洗濯表示(洗濯マーク)の意味は? それぞれの正しい洗い方やコツを解説
「洗濯表示」とは洋服の内側についている洗濯マークのこと。一見難しく思えるかもしれませんが、5つの基本記号を理解できれば意外と簡単。洗濯機で洗えるか、クリーニングに出すべきか、漂白剤、乾燥機、アイロンが使えるかなど、お洗濯に必要な情報がわかります。※2024年8月改正新洗濯表示対応
「洗濯表示(洗濯マーク)」とは
衣類の内側に付いているラベルに描かれている、取扱い絵表示(以下、「洗濯表示」)。これは、大切な衣類を長持ちさせるために欠かせない「お洗濯時のルール」を記号で表したものです。その数、約40種類。「40種類も…」と思うかもしれませんが、洗濯表示は基本の表示を理解できれば、あとは線の本数や点の数で温度や強弱などを判断できたりと、意外と簡単にわかるようになります。
そこで今回は、各洗濯表示の意味と覚え方、お洗濯方法や洗剤の選び方についてご紹介します。
なお、洗濯表示は2016年に大幅に改正されており、さらに2024年8月にも一部が変更されています。
- ※記事内の「旧絵表示」は、2016年12月以前に使用されていた取扱い絵表示です。
基本的な覚え方はシンプル!
洗濯表示は5つの基本的なマークの意味を理解すれば大丈夫です。
家庭洗濯は「洗濯おけ」、漂白は「三角」、乾燥は「四角」、アイロンは「アイロン」、クリーニングは「円」で示されます。まずはこれらの基本記号を紹介します。基本記号に「・」や「—」を組み合わせた洗濯表示もあります。詳しくは各項目をご確認ください。
「家庭洗濯」の記号から理解すると、応用ができて理解もしやすいので、ほかのマークも覚えやすくなるかもしれません。
<記号の並び方の例>
衣類に縫い付けられたタグの洗濯表示には「洗濯、漂白、乾燥、アイロン、商業クリーニング」の5つの基本記号を左から順に表示することが決められています。いずれかがない場合は、その記号が意味するすべての処理を行うことができるという意味です。
5つの基本記号の意味と、おすすめの洗濯方法・洗剤
5つの基本記号 | |||
---|---|---|---|
家庭洗濯 |
漂白剤 |
乾燥 |
|
アイロン仕上げ |
クリーニング |
家庭洗濯の記号と意味、おすすめの洗濯方法・洗剤
「家庭での洗い方」をあらわす記号。洗濯桶に×がなければ、家庭でお洗濯できます。
●洗濯桶の下の棒線は、水流の強さを表現しています。棒線の数が多いほど、弱い水流で洗うことを示します。棒線を「マイナスの数が増える」とイメージすると覚えやすいですよ。
●洗濯桶の中に、例えば「30」「40」のように「液温の上限」を示す数字が表示される場合があります。数字が「30」の場合は、30℃以下の水で洗えます。ここではわかりやすくするために数字は省略しています。
こちらも「家庭での洗い方」を示す記号で、「手洗い洗濯」をあらわしています。ただし、洗濯機の機種によっては、洗濯機で洗える場合があります。詳しくは、洗濯機の取扱説明書を参照してください。
●洗濯桶の下の棒線は、水温を表現しています。棒線がない場合は、40℃以下の水で洗えます。棒線が1本ある場合は、30℃以下の水で洗えます。
旧絵表示 | 洗濯表示 | おすすめの洗濯の仕方 | おすすめの洗剤 |
---|---|---|---|
洗濯機による洗濯ができる 洗濯機の弱水流又は弱い手洗いがよい | 洗濯機で洗濯処理ができる 洗濯機で弱い洗濯処理ができる |
洗濯機の「標準コース」などで洗濯する | 一般衣料用洗剤 |
洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができる | 洗濯機の「弱水流コース」「手洗いコース」などの優しいコースで洗う 液温は30℃以下を推奨 |
おしゃれ着用洗剤 |
|
弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない) | 手洗いができる | 手洗いする。洗濯機を使う場合は、洗濯機メーカーの情報を確認して「手洗いコース」「ドライコース」などのやさしいコースで洗う | |
水洗いできない | 家庭での洗濯禁止 | 家庭洗濯禁止 | - |
- ※2024年8月から手洗い洗濯に関する表示が改正されました。
漂白剤の記号と意味、おすすめの漂白剤
「漂白のしかた」をあらわす記号で、使用可能な漂白剤を示しています。
「塩素系・酸素系漂白剤が使える」「酸素系漂白剤が使える」「漂白剤が使用できない」の3種類の記号があります。
旧絵表示 | 洗濯表示 | 酸素系漂白剤 (液体タイプ) |
酸素系漂白剤 (粉末タイプ) |
塩素系漂白剤 |
---|---|---|---|---|
塩素系漂白剤による漂白ができる | 塩素系及び酸素系の漂白剤を使用して漂白処理ができる | 使用できる | 使用できる | 使用できる |
- | 酸素系漂白剤は使用できるが、塩素系漂白剤は使用禁止 | 使用できる | 毛や絹の場合には使用不可 | 使用不可 |
塩素系漂白剤による漂白はできない |
漂白処理はできない(漂白剤入りの洗剤も使用不可) |
使用不可 | 使用不可 | 使用不可 |
乾燥の記号と意味
「乾燥のしかた」をあらわす記号。
●四角形の中の縦線(|)は「つり干し」、横線(―)は「平干し」、斜線(/)は「陰干し」をあらわします。
●四角の中に○があるものは、「家庭用のタンブル乾燥」についての記号です。
●ヒーターの温度は「・」で示し、数が多いほど、温度は高くなります。
旧絵表示 | 洗濯表示 |
---|---|
- | ダンブル乾燥処理ができる(排気温度上限80℃) |
- | ダンブル乾燥処理ができる(排気温度上限60℃) |
- | ダンブル乾燥禁止 |
つり干しがよい | つり干しがよい |
- | ぬれつり干しがよい |
平干しがよい | 平干しがよい |
- | ぬれ平干しがよい |
日陰のつり干しがよい | 日陰につり干しする |
- | 日陰にぬれつり干しする |
日陰の平干しがよい | 日陰の平干しがよい |
