ダイエットしても痩せない⁉糖質オフの落とし穴&正しい「痩せ活」のポイント
食事制限しているつもりなのに、体重が減らない...。そんな時は、無意識のうちに糖質過多になっていたり、早食いや夜型の食事になっていたりなど、何らかの原因があるかもしれません。糖質制限のし過ぎも、実は問題なんです。専門家のアドバイスをもとに客観的に自分の食生活を振り返ると、見直しポイントがきっと見つかります!
「在宅時間が多くなってから、運動不足で太ったかも」と感じている人はいませんか?
実は、その体重増は、運動不足だけが原因ではないかもしれません。また、実際に「痩せ活」をしている方からは、「糖質オフしているのに、痩せられない」「食べ過ぎていないつもりなのに、体重が増えてしまう」といった悩みも多く聞かれます。
そこで今回は、皆さんの疑問を解決するため、ダイエット指導のプロ・管理栄養士の齋藤律子さんに、ヘルスケアマイスターの芳賀がお話を伺いました。
「健康的に痩せたい」と思う方は、ぜひ参考にして、正しい「痩せ活」を実践しましょう!
齋藤律子(さいとう りつこ)
管理栄養士。
クリニックで生活習慣病の予防に関する栄養相談を行っていた経験を活かし、現在は大手医療専門コールセンターで健康相談に従事。お料理好きがきっかけで管理栄養士の職に就いたことから、簡単に作れて美味しい健康レシピやアレンジ技の探索に力を入れている。
痩せられない原因は?痩せない人の“あるある”をチェック
「在宅時間が増えてから太った」なんて話をよく聞くようになりました。私もその1人。今日はなかなか痩せられない人の悩みをダイエット指導のプロの齋藤さんにお聞きしたいと思います。齋藤さん、よろしくお願いします。まず、ダイエットに興味があって、摂取カロリーを気にしているのに、なかなか痩せない場合、どういった理由が考えられますか?
ではまず、以下の項目であてはまるものをチェックしてみてください。
痩せない人の“あるある”をチェック
□活動量が少ない
□若い頃と同じ量を食べている
□忙しくて早食いになりがち
□朝昼晩の食事時間が不規則
□外食では丼物やめん類が多い
□お菓子や甘い飲み物が好き
□毎日お酒を飲む(休肝日がない)
いろいろチェックしなければならないポイントはあるのですが、そもそも、食事を低カロリーにしていても、高カロリーのお菓子や飲み物を摂っているために、1日トータルでの摂取カロリーが高くなっていないでしょうか。
確かに。食事の量を減らしていても、ほかに太りやすいものを食べているのかも!?
食事でカロリーを満たさないと、結局は物足りずにお菓子や飲み物に手が伸びて、無意識のうちに余計なカロリーを摂ってしまう可能性があります。
あるあるですね…。
あとは栄養バランスに偏りがあることも原因かもしれません。
基本的には、「摂取カロリー < 消費カロリー」であれば、体重を減らすことができます。でもいくら摂取カロリーが低くても、栄養バランスが悪いと太りやすいからだになってしまうんです。
例えば、「スナック菓子の500kcal」と、「ご飯と、お肉やお魚、野菜を組み合わせた500kcal」では、摂取できる栄養素が明らかに違います。
同じカロリーでも内容が全然違いますね!お菓子だけでは、栄養が偏りしそう…。
そうなんです。栄養が不足しバランスが偏ると、エネルギーが代謝されづらくなります。また、筋肉量が減りエネルギーが消費されづらくなってしまいます。だから、まずは栄養バランスの整った食事を心がけ、その上でカロリーを気にすることが大事なんです。
カロリーの値だけに注目して、栄養が偏ってしまっては、ダイエットに失敗するということですね。
そのほかに太る原因として考えられるのは、丼物やめん類などパパッと食べられるものが多く、糖質過多になっていること。「食事時間が不規則」「欠食してしまう」「早食いになっている」なども、見直しポイントです。
なるほど。お仕事をしている方、忙しい方は、当てはまることが多いかもしれませんね。
それから、活動量もやっぱり大事。からだを動かさないとエネルギーを消費しないので、普通に食事をしていても、体重は減りづらくなります。
からだを動かしている人でも、加齢とともに基礎代謝は落ちていきます。そこに気付かずに、若い頃と同じ量、同じ内容で食べていると、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されてしまうんです。
運動不足だし、基礎代謝も落ちてくるし…。色々と見落としポイントがあるんですね~。
負のスパイラル「なんちゃって空腹」
大して動いていないのに小腹が空いたり、しっかりご飯を食べたはずなのになんだか口寂しかったりして、ついつい間食してしまうこともあると思います。こういう場合って、何か原因がありますか?
