そのみがき方でいい?歯科衛生士に本気で聞く「歯のケア」
毎日歯みがきしているけれど、なんだか心配...。そんな時はみがき方を見直しましょう。ライター斎藤充博が、歯科衛生士から歯のみがき方をレクチャーしてもらい、自身の歯みがきを見直します。そこで歯の健康は、自宅でのケアと歯科医院でのケアを両立することが大事という学びを得ました。
こんにちは。ライターの斎藤充博です。
僕の妻は歯科衛生士です。そのため僕は、ちょっと前まで家庭の中でかなり細かい歯みがき指導を受けていました。
妻は僕の歯を心配していろいろと言ってくれています。しかし、言われている身としては、どうしても「めんどくさいな」という気持ちになってしまうのも事実……。
そのうちに、僕の「めんどくさいな」という気持ちが、いつの間にか妻に伝わったのでしょう。妻は「あっそうですか。わかりました。それならもう何も言わないわ」という雰囲気になってしまいました。
具体的な言葉を交わしていないのに、態度によって、言葉に相当する、あるいは言葉以上の情報を伝達することができました。人間って本当にすごいですね。
いや、今は情報伝達なんてどうでもいい。ちょっと困ってます。歯は毎日みがいているんですが、果たしてこのみがき方でいいのかな、と。
というのも、あれからしばらくして、歯の状態が気になってきているんです。
歯みがきをやっているのに、むし歯になったり歯周病になったりするじゃないですか。ちゃんとみがいてるつもりだけど、僕の歯、ほんとに大丈夫かな。
でもいまさら妻に何も聞けない…。どうしたもんかな…。
そんな話をLidea編集部にしてみたところ、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の歯科衛生士さんに歯のみがき方を聞けることになりました。やったー!これで妻に気まずくて聞けなかったことが聞ける!歯の健康が保たれる!
よろしくおねがいします!
家庭で歯みがき指導を受けられるのは素晴らしいですね。奥さんに謝って聞いてみるのが一番だと思いますが…。
いや。聞けないです…(あなたにはわからないんだ、あの雰囲気が……)。最近、冷たいものが歯にしみるような気がするんですよ。あと歯ぐきが下がってきたような気もしています。だから、教えてください…お願いします!
わかりました…!それでは、まず歯や口の健康度チェックをしてみましょう。日本歯科医師会が作っている「生活歯援プログラム」セルフチェック版をやってみてください。スマホでできますよ。
スマホで歯や口の健康度をチェックしてみた
「間食(甘い食べ物や飲み物)が多い?」「家族や周囲の人たちが歯の健康に関心がある?」こんな質問にどんどん答えていきます。生活習慣などから問題点を見つけていくチェックのようです。質問は合計20問。
5つの評価項目のうち「問題あり」が2つ、「注意」が3つでした。
ああ…。あんまりよくないですね。
「すごく悪い」という訳ではありませんが、ただ、もっと上を目指せる状態です。がんばっていきましょう!
決してこちらをけなさない…。フォローの仕方が完全にプロだ…。
染め出しでみがき残しをチェック
それでは次に、歯をちゃんとみがけているか、染め出しでチェックしますね。
染め出しって、口の中を赤くするやつですよね。あれイヤなんだよな…。
染め出しって、みがけていないところがビジュアルでわかるじゃないですか。「ちゃんとみがけていないおまえは有罪!」って言われているみたいで、なんか怖いな…。
そんなにおびえないでください。みがけていないところがわかるって楽しくないですか?
そういえば、うちの妻もそんなこと言っていました…。歯科衛生士あるあるなんですね。
あれ?意外ときれいですか?
歯の表面はよくみがけていると思います!ただ、ちょっと鏡の角度を変えてみると…。
あ、角度を変えるとよくわかりますね。歯の付け根や、歯と歯の間が赤く染まっている。みがけていないってことですね。
奥様の指導のおかげか、おおむねよくみがけています。ただ、斉藤さんが気づいたところの他にも、前歯の歯並びが重なっているところとその裏側など細かいところはみがき残しがありますね。
その、細かいところのみがき方をぜひ……。
それではやっていきましょうか。
ハブラシは“鉛筆持ち”で
斎藤さん、「歯をみがく時の力が強い」って言われたことありませんか?
