ジーンズ&デニムのお洗濯方法は?色落ち、ダメージをおさえて長持ち
カジュアルな装いに欠かせないジーンズですが、お手入れ方法に自信がないという人も少なくないようです。愛用のジーンズを長く履き続けるために、お洗濯で気を付けたいことを網羅しました。色落ちをおさえるコツや、デニムならではの経年変化の楽しみ方をお伝えします。
ジーンズを洗う前に知っておきたいこと
ジーンズ(デニム生地を使用したパンツ類)は、カジュアルな装いの定番であり、多くの人に愛されています。ただ、ジーンズを長く愛用するためのお手入れ方法というと、自信がない…という声も。お手入れ前に、よくある悩みやジーンズの特徴をチェックしましょう。
ジーンズ洗濯の悩みは?
ライオンが「デニム製品(ジーンズもしくはジャケット)の洗濯でのお悩み」をアンケート調査したところこのような結果になりました※1。
1位:「適切な洗濯方法がわからない」
2位:「色落ちする」
3位:「部分的に落ちない汚れがある」
この記事では、これらのジーンズ洗濯における悩みや不安を軽減して、上手にお洗濯する方法をご紹介します。
- ※1 ライオン調べ、洗濯を1週間に1回以上実施している20〜50代、972名、2022年
そもそもジーンズって洗わない方がいいの?
洗濯すると、色落ちや縮み、ほかの衣類への色移りなどが気になるジーンズ。「なるべく洗濯頻度を減らした方がいいのでは?」と迷う人も多いでしょう。
お洗濯の頻度について、ライオンの調査結果では、「2〜5回着用したら洗濯する」という人が半数近くで、着用のたびに洗濯する人が2割弱でした。(詳しくはこちら)
お洗濯を控え、汚れや汗がついたまま長い期間放置すると、汚れが変質し、洗濯では落ちにくくなったり、黄ばんだり、イヤなニオイが発生する可能性が高まります。場合によっては、カビが生えてしまうことも…。そうなると、通常の洗濯では、なかなか改善できません。適切に洗濯すれば、色落ちや縮みなどはおさえることができるので、清潔に保つという観点から定期的なお洗濯をおすすめします。
ジーンズの特徴
ジーンズ(デニム製品)を洗濯する前に、知っておきたい特徴を紹介します。
ジーンズの染色に使われるインディゴ染料は、色落ちしやすい性質があります。また、水につかると縮みやすいのも、ジーンズの特徴です。そのため、着用や洗濯を繰り返すことで、色落ちによって淡色に変化していくのは、デニム製品の宿命といえるでしょう。特に、濃色のジーンズを初めて洗濯する時には、色落ちがしやすいもの。
また、洗濯により縮む場合も、ある程度縮むとそれ以上は縮みにくくなるので、裾上げの際などは縮むことを考慮に入れてお直しをするといいでしょう。
ジーンズの魅力は、着用や洗濯を通じて徐々に色が落ちたり、アタリといった線状の模様が生まれたりと、「履き方次第で個性的な表情、味わいが生まれること」とも考えられます。定期的にお洗濯をして清潔に保つと、ジーンズはより長持ちします。適度な変化を楽しみながら、ジーンズを「育てていく」のも素敵ですね。
ジーンズの洗濯方法は?
