風邪との違いは?知っておきたいインフルエンザの症状と予防対策
インフルエンザの症状は風邪より重く、38~40度の高熱や全身のだるさが現れ、全身の痛みがあり、肺炎や気管支炎などの合併症が出やすいのが特徴です。かかってしまったら、とにかく安静にして休養をとりましょう。家族で心がけたい予防策、周りの人にうつさないための「咳エチケット」などもご紹介します。
インフルエンザの症状と予防・対策をしっかり把握しよう
そろそろインフルエンザの流行シーズンですね。できるだけかからない、そして人にうつさないためには、まずはインフルエンザについてしっかり知ることが大切です。症状、流行シーズン、対策などわかりやすくまとめましたので、ぜひごらんください。
<目次>
◇風邪との違いは?症状は?
◇主な流行期間は冬から春
◇また新型インフルは出てくる?
◇主な感染経路は飛沫感染
◇かかってしまったら
◇「咳エチケット」を身に付けよう
◇職場や学校に復帰する目安は?
インフルエンザは風邪とどう違うの?症状は?
インフルエンザは「かぜ症候群」のひとつですが、全身症状が強いのが特徴です。人から人への感染力が強く、流行を起こすことから、「流行性感冒」とも呼ばれます。
一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
インフルエンザの「症状」は、風邪と比べて重く、1~3日の潜伏期間を経て、寒気や悪寒を伴う38~40度の高熱、全身のだるさなどが急激に現われます。また頭痛や関節痛・筋肉痛といった全身の痛みがある、肺炎や気管支炎などの合併症が出やすいという特徴があります。時として、神経系の合併症である熱性けいれん、脳炎、脳症などを引き起こすこともあります。
<インフルエンザの主な症状>
インフルエンザの主な流行期間は冬から春
「インフルエンザウイルス」は、A、B、Cの3型があり、流行的な広がりを見せるのは、A型とB型です。いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。日本では、下のグラフからわかるように、例年12月~3月が流行シーズンです。
それぞれのウイルスは毎年少しずつ変化していくことから、その年に予防接種を受けても、次の年はかからないという保証はありません。
特にA型のインフルエンザは、その原因となるインフルエンザウイルスの抗原性※1が小さく変化しながら、毎年世界中で流行しています。これを季節性インフルエンザと呼んでいます。
※1 抗原性とは
人間のからだには、ウイルス(抗原)が入ってくると、そのウイルスを攻撃する働きをもった物質(抗体)を作り、次に同じウイルスがからだに入ってきても感染症になりにくくする「免疫」という働きがあります。この働きを利用するのがワクチンによる予防接種です。抗原の毒性を弱めたり、無毒化したものがワクチンで、ワクチンを接種すると、実際には病気にかからなくてもその病気への免疫ができます。インフルエンザの予防接種には、体内でウイルスが増殖しないように不活性化した「不活化ワクチン」が用いられます。
抗体に結合することができる抗原の性質を「抗原性」といいますが、インフルエンザウイルスの場合、この抗原性の変化を頻繁に繰り返すことが知られています。
インフルエンザの歴史 ~また新型インフルは出てくるの?~
抗原性が大きく変化したインフルエンザウイルスの中で、国民の健康と生命、生活に、場合によっては医療体制を含めた社会機能や経済活動にまで影響を及ぼす可能性があるものを、「新型インフルエンザ」と呼んでいます。
過去100年以内に発生した新型インフルエンザには以下のものがあります。
・大正7(1918)年 「スペインインフルエンザ(スペイン風邪)」
・昭和32(1957)年 「アジアインフルエンザ」
・昭和43(1968)年 「香港インフルエンザ」
・平成21(2009)年 「インフルエンザ(H1N1)2009)」
世界に流行が広がり、多くの国民が新型インフルエンザに対しての免疫を獲得するにつれ、このような新型インフルエンザも、季節的な流行を繰り返すようになっています。そのため、平成21年に発生したインフルエンザ(H1N1)2009についても、平成23(2011)年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われることになりました。
次の新型インフルエンザウイルスがいつ出現するのかは、誰にも予測することはできません。また平成21(2009)年に流行したインフルエンザ(H1N1)2009とはまったく異なる特徴を持っている可能性もあるのです。
インフルエンザの5つの予防策~主な感染経路は飛沫感染~
かかってしまうと高熱や悪寒で大人でもつらいインフルエンザ。予防するために家族で次の5つを心がけましょう。
インフルエンザ5つの予防策
1 流行期は人混み、繁華街を避ける
インフルエンザにかからないためには、まず原因ウイルスをからだに入れないことが大切です。インフルエンザの主な経路は2つ。ウイルスがついた手すりなどを直接さわることによる感染(接触感染)もありますが、多くは、かかった人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染(飛沫感染)です。ウイルスを持っている人がくしゃみをすると、数万個のウイルスが3~5m四方へ飛び散るともいわれています。
人混みの中や満員電車などはウイルスをうつされやすい場所です。インフルエンザが流行してきたら、特に高齢の方や基礎疾患のある方、妊娠している方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出するときも、人混みに入る時間は極力短くしましょう。
