歯の名称と役割・構造を知り、正しくケアしよう~永久歯と乳歯の違いも解説

歯の名称と役割・構造を知り、正しくケアしよう~永久歯と乳歯の違いも解説

歯には「食べ物を咀嚼する」「発音を助ける」「顔の形を整える」という3つの働きがあり、エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄という4つの組織からできています。乳歯から生えかわったあとの永久歯は一生もので、おいしく食事をするためには20本以上の歯が必要。歳をとっても健康な歯でいるために大切にケアしましょう!

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歯の「3つの働き」は生活に欠かせないもの

皆さんは、歯がどんな働きをしているのかご存じでしょうか?歯には大きく分けて「食べ物を噛みくだく(そしゃく)」「発音を助ける」「顔の形を整える」という「3つの働き」があります。これらの働きはどれも健康な生活をしていく上で欠かせないことです。歯の効果的なケアができるように、歯の役割と構造について詳しく学んでいきましょう。

歯の「構造」

歯は「エナメル質」「象牙質」「セメント質」「歯髄」の4つの組織からできています。口の中で見えているのは歯の一部分です。歯の根の部分は、あごの骨の中にしっかりと埋まっています。歯が口の中に見える部分を「歯冠」、歯冠より歯ぐきにおおわれている部分を「歯根」といいます。そして、歯の中心部には「歯髄腔」があり、神経と呼ばれる「歯髄」が通っています。歯にかかる衝撃を受け止め、あごにかかる力を吸収・緩和するために、歯根部分の表面であるセメント質と「歯槽骨」は、「歯根膜」という繊維性の結合組織で結びついています。歯は歯槽骨、歯ぐき、歯根膜の支持組織によって支えられているのです。

歯の構造

1. 人間のからだで1番硬い「エナメル質」

歯冠部の表面を被っている人間の身体組織の中でもっとも硬い組織。水晶(モース硬度7)と同じくらいの硬さがあります。

2. 細い管が通っている「象牙質(ぞうげしつ)」

エナメル質、セメント質の内側にあり、歯冠部から歯根部まで歯を形づくる、エナメル質よりもやわらかい組織。象牙質には象牙細管という細い管が通っていて、管の中は組織液で満たされています。

3. 骨と同じくらいかたい「セメント質」

歯根部表面を被っている組織で、歯根膜によって歯槽骨と歯を結合しています。骨と同程度の硬さです。

4. 神経と呼ばれる「歯髄(しずい)」

神経と呼ばれる組織。神経線維のほかに血管やリンパ管などが通っていて、象牙質に栄養を補給しています。

5. クッションの役割をもつ「歯根膜(しこんまく)」

歯根と歯槽骨の間を結び付ける繊維性の結合組織を主体とした組織。食べ物を噛む際、歯に加わる力が直接、歯槽骨に伝わるのを和らげる働きをしています。

6. 歯の土台となる「歯槽骨(しそうこつ)」

歯を支えているあごの骨です。歯周病などにより歯槽骨が大きく破壊されると、歯がグラグラになります。

7. 歯槽骨を被っている「歯ぐき」

歯槽骨を被っているやわらかい組織で、一般には歯ぐきと呼ばれる部分です。

8. 歯と歯ぐきの隙間「歯肉溝(しにくこう)」

歯と歯ぐきの境目にある小さな隙間のことで、歯が健康な人でも1~2mmの深さがあります。炎症などによって深くなった状態を「歯周ポケット」と呼びます。

歯の「名称」

図のように、永久歯は親しらずを含めて全部で32本、乳歯は全部で20本あります。大きく分けると、以下のように「切歯(前歯)」と「犬歯」と「臼歯(奥歯)」に分かれます。

1.「切歯(前歯)」

あごの真ん中から2番目までの歯。食べ物を「噛み切る」働きがあります。

2.「犬歯」

あごの真ん中から3番目の歯。食べ物を「引き裂く」働きがあります。

3.「臼歯(奥歯)」

犬歯の奥に位置する歯。食べ物を臼のように「すりつぶす働き」があります。

歯の名称

  • ※文部科学省 『「生きる力」をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり』より

おいしく噛むためには歯が「20本以上」必要

高齢者の現在歯数と噛む機能を調査した報告によると、おおむね「20本以上」の歯があると、ほとんどの食べ物を噛むことができることがわかりました。高齢になっても20本以上の歯を保つために、日頃から適切な「プラークコントロール」を行うと同時に、「定期健診」を受けお口の健康を保つように心がけましょう。現在歯が20本ない人でも、噛む機能の回復は、入れ歯やブリッジなどでの修復により可能です。残った歯を大切にケアしていきましょう。

歯の数と食べられるものの関係

※新庄ら「老人保健法に基づく歯の健康教育 歯の健康相談の担当者になったら」より

永久歯は「一生もの」

からだの成長とともに、あごも成長します。そして、あごが成長するに従って、子どもの歯「乳歯」から、大人の歯「永久歯」へと生えかわっていきます。永久歯が生えそろうと、噛む力が強くなり、いろいろな食べ物を上手に食べられるようになります。永久歯は一生使うとても大切な歯なのです。

乳歯と永久歯の「違い」を比較

乳歯と永久歯の「違い」を以下にご紹介します。

1. 色が違う

乳歯は白に近く、それに比べて永久歯は黄色味を帯びています。

2. 大きさが違う

乳歯の方が全般に永久歯よりもひとまわり小さいサイズです。

3. 歯質が違う

エナメル質、象牙質ともに乳歯の方が薄いため、乳歯のむし歯は早く進行します。

乳歯と永久歯

「生えかわり」のしくみと時期

人間の歯は、乳歯から永久歯へ1回だけ「生えかわり」ます。乳歯は2~3歳頃に生えそろいます。乳歯の根のまわりに組織を破壊する細胞があらわれると、乳歯の根は次第に溶かされて吸収され、短くなります。永久歯が十分に大きくなると、乳歯は自然に抜けて、12歳頃までにはすべて生えかわり、28本の永久歯が生えそろいます。

この記事を作成・監修した
マイスター

平野 正徳

オーラルケアマイスター

平野 正徳

ひらの まさのり

オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上携わってきました。 これまで得た知識と経験を活かして、歯とお口の健康に関する情報をお伝えします。

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