実はこれ、「血糖値スパイク」(食後高血糖)が原因で起こる、疑似空腹「なんちゃって空腹」が原因です。その状態でさらに甘いものを食べてしまうと、また空腹が…まさに負のスパイラルです。
「血糖値スパイク」って、最近よく聞きますね。
「血糖値スパイク」は、食後に急激に血糖値が上昇する状態のことをいいます。血糖値スパイクによる血糖値の上昇は一時的なもので、すぐに正常にまで戻ります。つまり、血糖値が急上昇&急下降します。この急下降する時に、本来空腹ではないのに、空腹感を感じてしまうわけです。
でも、この「なんちゃって空腹」は、普段の食事の仕方である程度コントロールができるんです!その方法をご紹介していきますね。
「血糖値」と聞くと、まず「糖質」「炭水化物」というようなワードが浮かんできますが、その辺りの関係も教えてください。
私たちはからだを動かすためのエネルギーを、たんぱく質・脂質・炭水化物の3大栄養素から得ています。1日に必要なエネルギー(カロリー)のうち、約50%を炭水化物から摂取するといいですね。
1日の摂取エネルギーのうち、ご飯やパン、めん類といった主食の炭水化物の占める割合を50%にするのが理想的、ということですね?
だいたいの目安がそうなります。
3大栄養素は、英語の頭文字を取ってP(たんぱく質)F(脂質)C(炭水化物)バランスといわれますが、Cを50%にするのは結構むずかしそうですね!ヘルシーと思ったメニューも、炭水化物が多かったり…。
では、ここで1つクイズです。3つのメニューのうち、PFCバランスが良いのはどれだと思いますか?
バランスが整ったメニューはAの「鶏の照り焼き定食」でした。PFCバランスはこのようになっています。
毎食に「ご飯・パン・めん類などの主食」「お肉やお魚などたんぱく質のおかず」「野菜のおかず」の3つがそろっていれば、PFCバランスは自然と整うはず。
それが簡単そうで、むずかしい(笑)。上の3つのメニューを比べると、カレーライスもスパゲッティもサラダがあるのでヘルシーなように見えますが、じゃがいもも炭水化物なので、バランスは悪いのですね。
普通に食事をすると、糖質や脂質が多くなりやすいのが現代の食事ですよね。「めん類+丼物」「ご飯+いも類」など、「炭水化物の重ね食べ」をすると、確実に糖質過多になってしまいます。
主食をガマンし続けるのはむずかしいと思うので、まずは不足しているたんぱく質や野菜を「しっかり食べる」ことを意識するのが良さそうですね。満足感で、結果的に主食が減らせる方が長続きしそうです。
朝昼晩の3食でいろいろな食品を摂るようにするのも栄養バランスの偏りのなさにつながります。朝がご飯と納豆だったら、昼はお肉系のパスタにして、そこで油脂が多かったら晩は蒸し料理にするなど、1日トータルで食事を楽しみながら調整していただくといいですね。
朝は特にバランスが偏りやすので、パンとコーヒーだけでなく、たんぱく質を組み合わせるといいです。納豆、卵、牛乳、ヨーグルト、豆乳などであれば手軽に摂れます。コンビニで売られているゆで卵やサラダチキンなどを利用するのもいいでしょう。朝食で良いスタートが切れると、昼の食べ過ぎを防げるなど、血糖値スパイクを防ぐのにとっても有効です。
飲み物の糖分も落とし穴!
例えば、コーヒーに砂糖を入れたり、飲み物で糖分を摂ってしまうのも、血糖値スパイクにつながりますか?
噛んで食べる食事と違って、飲み物はいくらでも量を摂れてしまうので落とし穴ですね。血糖値スパイクにつながる可能性があります。野菜ジュース、バナナジュース、甘酒など、良かれと思って毎日飲んでいるもので、過剰な糖分を摂っているかもしれません。
ここで、もう1問クイズです。おすすめの飲み物はどちらでしょうか?
豆乳ラテはたんぱく質・脂質が多く、バナナジュースは糖質が多い。糖質オフするなら、砂糖を入れない豆乳ラテがおすすめ。
「飲み物は噛まない」というのも、当たり前ですが盲点ですね!痩せ活には、よく噛んで、時間をかけて食べることも大事なんですね!?
