乾きにくい冬の部屋干しを救う!5つのポイントで部屋干し上手に

乾きにくい冬の部屋干しを救う!5つのポイントで部屋干し上手に

冬に部屋干しをすると、洗濯物がなかなか乾かなかったり、部屋が結露したりするなど、寒い季節ならではの問題が発生するとの声がよく聞かれます。冬の部屋干しは、暖房をかけた部屋や日差しが入る部屋で行うのがポイント。結露を防ぐためには家中の空気の流れを良くし、こまめに換気することも大切です。生乾き臭対策には、抗菌効果のある洗剤を使うこともおすすめですよ。

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気温の低い冬は、洗濯物を外に干してもなかなか乾きづらいと感じる方も多いのでは。でも、部屋干しでは生乾き臭が気になる……。また、雪が多く、外干しができる日が少ない地域もあるでしょう。
冬の部屋干しは、気温が高い夏の部屋干しとは違う注意ポイントがあります。
そこで、寒い季節に多く聞かれる、部屋干しについての5つの疑問にお答えします。

Q1:湿度は低いのに、なぜ洗濯物が乾きにくい?

冬は、肌や唇がカサカサになってしまうほど、空気が乾燥していますね。湿度が低くなれば、洗濯物だって早く乾きそうなものですが、実際には湿度が高い夏よりも乾くまでの時間は長いですよね。これはなぜでしょう?

冬は湿度がそもそも低く、室内は風の影響も少ないので、洗濯物の乾きやすさを決めるのは、温度の影響が大きいと考えられます。
洗濯物が乾くということは、繊維に含まれている水分が周囲の空気中に移動する、ということ。ですから、乾燥するスピードは、「温度」「湿度」「風」の3つの条件によって変わります。
温度は高いほど、湿度は低いほど、風は強いほど、乾きやすくなります。
部屋の温度は高くなればなるほど、洗濯物の繊維中の水分が、繊維表面で水蒸気になりやすくなるため、乾きやすくなります。しかし冬の暖房なしの部屋は、温度が低く、繊維中の水分が水蒸気になりにくく、空気中に放湿されにくくなるので、その結果、洗濯物の乾きが遅くなるんです。

湿度は低いのに乾きにくい冬の部屋干しを攻略するには、「温度」と「風」にアプローチするのが有効です。エアコンなどの暖房器具で室温を上げたり、エアコンや扇風機、衣類乾燥除湿機などで衣類に風を送ると、乾燥時間を短縮することができます。

さらに、干し方の工夫も有効です。干し方を変えるだけで、乾燥時間が短くなります。
例えば、バスタオルを基本形(真っ二つに折った干し方)とずらし干し(前後をずらした干し方)の2つの干し方で比較した場合、乾燥時間にどれだけ差が出るか実験してみました(東京における1月の昼間の気温・相対湿度の平年値に近い状態で実験)。その結果、基本形は410分だった一方で、ずらし干しは375分と、35分の違いがありました

バスタオルの乾燥時間(気温10℃)

基本形 410分 ずらし干し 375分

実験条件:縦型洗濯機の標準コースで洗濯したバスタオルを、10℃50%の恒温恒湿室で乾燥させ、乾燥するまでの時間を測定。バスタオル:250g/枚、縦110cm×横60cm。

バスタオルのずらし干しだけでなく、角ハンガーを使用する時の「アーチ干し」など、乾きやすい干し方にトライしてみましょう。

Q2:冬の部屋干しは加湿器がわりになるって本当?

エアコンを使って部屋を暖めると、室内の相対湿度は低下します。室内の相対湿度は4060%程度に保つことが望ましいといわれていますが、加湿器などを使わないと、相対湿度は30%を切ってしまうこともあります。そんな時、「濡れた洗濯物を室内に干したら、加湿器と同様の効果があるのでは?」なんて考えたことはありませんか? 

そこで、加湿源となる水がどのくらい部屋に放出されるのか、洗濯物から放出される水分量を計測しました。

洗濯物から放出される水分量を計測

実験条件:縦型洗濯機の標準コースで洗濯したバスタオルを、10℃50%RHの恒温恒湿室でずらし干しで乾燥させた時に、洗濯物から放出された水分量を測定。バスタオル:250g/枚、縦110cm×横60cm。

濡れた洗濯物は、室内に水分を放出して加湿源となってはいるものの、時間とともに放出される水分量は減っていることがわかります。洗濯物の部屋干しでは、加湿する水分の量や時間の長さを調節することはできず、室内を最適な湿度に「保つ」ことはできません。グラフからは、干し始めに一気に水分が放出され、後半は乾き残りの分がごく少量ずつ放出されていくことがわかります。つまり後半は加湿源となる水分が放出されず、ほぼ加湿することができないことになるわけです。

また、家具やカーテン、壁などの建材にも水分は吸収されるため、洗濯物から出る水分がすべて部屋の加湿に使われるわけではないことも頭に入れておく必要があります。
部屋干しは加湿器がわりには使えない、というのが結論。空気が乾燥しやすい冬は、最適な湿度に保つために、たとえ部屋干しをしていても加湿器を適切に使うほうがよいでしょう。

Q3:冬の部屋干し、結露の心配はない?