ジーンズには、シルエットや色、ダメージ加工など、様々なタイプがありますが、基本的な洗濯方法は変わりません。ここでは、色落ちをおさえ、汚れをしっかり落とすのに適切なお洗濯方法をご紹介します。
●洗う前の「準備」
1. 「洗濯表示」を確認する
ジーンズのタグについている洗濯表示をチェックして、家庭で洗えるかどうかを確認します。以下の表にあるマークがついていたら、自宅で手洗い、または洗濯機で洗うことができます。
洗濯表示 | 旧絵表示 | |
---|---|---|
洗濯機で洗える | ||
手洗いできる |
- ※2016年12月から洗濯表示が新しくなっています。
- ※正式には、上記マークの中心に「40」などの洗濯液の上限温度を示す数字が記載されている場合がほとんどです。ここではわかりやすくするために数字は省略しています。
下図のように、洗濯表示の洗濯桶マークに「×」がついている場合、家庭洗濯ができないジーンズです。自宅では洗えませんので、クリーニング店に依頼することをおすすめします。
洗濯表示 | 旧絵表示 |
---|---|
2. 「洗濯コース」と「洗剤」を選ぶ
洗濯表示に従って、洗濯コースと洗剤を選んでください。
洗濯コースは、洗濯表示に応じて「標準コース」、「弱水流コース(手洗いコースなど呼び方は洗濯機によって異なります)」、「手洗い」のいずれかになります。また、洗剤も同様に、洗濯表示に合わせて、一般衣料用洗剤かおしゃれ着用洗剤(アクロン)のいずれかを選んでください。
旧絵表示 | 洗濯表示 | おすすめの洗濯の仕方 | おすすめの洗剤 |
---|---|---|---|
洗濯機による洗濯ができる。 洗濯機の弱水流又は弱い手洗いがよい。 | 洗濯機で洗濯処理ができる 洗濯機で弱い洗濯処理ができる |
洗濯機の「標準コース」などで洗濯する | 一般衣料用洗剤 |
洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができる | 洗濯機の「弱水流コース」「手洗いコース」などのやさしいコースで洗う 液温は30℃以下を推奨 |
おしゃれ着用洗剤 |
|
弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない)。 | 手洗いができる | 手洗いする。洗濯機を使う場合は、洗濯機メーカーの情報を確認して「手洗いコース」「ドライコース」などのやさしいコースで洗う。液温は30℃以下を推奨 | |
水洗いできない。 | 家庭での洗濯禁止 | 家庭洗濯禁止 | - |
なお、下記の洗濯表示がついたジーンズは、上表では一般衣料用洗剤がおすすめですが、色やスタイルをできるだけキープしたいお気に入りのジーンズは、おしゃれ着用洗剤(アクロン)を使用してやさしく洗うことをおすすめします。
洗濯表示 | |
---|---|
要注意!
洗剤の中には漂白剤入りのものがあります。洗濯表示に下記の記号(漂白処理ができない)がついている場合、「漂白剤入りの洗剤」は使用できません。
3. 目立つ汚れを払う
泥などの目立つ汚れがある場合、乾いた状態で、手で払ったり、ブラシなどを使用して、できるだけ落としてください。
4. 前処理をする
目立つ汚れやシミがある場合、汚れ落ちをよくするために前処理します。汚れが気になる部分に、液体洗剤をつけてキャップの底で軽くたたいてなじませてください(もしくは、汚れの種類に合った部分洗い剤をつけてください)。
5. 裏返して、洗濯ネットに入れる
刺しゅうやスパンコールなどの装飾がある場合やダメージ加工がある場合は、その部分の傷みを防ぐために、ジーンズは裏返すとともに、加工がしてある部分が内側になるように、3〜4つ折りにしてたたみ、洗濯ネットに入れましょう。その際、ファスナー、ボタン、ホックなどは、あらかじめ閉めておくようにしましょう。
●「洗う」時の手順
1. 適切な「洗濯コース」「洗剤」で、「単独」で洗う
「洗う前の準備」で確認した洗濯表示に合わせて、適切な洗濯コース、洗剤で洗ってください。前処理で「液体洗剤」を使用した場合には、洗濯で使用する洗剤量は、前処理で使用した洗剤量を差し引いた量としてください(前処理で「部分洗い剤」を使用した場合には、使用した量を差し引く必要はありません)。
要注意!
