生理前の腹痛やイライラ感などのつらいPMS(月経前症候群)。対処法は?
PMSは生理が始まる3~10日前頃から起こるからだや心の不快な症状。症状は様々ですが、最も重い症状は、腹痛、イライラ感、頭痛。基礎体温をつけて生理周期を把握するとPMSの時期を予測できます。痛みがある場合は早いタイミングで鎮痛薬を服用すると効果的。また、時間や手間を上手に省く時短家事もご紹介します。
「PMS(月経前症候群)」とは
「PMS(ピー・エム・エス)」とは、生理(医学用語では「月経」)が始まる3~10日前頃から起こる、からだや心の不快な症状を指します。これらの不調は、生理の始まりとともに治まるので、「月経前症候群」とも「月経前緊張症」とも呼ばれます。
具体的な症状としては、頭痛・頭重、腹痛、腰痛、むくみ、乳房の張りと痛み、吐き気、便秘、下痢などの身体的症状や、イライラや焦燥感、憂うつ、怒りっぽくなるなどの精神的症状など様々。仕事や勉強が捗らなかったり、理由なくイライラして人にあたり対人関係の悪化を招いたり、日常生活に影響が生じることもあります。また、人によって症状や程度が違うため、周囲に理解されにくかったり、女性同士でも共感してもらえず、つらく感じる人もいるでしょう。
PMSの原因については、はっきりとはわかっていませんがホルモンの変化と関係していると考えられています。
ちなみに、「生理痛」とは、生理が始まる直前から生理中に起こる痛みの総称です。生理時の不調には、腹痛、腰痛、頭痛などの生理痛のほか、便秘、下痢、むくみ、眠気、めまい、吐き気などの身体的症状や、気分の落ち込み、イライラ、無気力などの精神的症状が見られます。
女性の半数以上がPMSの経験あり。特に多いのは「腹痛」や「イライラ感」
今回ライオンでは、20~50代女性9,030人にPMSについての実態調査を実施しました。PMSに悩んでいる人は、自分の症状と照らし合わせて読んでみてください。
まず、PMSの経験状況を質問したところ、「現在、症状がある」と回答した人が約4割。過去に症状があった人は約15%で、PMSの経験者は全体の半数以上に上ることがわかりました。また、日常生活に支障があるレベルの症状の人は、PMS経験者の中の約半数でした。
- ※1 ライオン調べ、20~50代女性 n=9,030、2018年
- グラフ項目の「現在」とは1年以内、「過去」とは1年より前をあらわす
「最近1年間にどんなPMSの症状を経験しましたか?」という質問では、以下の症状が多くあげられました。
●最近1年間に経験したPMSの症状※2
1位 腹痛 57.2%
2位 イライラ感 53.5%
3位 腰痛 43.3%
4位 眠くなる 41.0%
5位 頭痛 40.8%
- ※2 ライオン調べ、PMSの症状経験者20~50代女性 n=4,804、2018年
そのほか、「肌トラブル(ニキビや肌荒れなど)」「気分の落ち込み」「食欲が増したり、特定の食べ物を食べたくなる」という症状を経験した人も3割を超えました。
また、上記の中で「最も重い症状」を聞いたところ、「腹痛」「イライラ感」「頭痛」が3大症状でした。
PMSの症状が出るとどんな影響が?みんなの声トップ3
PMSの症状が出た時、心身にはどのような影響があるのでしょうか。
●PMSの症状が出た時の心身への影響 トップ3※3
1位 ストレスを感じやすくなる 89.5%
2位 疲れやすくなる・だるくなる 88.0%
3位 何もしたくなくなる 81.0%
- ※3 ライオン調べ、PMSの症状経験者20~50代女性 n=250、2018年
このほか、「気持ちの上がり・下がりが激しくなる」「動きが鈍くなる」「普段なら気にならない小さなことがとても気になる」という声も目立ちました。
そんな心身への影響を少しでもやわらげるための対処法をご紹介します。
PMSの時の対処法~「からだ」編~
PMSの症状に悩まされている場合は、適切な対処法で不調な時期を少しでもラクに過ごしましょう。
1.自分のからだを知ろう
