フッ素洗口剤でブクブクうがいするだけ!手軽にできる、むし歯予防の新習慣
きちんとみがいているのにむし歯ができてしまう方に、むし歯予防の新習慣としておすすめしたいのが「フッ素洗口」です。薬局やドラッグストアで購入できる「フッ素洗口剤」を少量口に含み、ブクブクうがいをして、吐き出すだけ!フッ素がお口の中のすみずみまで行き渡り、歯にしっかりとどまって、むし歯を予防できます。
子どもも大人も簡単!むし歯予防の新習慣「フッ素洗口」
朝晩ていねいに、すみずみまでみがいているのに、むし歯ができてしまう、子どものころからむし歯が多いなど、むし歯が気になる方におすすめなのが「フッ素洗口」という方法です。フッ素が配合された洗口剤でブクブクうがいをするだけなので、子どもでも大人でも、手軽に始められます。
そんな「フッ素」のメカニズムと、「フッ素洗口剤」の使い方のポイントなどをご紹介します。
ここでおさらい!「むし歯予防」に役立つフッ素の3つの働き
むし歯は、むし歯原因菌が出す酸によって「歯が溶ける病気」です。フッ素には、むし歯予防に役立つ3つの働きがあります。
1.歯の「再石灰化」を促進する
フッ素は、酸により歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着(再石灰化)を促進します。穴のあいたむし歯になる一歩手前の状態である「初期むし歯」を健康な状態に戻す助けとなります。
2.酸に溶けにくい、強い歯にする
歯の表面を酸に溶けにくい性質にします。特に乳歯や生えたての歯は酸に弱いので、フッ素を使った歯質強化が効果的です。
3.細菌が酸をつくり出すのを抑制する
歯みがきで落としきれなかった、歯垢の中のむし歯原因菌の働きを弱め、原因菌がつくる酸の量を抑えます(細菌の酸産生抑制)。
フッ素を使ったむし歯予防の方法
では、フッ素を使ったむし歯予防にはどんな方法があるのでしょうか? 大きくは、フッ素を体内に取り入れる「全身応用」とフッ素を歯に直接作用させる「局所応用」の2つに分けられます。
「全身応用」にはフッ素濃度を調整した水道水やフッ素を多く含む食品の摂取、フッ素配合サプリメントの服用などの方法がありますが、現在の日本では「全身応用」は普及していません。
「局所応用」には歯科医院で歯にフッ素を塗ってもらうフッ素塗布、自宅でも使用できるフッ素配合ハミガキ利用の他、歯科医師の指示に従い学校等で集団的に行ったり、歯科医院やドラッグストアなどで家庭用の製品を購入し、自宅でフッ素洗口を行う方法があります。
「フッ素配合ハミガキ」のことは知っていても、「フッ素洗口剤」についてはよく知らない、という方も多いと思います。そこで次から、「フッ素洗口」と「フッ素洗口剤」について詳しくご説明します。
自宅で手軽にできる「フッ素洗口」
「フッ素洗口」とは、フッ素が配合された洗口剤でむし歯を予防する方法です。
「フッ素洗口」は欧米では一般的ですが、日本では、幼稚園や小学校などで行う集団応用が一般的で、ご家庭にまで普及しているとは言えない状況です。日本では子どものむし歯は年々減少している一方で、25歳以上の方のむし歯罹患率は9割を超えています※1。また、年齢を重ねると、歯の根元のむし歯(根面う蝕)や、治療した歯がまたむし歯になる(二次う蝕)などのリスクもあるため、子どもから大人まですべての世代でむし歯予防は大切です。
これまで「フッ素洗口剤」は、医療用医薬品として歯科医院でしか購入できなかったので、認知度は低かったかもしれません。しかし、2015年に医療用医薬品からスイッチされて以降、現在では薬局やドラッグストア、インターネットでも買えるようになりました。手軽に自宅で「フッ素洗口」ができるようになったのです。
- 1 厚生労働省、平成28年歯科疾患実態調査
目印は「医薬品」。お店で「フッ素洗口剤」を見つけてみよう
「フッ素洗口剤」は、むし歯を防ぐ「むし歯予防薬」です。ブクブクうがいをするだけで有効成分のフッ素が口内全体に行き渡り、歯にしっかりとどまって再石灰化を促進。歯質を強化して酸に溶けにくくする働きがあります。
化粧品や医薬部外品のデンタルリンス(液体ハミガキ)、マウスウォッシュ(洗口液)とパッケージや剤形は似ていますが、これらとは異なる医薬品です。
お店で見つけるときは、パッケージのどこかに医薬品であることを示す記載があるので、それを目印にしてください。ちなみに、フッ素が配合された化粧品や医薬部外品のデンタルリンスやマウスウォッシュは、日本では発売されていません。
「フッ素洗口剤」にはこんなメリットがある!