色落ちやほかの衣類への色移りの心配があるため、ジーンズは単独で洗いましょう。
2. すすぎ回数を少なくする
ジーンズはお洗濯時間が長くなるほど、洗濯機の機械力(水流の力)の影響を受け、色落ちや、縮みなどのダメージを受けやすくなります。最近では、すすぎ回数が1回でよい洗剤もありますので、適したすすぎ回数に設定してください。
また、「アクロンスマートケア」はすすぎ0回なので、洗濯工程の7割を占めていたすすぎの工程がなくなることで、お洗濯による衣類の傷みが軽減され、色落ちや縮みをおさえられます。
3. 柔軟仕上げをする
柔軟剤によっては、衣類をやわらかくするほか、洗濯じわを減らしたり、香りが長続きして汗のニオイや食べ物のニオイがつくのをおさえたりする効果があります。目的に応じて使い分けましょう。
なお、「すすぎ0回」が特徴の洗剤「アクロンスマートケア」と柔軟剤を併用する場合は、すすぎ回数は1回に設定してください。
4. 短時間で脱水
ジーンズは多くの水分を含んだ状態では重くなり、脱水時に洗濯槽の壁に当たるなどして繊維を傷めてしまう可能性があります。また、装飾品やダメージ加工があるものは傷みやすかったり、ストレッチ素材を使ったスキニータイプのものはしわになりやすかったりするので、短い時間で脱水しましょう。
●「干す」時の手順
1. 脱水後、すぐに形を整える
洗濯じわを防ぐため、脱水後はすぐに取り出します。折りたたんだ状態で手のひらで軽くたたいてしわをのばしましょう。
2. 風通しの良い日陰で筒状に干す
ジーンズの形を保ち、早く乾かすために小物干しなどに筒状につるします。直射日光での色あせや変色を防ぐために、裏返しにしたままで日陰に干しましょう。
型くずれなどをさせないためにはタンブル乾燥ではなく、自然乾燥がおすすめです。どうしても乾燥機を使用したい場合には、洗濯表示を見て、タンブル乾燥が可能かを確認してください。
要注意!
ストレッチ素材などポリウレタンを使った素材は、熱で変形するおそれがあるので、回転式衣類乾燥機の使用はおすすめできません。
ジーンズの「手洗い洗濯」は?
下図のように洗濯表示に「手洗いマーク」がある場合や、ジーンズをやさしく洗いたい場合には、おしゃれ着用洗剤(アクロン)を使用して、手洗い洗濯してください。
ただし、洗濯機によっては「手洗いマーク」の衣類でも、洗濯機で洗える場合があります。取り扱い説明書を確認して、手洗いコースなど、手洗いマークに該当するコースを選んでください。
洗濯表示 | 旧絵表示 |
---|---|
手洗い洗濯時には、強くこすったりすると、その部分が色落ちし、ムラになることがあるため、「押し洗い」をしてください。押し洗いしやすいように、洗濯機で洗う時と同じように、ジーンズは裏返して3~4つ折りにたたんでください。
「収納・保管」の方法
たくさんあるジーンズを「収納・保管」する場合は、引き出しや保管ケースの大きさに合わせてたたみ、立てて収納すると引き出しの中が見やすく、簡単に探し出せます。
すぐにお洗濯しない時のお手入れ方法は?
ジーンズを「お洗濯しない時」は「しわとり消臭スプレー」でニオイとしわをとってリフレッシュさせましょう。脱いだ後、全体にしっとりする程度にスプレーし、全体を軽く引っ張りながらしわを伸ばして、形を整えてから乾燥させます。こうすることで、ニオイもしわもとれて、気持ち良く着用できます。
ジーンズ以外のデニム製品の洗濯
ジャケット(Gジャン)やデニムシャツ、デニムスカート、バッグなど、ジーンズ以外にもデニム生地のアイテムはたくさんあります。形は違っても、色落ちしやすいという特徴は、ジーンズもほかのデニム製品も同じです。洗濯表示を確認した上で洗濯することを心がけてください。
ジーンズをわざと色落ちさせることはできる?
自分好みのジーンズにするために、わざと色落ち・変色させたり、縮ませたりする人もいるようです。ジーンズ関連のウェブサイトでは、衣料用洗剤を適量よりも多く「濃いめ」で洗ったり、塩素系漂白剤に浸したり、高温の水で洗うといった方法を紹介しているものがあります。
しかし、適量以上の衣料用洗剤で洗うと、洗剤残りなどの不具合が発生する可能性があります。また、本来、漂白剤は汚れの色素を漂白するためのものです。色落ちさせるための使用はおすすめできません。
ジーンズの変化は、時間とともに楽しむものでもあります。着用と適切な洗濯を繰り返すことで生まれる自然な色落ちを楽しみ、ジーンズを長持ちさせながら愛用していくのがいいかもしれません。
ジーンズ・デニム製品に関するQ&A
ジーンズやデニム製品のお洗濯にまつわる疑問に一挙に答えます!誰かに話したくなる豆知識もぜひチェックしてみてください。
【洗濯・着用編】
Q1・ジーンズ(デニム製品)の洗濯に適した洗剤は?
