オーラルケアに新習慣をプラス!舌みがきでお口の中を清潔に
コロナ禍での生活は、マスク生活や行動制限等のストレスなどにより、舌苔(ぜったい)が付きやすくなると言われています。舌苔とは舌につく白い苔のようなもので、実は細菌のかたまり。歯はもちろん舌も毎日ケアをして、お口を清潔に保つことが大切です。舌みがきの方法を知って、今日から早速始めましょう!
舌みがきをしている人ってどれくらい?
オーラルケアと聞くと、真っ先に頭に浮かぶのは歯みがきですね。ライオンの調査では、毎日歯をみがく人は96.4%。ほとんどの人が毎日歯をみがいています。その一方で、オーラルケアの1つである舌みがきはというと、「毎日行う」と回答した人は29.9%。およそ3人に1人にすぎません。そもそも「舌みがきを行っていない」と答えた人は48.3%、「舌みがきを行うのは月に1回未満」と答えた人は8.3%と、半数以上の人は舌をキレイにするという習慣を持っていませんでした※1。
- 1 ライオン調べ、19-79才男女、n=2084、2021年
ところで、舌みがきは何のために行うのでしょう。舌を見ると、うっすら白いものがついている場合があります。これを舌苔(ぜったい)といいます。舌みがきはこの舌苔を取るためにおこないます。舌苔を取ることの大切さは後述しますが、まずはこの舌苔について説明します
「舌苔」は細菌のかたまり
舌苔は、細菌や食べかす、はがれた粘膜などが舌の表面に付着してできた、白いコケ状のかたまり。舌の表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起がたくさんあり、この隙間の中に食べかすや口の中ではがれた粘膜がたまり、細菌のすみ家になっています。舌苔は見た目が気になるだけでなく口臭の原因にもなります。
また、舌苔のつき方は人によって様々です。舌の一部だけにつく人、舌全体に広がってつく人、奥の方だけに厚くつく人など、舌苔の付着する範囲や量は人によって異なります。ちなみに、同じ人でもその時の体調などによって、舌苔が多くつく時と、あまりつかない時があるようです。
コロナ禍での生活は舌苔がつきやすい!?
唾液には汚れを洗い流したり、細菌の増殖を防ぐ役割があります。そのため、舌苔は唾液が減少すると付着しやすくなります。また、口が乾燥することによって汚れが停滞しやすくなります。
コロナ禍での生活は、実は舌苔がつきやすいと言われていますが、その理由を紹介します。
1 マスク着用に伴う口呼吸によるお口の乾燥
マスクをしていると鼻呼吸がしづらく、無意識のうちに口呼吸をすることが増えてしまいます。口呼吸をすると口の中が乾燥し、舌苔がつきやすくなります。
2 ストレスによる唾液の減少
外出の自粛や慣れないリモートワークなど、コロナ禍での生活はどうしてもガマンを強いられる場面の多いもの。ストレスは副交感神経の働きを鈍らせ、唾液の分泌も減少させてしまいます。その結果、舌苔がつきやすくなります。
3 おしゃべりをする機会の減少
人と話す機会が減ると、口を動かすことも減ってしまいます。その結果、唾液の分泌が減少することも、舌苔がつきやすくなる原因の1つです。
舌みがきの方法は?
お口を清潔に保つためには、毎日のオーラルケアに「舌みがき」も加えてみてはいかがでしょう。舌みがきの方法を知って、今日から早速始めましょう!
