新型コロナウイルスの予防と感染したときの対策、家庭内での注意点は?
新型コロナウイルス感染への不安は依然として続いています。感染を防止するには、三密を避け、手洗い、咳エチケットなどの基本的な感染症対策を続けることが大切。「うつらない」「うつさない」ように1人ひとりができる対策や、症状が出てしまった時の対処法と家庭内での注意点をおさらいしましょう。
- ※この記事は2024年8月現在の情報です。
「新型コロナウイルス」とは
「コロナウイルス」は、人に感染するものが7種類あることがわかっています。その中の1つが新型コロナウイルスです。他の4種類は一般的な風邪の原因になり、多くは軽症です。残り2種類は重症化する傾向があるサーズ(SARS・重症急性呼吸器症候群)とマーズ(MERS・中東呼吸器症候群)です。
コロナウイルスは表面に突起が見られます。その形態が王冠の「crown(クラウン)」に似ていることから、ギリシャ語で王冠を意味する「corona(コロナ)」と名づけられたそうです。
【症状】発熱、咳、のどの痛み、頭痛、倦怠感などが多くみられる
発熱、呼吸器症状(咳、のどの痛み)、頭痛、だるさ(倦怠感)などが多くみられます。なかには無症状の人もいますが、一部の人では重症化し呼吸困難を引き起こすことがあります。
【対処法】「感染したかも」または「感染した」場合は?
厚生労働省のホームページには「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」をはじめ、発熱や咳などの症状があり、感染が疑われる場合の対処法など、種々の情報が記載されています。
●抗原定性検査キットで調べる
体調に異変を感じたら、まずは抗原定性検査キット(以下、検査キット)でセルフチェックしましょう。陽性の場合は、一定期間は外出を控えることが推奨されます。
下記の<外出を控えることが推奨される期間>を参考に、判断してください。
また、陰性の場合でも、体調の異変が続いている間は、基本的な感染予防対策を継続しましょう。
なお、検査キットは国が承認した「体外診断用医薬品」を選びましょう。国が承認した医療用医薬品または一般用医薬品(OTC)の検査キットは、「体外診断用医薬品」か「第1類医薬品」と表示されています。
国が承認した検査キットは厚生労働省のホームページで確認できます。
詳しくは下記厚生労働省のホームページをご覧ください。(2024年8月現在)
検査キットにより感染が判明した時も、体調的に感染が疑わしい時も、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は医療機関にかかる、軽症の方は自宅療養するなど、各自の判断になります。医療機関にかかる場合は、事前に連絡するとよいでしょう。感染後に医療機関にかかる場合や外出の際には、マスク着用が望まれます。
体調に異変を感じたら~自分で検査、すばやく療養、医療機関のかかり方は?~
(厚生労働省ホームページ 2024年8月現在)
また、急に症状が出た時の備えや、医療機関にかからない場合に、市販の解熱鎮痛薬を購入する場合があると思います。このような場合の市販の解熱鎮痛薬の選び方については、厚生労働省のホームページに記載があるので参考としてください。
市販の解熱鎮痛薬の選び方
(厚生労働省ホームページ 2024年8月現在)
<外出を控えることが推奨される期間>
●特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目(無症状の場合は、検体採取日を0日目)として5日間は外出することを控えます※1。
●5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されます。症状が重い場合は、医師に相談してください
- 1 こうした期間にやむを得ず外出する場合でも、症状がないことを確認し、マスク着用などを徹底してください。
また、学校保健安全法施行規則においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナウイルス感染症による出席停止期間としています。
10日間が経過するまでは、ウイルス排出の可能性があることから、不織布マスクを着用する、高齢者などハイリスク者との接触は控えるなど、まわりの方へうつさないように配慮しましょう。発症後10日を過ぎても咳やくしゃみなどの症状が続いている場合には、マスクの着用など咳エチケットを心がけましょう。
なお、2023年5月8日以降は、5類感染症に移行したことから、「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められません。
- 参考:厚生労働省ホームページ (2024年8月現在) (新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け):発熱や咳などの症状がある場合には、どうしたらよいですか。
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け):新型コロナウイルスに感染したら、どれくらいの期間、外出を控えればよいですか。)
●家族に感染が疑われる場合、家庭での注意点は?
