「歯垢(プラーク)」とは~その正体と、お口の健康との関係~

「歯垢(プラーク)」とは~その正体と、お口の健康との関係~

歯垢(プラーク)とは、歯の表面などに付着する、細菌を含むかたまりです。この中で細菌が歯を溶かす酸や病原性物質を作るため、むし歯や歯周病など口腔内の病気の原因になります。歯垢は形成された場所により「歯肉縁上歯垢(プラーク)」と「歯肉縁下歯垢(プラーク)」に分けられ、棲んでいる細菌や性状が異なります。

この記事をシェアする

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

歯垢(プラーク)とは

「歯垢」は、歯の表面に付着したり、歯と歯ぐきのすき間にできる、主に細菌からなるかたまりです。「デンタルプラーク」、「プラーク」とも呼ばれます。ヒトの口の中には700種類以上もの細菌が存在し、歯垢1mg当たり億単位の個数の細菌が存在するといわれています。歯垢はむし歯や歯周病など口腔内の病気の引き金になります。

できた部位による歯垢のちがい

歯垢は形成された場所により、大きく「歯肉縁上歯垢(しにくえんじょうしこう)」(または歯肉縁上プラーク)と「歯肉縁下歯垢(しにくえんかしこう)」(または歯肉縁下プラーク)に分けられます。

歯肉縁上歯垢 歯肉縁下歯垢

歯肉縁上歯垢(プラーク)

歯ぐきより上の部分に付着した歯垢を「歯肉縁上歯垢(プラーク)」といいます。歯を溶かす酸を産生する、通性嫌気性グラム陽性の連鎖球菌や桿菌(かんきん)も多く存在します。これらの細菌は、主に唾液に含まれる成分飲食物を栄養源としており、特に、飲食物中の糖は栄養源であるとともに、酸を作り出す元ともなります。

歯肉縁上歯垢は白色~黄白色をしているため、目では確認しにくく、多く付着した場合は舌でさわるとザラザラとすることもあります。粘着性が強いため、歯の表面にしっかりと付着し、口をすすいだ程度では取れません。

歯肉縁上歯垢

画像提供:(公財)ライオン歯科衛生研究所

歯肉縁下歯垢(プラーク)

歯ぐきより下、歯周ポケットの中に付着した歯垢を「歯肉縁下歯垢(プラーク)」といいます。歯周ポケットの中は酸素が届きにくい場所です。そのため、歯肉縁下歯垢では歯周病や口臭に関与する嫌気性細菌嫌気性細菌が多く存在します。
歯肉縁下歯垢の中の嫌気性細菌の栄養源は、主にからだから出る浸出液です。健康な人の場合は、歯ぐきの内側から歯と歯ぐきの隙間に浸み出してくる血清由来の液(歯肉溝浸出液)が、炎症がある場合は炎症性の浸出液などが栄養源になります。炎症がひどい場合には、出血した血液なども栄養源となります。歯周ポケット内は食物中の糖分などは入りにくい環境ですが、これらの液の中のタンパク質を栄養源として歯肉縁下歯垢の中の細菌は生息しています。

むし歯や歯周病に対する歯垢(プラーク)の病原性

歯垢は食べかすと混同されがちですが、食べかすとは区別され、ただの汚れではなく、生きた細菌を含んでいます。そのため、放置するとむし歯や歯周病など口腔内の病気の原因にもなります。
ここでは、病気を招く歯垢の性質や働きについてご説明します。

1.バイオフィルムとしての性状

歯垢は、細菌がかたまりとなって歯の表面や歯周ポケットに存在しており、このような状態を「バイオフィルム」と呼びます。細菌そのものや細菌が作った多糖類などがフィルム状のかたまりを形成している状態です。
かたまりとなっているため、唾液に含まれている抗菌性物質や免疫細胞などの生体防御因子が内部に働きにくく、かつ、抗菌剤など外部からの薬剤も浸透しづらい状態になります。さらに、バイオフィルム内部で密集した細菌は活動が不活発になることも、抗菌剤の影響が及びにくい理由の一つと考えられています。

また、バイオフィルムは、その内部で作られた病原性物質などが外に拡散しにくい状態になります。その結果、それらの物質が歯の表面や歯周ポケット内に長期にわたって存在することになり、人体にも作用して悪影響を及ぼすことになります。

2.むし歯と歯垢(プラーク)

私たちが飲食すると、歯垢の中の細菌は、飲食物に含まれる糖を栄養源に、むし歯の原因となる酸を作り出します。通常、口腔内では唾液の自浄作用(口の中を洗い流す作用)が働いていますが、バイオフィルムである歯垢の中にはそれが及びにくいため、酸はなかなか洗い流されません。このため、歯の表面に酸が長時間留まることとなり、カルシウムなど歯の成分が溶け出す「脱灰」が引き起こされます。脱灰が進行すると、やがて歯に穴があいてむし歯になります。

飲食と歯垢の中のpH(酸性の度合い)

飲食と歯垢の中のpH 酸性の度合い

3.歯周病と歯垢(プラーク)

歯肉縁下歯垢の中の嫌気性細菌は、タンパク質分解酵素や内毒素をはじめ、様々な病原因子を持っています。
生体側では、これらの細菌や病原因子を排除しようとする防御反応の過程で歯ぐきに炎症が生じます。しかしながら、歯垢が除去されずに残っていると炎症が慢性化してしまいます。この慢性化した炎症は、歯ぐき自身の破壊を引き起こすため、歯周病はさらに進行していきます。

細菌側の因子 内毒素 タンパク質分解酵素など 歯ぐき側の応答 免疫系細胞が動員 炎症性物質の放出

太田 博崇

オーラルケアマイスター

太田 博崇

おおた ひろたか

オーラルケアの基礎研究・製品開発に30年以上携わり、その間、国立研究所や歯科大学との共同で疾患予防研究もしてきました。
これらの経験を活かし、オーラルケアと健康生活に関わる有用な情報をお届けしていきます。

この記事をシェアする

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

Lidea会員限定キャンペーン アンケートボタンを押すだけで
LION商品が抽選で当たる!

この記事は
面白かったですか?

応募規約はこちら

今月のプレゼント

世界にひとつだけの「キレイキレイ」が作れるセットを30名様にプレゼント!

プレゼント詳細
・キレイキレイ薬用泡ハンドソープ本体 2本
 (シトラスフルーティ/フローラルソープの香りをそれぞれ1本ずつ)
・シールにお絵描きしてキレイキレイのボトルに貼れば
 世界にひとつだけのマイボトルが作れる「マイボトルシール」

  • 回答は期間中、1記事につき1回のみ可能です。
  • 最大10記事への回答ができます。
  • 期間中の回答数はマイページにてご確認いただけます。
  • ご当選された方には翌月中旬頃メールにてご連絡いたします。
  • facebook
  • Twitter
  • LINE
通性嫌気性
酸素があってもなくても生育できる細菌のこと
嫌気性細菌
酸素がない条件下で生育できる細菌のこと
通性嫌気性
酸素があってもなくても生育できる細菌のこと