女性のからだは「生理周期」というサイクルで日々変化しています。そこで、基礎体温をつけて、自分の生理周期を把握しましょう。これを行うことでPMSの症状が出る時期をある程度予測できますから、家事などを先回りして進めておけて、PMSのつらい症状が出た時には、家事をお休みしてゆったり過ごせるかもしれませんよ。
2.婦人科を受診しよう
腹痛やイライラなど、生理の3~10日前頃になると毎月のように感じる症状ならば、PMSの可能性があります。PMSの症状は生理が始まると同時に治まるのが一般的ですが、症状がひどくて日常生活に支障をきたすような場合は、婦人科で相談することをおすすめします。低用量ピルなどの服用により症状が改善する場合もあります。
3.つらい時は我慢せず、鎮痛薬を飲もう
腹痛や頭痛などの痛みがある時は「鎮痛薬」を服用するのも対処法の1つです。鎮痛薬には、痛みの原因となる物質の生成をおさえる作用があるので、「痛みを少し感じた」という早いタイミングで服用すると効果的です。でも、実は鎮痛薬を飲むことを我慢してしまう人も多いもの(こちらを参考)。我慢している人の多くは、「薬への耐性」や「からだへの負担」を心配しているようです。
鎮痛薬のからだへの負担で代表的なものは、「胃への負担」と「眠気」。「胃への負担」が気になる人は、空腹時を避けて服用することと、胃を守る成分が入っている薬を選ぶことがおすすめです。「眠気」が気になる人は、眠くなる成分が入っていない薬を選びましょう。
また、用法・用量を守って飲めば、一般的に効かなくなるということはありません。ただし、もともと鎮痛薬が体質的に合わない、効かないという人は、医師、薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。
痛みを我慢する時間を減らして、自分らしい時間を過ごしましょう。
PMSの症状が出ると毎日の家事にも影響が出る⁉
疲れやすさや動きの鈍さなどからだへの影響に加えて、普段なら気にならない小さなことがとても気になってしまったり、気持ちの上がり下がりが激しくなるなど心への影響も大きいPMS。それが当然日常生活にも影響してくるようです。
「PMSの症状が出た時に経験したことを教えてください」という質問への回答では、以下がトップ3となりました。
●PMSの症状が出た時に経験したこと※4
1位 家事(掃除・洗濯・料理)を休んだ、しなかった 50.1%
2位 何もできず時間を無駄に過ごした 49.6%
3位 夫/彼氏へ冷たい態度・そっけない対応をとった 36.2%
さらに家事の部分のみに焦点をあてて、「通常の状態に比べてPMSの症状が出た時に家事行動はどう変わりますか?」と質問をすると、以下のような回答がありました。
●通常の状態に比べてPMSの症状が出た時の家事行動の変化※4
1位 掃除はやめる 49.7%
2位 手間があまりかからない、簡単な調理メニューになる 46.1%
3位 掃除の手順・手間を減らす 37.8%
4位 出来合いの惣菜・レトルト等を活用した調理メニューになる 32.6%
5位 最低限必要な洗濯物だけ洗濯する 31.8%
6位 掃除をする部屋の数や箇所を減らす 30.1%
- ※4 ライオン調べ、PMSの症状経験者20~50代女性 n=250、2018年
毎日やっているからこそ、体調が悪い時に時間や作業量などに影響が出てくる家事。
PMSの時に、上手につきあう方法があるといいですね。
PMSの時の対処法~「時短家事」編~
PMSの症状が出て、家事をするのがつらいという時には、無理をしないことです。
時間や手間を上手に省く「ラクラク時短家事」で乗り切りましょう。
以下に、今までLideaで取り上げた選りすぐりの時短家事テクニックをピックアップしました。料理、掃除などカテゴリー別にしていますので、いろいろなシーンでお役立てください。
料理作りのおすすめ時短テクニック
料理は、手間をかけずにクッキングペーパーや圧力バッグなどの調理グッズを上手に活用して乗り切りましょう。電子レンジを利用すると、時短でラクにおいしい料理が完成します!