A.「おしゃれ着用洗剤(アクロン)」がおすすめ
洗剤は「おしゃれ着用洗剤(アクロン)」がおすすめです。また、柔軟剤をすすぎ時に使用すると、肌触りがよくなりますし、防臭効果のある柔軟剤であれば、汗や食べ物のニオイの付着を防ぎます。
Q2・ジーンズ(デニム製品)に漂白剤を使用しても良い?
A.洗濯表示を確認してください
漂白剤は、汚れの色素などに化学的に作用することで、汚れやイヤなニオイを防ぐものです。そのため、ジーンズに使用すると、汚れだけでなくインディゴ染料にも漂白剤が作用する可能性があります。衣類についている洗濯表示で、漂白剤が使用できるかどうかを最初に確認してください。
Q3・ジーンズ(デニム製品)に柔軟剤を使用しても良い?
A.基本的には問題ありません
柔軟剤を使うことで、ジーンズの肌触りをやわらかくする効果が期待できます。また、洗濯によるしわを減らしたり、香りをつけたり、汗や食べ物のニオイがつくのをおさえたりする効果のある柔軟剤もあります。
ただし、衣類についているタグなどに、柔軟剤の使用を控える注意書きがある場合は、使用しないでください。
Q4・ジーンズ(デニム製品)に適した洗濯コースは?
A.洗濯表示に合わせて選んでください
洗濯表示を確認し、洗濯機の「標準コース」もしくは「弱水流コース(手洗いコースやドライコースなど、呼び方は洗濯機によって異なりますので取扱説明書にてご確認ください)」で洗いましょう。あるいは、「手洗い洗濯」もおすすめです。標準(通常)コースで洗えるジーンズでも、やさしく洗いたい場合には「弱水流コース」や「手洗い洗濯」をしても問題ありません。反対に、弱水流コースや手洗い洗濯の表示があるジーンズを標準コースで洗うことはおすすめできません。
洗濯コースと使用する洗剤の選び方についてはこちら
Q5・ジーンズ(デニム製品)をやわらかく仕上げるには?
A.柔軟剤を適量で使用してください
柔軟剤には、衣類をやわらかく仕上げる効果があります。ジーンズをやわらかくしたい場合には、すすぎ時に柔軟剤を使用しましょう。ただし、やわらかくしたいからといって、目安量以上の柔軟剤を入れても効果はほとんど変わりません。製品の表示を参考に、適量を使用してください。
Q6・ジーンズ(デニム製品)にアイロンをかけても良い?
A.アイロンの前に洗濯表示を確認してください
衣類の洗濯表示を見て、アイロンがけが可能かを確認しましょう。アイロンがOKの場合も、繊維を傷めないように適温でのアイロンがけをしましょう。スーツやシャツとは異なり、しわを軽く伸ばす程度で良いです。
Q7・ジーンズ(デニム製品)は乾燥機を使っても大丈夫?
A.タンブル乾燥が可能かを確認してください
衣類の洗濯表示を見て、タンブル乾燥が可能かを確認してください。ストレッチ素材など、ポリウレタンを使ったジーンズは熱で変形するおそれがあります。回転式衣類乾燥機の使用はおすすめできません。
Q8・ジーンズ(デニム製品)着用時に注意することは?
A.湿度が高い時には特に注意が必要です
「ジーンズ(デニム製品)」とほかの衣類がこすれることで、色が移る可能性があります。特に、雨などで水分を含むと、ジーンズやデニム生地は色落ち・色移りがしやすくなります。湿度が高い日は、ジーンズに合わせるシャツやベルト、バッグなどは白地を避けるなど、コーディネートを工夫しましょう。
また、ダメージ加工で一部が破れているジーンズなどを着用する時は、ダメージ部を足で引っかけないように注意して履いてください。
Q9・ジーンズの収納・保管方法のおすすめは?
A.「立てて」収納しましょう
たくさんあるジーンズを収納・保管する場合は、引き出しや保管ケースの大きさに合わせてたたみ、立てて収納するのがおすすめです。引き出しの中が見やすく、簡単にお目当ての1着を取り出せます。
Q10・ジーンズ(デニム製品)の破れなどの修繕方法は?
