定期的に歯科健診を受けるメリットと、スムーズな予約方法・受診頻度の目安
歯医者さんは、歯の「治療」だけではなく、歯やお口の健康を守るための「予防」も積極的に行っていること、ご存じでしたか?歯は全身の健康とも関わりが深く、歯や歯ぐきのチェックをすることは全身の健康維持にも役立ちます。定期的に歯科健診を受け、歯の健康を守りましょう。また記事後半に掲載の、歯科健診の『高校生の体験動画』もあわせてご覧ください。
一生元気でいるためにも「歯科健診」が大切!
「お口の健康は全身健康の入り口」といわれるように、生涯元気で過ごすには、歯の健康はとても大切です。
でも、日本歯科医師会の調査では、「もっと早くから歯の健診や治療に通っていればよかった」と後悔している人は、なんと約76%※1もいました。
※1 日本歯科医師会「歯科医療に関する一般生活者意識調査」、n=10,000 2018年
歯医者さんで歯の状態をチェックしてもらいたくても、「痛くもないのに受診してもいいのかな?」と遠慮してしまったり、「症状もないのに、なんと言って予約をしたらいいのかわからない」といった声を、歯科医療の現場では耳にするそうです。
でも、そんな心配は無用です!
歯医者さんは、むし歯や痛いところを治す「治療」だけではなく、お口の健康を守るために、歯や歯ぐきの健康状態のチェック、ブラッシング指導といった「予防」にも力を入れています。
そこで今回は、歯科健診のメリットやその内容、スムーズに歯科健診を受けるために覚えておくと良いことなどをご紹介します。特に異常がなくても、まずは気軽に歯医者さんへ行ってみましょう!
定期的に歯科健診を受けるメリット
歯医者さんもすすめる「歯科健診」。定期的に受けるとどんなメリットがあるのでしょうか?
毎日使う歯をプロにチェックしてもらえる
私たちの歯は、食事などで毎日大活躍しています。歯のキレイさは、その人の印象を左右することも。特に痛みがなくても、体のメンテナンスの1つとして歯医者さんで歯科健診を受けることは、歯やお口の状態をチェックするいい機会になります。
全身の健康維持にも役立つ
お口の健康は、実は全身の健康や寿命にも影響します。「歯が19本以下で義歯を使っていない人は、20本以上の歯がある人に比べて、認知症の発症リスク※2や転倒リスク※3が高まる」という研究結果が報告されています。また、「残っている歯の本数が多いほど長生き」という報告※4もあります。歯科健診を受け、必要に応じて治療やメンテナンスを行うことは、今ある歯を守ることにつながり、お口の中だけではなく体全体の健康維持にも役立つのです。
このように、定期的に歯科健診を受けることは、かけがえのない健康を守るためにとても大切だということがわかりますね。「歯医者さんに行くのはつい先延ばしにしがち」「時間をつくるのはちょっと面倒」と思っていた方も、歯科健診のメリットを知っていただけたのではないでしょうか?
※2 T. Yamamoto、et al.、Psychosomatic Medicine、2012
※3 T. Yamamoto、et al.、BMJ Open 2012、
※4 P. Holm-Pedersen、et al.、J Am Geriatr Soc、2008
歯科健診ではどんなことをしてもらえるの?
では、実際に歯科健診を受けると、歯医者さんではどんなことをしてもらえるのでしょうか?歯医者さんによって多少異なりますが、主に以下のような内容になります。
□ むし歯のチェック
むし歯は、歯の表面や根元など見えるところだけでなく、歯と歯の間など直接見えない部分にもできやすいものです。また、すでに一度つめて治療してあっても、そのわきの方に新たなむし歯ができることもあります。わかりづらいむし歯の有無も、歯医者さんがプロの目でチェックします。
□ 歯ぐきのチェック
腫れや赤みがないか、歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)の深さなど、歯ぐきの状態もチェックします。歯周ポケットが深いのは歯周病のサインです。
□ 歯垢や歯石を取る
歯みがきで取りきれなかった歯垢や、ハブラシでは落とせない歯石(歯垢が石灰化したもの)を取り除きます。
□ ブラッシング指導
歯並びやブラッシングの癖によって、最適な歯みがき方法は一人一人ちがうもの。あなたに合ったハブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどの正しい使い方を指導します。
□ 歯垢の染め出しチェック
どこに歯垢(プラーク)がつきやすいかを確認するために、歯垢の染め出しをします。
□ 歯科相談
むし歯や歯周病に限らず、あごの痛み(顎関節症)や噛み合わせの不具合など、お口に関するさまざまな相談に応じます。
□ 口内の粘膜の健康チェック
口内の粘膜の異常は、口腔がんなどの病気の可能性も。舌、唇、口角などの粘膜の状態を確認します。
