「歯槽膿漏」と「歯周病」は同じ?違う?症状と原因をチェック!
「歯槽膿漏」と「歯周病」。どちらも漠然と「歯ぐきの病気」とは思っても、それが同じなのか違うのか、よくわからないという人も多いのでは。本来は「歯槽膿漏」とは、歯周病の中でも進行して膿が出た症状。予防するには、毎日の歯みがきで原因となる歯垢をしっかり落とすことが基本です。
歯ぐきの病気として、「歯槽膿漏(シソーノーロー)」という言葉を知っている方は多いと思います でも、歯ぐきの病気といえば「歯周病」という言葉もあります。「歯槽膿漏」と「歯周病」、この二つは同じなのか、違うのか、ご存知ですか?
知っているようで意外に知らない「歯槽膿漏」と「歯周病」の違いや、その症状、予防法について詳しくご紹介します。
「歯槽膿漏(シソーノーロー)」とは。その意味は?
歯ぐきの病気のことを何気なく「歯槽膿漏(シソーノーロー)」と呼ぶ方もいらっしゃるかもしれません。「歯槽膿漏」の漢字を分解すると下のようになります。
歯…は
槽…おけ
膿…うみ
漏…もれる
「歯槽膿漏」は漢字から想像できるように、歯を支える部分「歯槽」、つまり歯ぐきから膿が出るというのが本来の意味です。歯ぐきの病気の中の、症状のひとつです。
「歯周病」とは
歯周病とは、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)、歯ぐき、セメント質、歯根膜など、歯を支える「歯周組織」に炎症が起こる病気の総称です。炎症が歯ぐきだけにある状態を「歯肉炎」、炎症がセメント質や歯根膜、歯槽骨まで進行した状態を「歯周炎」といいます。症状が進行すると歯槽骨が溶けて、最後には歯が抜け落ちることもあります。
「歯槽膿漏」と「歯周病」の関係は?
「歯槽膿漏」は、正確には「歯ぐきから膿が出る」という、歯周病の中のひとつの症状ですが、歴史的には歯科医などの専門家も含め、歯ぐきの病気、つまり歯周病を指す言葉としても使われていました。明治時代に、海外でも「歯ぐきの病気」のことを「歯ぐきから膿が出る」と表現していたので、その言葉を和訳して「歯槽膿漏」となったのが始まりです。
しかし、歯ぐきの病気で必ずしも膿が出るわけでないことから、歯ぐきの病気全体を「歯槽膿漏」と呼ぶのは適切でないとの考えにより、現在では「歯周病」と呼ぶことが主流となっています。
一方で、「歯槽膿漏」は歯ぐきの病気を全般的に指すものとして、すでに一般に広がっている言葉でもあるため、膿が出ていない状態にも使われており、それが間違いとはされていません。
歯ぐきから膿が出る状態というのは、歯周病のなかでは軽度な段階である「歯肉炎」ではなく、ある程度進行した「歯周炎」のなかの症状であり、薬用歯みがき類の効能を示す時は、「歯周炎の予防」を「歯槽膿漏の予防」と表現する場合もあります。
歯槽膿漏、歯周病の原因
歯槽膿漏を含め歯周病の原因は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)のプラーク(歯垢)、つまり歯周病プラークです。歯周病菌を含む細菌が生息しており、普段の歯みがきが不十分だと、細菌の毒素などが歯ぐきに炎症を引き起こす原因となります。
歯周病の初期段階である「歯肉炎」をそのまま放っておくと症状が進行し、やがて、より重度の歯周病である「歯周炎」や「歯槽膿漏」になってしまいます。
歯槽膿漏、歯周病の予防法
歯槽膿漏や歯周病を予防するには、歯周ポケットにある歯周病プラークを取り除くことが大切です。予防のポイントを簡単にご説明します。
ハブラシの当て方
歯と歯ぐきの境目を意識してみがきましょう。ハブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、毛先が広がらない程度の軽い力で小刻みに(5~10mm程度)動かしてみがきます。
ハブラシの選び方
みがきにくい歯周ポケットを、隅々までみがくことのできるハブラシを選びましょう。
歯周ポケットの奥にも毛先が届き、たまった汚れを歯周病プラークごとかき出すことができる超極細毛のハブラシがおすすめです。
また、超極細毛に加えて、歯ぐきのマッサージにも適したハブラシや、毛の先端が分岐してハミガキ剤を毛先付近に保持し、周辺の超極細毛が歯と歯ぐきの境目にハミガキを届けるハブラシもあります。
なお、ハミガキは、歯周病(歯肉炎、歯周炎(歯槽膿漏))予防の効能がある製品の使用をおすすめします。
歯間清掃用具でプラスケア
歯と歯の間の歯垢も、歯間清掃用具を用いてしっかり落とすと良いでしょう。
歯と歯の隙間が狭い部分にはデンタルフロス、歯と歯の隙間が広い部分には歯間ブラシと、お口の状態に合わせて使い分けると効果的です。
「歯槽膿漏」とは何か、「歯周病」との違いがおわかりいただけたでしょうか。
「歯槽膿漏」は、セルフケアだけでは対処するのが難しい病気です。また、歯や歯ぐきだけでなく、全身に様々な影響を及ぼすと言われています。心当たりのある方は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
「歯槽膿漏」という言葉が広まったきっかけは?
ライオンのテレビCMにより一般に広まりました
「歯槽膿漏」という言葉がお茶の間にまで広がったのは、実はライオンのハミガキCMもひとつのきっかけです。
今から約60年前の1964年、ライオンは歯槽膿漏予防のハミガキとして「デンターライオン」を発売しました。歯をみがく目的に、歯ぐきの病気の予防のためという考え方はまだなく、むし歯予防や、単に口の中をきれいにするために歯をみがくと考えられていた時代といっていいでしょう。
そして「歯槽膿漏」または「シソーノーロー」という言葉を前面に用いた、「歯ぐきのハミガキ・デンターライオン」としてテレビCMや新聞、雑誌広告なども行い、当時は、子どもでも「シソーノーロー」という言葉を知っているくらいに広く浸透した言葉となりました。
CMには開始当初から長年、俳優の故・福田豊士さんが、その後、俳優の加山雄三さんや中村雅俊さんなども「デンターライオン」の後継商品を含めたCMに出演されていたので、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
深澤 哲
ふかさわ てつ
オーラルケアの技術開発ならびに製品開発に約25年間携わってきました。
これまでの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容