ウォッシャブルスーツ(洗えるスーツ)とビジネスカジュアルアイテムの洗い方
「ウォッシャブルスーツ」の型くずれを防ぐには、汚れがつきやすいエリ首や袖口の前処理をしてから洗濯ネットに入れること。その後、おしゃれ着用洗剤を使い弱水流コースなどで洗いましょう。ビジネスの場にふさわしい、清潔感をキープできる適切なケア方法も紹介します。
ウォッシャブルスーツが大人気!
「男性のビジネスファッション」といえば、以前はスーツとワイシャツ、ネクタイでしたが、時代の変化によりカジュアル化が進んでいます。
ファッションスタイルの変化に伴い、家庭の洗濯機で洗うことができる「ウォッシャブルスーツ」が増えています。適切な方法で洗えば、しわや縮みなどの型くずれが発生しにくいスーツです。
しかし、利用者からは「洗い方がわからない」「型くずれしないか不安」という悩みも聞かれます。そこで今回は、ウォッシャブルスーツのお手入れ方法を解説します。
また、スーツと組み合わせることの多くなったTシャツ・ポロシャツ・スニーカーなどのアイテムを、ビジネスシーンにふさわしくパリッと仕上げるお手入れ方法も紹介します。
「ウォッシャブルスーツ」の基本のお洗濯方法
1.洗濯表示を確認する
スーツのタグなどについている洗濯表示をチェックして、家庭で洗えるかどうかを確認します。以下の表にあるマークがついていたら、自宅で手洗い、または洗濯機で洗うことができます。
洗濯表示 | 旧絵表示 | |
---|---|---|
洗濯機で洗える | ||
手洗いできる |
- 2016年12月から洗濯表示が新しくなっています。
- 正式には、上記マークの中心に「40」などの洗濯液の上限温度を示す数字が記載されている場合がほとんどです。ここではわかりやすくするために数字は省略しています。
下図のように、洗濯表示の洗濯桶マークに「×」がついている場合、家庭洗濯ができないスーツです。自宅では洗えませんので、クリーニング店に依頼することをおすすめします。
洗濯表示 | 旧絵表示 |
---|---|
2.洗剤を選ぶ
洗濯表示に従って、一般衣料用洗剤かおしゃれ着用洗剤(アクロン)のいずれかを選んでください。
旧絵表示 | 洗濯表示 | おすすめの洗濯の仕方 | おすすめの洗剤 |
---|---|---|---|
洗濯機による洗濯ができる。 洗濯機の弱水流又は弱い手洗いがよい。 | 洗濯機で洗濯処理ができる 洗濯機で弱い洗濯処理ができる |
洗濯機の「標準コース」などで洗濯する | 一般衣料用洗剤 |
洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができる | 洗濯機の「弱水流コース」「手洗いコース」などのやさしいコースで洗う 液温は30℃以下を推奨 |
おしゃれ着用洗剤 |
|
弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない)。 | 手洗いができる | 手洗いする。洗濯機を使う場合は、洗濯機メーカーの情報を確認して「手洗いコース」「ドライコース」などのやさしいコースで洗う | |
水洗いできない。 | 家庭での洗濯禁止 | 家庭洗濯禁止 | - |
なお、下記のマークがついたスーツであっても、色やスタイルをできるだけキープしたいお気に入りのスーツは、おしゃれ着用洗剤(アクロン)を使用してやさしく洗っても問題ありません。
洗濯表示 | |
---|---|
3.洗い方のポイント
以下に、ウォッシャブルスーツの「洗い方」のポイントをご紹介します。
1.洗剤や部分洗い剤で前処理
汚れのつきやすいエリ首や袖口は、液体洗剤や部分洗い剤で前処理しておきます。
2. 洗濯ネットに入れる
ジャケットとパンツを別々の洗濯ネットに入れます。
ジャケットはボタンをはずして、2つ折りにして大きめの洗濯ネットに入れてください。
パンツはファスナーを閉じて、洗濯ネットの大きさに合わせて、たたんで入れます(3つ折りがおすすめです)。
3.適切な「洗濯コース」「洗剤」を選ぶ
「標準コース」の場合は、一般衣料用洗剤を選んでください。
「弱水流コース」(もしくは「手洗い洗濯」)を選ぶ場合は、おしゃれ着用洗剤(アクロン)を選んでください。
弱水流コースは、「手洗い・ドライ対応・おしゃれ着コース」などコース名は各洗濯機によって異なります。
洗濯おけの下に横棒がない場合、横棒が1本ついている場合は、「標準コース」で「一般用衣料用洗剤」も使用できますが、大切なスーツを洗う際の洗剤は、「弱水流コース」を選び、色あせや型くずれを防ぐおしゃれ着用洗剤(アクロン)を使用することをおすすめします。
4. 脱水は最短の時間に設定
脱水は、型くずれや洗濯じわを防ぐために、洗濯機で設定できる最短の時間に設定します(15~30秒、最長でも1分程度)。
干し方のポイント(お助けタオルの活用)
洗濯じわがついたまま干すと、しわがそのまま残ってしまいます。
動画でご紹介しているように、洗濯じわを取るのに役立つのがタオルやバスタオル、名付けて「お助けタオル」です。以下に、「お助けタオル」を使う時のポイントをご紹介します。
1. ハンガーにタオルを巻いて厚みづくり
ハンガーにタオルを巻いて厚みをつくり、肩のラインの型くずれを防ぎます。
2. タオルを袖口やパンツの裾に入れる
タオルを袖口やパンツの裾に丸めて入れ、「おもし」代わりにしてしわを伸ばします。
ウォッシャブルスーツの洗い方・干し方を「動画」で確認
「おしゃれ着用洗剤を使用したウォッシャブルスーツのお洗濯方法」について、「動画」でも紹介しています。
ウォッシャブルスーツを洗濯機で洗う方法
「着用後のスーツ」のお手入れ方法
