犬の口臭の原因は?歯みがきが苦手でもできる、口臭ケアのコツ
犬はむし歯になることは少ないものの、歯周病を起こすことが多いと言われます。犬の口臭は、お口の環境にトラブルがあるサインかもしれません。口臭が気になった時、無理なくスムーズに始められるお口のケアをご紹介します。
11月8日は「いい歯」の日。お口の健康は、全身の健康にも深く関わっていると言われています。正しい知識と適切なケアで、丈夫で健康な歯を守っていきたいですね。
「いい歯」をキープすることが重要なのは、ワンちゃんも同じ。この機会に、大切な家族の一員であるワンちゃんのお口の健康も見直してみませんか?
そもそも犬に歯みがきは必要?
「犬に歯みがきは必要なの?」。ワンちゃんをお迎えしたばかりの飼い主さんでは、お口のケアが必要かどうか迷った方も多いのではないでしょうか。野生の動物たちはもちろん歯みがきなんてしていないし、人間と暮らしているとはいえ、ワンちゃんたちも歯みがきなしでもお口の健康を保てるのでは?
その疑問にズバッと答えるのが、こちらのデータ。
- 出典:WSAVA Global Dental Guidelines 世界小動物獣医師会ホームページ
なんと「2歳までの犬の約80%に、歯周病が発症する」と言われているのです。
なぜ、犬には歯周病が多い?
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまった歯垢が原因で発症します。
人と犬の歯の違いを見てみると、歯の本数は、人の場合、永久歯が親知らずを入れて32本ですが、犬の場合、永久歯が42本。意外にも、人より犬の方が10本も歯の本数が多いのです。特に小型犬では、小さな口に歯がたくさん並んでいるので、歯垢がたまりやすくなります。
また、唾液の性質(pH)にも違いがあります。人の唾液が弱酸性から中性なのに対して、犬は唾液が弱アルカリ性です。唾液中のカルシウムやリン酸が歯垢について石灰化されやすいことから、歯垢が歯石になるスピードは人の約5倍と速く、3〜5日で歯石になってしまいます。歯石ができるとその表面にさらに歯垢がつきやすくなり、悪循環を繰り返します。すると、歯垢の中にいる歯周病菌の刺激で歯肉炎を発症、さらに歯周組織まで炎症が広がり歯周炎になるというように、歯周病が進行していきます。
歯周病は、口臭だけの問題でなく、口内の痛さを訴えることができない犬につらい思いをさせてしまいます。また近年では、歯周病が心臓、肝臓、腎臓などの全身的な健康にも悪影響を与えることがわかってきています。
歯周病にならないためには、歯垢が歯石に変わる前に、毎日の歯みがきで歯垢を取り除いてお口の環境を守ることが大切なのです。
歯周病になると
歯みがきを始めたきっかけ第1位は「口臭」
犬の歯周病を予防するために欠かせない、お口のケア。犬の飼い主さんたちは、どんなきっかけで歯みがきなどのケアを始めたのでしょうか?
ライオン商事(株)が、犬のオーラルケアをしている飼い主さんにアンケート調査をしたところ、ケアを始めたきっかけの第1位は「お口のニオイ」。ワンちゃんはお散歩後に舌を出して呼吸をしたり、飼い主さんに甘えてペロペロとなめたりすることも多く、口臭に気づきやすいという特徴があります。特にシニア犬になるほど口臭が気になる傾向があり、飼い主さんがケアの必要性を感じるきっかけになっているようです。
- ※ライオン商事(株)調べ、197名、2020年 (複数回答)
犬の口臭と歯周病は関係あるの?
気になる犬の口臭、その原因は何なのでしょうか?ライオン商事(株)の遠山獣医師に聞いてみました。
「まず、お口のニオイの原因は、大きく3つに分けられます。
『食べ物や食べかすのニオイによる口臭』、寝起きや空腹時など、唾液が少なくなることによる『生理的な口臭』、そして『病的な口臭』です。
『病的な口臭』には、呼吸器疾患や消化器疾患、糖尿病などの病気が原因となっているケースもありますが、多くは歯周病などお口の健康トラブルが原因と言われています。
歯周病や口内炎、口腔内腫瘍などは生臭いニオイが発生します。特に歯周病では病気の進行とともに口臭が強くなることがありますが、これは歯周ポケットの中にすむ『嫌気性細菌』が主な原因です。『嫌気性細菌』がたんぱく質を分解する時に、『揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)』が発生し、独特の悪臭となるのです。
ワンちゃんのお口から、卵が腐ったようなニオイや魚や野菜が腐ったような生臭さ、生ゴミのようなニオイがしたら要注意!お口に健康トラブルが起こっているサインかもしれません。歯周病などの疑いがある場合には、動物病院にいってお口をみてもらってください。お口が健康な状態に戻ったら、歯みがきでお口の健康を維持しましょう。」
歯周病を防ぐためには歯みがきがやっぱり大事!