A.専門店などで補修が可能です
長年着用・洗濯を繰り返していると、もも、膝、股、裾などの一部が破れたり、穴が開いたり、ほつれたりする場合があります。ほつれ、破れなどは専門店に依頼することで、修理が可能です。破れた箇所が小さいほど、修繕のあとが目立ちにくいので、早い段階で修理するのが良いでしょう。
ただし、長年着用している場合は、生地全体の強度が弱くなり、破れやすくなっていることもあります。修理前に専門店とよく相談してください。
Q11・ジーンズ(デニム生地)を染め直すことはできる?
A.インディゴ染料での染め直しは困難です
ジーンズは、インディゴ染料を用いて、特殊な方法で染色しています。家庭で染め直すのは難しいでしょう。しかし、インディゴ染料にこだわらなければ、ほかの染料で染めることは可能です。市販の染料を使って家庭で染め直すほか、専門店に依頼する方法もあります。例えば株式会社京都紋付(本社:京都府京都市)では、100年以上続く伝統技術を生かし、「黒染め加工」を行っています。色あせたり、着用機会が減ってしまったデニムを、ガラリと違った雰囲気の新たな服として蘇らせることができるかもしれません。
伝統技術を活かした㈱京都紋付の黒染め加工
【豆知識編】
Q12・デニムとジーンズの違いは?
A.「デニム」は生地素材を指す言葉です
「デニム」はジーンズに使用される厚手の織物(綾(あや)織物)の生地素材を指す言葉。一方の「ジーンズ」は、デニムを使用した衣服(パンツ類)を意味します。混同して使われがちですが、厳密には「デニム」と「ジーンズ」は同義ではありません。
Q13・デニムとジーンズの由来・語源は?
A.フランスやイタリアの地名が関係しています
「デニム」の語源は、フランス語の「セルジュ・ド・ニーム(ニーム産のサージ)」。セルジュ(英語ではサージ)とは、綾織で作られた生地のこと。19世紀、フランス南部のニームでは綿製品の貿易が盛んで、英語圏との取引も多かったといいます。そこで発音しやすいように、「デ・ニーム」、さらに「デニム(Denim)」と変化していった、といわれています。
また、「ジーンズ」の語源は、アメリカに輸出する織物の集積地であったイタリアの港町・ジェノバに関係しています。アメリカ人がジェノバの船員が履いていたパンツを、ジェノバ製という意味の「ジェンズ(Genes)」と呼んだことが語源という説があるのです。ただし、船員が履いていたパンツは、現代のジーンズとは異なる物だったそうです。
- 参考文献:『ジーンズソムリエ資格認定試験公式テキスト』岡山県アパレル工業組合・一般社団法人倉敷ファッションセンター発行
Q14・ジーンズの発祥は?
A.ゴールドラッシュ時にリーバイ・ストラウス氏が製造したのが始まり
ゴールドラッシュに湧くカリフォルニアでは、丈夫な作業着が必要とされていました。そこで、サンフランシスコの生地商であったリーバイ・ストラウス氏が発売したのが、ジーンズの発祥といわれています。生成りで厚みのあるキャンバス生地で作ったウエスト丈のオーバーオールで、通常のズボンの上に重ねて着るものでした。その後、1873年にリーバイス社の取引先である、仕立て屋のヤコブ・デイビス氏が破れやすい後ろポケットの両角などに馬具用のリベットをハンマーで打ち付ける工夫を行い、爆発的な人気を得ることになります。使用する生地も、デニムに代わっていきました。
- 参考文献:『ジーンズソムリエ資格認定試験公式テキスト』岡山県アパレル工業組合・一般社団法人倉敷ファッションセンター発行
Q15・ジーンズ(デニム生地)の染色方法は?
A.インディゴ染料を使用して染色します
デニム生地は、インディゴ染料を溶かした染液を繊維に吸収・固定させることによって染色されます。インディゴ染料は、水に溶けにくい性質を持っています。そのため、デニムに使う染液は、インディゴ染料を「(化学的に表現すると)還元する」ことによって水溶性にして作られます。この染液に繊維を浸してインディゴ染料を浸透させたあと、液を絞り、空気中で酸化させることにより、染料を繊維に固定し発色させています。濃色は、染液への浸漬と空気酸化を繰り返すことにより実現しています(染液の濃度を濃くして染色回数を少なくおさえる場合もあります)実は、インディゴ染料の還元体が含まれる染液は黄色のため、液中では繊維は黄色ですが、空気中で徐々に酸化され緑色から青色に変化していきます。
Q16・ジーンズ(デニム生地)はどうして色落ち・色移りしやすいの?