フッ素は唾液によって少しずつ流されてしまうため、むし歯を効果的に予防するには、なるべく長い時間フッ素が口の中にとどまっていることが大切です。フッ素配合ハミガキを使って歯をみがいている方でも、「フッ素洗口剤」を使うことで、むし歯予防ができます。水ですすぐとフッ素が流れてしまうため、すすぐ必要はありません。ブクブクうがいだけで良いので、手軽にできますね。
<フッ素洗口剤のメリット>
●液体なので、フッ素が口の中のすみずみまで行き渡る
●使用後に水ですすがないので、フッ素が歯にしっかりとどまる
●ブクブクうがいするだけなので、使い方が簡単
「フッ素洗口剤」の正しい使い方をチェック
「フッ素洗口剤」は医薬品です。以下に使い方をご紹介します。製品に書かれた使い方(用法・用量)や注意事項を守って、正しくお使いください。
1日1回、食後または就寝前に洗口する
1回量を口に含み、歯面に十分行き渡るように、30秒から1分間洗口(ブクブクうがい)し、吐き出します。飲み込まないように注意しましょう。
使用量の目安
1回の使用量は6歳以上の方は7~10ml、4~5歳の方は5mlです。4歳未満の方はご使用できません。
- 注)高齢者を含め、年齢に関わらず、ブクブクうがいができない方はご使用できません。
効果的な使い方
なるべく長く、多く、フッ素を口の中に残すことがポイントです。フッ素がすぐに洗い流されてしまわないように、食後または就寝前の使用がおすすめです。特に就寝中は、唾液の分泌量が減り、フッ素がお口の中に留まりやすいため、就寝前に歯みがきをしてからの使用が効果的です。1日1回を限度にお使いください。
「フッ素洗口剤」は継続して使うのがポイント
むし歯になりにくい強い歯にするには、フッ素洗口剤を継続して使うことがポイント。1日の中でも飲食などで口内環境は変化し、歯は毎日、むし歯のリスクにさらされているからです。毎日の歯みがきにプラスして、1日1回だけ「フッ素洗口剤」でブクブクうがいをするだけなので、継続しやすいと思います。ぜひ毎日のセルフケアに取り入れてみてください。
生涯を通じて健康な歯でいるために「予防歯科」を実践しよう
生涯を通じて健康な歯でいるためには、むし歯になる前に予防する「予防歯科」の考え方が大切です。むし歯予防は毎日のていねいな歯みがきが大切です。今、むし歯がない方でも、なんとなくみがいているだけでは、実は歯垢が落とせていないこともあります。「フッ素洗口剤」は歯みがきで歯垢をきちんと落としてから使うことで、よりフッ素の効果が得られやすくなります。歯科医院で定期的な健診を受け、自分に合った歯みがき方法やフッ素ケアを指導してもらうと、むし歯を効果的に予防することができます。生涯ずっと、むし歯のない健康な歯でいられるように、子どもから大人まで予防歯科を実践しましょう!
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
「フッ素洗口」は子どものむし歯予防に効果があるの?
むし歯の本数を減らす要因の1つになっています
皆さんは、子ども(12歳児)のむし歯が一番少ない都道府県はどこかご存知でしょうか?
答えは新潟県。文部科学省の学校保健統計調査では、19年連続日本一に輝いています。
新潟県でむし歯が少ない要因の一つが「フッ素洗口」といわれています。新潟県では県内の歯科医療関係者と連携を図りながら、全国に先駆け幼稚園や小学校でのフッ素洗口を取り入れました。現在では、12歳児のむし歯の本数は0.3本と、全国平均(0.74本)の半分以下を実現(下図参照)しています。
また、新潟県の事例を見習い、今では、多くの都道府県で幼稚園や小学校での「フッ素洗口」を実施しています。調査※2によると、実施施設数は12,103施設にまで増えています。
- 2 NPO法人日本ムシ歯予防フッ素推進会議、集団応用フッ化物洗口実態調査、2016年
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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