歯科健診をスムーズに受けるステップ~医院探しから事前準備まで~
初めて歯科健診を受ける時は、「どのように予約すればいいの?」「事前に準備しておくことは?」など、とまどうこともありますよね。ここでは、スムーズに歯科健診を受けるためのステップをご紹介しましょう。
1.歯医者さんを見つけよう
日本歯科医師会のホームページには、地域別や診療科目別、曜日別に検索できる「全国の歯医者さん検索」サイトがあり便利です。
2.歯科健診を予約しよう
行きたい歯医者さんが見つかったら予約をしましょう。予約制の歯医者さんが多いので、予約しておけば待ち時間も短くてすみます。予約を取る時には、「歯科健診を受けたい」「歯をクリーニングしてほしい」「痛みはないけれど、歯や歯ぐきの状態をチェックしてほしい」などと伝えるとスムーズです。予約が取れたら、予約日と時間を忘れないようメモし、体調を整えておきましょう。
3.歯医者さんに行く前に準備しておこう
歯医者さんに行く前には、以下のような準備をしておくと良いでしょう。
□ 今使っているハブラシを持っていこう
使用中のハブラシを歯医者さんに見てもらうことで、ハブラシが今の自分のお口の状態にあっているか、毛先の開き具合から強い力加減でみがいていないかなど、いろいろな情報が得られます。また、ハブラシの汚れなどもチェックしてもらえます。デンタルフロスや歯間ブラシなどを使用している人はそれらも持参すると良いでしょう。
□ 保険証や医療証は必ず持って行こう
内科などにかかる時と同じく、保険証や医療証を必ず持参しましょう。以前かかった歯医者さんなら、診察券も、忘れずに持って行きましょう。
□ お薬を飲んでいる方は、その薬または薬の説明書を忘れずに
歯医者さんを受診する時は、現在服用している薬または薬の情報(説明書、お薬手帳など)を持参すると安心です。
これで歯科健診を受ける準備は万全です!
初めての歯科健診を上手に受けるポイント
いよいよ歯科健診です。健診前や健診中にこんなことを心がけると初めてでもスムーズで、歯医者さんともうまくコミュニケーションできます。
□ 歯みがきをしてから行こう!
うまくみがけているところ・みがけていないところなど、プロの目で見てくれます。ブラッシング指導にもつながるので、歯みがきをして行くのがおすすめです。歯医者さんに対するエチケットの意味もあります。
□ 口紅やリップクリームは健診前に落とそう
口紅やリップクリームは健診の邪魔になる場合があります。歯医者さんについたら事前に落としておきましょう。
□ 自分の口内や体の状態を知らせよう
健診時には、歯医者さんに自分の口内や体の状態を事前に知らせましょう。例えば以下のような事柄です。
もし、治療が必要な個所があった場合、これらによって治療方針が変わります。問診票を記入する時や、歯医者さんに「今日はどうしましたか?」と聞かれたときにもれなく伝えるといいですね。なんとなく話しにくかったり、伝える内容を忘れそうなときは、それらを書き留めたメモを作り、歯医者さんに渡すのもおすすめです。
□ わからないことは質問しましょう
健診内容やブラッシング指導などで歯医者さんの説明がわからなかったら、そのままにしないで質問してみましょう。初めての歯医者さんだと遠慮してしまうかもしれませんが、大丈夫!歯医者さんは親切に答えてくれますし、今後のオーラルケアに役立つ情報が得られるでしょう。
□ 薬などの用法用量を守ろう
薬が処方された場合には、必ず用法や用量を守って服用しましょう。
歯科健診は年に2回が目安。かかりつけの歯医者さんを見つけよう
歯やお口の健康を守るために、歯科健診は定期的に受けましょう。口内に異常がなくても「年に2回」のペースで受けるといいでしょう。リスクが高い人は、歯医者さんの判断で頻度が増えることもあります。歯科健診に1度行けば、「次はいつ来てください」と歯医者さんが言ってくれます。
定期的に歯科健診を受けることで、いつでも気軽に相談できる「かかりつけの歯医者さん」ができるのも大きな収穫です。歯が痛くなった、突然歯の詰め物が取れたなどのトラブル時も、かかりつけの先生がいれば相談しやすく心強いもの。歯医者さんも患者さんの状況をわかっているので、コミュニケーションが取りやすく対応しやすいでしょう。
いかがでしたか?受けるといいことがたくさんある歯科健診。気になる症状がある方もない方も、ぜひ受けてみてくださいね。
実際に、高校生に歯科健診を体験してもらいました。動画をご覧ください。
この記事を作成・監修した
マイスター
オーラルケアマイスター
平野 正徳
ひらの まさのり
オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。
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