咳エチケットとは?正しく覚えて咳やくしゃみによる飛沫感染を防止しよう

咳エチケットとは?正しく覚えて咳やくしゃみによる飛沫感染を防止しよう

風邪をひいて咳やくしゃみをすると、ウイルスなどの病原体は数メートルも飛び散り、人から人へ感染していきます。飛沫をばらまいて周囲に迷惑をかけないために、身に付けたいマナーが「咳エチケット」。ウイルスや細菌から身を守る5つの対策も紹介します。

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咳エチケットとは?

風邪やインフルエンザなど、咳やくしゃみの飛沫により感染する感染症は数多くあります。

「咳エチケット」は、これらの感染症を家族や周囲の人に感染させないために、咳やくしゃみをする時に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです。
特に、通勤・通学の電車やバス、オフィス、学校などの人が集まるところで実践することは、社会的なマナーになっています。

ここでは、咳エチケットをしなかった時の「飛沫感染」と「接触感染」のリスクや、正しい咳エチケットの方法、日頃から心がけたい感染予防対策まで、詳しく解説します。

咳やくしゃみで病原体は3~5m飛び散る

まずは、このような形で実験したこちらの動画をご覧ください。

<動画でわかる くしゃみで飛び散る唾液のしぶき>
  • 撮影条件:温度25℃、湿度35%のクリーンルームにて撮影 使用機器:微粒子可視化システム(新日本空調㈱製)

これは人がくしゃみをしたときに、唾液のしぶきがどれだけ飛び散るかを特殊なカメラで撮影したものです。白っぽく光るキラキラしたものが、しぶきです。
飛びだす速さと、飛び散る距離、そして小さなしぶきが長時間空気中に漂っていることに驚いたのではないでしょうか。

この動画からイメージできるように、風邪をひいている人が咳やくしゃみをすると、ウイルスなどの病原体はしぶきとともに実に3~5mも飛び散ると言われています。8畳くらいの部屋の中なら、端から端まで届いてしまうほど。オフィスや電車内でも、意外と遠くまで飛んでいるかもしれません。
誰かの鼻や口から飛び出したウイルスや細菌は、空気中を飛んだり漂ったりしているうちに、他の人に吸い込まれます。これが「飛沫感染」です。

一方、吸い込まれなかった病原体は、テーブルなどの家具や電車の手すり、つり革などに付着します。知らずにそれにさわってしまい、その手で口や鼻にふれることで、粘膜から侵入するのが「接触感染」です。

飛沫感染と接触感染、この2つが、病原体の代表的な侵入経路なのです。

口や鼻から飛び出した病原体は簡単に家族に感染する

風邪をひいているときに、咳やくしゃみをティッシュペーパーやハンカチで覆ったら、手にも鼻水やしぶきがついている可能性があります。ですから、咳やくしゃみのあとはできるだけ早く、手洗いをしましょう。病原体がついた手であちこちさわると、家族や職場の仲間など多くの人に感染させることになってしまいます。病原体の侵入経路のそんな一例を見てみましょう。

家族内での病原体の侵入の例

朝から風邪気味のパパ。リビングでハクション!と大きなくしゃみをしました。思わず手で覆いましたが、病原体は近くのドアにも飛び散っていました。パパはその手を洗うことなく、子どもとじゃれつき遊びを始めます。そのため、子どもの手や顔には病原体がついてしまいました。
子どもはそのまま手づかみで朝食を食べたので、体内に病原体が侵入しました。
パパのくしゃみのしぶきがとんだドアノブ。ママやおじいちゃん、おばあちゃんたち家族は知らずにそのドアノブにふれてしまい、その手で口や鼻にふれたり、ものを食べてしまいます。 その結果、数日後には家族全員が風邪を発症するはめに…。

このようなことは家庭内だけでなく、職場でも十分起こり得ます。幼稚園や保育園では、おもちゃや遊具を介して感染する恐れも。

もしも、自分が風邪やインフルエンザにかかってしまったら。その病原体をばらまいて他人に迷惑をかけないために、普段から身に付けておきたいのが「咳チケット」です。

かかってしまったら「咳エチケット」。4つのポイント

「咳エチケット」には次の4つの方法があります。大人だけでなく、子どもにも咳エチケットをしっかり教えて、病原体のばらまき予防への意識を高めてあげるといいですね。

POINT

咳エチケットのポイント

1 マスクをする

1 マスクをする

咳・くしゃみはとっさに出るのでティッシュが間に合わないときもあります。できるだけマスクをして、しぶきが飛び散らないようにしておくとよいでしょう。マスクは鼻と口を覆うようにつけます。隙間があるとそこから、病原体が飛び散るので、顔にぴったり密着させます。