2 手洗い・うがい・アルコール消毒
外出から帰ったらしっかりと手洗い・うがいをして、ウイルスを洗い流しましょう。インフルエンザウイルスにはアルコールによる消毒も効果的なので、アルコールを含んだ消毒液を手指にすりこんで消毒するのもいいでしょう。
3 規則正しい生活・栄養バランス・十分な睡眠
ウイルスに感染しても発病しないように、全身の免疫機能を高めておくことも大切です。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠をとるように心がけてください。
4 予防接種を受ける
感染前の予防策として「予防接種」が行われます。予防接種で感染を完全に防ぐことはむずかしいのですが、症状を軽くする効果もあるので、子どもや高齢者、呼吸器系の疾患がある人は、流行前に接種しておくといいでしょう。毎年10~12月頃に、成人なら1回の接種、1~13歳未満は2回の接種が望ましいとされています。
5 加湿器などで適度な湿度を保つ
空気が乾燥すると、のどの気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
かかってしまったら、とにかく安静にして休養を
急に高熱が出たり悪寒がするなど、具合が悪くなった場合は早めに医療機関を受診しましょう。
かかってしまったときの生活の注意点
・安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
・水分を十分に補給しましょう。お茶でもスープでも飲みたいもので結構です。
・咳やくしゃみ等の症状のある時は、まわりの方へうつさないために、マスクを着用しましょう。
・人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。
自分がうつすことも?!「咳エチケット」を普段から身に付けよう
たとえインフルエンザウイルスに感染しても、まったく症状が出ないこともありますし(不顕性感染例)や、風邪のような症状のみでインフルエンザウイルスに感染していることを本人も周囲も気が付かない軽症例も少なくありません。
知らぬ間に自分が他人にウイルスをうつさないためにも、普段からみんなで「咳エチケット」を守ることを心がけたいものです。飛沫感染対策としてマスクは重要ですが、感染者自身がマスクをする方が、感染を抑える効果は高いといわれています。
咳エチケットとは
1 咳やくしゃみをするときは、ティッシュなどで口と鼻をカバーする
使用したティッシュにはウイルスなどの病原体が多く付着しているので、すぐにゴミ箱に捨てましょう。
2 咳やくしゃみが出るときはできるだけマスクをする
マスクをする際には鼻と口をおおうようにつけましょう。
3 とっさの咳やくしゃみのときは、袖などでカバーする
マスクをしていないときに咳やくしゃみが出そうなときには、手ではなく袖や上着の内側で覆いましょう。これを「ひじブロック」といいます。手で覆ってしまうと病原体を他に広げる可能性があるからです。
4 手を洗う
もしも手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時は、公共の場所に触ることなくすぐに手を洗いましょう。
もし、すぐに手が洗えない場合は、手指消毒剤を使うことをおすすめします。
職場・学校・園に復帰する目安は、ウイルスの排出が治まってから
一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は、体内からウイルスが排出されるといわれているため、その間は出勤や外出を控える必要があります。
排出されるウイルスの量は、熱が下がるにつれて減少するものの、熱が下がった後でもウイルスを排出しつづけるといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、マスクを着用する等、まわりの方へうつさないよう極力配慮しましょう。できれば医師から「感染のおそれがない」と診断を受けてから出社したほうが職場の方も安心ではないでしょうか。
また冬になると「インフルエンザで学級閉鎖」という話をよく聞きます。これは、インフルエンザが学校保健安全法で「学校感染症」に指定されているためです。病院でインフルエンザと診断されたら、発症したあと5日を経過し、かつ、熱が下がって平常にもどった後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止とされています。ただし、病状により学校医その他の医師において「感染のおそれがない」と認めた場合は、この限りでありません。
登校禁止期間でも、熱が下がってインフルエンザの症状がなくなると、体力を持て余して、外に遊びに行きたくなってしまうかもしれません。しかし、インフルエンザで怖いのは肺炎や脳症などの合併症です。まだ体力が落ちている時期なので外出はもちろん、無理をすることは禁物です。
また解熱後もウイルスは排出されていますから、外出すれば他人に感染させるおそれもあります。油断をせずに過ごしましょう。
この記事を作成・監修した
マイスター
衛生マイスター
太田 博崇
おおた ひろたか
お口の中の細菌を中心に、感染症予防の研究などに携わり、その間、国立研究所や歯科大学との共同研究などもしてきました。
これらの経験を活かし、衛生的かつ健康的な生活を送るのに役立つ情報をお届けしていきます。
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