なるべくゆっくり、よく噛んで食べると、太りにくくなるし、お食事もおいしく味わって食べられるので、満足感が高まります。野菜やきのこ、海藻など、食物繊維が多いものは、噛みごたえがあるので、おすすめです。
炭水化物は悪者ではない!主食を抜くと、ほかの栄養素も不足する
「糖質オフしているからお米は食べない」という人もいます。炭水化物は摂り過ぎの傾向にあるとはいえ、全く摂らなくてもいいものでしょうか?
糖質は脳にとって大事なエネルギー源ですから、脳の働きに影響が出てくる恐れもあります。
仕事や勉強のためには、糖質も必要なんですね。
では、例えば、朝と昼で主食を摂っていれば、晩だけ主食を抜くのは問題ないでしょうか。
できれば朝昼晩で主食を食べてほしいですが、「今日は食べ過ぎたな」と思ったら、晩で調整することがあってもかまいません。ただ、主食を抜き続けることが習慣になってしまうのは避けたいです。
主食には、食物繊維が豊富なものが多いと思いますが、主食を抜いてしまうと、食物繊維が不足する弊害もありますか?
おっしゃる通りで、「糖質が多いから主食やいも類は食べない」としてしまうと、食物繊維やビタミン類なども不足してしまいます。食物繊維は血糖値の急上昇を防いだり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きがあるので、肥満や生活習慣病の予防のために摂りたい栄養素です。
「炭水化物=太る」と思って、悪者扱いするのも違うんですね。逆に、太りにくい炭水化物、からだに良い炭水化物はあるんでしょうか?
痩せ活をされている方には、食物繊維が多く含まれる主食がおすすめ。ご飯でいえば、白米よりは未精製の玄米や、押し麦を混ぜたご飯にしたり、パンはライ麦パン、全粒粉パンなどを選んでみてください。
成長期や高齢期のダイエットはNG!しっかり食べるのが鉄則
基礎代謝が落ちてくる大人とは違って、育ち盛りのお子さんに極端なダイエットはNGですよね。お子さんについてはどんな注意点がありますか?
成長期は、これから筋肉や骨など、からだの細胞がどんどん育っていく時期なので、十分なエネルギーが必要です。肥満を気にしているなら、主食を抜くのではなく、砂糖入りのお菓子やスナック菓子を控えて、食事はしっかり摂っていただくことが大事ですね。
食事量が減りがちな高齢期になったら、どんなことを注意するといいですか?
高齢期はたんぱく質が不足すると、筋力が低下し、フレイル(からだの虚弱化)が起こりやすくなります。固いものが飲み込みづらいなら、卵豆腐、冷や奴、豆乳や牛乳など、のどごしの良いたんぱく質食材を活用するといいですね。
心の栄養も必要!自分らしく、長く続けられる「痩せ活」をしよう
「なんちゃって空腹」や痩せ活で気を付けなければならないことなど、とっても勉強になりました。ありがとうございました。最後に、「やっぱり甘い物が欲しい!」と思ってしまう人に向けて、アドバイスをお願いします。
頭を使ったり、ストレスがあったりして、糖分が欲しい時は、好きなお菓子を少量楽しむのも良いと思います。一口サイズのゼリーやミニチョコレートなど、食べ過ぎを防げる商品も多く出ているので、小皿に出して、テレビを見ながらひと息つく時間も大切ですね。「たまにはおいしいケーキが食べたい!」と思う方は、週に1回などルールを決めて、頑張った自分へのご褒美に楽しんでは。
我慢するのはつらいので、好きなものも楽しみながら「痩せ活」ができるなら、うれしい限り。
テレビや雑誌で公開されているダイエット情報を見て、「どんな方法を試していいのかわからない」という方も多いです。自分の体質や生活スタイルに合う方法、長く続けやすい方法を選ぶのが大切なのかなと思います。なかなか一人では続かないという人は、自分の適正カロリーを相談したり、食事と運動についてアドバイスをもらったりできるサイトやアプリもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。
齋藤さん、今日はありがとうございました。今日から「痩せ活」がんばります!
齋藤さんにお話を伺って、改めて栄養バランスの大切さや、食生活の改善ポイントがよくわかりました。ありがとうございました!
普段の食事は、どうしても自分が好きなものに偏り、苦手なもの、調理が面倒なものは不足しがち。それが「痩せられない」原因になっていることが多いと思いますが、食材の選び方、組み合わせ方を少し変えるだけでも、トータルの栄養バランスはぐっと良くなりそうです。
ストレスを感じずに、おいしく食べて続けられる、健康的な「痩せ活」を目指したいですね。
この記事を作成・監修した
マイスター
ヘルスケアマイスター
芳賀 理佳
はが りか
くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
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