あります!
ゴシゴシと強くみがきすぎると、毛先が広がってしまい歯の面に毛先がきちんと当たらないので、汚れを落とすことができません。また歯ぐきが傷ついたり、下がってしまうことがあるんです。そんな方におすすめしたいのは“鉛筆持ち”です。
確かにこれなら力を入れすぎないでみがけますね。
そうなんです。この持ち方で、ハブラシの角度をいろいろと変えながらみがきましょう。
こうすればいろいろなところにハブラシの毛先が当たる訳ですね。みがき残しも少なくなる……と。
そうですね。それから、歯につく汚れは「歯垢」といってネバネバしているので、1カ所につき20回くらいはハブラシを動かすようにしましょう。それくらいみがかないと、歯垢を落とすことはむずかしいんです。
20回。けっこうみがかないとダメなんですね。なるほどな…。
タフトブラシは、細かいところがみがきやすい
そして、特に前歯の歯並びが重なっているところとその裏側は普通のハブラシでみがいたあとに、タフトブラシという小さなハブラシを使うと良いですよ。
確かにタフトブラシの方が、細かいところがみがきやすそうですね。特に前歯の裏側は意外とへこんでいて、普通のハブラシでうまく当たる気がしない…。
特に下の前歯の裏側は歯石がつきやすいので、意識してみがいてくださいね。
デンタルフロスで歯と歯の間の汚れを落とす
続いて、デンタルフロスです。歯と歯の間の汚れはハブラシだけでは落とすことができないので、デンタルフロスを使ってみましょう。ロールタイプと持ち手がついているホルダータイプがあります。どちらも効果は同じなので使いやすい方を使ってください。
妻はロールタイプを使っているんですが、むずかしそうで僕は使ったことないんですよね。試してみてもいいですか?
慣れればむずかしくないですよ。ロールタイプの使い方を説明しますね。
この時、どちらか一方の指に多く巻いておくと、きれいな部分を次々とくりだして、効率よく出来るんですよ。
使い方は、デンタルフロスの糸の部分を歯と歯の間に当てて、ゆっくりと小さく動かしながら挿入します。中まで入ったら隣り合った歯の面に糸を沿わせて、上下に動かしながら汚れを落とします。取り出す時もゆっくりと小さく動かしながら取り出しましょう。
そうやって持つのか。
糸だけのフロスを使う時も、持ち手がついているフロスを使う時も、「ゆっくりと小さく」動かしてください。急いで歯と歯の間に通そうとすると、勢いあまって歯ぐきを傷つけてしまうんですよね。
なるほど。やり方は理解しましたが……。
あんかふふかしいへす(なんかむずかしいです)
あっ、むずかしいですか。それならY字型のホルダータイプのフロスを使いましょう。
ロールタイプのほうが細かな調整はできそうなんですけど…。(衛生士さん、なんで今の僕の言葉がわかるんだろう)
うん。やっぱり僕はこっちかな…。ちなみにY字型のフロスと糸だけのものって何が違うんですか?
Y字型のように持ち手がついたホルダータイプのものは、初めて使う人やロールタイプが苦手な人にも使いやすいようになっています。一方、ロールタイプは、指で操作するので力加減や動きを細かく調整して使うことができます。
なるほど、そういう違いか。
今の斉藤さんはデンタルフロスを使っていただければ十分ですが、将来歯と歯の間の隙間が広くなって食べ物がつまりやすくなってきたら、歯間ブラシもおすすめです。デンタルフロスは歯と歯の隙間が狭い部分に向いているのに対して、歯間ブラシは歯と歯の隙間が広い部分に向いています。
歯と歯の間の隙間が広いところはデンタルフロスよりも汚れを落とす効率がいいですね。いろいろなサイズがあります。これは歯医者さんに行くと自分に適したサイズや使い方を教えてくれますよ。
ハミガキはフッ素入りの物を使おう
斎藤さん、ハミガキは“フッ素”が入っているものを使っていますか?