- | 日陰のぬれ平干しがよい |
アイロン仕上げの記号と意味
「アイロンのかけかた」をあらわす記号。
●温度の高さは、マークの中の「・」の数で示し、数が多いほど温度が高くなります。
旧絵表示 | 洗濯表示 |
---|---|
アイロンは210℃を限度とし、高い温度(180から210℃まで)で掛けるのがよい | 底面温度210℃を上限としてアイロン仕上げができる |
アイロンは160℃を限度とし、高い温度(140から160℃まで)で掛けるのがよい | 底面温度160℃を上限としてアイロン仕上げができる |
アイロンは120℃を限度とし、高い温度(80から120℃まで)で掛けるのがよい | 底面温度120℃を上限としてアイロン仕上げができる |
アイロン掛けはできない | アイロン仕上げ禁止 |
- | 底面温度120℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げ処理ができる。スチームアイロンは不可逆的な損傷を引き起こす可能性がある |
- ※2024年8月の改正から、底面温度の上限が10℃ずつ引き上げられました。
クリーニングの記号と意味
「クリーニングの種類」をあらわす記号。
●円の中の「P」はパークロロエチレンまたはジブトキシメタンなどの溶剤を使用し、「F」は石油系溶剤またはデカメチルペンタシクロシロキサンを使用します。
●「W」は「ウエットクリーニング」を示し、クリーニング店で水洗いできます。
旧絵表示 | 洗濯表示 |
---|---|
ドライクリーニングができる。溶剤はパークロロエチレン又は石油系のものを使用する | パークロロエチレンまたはジブトキシメタン、及びⒻに規定されている溶剤によるクリーニングができる |
パークロロエチレンまたはジブトキシメタン、及びⒻに規定されている溶剤によるクリーニングができる | |
ドライクリーニングができる。溶剤は、石油系のものを使用する | 石油系溶剤またはデカメチルペンタシクロシロキサンによるドライクリーニングができる |
石油系溶剤またはデカメチルペンタシクロシロキサンによるドライクリーニングができる | |
ドライクリーニングはできない | ドライクリーニング禁止 |
- | ウエットクリーニングができる |
- | 弱い操作によるウエットクリーニングができる |
- | 非常に弱い操作によるウエットクリーニングができる |
- | ウエットクリーニング禁止 |
- ※2024年8月の改正から、℗はパークロロエチレンに加えて、ジブトキシメタンが追加、Ⓕは石油系溶剤に加えて、デカメチルペンタシクロシロキサンが追加されました。
なぜ洗濯表示が変わったの?
洗濯表示(取扱い絵表示)が、2016年に大きく変わったことをご存じでしたか?日本と海外とで異なっていた表示を統一するため、「洗濯表示」は国際規格(ISO)に合わせたものになりました。
各国独自のファッション文化、そして風土や習慣による洗濯方法の違いなどがあることから、かつての洗濯表示は、日本では日本工業規格(JIS)、海外では国際規格(ISO)と表示方法が異なっていました。
しかし、衣類の生産や流通において、海外とのやり取りが増えたことや、洗濯機や洗剤などの種類が豊富になったことを背景に、国内外で表示を統一しようという動きがありました。そして、ISOに合わせた新しいJISが制定され、2016年12月から施行されたのです。
2016年12月までは「取扱い絵表示」と呼ばれていましたが、現在は「洗濯表示」という名称に変わっています。また、洗濯表示の変更後は、日本独自で使われていた22種類の表示が約40種類に増え、より細分化されました。
さらに2024年8月より、一部の洗濯表示について、追加や変更がありました。
2024年8月の改正ポイント
改正のポイントは、主に4点あります。
<新しい洗濯表示の追加>
・液温30℃を上限とする手洗い洗濯の記号が追加されました。
・「底面温度120℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げ処理ができる」記号が追加されました。
<アイロン記号の温度の変更>
・アイロン記号の底面温度の上限が、現行規格より10℃ずつ引き上げられました。
<クリーニング記号の意味の追加>
・℗はパークロロエチレンに加えて、ジブトキシメタンが追加。Ⓕは石油系溶剤に加えて、デカメチルペンタシクロシロキサンが追加されました。
<記号のデザイン変更>
手洗い記号など、複数の記号のデザインが変更になりました。
・手洗い記号の手の形が変わりました。
・禁止をあらわす「×」の位置が少し上になりました。
いかがでしたか?洗濯表示の意味や正しい洗い方がわかりましたでしょうか。
洗濯表示の記号だけでは伝えられない参考情報は、記号の近くに簡単な言葉で記載されている場合があります。そちらについても読んで、衣類の取り扱いの参考にしましょう。
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
〜アプリを活用して、洗濯表示もラクラク理解!〜
「これ洗える?」は、お洋服の適切な洗い方や自分のワードローブを撮影してスマホで管理できるアプリです。このアプリでは、変更になった表示、従来の絵表示の両方をご覧いただけます。お洋服に適したお洗濯方法を簡単に知ることができて、洗濯初心者さんにぴったりです。スマホで簡単にチェックできるので、ぜひ活用してみてくださいね。
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
大貫 和泉
おおぬき いずみ
洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきました。
母親としての経験と研究活動を融合し、日々のお洗濯に役立つ情報をわかりやすくお伝えしていきます。
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容