トイレ後の手洗いはなぜ必要?しっかり洗って清潔な手を保とう
外出先でのトイレ後、どのように手洗いしていますか?手洗いしない、なんてことはありませんか。トイレのあとの手は、一見キレイに見えても実は汚れや細菌などが付着している場合があります。感染症予防のためにも、石けんやハンドソープでていねいに手を洗うことが大切。改めて、正しい手洗いについて見直してみませんか?
街で目撃!「わたしが見たトイレ後の意外な手洗い」
「あれ?あの人、トイレのあと、洗面台を素通りして出ていっちゃった…!」
駅や公共施設のトイレで、こんな光景を見て他人事ながらギョッとした、という経験はありませんか?ライオンが「外出先で見たことのある意外な手洗いの仕方」についてアンケート調査※1をしたところ、たくさんの「わたしは見た!」が寄せられました。
「自分以外の全員が手を洗わずにトイレを出たのでびっくりしました」(男性50歳)
「指先だけ濡らして、髪の毛でふく人が意外と多い」(女性30歳)
「大人よりも子どもの方がしっかり手を洗っていました」(男性45歳)
「手を水にさっと通すだけで、こすらない人がいました」(男性24歳)
「手を洗わない人や指先のみ水を触る程度にしか洗わない人を、見ることが多々あります」(女性43歳)
- 1 ライオン調べ、20〜50代男女1035名、2023年
手洗いは、石けんやハンドソープで指先や指の間、手首までしっかり洗うことが推奨されていますが、急いでいる時などは、ついおろそかになってしまうこともあるかもしれません。
実際、外出先のトイレで「石けんやハンドソープを使わない」「指だけ洗う」「手を洗わない」ことがあると答えた人からは、「面倒だから」「触れた部分だけ洗えば十分だと思っているから」「手洗いするほど手が汚れていないから」という理由が挙げられました。
また、駅では、「洗面台に石けんやハンドソープがないから」「石けんやハンドソープのボトルの汚れが気になるから」というような、設備に関する理由もありました。
トイレ後の手にはたくさんの細菌がついている?!
トイレを使ったからといって、目に見えるほど手が汚れていないこともあるでしょう。「しっかり手洗いをしなくても、サッと水で流せばいいのでは?」という疑問を感じている人もいるかもしれません。
そこで、感染症の予防と消毒・滅菌についての専門家である、山口東京理科大学薬学部の尾家重治教授にインタビューし、トイレ後に手につく細菌について、驚きの事実を教えていただきました。
尾家重治先生
山口東京理科大学薬学部教授。院内感染防止の立場から、手指衛生や用具・医薬品などの微生物汚染について研究。また、消毒薬などの効果に関しても実験を行う。
尾家先生 「看護学生32名の協力のもと、排便後、トイレットペーパーでおしりをふくと、その手にはどのくらい細菌などがつくかを実験しました。
使い捨て手袋をはめ、トイレットペーパーを4枚重ねにしたもので排便後のおしりをふき、手袋についた細菌などの数を測定しました。その結果、糞便や肛門周囲の皮膚に由来する細菌などが約4万個も検出されました。大便に直接触れていないのに不思議だと思われるかもしれませんが、トイレットペーパーには無数のあなが開いていて、その大きさは細菌の約100倍。細菌は簡単にトイレットペーパーのあなを通過し、手に付着してしまうんです。そのため、トイレの後には手をしっかり洗うことが重要です。」
先生の実験結果から、排便後の手には多くの細菌などが付着していることが分かりました。それらを殺菌、除去するためにも石けんやハンドソープを使ってしっかり手を洗うことを心がけたいですね。
トイレの共用部から汚れが移る可能性も
公共施設やお店、駅などのトイレは、不特定多数の様々な人が使用するので、実際はどこに汚れがついているのかわかりにくいことがあります。そこで、トイレのどんなところに人の手が触れているのか、またその手が汚れていた場合、触れた場所を介して別の人に汚れがうつる可能性があるのかを実験してみました。
〈実験方法〉
実験に参加したのは4名。3名は汚れに見立てた蛍光剤入りのローションを手に塗り、通常通り、トイレを使います。残りの1名は、手には何も塗らず、最後にトイレを使用します。
〈結果〉
3名が使用したあとのトイレは、一見キレイに見えますが、ブラックライトを当てると、水洗ボタンやペーパーホルダー、トイレのフタ、ドアの鍵、また、意外にもドアの側面に蛍光剤が付着しており、様々なところが汚れていることがわかりました。
3名が使用したトイレは一見キレイだが、
ブラックライトを当てると・・・
- ※3名は蛍光剤入りローションを手に塗って使用
そして、手に何も塗っていない人が最後にトイレを使用すると、蛍光剤が付着!先にトイレを使用した3名が触ったところを介して、指先だけでなく、手のひらにまで汚れが移っていました。つまり、トイレ使用時にペーパーホルダーやドアの鍵などを触ることで、他人の汚れが自分の手につくことも考えられます。
もしも他人の手に細菌やウイルスがついていたら、共用部を介して、自分の手に移ってしまう可能性もあります。
トイレのあとには、指先だけでなく手全体を石けんやハンドソープを使い、しっかり手洗いを行いましょう。
トイレのあとはしっかり手を洗おう
トイレのあとには、手指全体に汚れや細菌、ウイルスがついている場合があります。下記の正しい手洗いを参考に、できるだけていねいな手洗いをし、手を清潔に保つように心がけましょう。
正しい手の洗い方はこちら
もしも外出先の洗面台に石けんやハンドソープがない場合には、水でしっかり洗いましょう。手指についているウイルス量は、流水で15秒洗うだけでも100分の1にまで減るというデータがあります。さらに、石けんで10秒もみ洗いしてから流水で15秒すすぐと、1万分の1にまで減る、といわれています※2。
石けんやハンドソープを使った手洗いが望ましいですが、石けんやハンドソープがない場合でも流水でしっかり洗うことで、ウイルスの量を減らすことができることは、覚えておきたい知識ですね。
- 2 出典:厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html) 令和5年7月18日時点版
また、トイレに限らず、公園など手洗い場に石けんやハンドソープがない場所で便利なのが、携帯用ハンドソープです。カバンに入れておくと、どこでも気持ちよく手洗いをすることができますよ。
この記事を作成・監修した
マイスター
衛生マイスター
浅野 ほたか
あさの ほたか
界面活性剤の基礎研究14年、身体洗浄・消毒(手、身体、毛髪)や台所用洗剤、調理分野の製品開発17年と、およそ30年間研究に携わってきました。
これまでの経験を活かし、生活における様々なシーンでの衛生に関わる情報をわかりやすく発信していきます。
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