舌苔の取り方 7つのポイント
1.舌みがきは1日1回が目安
1日に何度も舌をこすると舌の粘膜を傷つけてしまうこともあるので、舌みがきは1日1回を目安に行ってください。
2. 舌ブラシやハブラシを使う
舌みがきに使うブラシは、専用の舌ブラシがおすすめ!普段、歯みがきで使っているハブラシでもOKです。舌専用のクリーニングジェルを合わせて使うと良いでしょう。
3. 鏡を見ながら行う
舌苔がついている部分にブラシがきちんと当たるよう、舌みがきは鏡を見ながら行いましょう。舌苔のついていないところは掃除をする必要はありません。
4. ブラシは「奥から手前」に動かす
ブラシは、舌の「奥から手前」に動かします。ブラシを手前から奥に動かしたり、前後に往復させたりするのはやめましょう。舌苔中の細菌をのどの奥へと送り込んでしまう危険があります。
5. 強い力でみがかない
舌はとてもデリケートな組織です。舌の粘膜や味を感じる味蕾(みらい)を傷つけないよう、軽い力で行いましょう。
6. 舌は思いっきり前に出す
ブラシなどを口の奥に入れると「おえっ」となることがあります。これは、「嘔吐反射(おうとはんしゃ)」と言われる体の反応。この嘔吐反射を防ぐには、舌を思いっきり前に出すのがコツです。
7. 無理にキレイにしない
これまであまり舌みがきをする習慣がなかった場合は、舌苔が厚くたまっていて、1回の掃除では舌苔がなかなか落ちないこともあります。毎日掃除をすることでだんだん落ちやすくなっていきます。舌を傷つけないためにも、無理は禁物です。
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舌ってどんな働きをしているの?
味を感じたり、咀嚼・嚥下を助けたり、さまざまな役割をしています
舌は、よくよく見ると不思議な器官。その構造や働きを改めて見ていきましょう。
舌の表面には「舌乳頭」と呼ばれる小さな突起が多数存在します。私たちが食べ物を食べて味を感じるのは、舌乳頭にある味蕾が味を感知するセンサーとなっているからです。
また、舌は大きく内舌筋と外舌筋という2つの筋肉に分けられます。内舌筋は舌の形を変える筋肉、外舌筋は舌を前後左右に動かす筋肉です。舌の内部に骨はないので、この2つの筋肉によって舌は上下左右に自由に動くことができます。
そのため舌は味を感じるだけでなく、食べ物を左右に移動させて咀嚼を助ける、食べ物と唾液を混ぜ合わせて飲み込みやすくする、いろいろな音を発音できるように助けるなど、さまざまな働きを担っています。
- 参考資料:川口陽子監修『息さわやかの科学』明治書院、2009年
全国医学部付属病院歯科口腔外科科長会議監修
『口の中がわかる ビジュアル 歯科口腔外科読本』クインテッセンス出版、2017年
番外編1 お口の清潔と「感染」の関係って?
お口の健康は、実は「全身の健康にも関係がある」と耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。お口の清潔と「感染」の関係について、神奈川歯科大学副学長の槻木恵一先生に伺いました。
感染の入り口である口腔内は、多くの細菌・ウイルスが存在しています。感染経路の一つである口腔内を清潔に保つことは、感染を予防するためにも重要な衛生行動です。唾液に含まれる抗体(IgA)は細菌やウイルスを捕まえて排除する働きがありますが、口の中が汚いと、新たに外からやってきた細菌やウイルスを捕まえきれなくなってしまいます。しかし、口の中の汚れを減らし、抗体を働きやすくすると、口腔の免疫が十分に機能します。すなわち、歯みがきや舌みがきで口の中をきれいにすることで、口腔の免疫が働きやすくなるということです。
詳しくは、以下のリリースのトピックス部分をご覧ください。
番外編2 知っている人は舌みがきをやっている!
ライオンの調査では毎日舌みがきをする人は29.9%とおよそ3人に1人にすぎませんでした。しかしながら調査の中で、「約半数の人が舌みがきをしていると答えたグループ」がありました。それは、「舌みがきをすることにより、コロナウイルスの感染や重症化のリスクを減らせる可能性があること」を知っていますかという質問注1) に「知っている」と答えた人たち。このグループの人たちは全体の14.2%と少数ではあったものの、そのうち44.9%の人は、毎日、舌みがきを行っていたのです注2)。
- 注1) 質問文参照先:(公社)日本歯科医師会、歯科医療に関する生活者調査、2020年
- 注2) ライオン調べ、19-79才男女、n=2084、2021年
この調査から、舌みがきの大切さを知っている人には、毎日の舌みがきを習慣にしている人が多いという現状が見えてきました。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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