朝、カーテンを開けると、窓や壁に結露がびっしり!なんてこと、ありますよね。室内の湿気を含んだ暖かい空気が、冷たい窓や壁、天井、床などに冷やされて露になる現象です。
暖房で暖めた部屋で部屋干しをした場合でも、暖房をしない部屋での部屋干しでも、結露対策は必要です。
暖かい部屋で部屋干しをした場合、部屋干しをしていないそのほかの部屋にも湿度の高い空気が流れていき、家の中の湿度は一定に保たれるようになります。暖房をかけていない部屋は室温が低く、壁や窓の表面温度が低いため、流れていった湿った空気が結露しやすくなります。

つまり、暖房をかけた部屋で部屋干しをする時には、ほかの部屋も結露が生じやすくなる、ということ。

これでは「冬の部屋干しは、結露から逃れられないの?」と、どんよりした気持ちになってしまいますね。でも対策は簡単です!

POINT

1 こまめに換気をする

強制排気管(家の外に排気ガスを放出する装置)のない石油ストーブ、ガスストーブ、石油ファンヒーターなど開放型の燃焼式暖房機を使用した場合は、定期的に窓をあけ、換気しましょう。暖房をかけていない部屋も、忘れずに換気しましょう。

エアコンなど上記以外の暖房機を使用した場合は、24時間換気システムがあるかないかで対応が異なります。換気システムがあり、適切に働いている住宅では、窓を開ける必要はありません。一方、換気システムがない場合は、部屋の扉を開放(扉の開放の程度は五分の一くらい)し、住宅内の空気を動きやすくしましょう。動きやすくなった空気は洗面所などの換気扇から積極的に排気しましょう。

2 吸気口を全開にし、掃除をしておく

吸気口とは、天井や壁に設置されている、空気の取り込み口。ここが詰まったり、ふさがったりしていると、部屋の空気の流れが滞ってしまいます。吸気口を全開にし、掃除をしておきましょう。

3 結露対策グッズを活用する

窓に貼る断熱シートや、水滴を拭き取るのに便利なスクイージーなど、さまざまな結露対策グッズが販売されています。

断熱シート

断熱シート

スクイージー

スクイージー

上手に活用して、結露を防ぎましょう。

Q4:冬の部屋干しに最適な場所はどこ?

「結露を防ぎながら、早く乾かしたい!」という、冬の部屋干しに求めることを満たしてくれる場所は、一体どこでしょうか?お洗濯のシーンごとに、ぴったりの場所をお伝えします。

POINT

1 「夜洗濯」なら、暖房している部屋

「夜洗濯」の場合は、リビングなど暖房をかけている部屋に干すのが正解。室温が高い部屋に干すことで、乾燥スピードが上がるので、部屋干し臭の発生も抑制できます。「アーチ干し」など効率的に乾かせる干し方も実践しましょう。

2 「日中の部屋干し」なら、日の当たる部屋

日中、外出している間に部屋干しをする時には、いちばん日の当たる部屋を選びましょう。リビング、寝室など、家の間取りによっても最適な部屋は変わります。日差しがたっぷり入る部屋のほうが室温が上がりやすく、洗濯物も早く乾きます。

Q5:部屋干しで気になる「生乾き臭」は抗菌洗剤が効果的?

部屋干しにまつわるお悩みで多いものに、生乾きのイヤ〜なニオイも挙げられますね。

洗濯物が乾きにくい冬のお洗濯は、干している時に生乾き臭の原因となる菌を増殖させないことで部屋干し臭を抑制できます。抗菌効果のある洗剤を使って、菌対策をするのがおすすめです。
その際のポイントは、「すすぎ1回OK」の洗剤の場合は、洗濯機の設定を「すすぎ1回」にすること。洗剤の抗菌成分が残りやすく、生乾き臭を抑える働きが高まります。
さらに抗菌効果のある柔軟剤を併用するのも効果的です。

すっきり気持ちよく乾いた衣類に袖を通すと、1日を気持ちよくスタートできますね。部屋干しのコツを抑えて、寒い冬でも、洗濯物は生乾き知らず&お部屋は結露知らずで過ごせるちょっとしたコツ、ぜひ実践してくださいね。

この記事を作成・監修した
マイスター

大貫 和泉

お洗濯マイスター

大貫 和泉

おおぬき いずみ

洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきました。
母親としての経験と研究活動を融合し、日々のお洗濯に役立つ情報をわかりやすくお伝えしていきます。

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