腰痛を引き起こす原因と症状別の対策・予防の方法

腰痛を引き起こす原因と症状別の対策・予防の方法

常に重力にさらされている背骨が悲鳴を上げた状態が「腰痛」です。背骨はとても複雑な構造になっているため、どこかに「ちょっとしたひずみ」が生じただけでも腰痛の原因となることがあります。腰痛が発生した時は、無理は禁物です。まずは、腰に負担がかからないように、できるだけ横になりましょう。予防には正しい「姿勢」が大切です。

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「腰痛」には様々なタイプがある

一口に「腰痛」といっても様々なタイプがあり、原因も対処法も違います。今回は、腰痛を引き起こす原因と症状に加え、痛みを軽くするための症状別の対策、腰痛を予防する方法もご紹介します。

<目次>
腰痛の主な原因
様々な腰痛のタイプと原因、症状
 ∟筋・筋膜性腰痛(きん・きんまくせいようつう)
 ∟腰椎捻挫(ようついねんざ)
 ∟腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)
 ∟腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
 ∟変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)
そのほかの「注意」が必要な腰痛
痛みが長引く時は「医師の診察」を受ける
腰痛が発生したらどうする?
「急性的な腰痛」の対策
「慢性的な腰痛」の対策
腰痛を予防する「立ち方」
腰痛を予防する「座り方」
腰痛を予防する「寝方」
腰痛を予防する「歩き方」

腰痛の原因とは?

地面に対して垂直に立った状態の人間の背骨は、重たい頭や胴体など上半身にかかる重力のすべてを支えなければなりません。少し前屈の姿勢をとったり、重い物を持ったりした時などは、さらに負担が大きくなります。このように、常に重力にさらされている背骨が悲鳴を上げた状態が「腰痛」です。

背骨はとても複雑な構造になっているため、どこかに「ちょっとしたひずみ」が生じただけでも腰痛の原因となることがあります。

腰痛の様々なタイプと症状

腰痛には、様々な「タイプ」や「症状」があります。タイプとしては、鈍痛が続く慢性的なタイプと、突然動けなくなるほどの激痛に襲われる急性的なタイプがあり、症状としては、「筋・筋膜性腰痛(きん・きんまくせいようつう)」「腰椎捻挫(ようついねんざ)」「腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)」「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」などがあります。

以下に、様々な腰痛の特徴とその原因についてご紹介します。

1.「筋・筋膜性腰痛(きん・きんまくせいようつう)」

長時間の立ち仕事やデスクワーク、車の運転などを続けて、「腰が痛くなった」「腰がだるくなった」と感じることがあると思います。このような腰痛は、正式には「筋・筋膜性腰痛」といいます。

これは腰の骨を支える筋肉や靱帯(じんたい)に疲労がたまった状態で、軽い症状ならすぐに回復します。しかし、筋肉の疲労が積み重なると腰の筋肉がこわばり、うっ血して鈍い痛みを常に感じるようになります。

筋・筋膜性腰痛の主な原因

悪い姿勢、運動不足、肥満などが主な原因と考えられます。このタイプの腰痛は、正しい姿勢で生活したり、運動をする等日頃の行動次第で慢性化を防ぐことができます。

2.「腰椎捻挫(ようついねんざ)」

一般的に「ぎっくり腰」と呼ばれる腰痛は、正式には「腰椎捻挫」といいます。ひざを曲げずに重い荷物や物を持ち上げたり、急にからだをねじったりした時、あるいは十分な準備体操をしないで激しい運動をした時など、腰に負担をかけた時に痛みを感じます。
また、くしゃみをした瞬間に激痛が走ることもあります。

腰椎捻挫の主な原因

大きく分けて2つあります。1つは腰椎の周辺にある関節包や靱帯、筋肉、椎間板などを捻挫あるいは損傷した場合。もう1つは、老化や長期間の腰への負担により、ちょっとした動作が引き金となって発症した場合です。
腰椎の捻挫であれば、ほとんどの場合、痛めた組織が回復すると自然にラクになります。数日から2週間前後が目安ですが、痛みが長引く場合や、排尿障害や血尿といった症状が見られる場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎の圧迫骨折の可能性があるほか、骨のガン、尿路結石などの病気が潜んでいることもあります。

3.「腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)」

「椎間板ヘルニア」は、正式には「腰椎椎間板ヘルニア」といいます。何らかの原因で、腰椎部分の椎体と椎体の間にある椎間板に亀裂が入り、中の髄核が押し出され、それが脊髄神経を圧迫することで、激しい痛みが起こります。

症状としては、腰だけでなく、臀部(でんぶ)から足にかけてひどい痛みやしびれを感じる座骨神経痛などがあり、ひどい場合は排尿ができなくなることもあります。

腰椎椎間板ヘルニアには「急性型」と「慢性型」があります。
「急性型」は中腰で重い荷物を持ち上げたり、運動でからだをひねったりした時に起こり、最初は激しい痛みが起こります。ひどい痛みをともないますが、安静にしていれば、次第に痛みは軽くなります。しかし、治療を行わないでいると慢性化するおそれがありますので、医師の診察を受けるようにしてください。