風邪にかかっていない人がマスクをするよりも、感染した人がマスクをする方が、感染を抑える効果がより高いと言われています。

2 ティッシュペーパーなどで口と鼻をカバー

2 ティッシュペーパーなどで口と鼻をカバー

咳・くしゃみをするときは他の人から顔をそむけ、ティッシュペーパーなどで口と鼻を覆い、鼻水や唾液などのしぶきが飛び散らないようにします。使用したティッシュペーパーには病原体が多く付着しているので、すぐにゴミ箱に捨てましょう。手にも鼻水や唾液がついているのですぐに洗いましょう。

3 とっさのときは「肘ブロック」

3 とっさのときは「肘ブロック」

マスクをしていないときにとっさに咳・くしゃみが出そうになったときは、手ではなく、袖や上着の内側で覆い、しぶきが飛び散るのを防ぎます。これを「肘ブロック」と言います。もし手で覆ってしまった場合は、付着した病原体が他に広がらないようにすぐに手を洗いましょう。

4 手を洗う

4 手を洗う

感染症の拡大を防ぐためには、手洗いがとても大切です。咳やくしゃみをしたあとにもしっかりと手を洗いましょう。

外出先などですぐに手が洗えない場合は、手指消毒剤を使うことをおすすめします。

ウイルスや細菌から身を守る5つの対策

目には見えないウイルスや細菌などの病原体は、飛び散ったり、ふれた人の手を介して、いろいろなところに広がっていきます。
知らずに病原体に接触する恐れは、いつ、どこにでもあるもの。以下にあげた感染を予防する5つの対策を、今日からすぐに実行してみませんか。特に、睡眠不足や疲れがたまっている方、体力が落ちている高齢者の方は、実践することをおすすめします。

POINT

自分の身を守る5つの対策

1 人混みや繁華街への外出を控える

感染症を予防するには、まず、原因となるウイルスや細菌を体に入れないことが一番です。人混みなどの繁華街や満員電車は、飛沫感染や接触感染によって、病原体を移されやすい場所です。感染症が流行している時期には外出を控え、やむを得ず出かける際は時間をできるだけ短くするようにしましょう。

2 外出時にはマスクを着用する

人混みや満員電車では、周囲の人が急に咳やくしゃみをして、唾液のしぶきを浴びるかもしれません。少しでも感染を防ぐために、普段からマスクを着用して自己防衛しましょう。ウイルスの侵入を防ぐとうたっているマスクを使用するのもいいですね。マスクと肌の間に隙間があると、そこから病原体が侵入しやすくなるので、できるだけ顔に密着させて着用してください。

3 帰宅したら必ず手洗い・うがい

ウイルスや細菌は思わぬところに飛び散っているものです。ドアや階段の手すり、オフィスの電話やタッチパネルなど人の往来が多いところに病原体がついているかもしれません。電車のつり革や手すりなどは転倒防止、安全確保のためにつかむことが必要ですから、神経質になり過ぎることはありませんが、外出先から帰宅したら、しっかりと手洗い・うがいをして病原体を洗い流しましょう。
インフルエンザウイルスにはアルコールによる消毒も効果的ですから、アルコール製剤で手指を消毒するのもいいですね。

4 室内では適度な湿度を保つ

空気が乾燥する冬は、インフルエンザや風邪、ウイルス性胃腸炎が流行りますね。これは、空気が乾燥しているほうがウイルスの活動が活発になり、感染しやすくなるためです。また、空気が乾燥するとのどや鼻の粘膜が傷みやすくなり、そこからウイルスが侵入しやすくなってしまいます。室内では加湿器などを利用して、適度な湿度を保つことが大切です。

5 十分な休養とバランスの良い食事を取る

同じような環境にいても、感染症にならない人もいますね。それは体の免疫機能に違いがあるからといわれています。
普段から規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠を取ることを心がけましょう。免疫機能を高めておけば、感染したとしても発症する可能性を下げることができるかもしれません。

いかがでしたか?普段から病原体に感染しない!ばらまかない!を合言葉に、感染対策をしっかり行いましょう。

この記事を作成・監修した
マイスター

太田 博崇

衛生マイスター

太田 博崇

おおた ひろたか

お口の中の細菌を中心に、感染症予防の研究などに携わり、その間、国立研究所や歯科大学との共同研究などもしてきました。
これらの経験を活かし、衛生的かつ健康的な生活を送るのに役立つ情報をお届けしていきます。

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