歯周病を防ぐためには、原因となる歯垢を取り除く歯みがきがいちばん!犬のお口の健康管理のためには、毎日の歯みがきを習慣化することが重要です。人の毎日の歯みがき習慣と同じように、ワンちゃんも、食後や寝る前の歯みがきを日課にしていくと良いでしょう。
お口の中が健康なうちに、歯みがきに慣らしていければ理想的。ワンちゃんが歯みがきに抵抗がある時や、歯みがきに慣れないうちは、散歩の前後やおもちゃで遊んだ後など、楽しいこととセットにするのもおすすめです。
また、飼い主さんが「さあ、歯みがきするぞ!」と意気込みすぎていたり、「忙しいから早く歯みがきを終わらせなきゃ!」と急いでいたりすると、その気配を察してワンちゃんが緊張してしまうことも。「すべての歯をキレイにしなきゃいけない」と、犬を我慢させたりするのも禁物。慣れないうちは、できる範囲を少しずつでもいいのです。ワンちゃんも飼い主さんもリラックスできる時間を、歯みがきタイムにすると良いでしょう。
歯みがき習慣は「お口タッチ」からスタート
「ウチの子はもうシニアだから、今さら歯みがきなんて無理」「嫌がって、口を触らせてくれない」。
愛犬の口臭に悩みながらも、おうちでケアすることの難しさを感じている飼い主さんも少なくありません。
あきらめずに、ひとつずつステップを踏んで慣らしていけば、何歳からでも歯みがき習慣を作ることは可能です。まず、お口周りに触るのに慣れさせることが、とても大切です。焦らずゆっくりステップアップして、慣れさせましょう!
Step1 お口タッチ
初めはやさしく顔や鼻先、あごの下などに触れていきます。慣れてきたら、犬歯などの見えている歯に触って、少し動かしてみてください。触らせてくれたら、たっぷりほめてあげると良いですよ。
Step2 唇をめくる
慣れてきたら唇をめくり、そっと唇をめくって歯や歯ぐきにタッチ!「いい子だね」「気持ちいいね」などやさしく声かけをして、ワンちゃんをリラックスさせながら行います。犬が好む味の歯みがき剤を指につけてなめさせると、お口周りに触りやすくなります。
Step3 奥歯にタッチ
抵抗感がなくなってきたら、歯ぐきに沿って奥歯のほうに指を差し入れてみましょう。ワンちゃんが嫌がらないようなら、指を少し動かしてみます。指を口に入れさせてくれたら、大げさにほめてあげることが大切です。噛むことで歯みがきができるおやつを、ごほうびにあげるのもおすすめですよ。愛犬の「歯みがきって楽しい!」という気持ちを育てましょう。
無理なくできる歯みがきケアの3ステップ
お口タッチができるようになれば、本格的なオーラルケアまでの道のりはぐんと縮まります。どのステップも、上手にできたらたっぷりほめて、最後は好みの味の歯みがきおやつなどで楽しく、おいしく締めくくると、次からもスムーズに触らせてくれますよ。
Step1 お口タッチ
まずはお口周りに触れられることに慣れさせることからスタート。歯みがきジェルやごほうびの歯みがきおやつなども使いながら、焦らずゆっくり慣らしていきましょう。
Step2 歯みがきシートでこする
指に歯みがきシートを巻きつけ、歯や歯ぐきをやさしくこすります。ゴシゴシこすると、犬に嫌がられてしまうので注意!触りやすい犬歯から始め、少しずつ奥歯の方までみがきます。1本ずつくるくると、力を入れずにこすりましょう。もし犬が嫌がったら、すぐに切り上げて。しつこくしすぎると、次から触らせてくれなくなってしまいます。
Step3 歯ブラシでケア
歯ブラシに歯みがきジェルをつけて、1本ずつみがいていきます。慣れるまでは1本みがくごとに、ごほうびの歯みがきおやつをあげて、「歯みがきって楽しい」という気持ちを育てていくと良いでしょう。
歯をみがく時の姿勢もポイント!
愛犬が安心して歯みがきができるように、ワンちゃんが好きな体勢を探しましょう。飼い主さんの顔が見える向かい合わせの姿勢のほか、ワンちゃんを抱きかかえるような姿勢、寝転んでの歯みがきを好むワンちゃんもいます。
抱っこの姿勢でみがく時は、力を入れすぎてきつく抱かないように注意してくださいね。
歯をみがく時の姿勢も大切
ワンちゃんが好きな姿勢を探しましょう。
向かい合わせでみがく
向かい合わせでみがければ、ワンちゃんも飼い主さんも楽な姿勢でみがけます。飼い主さんの顔が見えるのでワンちゃんも安心。
抱きかかえてみがく
ワンちゃんを抱きかかえるようにすると、ワンちゃんが安心して身をゆだねます。力を入れすぎてきつく抱かないようにしましょう。
寝転んでみがく
寝転んでみがくのが好きなワンちゃんもいます。
歯みがきガムや歯みがきおやつも活用
お口のケアは、毎日の歯みがきが基本です。もちろん、毎日歯ブラシでブラッシングできれば理想的ですが、歯みがきを無理強いするようなことはかえって逆効果。歯みがき初心者で、毎日歯みがきするのはまだまだ難しいという時には、歯みがきガムや歯みがきおやつを取り入れるのがおすすめです。
歯垢を落とすために素材や形状が工夫された歯みがきガムは、歯みがきする時間がない時の補助ケアにぴったりです。与える時はポイッとあげずに、飼い主さんが手に持って奥歯やいろいろな歯で噛ませるようにするのがコツ。歯みがきガムや歯みがきおやつには様々な種類がありますが、愛犬の体格や年齢に応じた適正なサイズ、かたさを選ぶと良いですよ。
歯みがきガムや歯みがきおやつを賢く使えば、飼い主さんも愛犬もストレスを感じずに歯みがき習慣をつけることができるはず。毎日コツコツ、楽しみながらお口のケアを続けていけるといいですね。
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