からだの不自由な方向けの服のお洗濯のポイント&気になる汚れを落とすコツ

からだの不自由な方向けの服のお洗濯のポイント&気になる汚れを落とすコツ

からだの不自由な方向けの衣類の洗濯に特別なケアは必要ありません。付着した汚れごとに適切にお洗濯しましょう。「面ファスナー(マジックテープ®)」が多く使われている服は、面ファスナーを留め、細かい目の洗濯ネットに入れてお洗濯すると、キレイに仕上がります。

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ユニバーサルファッションがますます重要視され、からだに障がいを持つ方が着脱しやすい衣類の開発に取り組む企業が多くなっています。そういった共生社会の実現を目指す流れを私たち洗剤メーカーも支援できたらと考えています。そこで、障がいをお持ちの方の中でも割合の多い、身体障がい者、特に肢体不自由者(からだの動きに障がいを抱える方)やそのご家族に向けて、衣類のお洗濯のポイントをお伝えします。
また、着脱しやすい工夫がなされているからだの不自由な方向け衣類の特徴についても併せてご紹介します。

からだの不自由な方向けの着脱しやすい衣類の紹介

山本智恵子さんによると、障がいがある方の多くは、一般のアパレルショップで購入した衣類を着ていますが、からだに障がいをお持ちの方、中でもからだの動きに障がいを抱える方には、着脱しやすいように既製品をリメイクしたり、専用に販売された衣類を購入する方もいるとのことです。

例えば、前身ごろ(胴体の前の部分を覆う部分)のボタン部分に、面ファスナー(マジックテープ®・ベルクロ®)が貼ってあると、ワンタッチで留めたりはずしたりできるようになります。

  • 一般社団法人ReFREL代表理事・山本智恵子さん(看護師。主に重度障がい者向けの衣類の開発・作製を行うReFRELを運営)

からだの動きに障がいを抱える方向け衣類の特徴

着せやすいように、背中に面ファスナーを使用

腕まわりなどにスナップボタンを使用

着せやすいように、背中に面ファスナー(左図)、腕まわりなどにスナップボタン(右図)を使用。

ウエスト部分がゴムになっているズボン。サイド部分は、腰から裾までファスナーを使用。

ウエスト部分がゴムになっているズボン。サイド部分は、腰から裾までファスナーを使用。

ボタンの代わりに、面ファスナーやマグネットを使用。

ボタンの代わりに、面ファスナーやマグネットを使用。

車いすの方などは、座ったままの姿勢が多くなることから、硬い素材や縫い代が皮膚を圧迫して褥瘡(じょくそう)ができやすいため、ズボンの後ろにギャザー・ダーツ・ポケット・切り替え線などがあるデザインの服はなるべく使用しないそうです。

洗濯の基本的な流れ

山本さんにお話を伺ったところ、からだの動きに障がいを抱える方が着用する衣類と、健常者が着用する衣類とで、汚れの種類に大きな違いはないようです。
ただ、車いすを使用する人、寝たきりの人は、座る姿勢や寝る姿勢のまま、衣類が体に密着した状態で長時間過ごすため、皮脂や汗などの汚れが通常より広範囲につくことが考えられます。また簡単に衣類を着脱することができないため、体温の調整が容易にできないことがあります(例:暑い時は、汗をかきやすいなど)。
障がいの種類や程度によっては、食べこぼしや排泄物などの汚れが付く場合もあるようです。また衣類に特殊な素材(例えば面ファスナー)が使われているなど、洗濯に注意が必要な場合もあります。
衣類に合った洗剤の選び方、汚れやニオイが気になる衣類の洗い方など、お洗濯のポイントを一緒に確認していきましょう!

POINT

1.洗濯表示を確認する

お洗濯前に衣類のタグに書かれた洗濯表示を見れば、「一般衣料用洗剤」を使って洗えるものか、「おしゃれ着用洗剤」を使って洗うべきかがわかります。水洗いができない「家庭洗濯禁止」の衣類は、クリーニング店に相談しましょう。

2.部分的な汚れがついている場合

高濃度液体洗剤(トップスーパーNANOXなど)を用いた「塗布放置洗浄」や、液体タイプの酸素系漂白剤(ブライトSTRONG漂白&抗菌ジェル)の使用がおすすめです。酸素系漂白剤の代わりに「シミ用の部分洗い剤」を使用してもかまいません。またおしゃれ着の場合は、「おしゃれ着用洗剤(アクロン)」を使ってください。

3.広範囲に汚れがついていたり、ニオイが気になる場合

一般衣料用洗剤と酸素系漂白剤を合わせた洗浄液での「つけおき洗い」が効果的です。ただし、事前に必ず洗濯表示を見て、酸素系漂白剤が使用できる衣類かどうかを確認しましょう。

4.食べこぼしなどの特にガンコな汚れの対処法

食べこぼしや排泄物(尿など)や嘔吐物などの汚れの主成分であるたんぱく質は、時間が経ってしまうと固まったり、変質して落ちにくくなるため、「可能な限り早く対処する」ということが重要です。

5.柔軟剤を使用する時

衣類を風合い良く仕上げるためには、洗濯時に柔軟剤も一緒に使うのがおすすめです。汗臭、加齢臭、部屋干し臭など衣類のニオイが気になる場合は、嫌なニオイを消臭・防臭するタイプの柔軟剤を使うと良いですよ(排泄物や嘔吐物に対する消臭・防臭効果はありません)。
ただ、なかには「柔軟剤の香りが苦手」と感じる人もいますので、お好みに合わせて使用してください。

面ファスナーなどがついている衣類を洗う時の工夫

着脱がしやすいように工夫された、面ファスナー(マジックテープ®・ベルクロ®)や通常のファスナー、スナップボタンなどがついている衣類があります。こういった衣類を洗濯する時は、必ず着用時と同じように留めてからお洗濯しましょう。開けた状態で洗ってしまうと、型くずれしたり、一部に強い力が加わって傷んだりする可能性があります。

また、面ファスナーを使用した衣類は、洗濯ネットに入れて洗うと良いでしょう。面ファスナーの突起面がほかの衣類とこすれて傷つけたり、突起面に糸くずなどが付着するのを防ぐことができます。
その際は、衣類のサイズに合った洗濯ネットを使い、衣類を適度にたたんで入れるのがポイントです。洗濯中に衣類のかたよりが生じにくいため、しわの発生を抑えられてキレイに仕上がります。また、目の細かい洗濯ネットを使うと、糸くずなどの付着を防ぐのに、より効果的です。
上記以外については、「洗濯の基本的な流れ」と同じように洗濯してください。

面ファスナーを使用した衣類は、洗濯ネットに入れて洗う

もし、面ファスナーに糸くずやホコリがからみついてしまったら、洗濯・乾燥した後、つまようじなど先の細いものを使い、先端ですくうようにするとキレイに取り除けます。

SDGsの急速な浸透と共に、パラリンピックなどのスポーツイベントなどを通じて、多様性を身近に感じる機会も多くなることが予想されます。障がい者も健常者も、お互いが寄り添い合える社会を目指していきたいですね。

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この記事を作成・監修した
マイスター

片木 徹也

お洗濯マイスター

片木 徹也

かたぎ てつや

洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。

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