家族が新型コロナウイルスに感染した(陽性だった)場合には、同居している方は感染者と部屋を分けるなど、以下の8つのポイントに注意してください。
また、家族に感染が疑われる状況であれば、同居している方も早めに対応することをおすすめします。以下の8つのポイントで感染予防を心がけ、体調に異変がある場合には、抗原定性検査キットでセルフチェックをしてみてください。
1.部屋を分けましょう
2.感染が疑われる家族のお世話はできるだけ限られた方で
3.マスクをつけましょう
4.こまめに石けんで手を洗い、アルコール消毒をしましょう。洗っていない手で目や鼻、口などを触らないようにしてください
5.換気をしましょう
6.手で触れる共有部分を消毒しましょう
7.汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
8.ゴミは密閉して捨てましょう
自宅療養に関する詳しい情報はこちら(2024年8月現在)
詳しい感染症対策は、以下をご覧ください(2024年8月現在)。
●重症化リスクのある方は、外来対応の医療機関を受診
・65歳以上の方
・基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患<慢性閉塞性肺疾患など>など)がある方
・透析を受けている方
・免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方
上記に当てはまる重症化リスクを有している方、お子さんや妊娠している方などは、外来対応の医療機関を受診してください。
なお、医療機関を受診する際には、受診前に医療機関に連絡しましょう。医療機関、薬局に行く時は、マスクを着用しましょう。
【感染経路】一般的には「飛沫感染」「エアロゾル感染」「接触感染」で感染
新型コロナウイルスの感染経路は、一般的には「飛沫感染」や「エアロゾル感染」、「接触感染」によるものとされています。
「飛沫感染」とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することです。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。
「エアロゾル感染」は、ウイルスを含むエアロゾル(飛沫よりさらに小さな水分を含んだ状態の粒子)を吸入するなどして感染することです。換気が不十分な場所や混雑した室内に長時間いることで、感染する可能性があるといわれています。
「接触感染」は、感染者の目や鼻、口に直接触ったり、感染者がくしゃみや咳を手でおさえたあと、その手で触ったモノを他の人が触ることで手にウイルスが付着し、そのウイルスのついた手で口や鼻や目に触れることにより、粘膜から感染することをいいます。
- 参考:厚生労働省ホームページ(2024年8月現在)(新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け):新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。)
【予防法】正しい手洗いで感染症対策を!
新型コロナウイルスの感染予防には、風邪やインフルエンザと同様に、石けんやハンドソープを使った手洗い、手指消毒用アルコールによる消毒やマスクの着用、咳エチケットなどの感染症対策や、「3つの密」(密閉空間,密集場所,密接場面)を避けることなどが重要です。
また、家やオフィスの換気を十分にする、十分な睡眠などで自己の健康管理をしっかりすることも大切です。
手洗いのポイントをご紹介します!
外出後や調理の前後、食前などに手洗いをしっかり行いましょう。また、咳やくしゃみを手で受け止めた時や使用後のマスクを触った時などの手にも要注意! 感染を広げないためにも、しっかり手を洗いましょう。また、洗っていない手で、目や鼻、口などに触らないようにしてください。
大切なのは、「洗い残しのない」手洗いをすることです。手のひらや手の甲だけでなく、ものに触れる機会が多い指先や、見落としがちな指の間、手のしわ、手首もしっかり洗いましょう。
手洗いの基本をマスター
1. 流水で汚れを落とす
まず手洗いの前に、洗い残しの原因となる指輪や時計などを外しておきましょう。
流水で手についた汚れをざっと落としたあと、石けんやハンドソープを手に取り、手のひらでよく泡立てます。
泡立てることがまだ上手にできない小さなお子さんには、泡で出てくるハンドソープがおすすめです。
2. 手のひらと甲、指の間を洗う
手のひら、手の甲をしっかりこすり、指の間は手を組むようにして洗います。
親指は、反対の手で持って、ねじるようにして洗いましょう。
3. 指先と爪の間を洗う
指先、爪の間は手のひらの上で指先をこするように洗います。爪ブラシを使うとより効果的です。
4. 最後に手首を洗う
手首を反対の手でねじるようにして洗ったら、最後に流水で石けんと汚れを十分に洗い流します。
洗い終わったら、乾いた清潔なタオルでふきましょう。
咳エチケットを身につけよう!
感染症を他者に感染させないためには、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、肘の内側などで、口や鼻をカバーする咳エチケットを行いましょう。
咳エチケットのポイント
1 ティッシュペーパーなどで口と鼻をカバー
咳・くしゃみをする時は他の人から顔をそむけ、ティッシュペーパーなどで口と鼻を覆い、鼻水や唾液などのしぶきが飛び散らないようにします。使用したティッシュペーパーには病原体が付着している可能性があるので、すぐにゴミ箱に捨てましょう。手にも鼻水や唾液がついているのですぐに洗いましょう。
2 マスクをする
咳・くしゃみはとっさに出るのでティッシュが間に合わない時もあります。できるだけマスクをして、しぶきが飛び散らないようにしておくとよいでしょう。マスクは鼻と口を覆うようにつけます。隙間があるとそこから、病原体が飛び散るので、顔にぴったり密着させます。
感染していない人がマスクをするよりも、感染した人がマスクをする方が、感染をおさえる効果がより高いといわれています。
3 とっさの時は「肘ブロック」
マスクをしていない時にとっさに咳・くしゃみが出そうになった時は、手ではなく、袖や上着の内側で覆い、しぶきが飛び散るのを防ぎます。これを「肘ブロック」といいます。もし手で覆ってしまった場合は、付着した病原体が他に広がらないようにすぐに手を洗いましょう。
4 手を洗う
感染症の拡大を防ぐためには、手洗いがとても大切です。咳やくしゃみをしたあとにもしっかりと手を洗いましょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
衛生マイスター
太田 博崇
おおた ひろたか
お口の中の細菌を中心に、感染症予防の研究などに携わり、その間、国立研究所や歯科大学との共同研究などもしてきました。
これらの経験を活かし、衛生的かつ健康的な生活を送るのに役立つ情報をお届けしていきます。
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