A.インディゴ染料と繊維の吸着力が弱いためです
インディゴ染料は、繊維内部への浸透力が弱く、染まりにくい性質を持っています。さらに、繊維への吸着力も弱いため、着用や洗濯によって色落ちしたり、落ちた染料がほかの衣類に色移りしたりすることがあるのです。
一方で、デメリットとも捉えられるこの「色落ちしやすい」という性質は、着用や洗濯による摩擦などで色合いが変化するという大きな特徴を与え、デニム生地の魅力ともなっています。ジーンズを製品化する際の最終行程である「洗い加工」では、この特徴を活かすなどして、様々な加工によって付加価値をつけた製品作りが行われています。
Q17・ジーンズ(デニム生地)が色落ちするとどうして白くなるの?
A. 染色されていない白色部分が表面に露出するためです
デニム生地の糸は表面のみ染色され、中心は白く染め残った中白状態になっています。衣類同士の摩擦などで表面の染料が落ちると、中心の白色が表面に現れて、それがアタリ感(色落ち感)としてジーンズの表情になっていきます。
なお、デニム生地は経糸(縦方向の糸)と緯糸(横方向の糸)で構成されますが、デニムは経糸のみインディゴ染料で染められており、緯糸は染色されておらず白色です。摩擦などにより経糸が切れて緯糸が露出することでも白くなることがあります。
Q18・ジーンズ(デニム製品)の「洗い加工」とは?
A.デニム製品に付加価値をつける独特の加工です
洗い加工は、付加価値をつけるとともに、デニム生地特有の困りごとを減らすことを目的とした、デニム製品独特の加工法です。洗い加工は、アタリ感(色落ち感)や破れを作る「前行程」と、余分な染料や糊材を落としたり、寸法変化を小さくしたり、特徴的な見た目にするためなどに行う「洗い行程」の2つからなります。
「前行程」では、シェービング(ブラシを用いてこする)、サンドブラスト(砂を吹き付けて繊維を削る)、レーザー加工(デニム表面を熱分解する)といった加工が行われます。「洗い行程」では、水洗機(ワッシャー)を用いた常温洗浄・高温洗浄、ストーンウォッシュ(軽石と一緒にジーンズを洗って表面を削り、中古感を出す)、バイオウォッシュ(酵素で繊維を分解して、表面加工するとともにやわらかくする)などがあります。
みんなの「お洗濯頻度」は?「洗濯方法」は?
多くの人が愛用するデニム製品について、実態調査をしてみました!
デニム製品(ジーンズ(パンツ)、ジャケット)の所有枚数を調査したところ、8割以上の方がデニム製品を所有しており、そのうち半分以上が3着以上所有していました。5着以上という人も3割近くにのぼります※2。
次に、所有しているデニム製品の中で着用頻度が一番高いアイテムの洗濯頻度を伺いました。「2〜5回着用したら洗濯する」という人が半数近くで、「着用のたびに洗う」という人は約2割でした。「洗濯しない」は4%という結果に※3。
更に、洗濯時の「洗濯機のコース」と「使用する洗剤」について調査しました※1。標準(通常)コースでしっかり洗う人が7割以上で多数派。弱水流コースなどでやさしく洗う人は1割強でした。また、下の図のように、一般衣料用洗剤で洗う人が7割以上と圧倒的。おしゃれ着用洗剤でやさしく洗う人は2割強でした。柔軟剤を使うと答えた人も2割にとどまっています。
洗濯する際には、洗濯表示を確認して洗濯コースや洗剤を選んでください。色落ちを防いでやさしく洗いたい場合には、弱水流コースでおしゃれ着用洗剤を使用した洗濯をおすすめします。
洗濯コースと使用する洗剤の選び方についてはこちら
- ※2 ライオン調べ、洗濯を1週間に1回以上実施している20~50代、1200名、2022年
- ※3 ライオン調べ、洗濯を1週間に1回以上実施している20~50代、1012名、2022年
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
片木 徹也
かたぎ てつや
洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。
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