食器洗いのおすすめ時短テクニック
食器洗いはなかなか省けないものですが、PMSの時にはやはりつらいもの。
でも洗い方や洗う順番をひと工夫すると、短時間でラクに食器を洗うことができます。
お掃除のおすすめ時短テクニック
体を動かすのがつらい時ほど、面倒くさくなるお掃除。そんな時には、「時間」と「洗剤」を上手に活用して、ラクラクお掃除をしてみませんか?普段から「ちょこっと掃除」をしておくと、気持ちがラクになりますね。
お洗濯のおすすめ時短テクニック
お洗濯は、PMSでつらい時でも省きにくい家事のひとつです。短時間ですんでストレスが減る方法で、できるだけ負担を軽くしましょう。
PMSには多くの人が悩んでいます
最後に、PMSに悩んでいる皆さんの症状と声をご紹介します。悩んでいるのは自分だけではないと思うと、少しだけ気持ちがラクになってきませんか?
生理痛にも悩んでいる人が多数
まずPMS同様、女性の悩みで多い「生理痛」についても質問したところ、「現在、症状を感じている」と回答した人が約5割。過去に症状があった人を含めると7割以上が生理痛を経験していました。
この結果と先のPMSの調査結果を照らし合わせてみると、PMS経験者の実に95%が生理痛経験者であるとわかりました。PMSの症状が治まっても、その後に続く生理痛も感じているということは、長期間つらい思いをしている人が多く存在しているということですね。
- ※5 ライオン調べ、20~50代女性 n=9,030、2018年
「PMSが原因で1日に1時間以上失っていると感じる」人が半数以上
症状が重い人は仕事や家事を休むほどつらいというPMS。「PMSの症状が出た時に、1日あたり何分くらいの時間を失っていると感じますか?」と聞いたところ、「1日に1時間以上」と答えた人が半数以上に上りました。
失っていると感じる時間の長さは、症状のレベルによって異なるようで、家事や仕事を休むなど日常生活に支障あるレベルでPMSの症状を感じている人の半数は、なんと「1日6時間以上」失っていると感じていました。
このようにPMSで多くの時間を失っていると感じる女性はかなり多いようです。
- ※6 ライオン調べ、 PMSの症状経験者20~50代女性 n=250、2018年
PMSの症状が出た時に減ること・低下することは?
PMSの症状が出た時は、やる気が低下し、何もしたくなくなる人が多くなるようですが、その中でも「減る・低下する」ことを聞くと、以下のような結果が得られました。
●通常の状態に比べて、PMSの症状が出ると減る・低下すること※7
1位 家事へのやる気 66.7%
2位 仕事/勉強へのやる気 51.5%
3位 家事の作業量や質 49.0%
4位 家事への集中力や思考力 47.7%
5位 夫/彼氏への思いやり 40.4%
- ※7 ライオン調べ、 PMSの症状経験者20~50代女性 n=250、2018年
5項目中3項目が「家事」に対してでした。家事への影響が出ていることが伺えます。先にご紹介した「時短家事」をぜひ試してみてください。また、夫/彼氏への思いやりも4割の人が低下すると答えています。女性特有のつらい症状ということで、周りの男性の温かい理解も大切なようです。
PMSについての対処法やみんなの声、いかがでしたか?症状でつらい期間は無理をしないのが一番。
ご紹介したPMSの対処法を取り入れて、自分の心とからだを労って過ごしてくださいね。
- 参考文献 ・家庭の医学(成美堂出版) ・女性の健康と働き方マニュアル(NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会編著)
この記事を作成・監修した
マイスター
ヘルスケアマイスター
芳賀 理佳
はが りか
くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。
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