「歯周ポケット」とは?歯と歯ぐきの間もハブラシでしっかりケアしよう

「歯周ポケット」とは?歯と歯ぐきの間もハブラシでしっかりケアしよう

「歯周ポケット」とは、「歯と歯ぐきの境目にできたすき間」のこと。深さが、歯ぐきの状態や歯周病の進行度合いの目安にもなります。歯周ポケットが深くなる主な原因は、その内部や周辺の「歯垢」。ハブラシの当て方や力のかけ方を見直して歯垢を除去しましょう。デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間のケアも忘れずに。

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「歯周ポケット」は、歯ぐきの健康を知るワード

「歯周ポケット」という言葉をご存知ですか? ハミガキのテレビCMなどで広く知られるようになりましたが、具体的にどんな状態を指すのかまではあまりよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。

「歯周ポケット」は、実は歯周病に関する重要なキーワードのひとつ。その深さによって、歯ぐきの状態や歯周病の進行度合いを知るひとつの目安になるとともに、病原菌の住処にもなっているのです。

今回は、「歯周ポケットとは何か?」という基本情報から、それによって起こるお口のトラブル、予防法まで、「歯周ポケット」をきちんと理解するための情報をわかりやすくお伝えします。

「歯周ポケット」は「歯と歯ぐきの境目にあるすき間」

歯と歯ぐきはくっついて(付着して)いて、歯のつけ根部分と歯ぐきの境目には、わずかなすき間があります。

歯ぐきに炎症が起きて症状が悪化すると、歯と歯ぐきの付着しているべき部位が離れていき、すき間(歯周ポケット)が深くなります。

歯ぐきの炎症から歯周病は始まる

歯ぐきに炎症が起きている状態を大きく二つに分けると、炎症が歯ぐきだけにある状態と、さらに炎症が深部にまで進行して歯を支える骨を含む歯ぐきの周りの組織(歯周組織)にまで及んでしまう状態があります。これらを総称して「歯周病」と呼び、歯ぐきだけの炎症を「歯肉炎」、周囲の歯周組織にまで及んだものを「歯周炎」と呼びます。

「歯周ポケット」が深くなる原因は、歯と歯ぐきの境目の「歯垢」

歯周ポケットが深くなる主な原因は、歯と歯ぐきの境目やすき間部分に付着した歯垢」(プラーク)です。

ここに歯垢がたまると、その中にいる歯周病菌の毒素などによって、歯ぐきに炎症、つまり歯肉炎が生じます。炎症により歯ぐきが腫れたり、歯ぐきと歯の付着が離れたりしてすき間であるポケットが深くなってきます。歯肉炎の段階なら、歯科医師の指導や処置なども受けながらきちんとケアして歯垢を取り除けば、炎症は治まります。

歯ぐきの周囲の組織にまで炎症が進行した「歯周炎」の状態では、歯周ポケットがさらに深くなります。

歯周病菌の温床になる「歯周ポケットの中の歯垢」に要注意

歯周ポケットが深くなると、その中にも歯垢がたまっていきます。
歯周ポケットの中は、奥に行くほど酸素が届かなくなるため、歯垢の中には酸素を嫌う菌(嫌気性菌)が多く存在するようになります。

「レッドコンプレックス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。レッドコンプレックスとは、歯周病に強く関連しているといわれる3種類の菌群(Porphyromonas gingivalis, Tannerella forsythia, Treponema denticola)の総称で、嫌気性菌の仲間。歯周病を引き起こすもっとも危険な菌種群であるとされています。

歯周ポケットの中にたまった歯垢は、レッドコンプレックスをはじめとする嫌気性菌にとっては、いわば格好の住処。そのままにしておくと、歯周病の悪化にもつながります。
口の中に悪い菌をはびこらせないためにも、歯周ポケット内のプラークコントロールはとても重要なのです。

「歯周ポケット」のケアは、歯垢を落とすことから

歯周ポケットの中の歯垢は元々あるわけでなく、できるきっかけは、歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢。

まずは、毎日こまめに歯と歯ぐきの境目についた歯垢をしっかり落とすことが肝心です。

入念なブラッシングに歯間のケアもプラスして歯垢を除去!

歯垢がたまりやすい歯と歯ぐきの境目は、特に磨きにくいので、入念にブラッシングしましょう。

下の図のように、歯と歯ぐきの境目に、45度の角度でハブラシの毛先を軽くあてて小刻みに動かします。力をかけ過ぎると歯ぐきを傷めてしまうので気をつけましょう。

歯垢がたまりやすく、落としにくい歯と歯の間は、 デンタルフロスや歯間ブラシを使って清掃するのもおすすめです。より効果的に歯垢を除去できます。

セルフケアには、超極細毛のハブラシがおすすめ

自宅でのセルフケアとして、歯周ポケットの汚れが気になる方は、先端が細く加工された「超極細毛のハブラシ」でみがくのがおすすめです。

歯周ポケットは狭くて深いため、通常の毛のハブラシでは、毛先が奥まで届きにくいですが、超極細毛のハブラシは先端が極細の形状をしていますので、歯周ポケットに毛先が無理なく届き、歯周病の原因となる歯垢ごと汚れをかき出します。

また、「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」など歯周病菌の塊である歯垢の強固なバリアに入り込んで内部までを浸透殺菌する成分が入ったハミガキやデンタルリンスを合わせて使用することもおすすめします。

深い歯周ポケットができる前に、歯科医院でのプロフェッショナルケアを

歯周ポケットが深くなる前に、日常のセルフケアとともに、歯科医院での検診やプロフェッショナルケアを受けましょう。

歯科医院では「歯のクリーニング」も行っています。歯垢が石灰化して固着した歯石を専用器具で除去する「スケーリング」や、日常ケアで取りきれない歯垢の除去などをしてくれます。

歯周ポケットが深くなってしまった場合は、ケアだけでなく治療が必要になる場合もあります。かかりつけの歯科医院をつくって、定期的に検診やケアを受けることをおすすめします。

いかがでしょうか。歯周ポケットについての理解は深まったでしょうか。
歯周ポケットは浅いうちに対処することが大切です。ご紹介したケア方法で、自分の歯をしっかり守っていきましょう。

この記事を作成・監修した
マイスター

深澤 哲

オーラルケアマイスター

深澤 哲

ふかさわ てつ

オーラルケアの技術開発ならびに製品開発に約25年間携わってきました。
これまでの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。

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