した歯」は、歯のすべての面にハブラシの毛先がきちんと当たるよう、角度を工夫しながらていねいにみがきましょう。また、ヘッドの大きなやわらかめのハブラシや、粘膜ケア用ブラシなどで包み込むように清掃するのも良いでしょう。

<孤立した歯のみがき方の工夫>

入れ歯が合わなくなったら「歯科医院」に相談

口の中は常に変化しています。ピッタリ合った入れ歯も、長い間使用すると口の中との調和がとれなくなることがあります。手入れをするのはもちろんですが、下記のような症状が出た場合には、ガマンしたり自分で調節したりせず、「歯科医院」に相談しましょう。

1. 歯ぐき部分にあたって痛い
2. 付けにくい、外しにくい
3. 会話がしづらい
4. グラついて安定しない
5. 壊れてしまった、ヒビが入った
6. 食事がしづらい

「ブリッジ」で気を付けたいこと

「ブリッジ」とは、失った歯の両隣を支えとした歯のことです。支えになっている歯やポンティック(歯のない所にある人工の歯)の下の清掃が不十分だと、歯ぐきの炎症やむし歯の原因になります。

ブリッジの「お手入れ法」

ポンティック(歯のない所にある人工の歯)の下にたまった食べかすは、ハブラシだけでは十分に清掃できません。歯間清掃用具(歯間ブラシ等)を使ってお手入れしましょう。

TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!

「デンチャープラーク」って何?

「入れ歯についた歯垢」のこと

入れ歯のことを「デンチャー」といいます。入れ歯もきちんとお手入れをしないと、歯と同じように歯垢(プラーク)が付着します。「入れ歯についた歯垢(プラーク)」を「デンチャープラーク」といいます。デンチャープラークもプラーク同様、細菌のかたまりです。日頃のケアが大切ですね。

この記事を作成・監修した
マイスター

平野 正徳

オーラルケアマイスター

平野 正徳

ひらの まさのり

オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。

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