電気代と時間を節約!乾燥機の上手な使い方
3㎏の洗濯物を電気乾燥機(4種)で実験を行ったところ、乾かすのにかかる時間は、なんと3~4時間強。約90円ものコストがかかってしまいます。そこでおすすめしたいのが、室内で4時間ほど自然乾燥させた後、乾く直前の「30分だけ乾燥機にかける」方法。これなら洗濯物がすっきり乾くうえ、干してから約5時間後に発生する「部屋干し臭」も防げて一挙両得!
3㎏の洗濯物を乾かすのにかかる「コスト」は約90円!
湿度が高い梅雨どきは特に、「部屋干しした洗濯物が乾きにくい」「乾くのに時間がかかってニオイが気になる」というお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、乾燥機を使うと洗濯物がシワになったり、電気代がかさむのも気になるところ……。
そもそも、乾燥機を使うと、どのくらいのコストがかかるのでしょう?
ヒーター方式の電気衣類乾燥機2台(A:2012年製、B:2017年製)と、同じくヒーター方式の縦型電気洗濯乾燥機2台(C:2011年製、D:2017年製)の4台を用いて、綿のフェイスタオルが乾く時間を調べてみました。
その結果、綿のフェイスタオル1㎏を乾かすのにかかる時間は、電気衣類乾燥機も縦型電気洗濯乾燥機も約1時間20~40分。フェイスタオル3㎏だと約3時間~4時間15分かかりました。子育て中のご家庭だと、洗濯物の量はもっと多くなるでしょう。
消費電力(kW)当たりの単価は25円前後(2018年5月現在)ですから、3kgの洗濯物を3.5時間かけて乾かすと90円弱のコストがかかる計算になります。毎日使えば、ひと月あたり約2,700円!これは家計をやりくりしている主婦にとって、なかなか見過ごせない金額ですよね。
「部屋干し臭」は、干してから約5時間後から発生する!
このように、洗濯物を乾燥機を使って乾燥させるのは、コストが気になります。だからといって雨の季節は、部屋干しするとイヤなニオイが出ることも……。
この「部屋干し臭」は、湿度が高いために洗濯物が乾かず、長時間湿った状態が続いた衣類などから発生します。干す環境によっても違いますが、干して約5時間以上たったころから部屋干し臭が発生する※1といわれていますから、乾燥機の力を借りてできるだけ早く洗濯物を乾かしたいものですね。
- ※1 松永聡, におい・かおり環境学会誌, 36(2), 82(2005)
乾燥機は、あと少しで乾く!というタイミングで使うのが効率的!
洗濯物が乾くまで、最初から乾燥機をずっと使い続けると確かに電気代がかさみます。
そこで、電気代が節約でき、部屋干し臭も防ぎ、洗濯物が短時間でしっかり乾く「乾燥機の効率的な使い方」をご紹介します。
今回の実験では、綿のフェイスタオル12枚(総重量約800g)を洗濯し、角ハンガーに縦長に干して自然乾燥させたパターン1の乾燥を基準に、以下の検証を行ってみました。
パターン2は、洗濯直後に乾燥機を30分間使用し、その後自然乾燥した場合。
パターン3は、最初の2時間30分の間自然乾燥し、その後30分間、乾燥機を使った場合。
どちらのパターンの洗濯物がより早く乾くのでしょうか?
すべて自然乾燥したパターン1は、3時間後の水分量が34.4%も残っていましたが、最初の30分乾燥機を使った後に自然乾燥したパターン2では、8.1%まで低下していました。さらに最初の2時間30分は自然乾燥して、その後に30分乾燥機を使用したパターン3は、水分量がなんと0%に。
つまり検証結果を踏まえると、乾燥機を使うことで乾燥時間は短縮できますが、洗濯物を干した直後ではなく、乾く直前の30分に使うとより効果的に乾燥させることができました!
今回の実験は、室温が13~19℃、湿度が15~55%RHと冬場の環境に近い条件で実施した結果です。
この結果をふまえて、梅雨時は、以下の方法で乾燥機を使ってみてください。
●洗濯物は、まず部屋干しする
↓
●洗濯物があとちょっとで乾きそうというタイミング(目安としては4時間〜4時間30分経過したころ)で、生乾きの洗濯物だけを乾燥機に30分程度かける
たとえば、梅雨時などの洗濯物が乾きにくいときは、こんなふうに乾燥機を使うのはいかがでしょうか。
・仕事に出かける前に洗濯物を干して、帰宅したタイミングで乾燥機にかける
・先に洗濯物を干して、ほかの家事や用事を済ませた後に乾燥機にかける
・たくさん洗濯物がある日は、まず部屋干しをしていき、全て洗濯が終わったあたりで、まだ乾いていないものを乾燥機にかける
・夜干して、朝までに乾いていないときは、仕上げに乾燥機にかけるなどなど。
これらの方法だと、洗濯物はすっきりと乾きますから部屋干し臭もなし。電気代は乾燥機をフルに使ったときに比べて節約できますし、自然乾燥するよりは時短になりますよね。
ちなみに乾燥機ではなく、「除湿器」を使う場合もタイミングは同様に、乾く間際に使用すると効果的に乾燥させることができます。
こちらの記事もご覧ください。
除湿機を使った乾燥テク!部屋干しのポイントは置き方にあった
部屋干し臭対策には、抗菌効果のある洗剤選びも大切
部屋干しのイヤなニオイの原因のひとつは、洗濯物が乾かず湿った状態が続く間に、洗濯の時に落としきれなかったわずかな「汚れ」が、「菌」の作用を受けるためです。ですから、部屋干し臭の対策には、汚れを繊維の中からしっかり落とし、部屋干し臭を予防する「抗菌効果」のある洗剤を選んだり、早く乾く干し方を工夫することをお忘れなく。
雨の日が続く梅雨の季節も快適なお洗濯で、気持ちよく毎日を過ごしてくださいね。
TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!
洗濯物ってどのように乾いていくの?
洗濯物に含まれる水分には2種類あり
まず蒸発しやすい水分である「自由水」から乾いていきます
洗濯後の洗濯物に含まれている水分には、比較的蒸発しやすい「自由水」と、蒸発しにくい「束縛水」があります。洗濯物が乾いていくときは、まず最初に「自由水」から優先的に蒸発し、その後「束縛水」が蒸発していきます。
特に束縛水は繊維の内部に結合しているため、洗濯物を最後までしっかりと蒸発させるにはかなり時間がかかってしまいます。
部屋干しのイヤなニオイは、干して約5時間以上たったころから発生するので、束縛水までしっかり乾かすことが重要となります。
今回の洗濯物の乾燥実験結果からもわかる通り、乾燥機などの家電製品を上手に利用して、蒸発しにくい「束縛水」を効果的に蒸発させることが、快適な部屋干しライフにつながるのですね。
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
片木 徹也
かたぎ てつや
洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。
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