「慢性型」は、特にきっかけがなく、何となく腰や臀部、足などに痛みやしびれが生じたり、治ったりするという状態を繰り返します。

腰椎の正常な椎間板

ヘルニアを起こした腰椎椎間板

腰椎椎間板ヘルニアの主な原因

背骨に負担をかける長時間の座り仕事や運転、運動など、椎間板の老化(20歳を過ぎると徐々に老化)、骨の老化(加齢、カルシウム不足、骨粗鬆症など)、姿勢の悪さからくる骨盤の歪みなどが原因と考えられます。

4.「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」

「腰部脊柱管狭窄症」は、脊柱管が狭くなり、中を通っている神経が圧迫されるために痛みが起こります。
特に、立って腰が伸びた状態で痛みを強く感じます。背筋を伸ばして歩くと、腰から足の裏にかけて痛んだり、足のしびれを感じたり、足がもつれたりするというのが一般的な症状です。このような症状は朝や寒い季節に多くあらわれます。悪化すると、背中を丸めて寝ないと痛くて眠れなくなります。

正常な椎骨

脊柱管がつぶれた椎骨

腰部脊柱管狭窄症の主な原因

生まれつき脊柱管の狭い人もいますが、椎間板や椎間関節の老化、変形などにより、脊柱管が狭くなることもあります。40~50代以上、特に高齢者に多くみられ、女性より男性にやや多くみられます。

5.「変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)」

「変形性脊椎症」は、椎間板の老化から、上下の脊椎の骨が変形したために起こります。周囲の筋肉・靱帯も弱くなります。
腰椎を支える筋肉がこわばり、動作の時に痛みを感じますが、からだを動かしていると軽減してくるのが特徴です。しかし、疲れがたまると再び痛みが出てくるので、決して無理をしないことです。

変形性脊椎症の主な原因

痛みの直接的な原因は、筋膜性腰痛症、椎間板症、脊柱管狭窄症などにより起こるものと考えられます。
発症は一般に40歳以後で、若い頃から重労働に従事してきた人や激しいスポーツをしてきた人に多く見られます。

そのほかの「注意が必要」な腰痛

転んだり、事故に遭ったりなどして、外部から衝撃を受けたあとの腰の痛みには注意が必要です。特に高齢の場合、打撲だと思っていたのに、実は骨にヒビが入っていたり、骨折していたりというケースもあります。
安静にしていても痛む時や、患部に熱がある、痛みが長引くというような場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

痛みが長引く時は「医師の診察」を受ける

腰痛は腰そのものが悪くなくても、内臓などの疾患によって引き起こされることがあります。これらの痛みは、鈍痛となって慢性的に起こることがほとんどです。泌尿器科疾患などのほか、悪性腫瘍の転移など重い病気の可能性もあるため、痛みが長引く時や、夜間寝ている時に痛みがひどくなる場合は、軽い腰痛と見逃さず、すぐに医師の診察を受けてください。

腰痛が発生したらどうする?

腰痛が発生した時は、無理は禁物です。まずは、腰に負担がかからないように、できるだけ横になりましょう。ただし、この時に無理をしてはいけません。できるだけ自分がラクな姿勢をとり、痛みが少し治まってから横になってください。腰の筋肉はできるだけ使わないように注意しましょう。

ここからは、「急性的な腰痛」と「慢性的な腰痛」の症状別に対策をご紹介します。

「急性的な腰痛」の対策

「ぎっくり腰」などによって急に腰痛が発生したら、まずは腰に負担がかからない体勢をとりましょう。
すぐ横になれない場合は、しゃがんだり、壁や机などにもたれかかったりするだけでも腰への負担が減ります。少し休んで痛みが軽くなってから、病院へ行くか、ゆっくり休める場所へ移動しましょう。

また、「急性的な腰痛」の対策として、以下のことを試してみましょう。

1.「横になる」

まずは、横になってラクな姿勢をとりましょう。
痛みがある時は、横向きになり、やや前かがみでひざを曲げて寝ると良いといわれています。仰向けに寝る場合は、ひざの下にクッションなどを入れると腰の負担が軽くなります。
また、「腰椎椎間板ヘルニア」などの痛みは、低めの台に足をのせると軽減できます。
いずれの場合も、自分の一番ラクな高さに調節して、リラックスできる姿勢を見つけてください。

2.腰を「冷やす・温める」

患部を「冷やす・温める」ことも効果的です。

炎症を起こしている時は、「冷やす」
急に発生するような腰痛の場合、初めに強烈な痛みがあることが多く、筋肉の「炎症」反応が起きていると考えられています。
このような炎症症状は患部が熱を持っている場合が多いので、冷やしたタオルや湿布薬などで患部を冷やしてください。数日冷やしながら安静にすると、患部筋肉の炎症が治まり、痛みや発熱が沈静化してきます。

痛みが治まったら、「温める」
痛みが治まったら、患部を温めて血行を良くしてください。その場合、簡易カイロのような長時間温めるものではなく、温めたタオルや電子レンジで温める湯タンポのような、ある程度したら自然と冷めるものを使用してください。
長時間温め続けるとかえって血行が悪くなったり、低温やけどを起こしたりする可能性があるので注意しましょう。

