「最近、口が臭いかも...」加齢で変化する口臭に注意!3つの対策

「最近、口が臭いかも...」加齢で変化する口臭に注意!3つの対策

加齢により口臭のニオイや強さが変わったかも?と感じることはありませんか。中高年になると若い頃と異なる菌が増加して、口臭が変化する可能性があります。口臭の予防には、殺菌作用のあるハミガキやデンタルリンスを使う、舌ケアを行うなどの対策をすると良いでしょう。

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年を重ねると口臭が変わる?

「年齢とともに口臭が強くなった気がする」「中高年になって口臭のニオイが変わってきた」と思うことはありませんか?
実は、年をとると、口臭が以前と違うニオイになったり、強くなったりすることがあります。その理由は、歯周病などの場合もありますが、ライオンと東京医科歯科大学の共同研究で、年齢とともに口内に、ある種の菌が増えることも関連があると考えられました。
そこで、加齢により口臭が変化する理由や、口臭を防ぐための対策をご紹介します。

そもそも「口臭」って何?

「口臭」とは、口から出る「不快に感じるニオイ」のこと。
口臭の多くは、口の中の菌が食べかすや剥がれた粘膜などのたんぱく質を分解する時に、ガス(ニオイ物質)を発生することで起こります。

主なニオイ物質は、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」などの揮発性硫黄化合物(VSCで、それぞれ特有のニオイがあります。これらのガスが混ざり合って、口臭=不快なニオイになります。

そもそも「口臭」って何?

朝起きた直後や空腹時などは、年齢に関わらず誰でも口臭が発生しやすくなります。なぜなら、唾液の分泌が減って口の中の菌が増殖し、ニオイ物質がたくさん作られるためです。

加齢により違う種類のニオイ物質が増える

幅広い年代で口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)とは別に、年齢を重ねると違う種類のニオイ物質が増加することがライオンと東京医科歯科大学の共同研究により、認められました。

東京医科歯科大学の口臭外来の患者2082歳、男女91名の口腔内の空気や唾液を調べたところ※1、年齢とともに脂肪酸の仲間である「イソ吉草酸」や「酪酸」というニオイ物質が増える傾向にあることがわかりました。
「イソ吉草酸」や「酪酸」のニオイは、足の裏やむれた靴下のニオイ、汗臭いニオイなど、酸っぱめな悪臭にたとえられます。

加齢により違う種類のニオイ物質が増える

それに対して、揮発性硫黄化合物(VSC)の1つであるメチルメルカプタンは、加齢により増える傾向は認められませんでした。

以上のことから、加齢により口臭の強さやニオイが変化する場合は、VSCとは別に「イソ吉草酸」「酪酸」など別のニオイ物質が発生することも一因となる可能性があります。

  • 1 ライオン調べ(数野ら、口腔衛生会誌、2009年)
加齢により違う種類のニオイ物質が増える

加齢により歯周病に関与する菌が増加。口臭にも影響が!

では、なぜ年を重ねると「イソ吉草酸」「酪酸」など、別のニオイ物質が増えるのでしょうか。

共同研究の結果から、加齢とともに「イソ吉草酸」や「酪酸」などの脂肪酸類を発生させる菌が増えるから、という理由が考えられます。具体的には、Pgと呼ばれるポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)やプレボテラPrevotella属の菌などです。

これらの菌は、脂肪酸類だけでなく揮発性硫黄化合物(VSC)も発生させるので、菌が増えることで口臭がより強まったり、ニオイの質も変わってくる可能性が考えられます。

また、Pg菌やプレボテラ属の菌は、歯周病に関連する菌として知られています。特にPg菌は、重度の歯周病との関連性があり、病原性の最も高い3菌種のうちの1つです。
これらの菌がいれば即、歯周病ということではありませんが、年を重ねて口臭が変わってきたという場合は、口の中で歯周病と関わりのある菌が増えてきた可能性もあるので要注意。歯科医院で健診を受けましょう。

加齢で変化する口臭に注意!口臭を防ぐセルフケア

加齢で変化する口臭に注意!口臭を防ぐセルフケア

口臭にも歯周病にも関与するPg菌やプレボテラ属の菌などは酸素を嫌う菌(嫌気性細菌)なので、酸素が届きにくい歯と歯ぐきの隙間「歯周ポケット」は格好の住処。
40代半ば以降は、歯周病で歯を失う人の割合が高くなり※2、歯周病が気になる世代です。
年齢を重ねて変化する口臭を防ぐためにも、歯周ケアをするためにも、嫌気性細菌の住処である歯周ポケットの中の歯垢(プラーク)、つまり歯周病プラークがたまらないよう、しっかりケアすることが大切です。

  • 2 公益財団法人8020推進財団、永久歯の抜歯原因調査、2018年
歯周病プラークがたまらないよう、しっかりケアすることが大切です。

POINT

口臭を防ぐ3つのケア

1.浸透殺菌成分IPMPの入ったハミガキやデンタルリンス(液体ハミガキ)を使う

歯周病プラークはかたまりとなっていて、内部の菌に殺菌剤などの薬剤が届きにくい状態です。そのため、菌にとっては身を守るための強力なバリアにもなっています。

ハミガキやデンタルリンスには殺菌剤が配合された製品がありますが、通常の殺菌剤ではプラークの表面にしか作用しません。内部にいる菌を殺菌して口臭を防ぐには、プラークに浸透して殺菌する薬用成分IPMP(イソプロピルメチルフェノール)が配合されたハミガキやデンタルリンス(液体ハミガキ)がおすすめです。

2.「歯と歯ぐきの境目」を重点的にブラッシングする

歯周ポケットをキレイにするには、「歯と歯ぐきの境目を意識してみがくこと」がポイントです。ハブラシの毛先を、歯と歯ぐきの境目に45の角度で当て、軽い力で小刻みに動かしてみがきましょう。

3.1日1回の「舌ケア」で、舌を清掃する

舌の表面にたまった舌苔(ぜったい)は口臭の原因となるため、舌を清掃してケアすることで口臭を予防する効果があると言われています※3

  • 3 米満ら、新予防歯科学 第4版、医歯薬出版株式会社、2010年

舌はとてもデリケートなので、軽い力で傷つけないようにケアするのがポイントです。ハブラシでもケアできますが、専用の舌ブラシはやさしく清掃できておすすめです。

舌ブラシやハブラシを舌苔が付着している部分に軽く当て、奥から手前に向かってゆっくり引いて清掃します。この時、「おえっ」とならないように、舌を思い切り前に出すのがコツです。鏡を見て、舌苔を確認しながら行うのも良い方法です。舌ケアは、1日1回を目安に行うと良いでしょう。

口臭は毎日のセルフケアで予防することができます。無理なくできるケアを取り入れて、年を重ねてもさわやかな息をキープしたいですね。

この記事を作成・監修した
マイスター

深澤 哲

オーラルケアマイスター

深澤 哲

ふかさわ てつ

オーラルケアの技術開発ならびに製品開発に約25年間携わってきました。
これまでの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。

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