使っています。フッ素はむし歯の予防になるんですよね?
そうなんです。フッ素は細菌が酸を出すのを抑制したり、歯の質を強くしたり、むし歯になる一歩手前の状態の歯を健康な歯に戻すのを助けたりする働きがあります。
すごい。なんか歯の健康のためにあるような物質だな…。
また、夜寝ている時は、口の中の唾液が少なくなります。すると、むし歯の原因になる“ミュータンス菌”などの細菌が増えやすくなるんですよ。
朝起きると、口の中がネバネバしますもんね。あれだ。
そうですね。そこで、就寝前におすすめなのが「洗口液」です。洗口液には様々な種類があって、有効成分が入ったものは、すすぐだけで歯と歯の間などの細かい部分や口の中全体に行き渡り効果を発揮します。
ここまでやればだいぶスッキリしそうですね。
歯医者さんにも行こう
いろいろなことをやりましたが、ここまでやれば完璧ですかね…?
家庭では、十分でしょう。ただ、歯医者さんにも行ってほしいんです。むし歯になってから行くのではなく、数カ月に1回、定期健診に行ってください。
そうだ!それ、妻にも行くように言われていたんです…行ってないけど。予約をとるのがおっくうで……。
歯医者さんに通うことをもっと気軽に考えてほしいんですよ。たとえば、斎藤さんも美容室に行きますよね?
行きますね。
あれと同じくらいの感覚で「そろそろ歯のクリーニングを受けに行こう」って思ってもらえたらいいと思います。
実は美容室に行くのもおっくうなんですが…。でも、感覚は理解しました。行きます。
歯医者さんに行けば細かい相談もできますし、自分に合った道具やみがき方、歯と口の健康を保つためのアドバイスなども教えてくれるんですよ。
歯科医院などでの「プロケア」と歯科医院での指導に基づいた毎日の「セルフケア」の両方で、「予防歯科」を実践すると良いですね。そのためにも、歯科医院での定期的な健診が大切です。
…ひょっとしたら、それを歯科医院で患者さんに教えているのが、妻の仕事なのかもしれないですね。偉いな、妻…。
歯科衛生士である妻に喜んでもらいたい
そうだ。僕から最後に1つ、どうしても聞きておきたいことがあるんですが。
なんでしょう?
歯科衛生士さんが言われてうれしい言葉ってなんですかね? 家に帰ったら、それを妻に言ってみたいと思います。
それは「歯の大切さがわかったよ。今日から歯みがきがんばるよ。歯医者さんにもまた通うね」って言ってもらうのが一番ですよ!
うわ、それか……!
歯とお口の健康を通して夫婦仲良しですね。がんばってください。
という訳で家に帰って、歯科衛生士さんに教えてもらった言葉を言ってみました。
今日、取材で歯科衛生士さんにいろいろ教えてもらったんだけど。
うん。
俺、歯の大切さわかったよ。今日から歯みがきがんばるよ。歯医者さんにも通うよ。
…なんで私が言った時にはわからないのに、他の歯科衛生士が言ったらわかるの?
ライオン歯科衛生研究所の歯科衛生士さん~! うちの妻、全然喜んでないんですが!
でも、今回の件で自分の歯みがきの状態についてよくわかりました。
「みがき方についてはそんなに間違っていないだろう」と思っていたのですが、チェックリストの結果はイマイチだったし、染め出しも赤いところが残ってしまいました。やっぱり自分の記憶だけではダメなんですね。
それに、口の中の健康を保つには、毎日の歯みがきと、歯医者さんでの定期健診が何よりも重要だということもよくわかりました。やっぱり行かなくちゃダメだなー。歯医者さん。
僕の口の中の健康状態がよくなるころには、きっと妻とも、もっと仲良くなれる…はずです!
この記事を書いた人
斎藤充博
1982年生まれ。マンガを描く指圧師。はりきって仕事をしたいのに、食後の昼寝がやめられない。毎日気がつくと夕方になっている。もう動物園の動物になりたいです。
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よろしいですか?
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