「冷やす」か「温める」かの選択は目安なので、気持ちの良い方法を選んで良いでしょう。
しかし、どちらがいいかわからない場合、自己判断はせず、医師の診察を受けて指示に従うようにしましょう。

3.「コルセット」や「さらし」をまく

腰痛用の「コルセット」や「さらし」などをまいて、筋肉、椎間板、腰の骨を動かない状態にするのも効果的です。

4.「解熱鎮痛薬」を服用する

痛みがひどい場合は、市販の「解熱鎮痛薬」を服用するのも1つの方法です。

「慢性的な腰痛」の対策

「慢性的な腰痛」に悩まされている場合は、日頃から腰痛対策をしておきたいものです。以下のような対策を試してみましょう。

1.患部を温めて「血行」を良くする

慢性的な腰痛の場合、日頃から患部を温めて「血行」を良くしておくことが大切です。蒸しタオルを使ったり、磁気絆創膏などを貼ったりすると良いでしょう。入浴は、心地良いと感じるくらいの温度(38~39℃)のお湯にゆっくり入って、血行を促進させましょう。

2.「ストレッチ」や「マッサージ」で刺激

腰痛に効果的な「ストレッチ」や「マッサージ」を行うこともおすすめです。痛みがある部分を伸ばしたり、押したりすることで、筋肉や血管に刺激を与えて、腰痛が軽減されます。ただし、痛みが強い時は、無理をしないようにしてください。

3.「塗り薬」や「貼り薬」で痛みをおさえる

腰痛を和らげたい場合は、塗り薬や貼り薬を利用する方法もあります。
筋肉や関節の痛みを和らげる「インドメタシン」「フェルビナク」が入ったもの、血行を促進する「ビタミンE」「アルニカチンキ」、炎症をおさえて痛みを鎮める「サリチル酸グリコール」などが配合されているものなど、様々なタイプの薬が市販されています。
一般的に慢性的な腰痛は、皮膚血管を拡張して血行を良くする温感タイプが良いとされますが、説明文書をよく読んだ上で、自分に合うものを選びましょう。

日常の「姿勢」や「動作」が腰痛を引き起こすことも

腰痛の原因は様々ですが、実は日常の何気ない「姿勢」や「動作」が、慢性的な腰痛の原因になったり、急性の腰痛を引き起こす引き金になったりすることもあります。
ここからは、腰痛を防止するための「立ち方」や「座り方」をご紹介します。

腰痛を予防する正しい「立ち方」

腰痛を防ぐ正しい「立ち方」のポイントは、軽くあごを引き、肩の力を抜き、腹筋に力を入れて、背筋、ひざをきちんと伸ばすことです。真横から見た場合、耳から肩・股関節・ひざ・くるぶしを結んだ線が「直線」で描かれていることが理想的です。

簡単なチェック方法としては、背中を壁にあてて立ち、後頭部・背中・お尻・かかとが壁につく状態が、望ましい姿勢の目安になります。

腰痛を予防する正しい「座り方」

イスや畳に座る時の正しい「座り方」をご紹介します。

1.イスに座る場合は深く腰かける

お尻が背もたれに密着するように、深く腰かけてください。
軽くあごを引き、背筋を伸ばしてお腹を軽く引き締めます。ひざがお尻よりわずかに高くなるのが理想です。イスが高すぎる場合は、足を台にのせるなどして、ひざの位置を調節しましょう。

同じ姿勢を長く続けるのは、腰や背中に負担がかかりますので、やめましょう。
また、脚を組むと力のバランスが崩れ、特定の筋肉が緊張をしてしまい、歪みが起こることがあります。

2.床や畳に座る場合は「正座」がベスト

もっとも腰に負担がかからないのは、背筋を伸ばして座る「正座」です。ただし、正座はひざに負担をかけるため、ひざが痛い場合は避けてください。
あぐらや体育座り、足を投げ出して座る姿勢は、腰に負担をかけます。

腰痛を予防する正しい「寝方」

寝る時の正しい「寝方」は、リラックスできる姿勢が基本です。ただし、「うつ伏せ」で寝ることだけは避けましょう。痛みがある時は、「横向きでやや前かがみ」の姿勢で寝るのが良いとされています。

仰向けで寝る場合は、ひざの下に枕などを置いて寝ると、腰の負担が軽くなります。また、寝具にも気をつかいましょう。「やわらかいベッド」や「高すぎる枕」は、腰が落ち込んで反りすぎてしまうため、避けてください。

腰痛を予防する正しい「歩き方」

正しい「歩き方」は、前に出した足のかかとから着地し、足の親指で地面を蹴り、後ろ足は最後につま先が離れるのが基本です。また、つま先を軽く開き、「直線上」を歩くように意識しましょう。

背中を丸めて歩いたり、からだを反らせすぎたりすると腰に負担がかかるので、注意してください。

この記事を作成・監修した
マイスター

芳賀 理佳

ヘルスケアマイスター

芳賀 理佳

はが りか

くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。

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