スーツを着用すると「着用じわ」がつきます。ひどいしわがついたスーツは見栄えが悪く、そのままでは次に着用しにくいものです。すぐにお洗濯ができない時は、着用後に手軽にしわを取る方法でケアすると良いでしょう。
1.スーツは「ハンガー」にかけて型くずれを予防
脱いだスーツは、適当な場所に置いたりせずに、必ずジャケットとパンツをハンガーにかけます。
ジャケットは、型くずれしないように肩の部分にフィットする肉厚なハンガーにかけます。ハンガーがない場合は、ハンガーにタオルを巻いて肩幅を調整すると良いでしょう。
パンツは、クリップのついた専用のハンガーに吊るします。このとき、裾部分を上に止め、ベルトがある場合にはつけたままにして干すと、ベルトの重みでしわを伸ばすことができます。また、パンツの折り目を保つのにも効果的です。
2. 「しわ取り消臭スプレー」をスプレーする
「しわ取り消臭スプレー」を使用すると「着用じわ」を軽減でき、同時にニオイもケアできます。
まず、着用じわのついている部分を確認します。肘の内側、腰の上付近、ひざの裏側などが、しわがつきやすい部分です。
次に、しわのついた部分に「しわ取り消臭スプレー」をしっとりする程度にスプレーし、しわの部分を斜め・縦・横に軽く引っ張りながら伸ばします。
また、しわのついていない部分にも軽く湿る程度にスプレーしておきます。こうすることで、乾燥した時に「ニオイ」も「しわ」も取れて気持ち良く着用できます。収納する場合は、衣類が完全に乾いたあとにしまいます。
注意!
しわ取り消臭スプレーが使えない素材もあるので、製品裏面の表示をよく読んでお使いください。
3. 「湿気」を加えてしわを取る
着用じわを取る方法として、「湿気」を与えるのも効果的です。スチームアイロンをあてたり、浴室に吊るしたりして蒸気や湿気を加えることで、水分と衣類の重みでしわが伸ばせます。
「Tシャツ」「ポロシャツ」の基本のお洗濯方法
無地のTシャツやポロシャツも、ビジネスカジュアルとして活躍するアイテム。清潔感を損なわないために、おすすめの洗い方を紹介します。
1.洗濯表示を確認し、洗剤を選ぶ
衣類のタグなどについている洗濯表示をチェックして、家庭で洗えるかどうかを確認します。
家庭で洗える場合は、洗濯表示に従って、一般衣料用洗剤かおしゃれ着用洗剤(アクロン)のいずれかを選びます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
洗濯おけの下に横棒がない場合、横棒が1本ついている場合は、一般用衣料用洗剤も使用できますが、大切なTシャツやポロシャツを洗う際の洗剤は、色あせや型くずれを防ぐおしゃれ着用洗剤(アクロン)をおすすめします。
2. 目立つ汚れや脇の下に前処理をする
目立つ汚れ部分や汗ジミによって黄ばみやすい脇の下に、おしゃれ着用洗剤(アクロン)を直接塗布します。また、食べ物のシミには、液体タイプの酸素系漂白剤もしくはシミ用の部分洗い剤を塗布します。
下記の洗濯表示(意味:漂白処理ができない)がついている場合には、漂白剤は使用できません。
3. 洗濯ネットに入れる
型くずれを防ぐために、たたんで洗濯ネットに入れます。
4.「弱水流コース」 で洗う
お気に入りのTシャツやポロシャツは、しわや型くずれを防ぐため、「標準コースで洗える」という洗濯表示であっても、洗濯機の「弱水流コース」を選んで洗うことをおすすめします。
5. 消臭・防臭効果のある柔軟剤を使用
消臭・防臭効果のある柔軟剤を使用して、気になる汗のニオイを防ぐと良いでしょう。また、柔軟剤を使用すると、洗濯じわも抑制できます。
6. 裏返して陰干しする
天日干しの場合、日が当たる部分が変色する場合があります。
このような色あせと型くずれを防止するために、以下の3点に気を付けて干します。
●裏返して陰干しする
●ハンガーは肩幅の厚みのあるもの、もしくはタオルで巻いたものを使用する
●Tシャツの裾部分からハンガーを入れる
肩の部分に厚みのあるハンガーを使って、裾部分から出し入れすることで、首部分の伸びや型くずれを防ぎます。厚みのあるハンガーがない場合は、タオルを巻けば代用できます。
白い衣類は「色味」もポイント
白いTシャツ・ポロシャツの場合、清潔感や上質感を保つためには「色味」も重要なポイントです。しかし、毎日きちんと洗濯しているつもりでも、いつの間にかくすんだり黒ずんだりする場合があります。
その原因の1つは、「詰め込み洗い」。白い衣類のくすみや黒ズミを防ぐためには、洗濯物は洗濯機の容量の7割程度におさえると良いでしょう。また、漂白剤が使用できる衣類であれば、洗剤と一緒に酸素系漂白剤を使用して全体漂白をするのも有効です。
「スニーカー」のお手入れ方法
ビジネスファッションにスニーカーを合わせるスタイルも定着しつつあります。上手にお手入れして、ビジネスの場にふさわしい清潔感を演出したいですね。
いかがでしたか?難易度が高そうに思えるウォッシャブルスーツのお洗濯も、ポイントを押さえれば形を保ったままキレイに仕上げることができます。適切なお手入れで、自分も着ていて気分よく、同僚や社外の人に不快感を与えないビジネスファッションを目指したいですね。
制作協力・衣料提供/株式会社FABRIC TOKYO
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
片木 徹也
かたぎ てつや
洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。
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