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だるい冬はどう乗り切る?専門家に聞いた、毎日を元気に過ごすコツ

だるい冬はどう乗り切る?専門家に聞いた、毎日を元気に過ごすコツ

冬は元気がでない日が多いことに悩む、ライターのヒラヤマヤスコさん。ふとんにくるまったりこたつに入ってダラダラ過ごしてしまい、さらに気分が落ち込む...そんな経験ありませんか?そこでメンタルにまつわる疑問と改善策をストレスマネジメントの専門家に直撃!冬はもちろん、毎日を元気に過ごせるコツを伺いました。

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起きられない!動けない!冬ってなんだか億劫で気分が下がりがち……

ヒラヤマさんの写真

こんにちは、ライターのヒラヤマヤスコです。は〜、寒いですね。こないだまでピーカンの夏だったのに、あっという間に冬になってしまいました。季節の移ろい、早すぎでは……???

最近は温暖化のせいなのか春秋が短くて、春夏秋冬のバランスがおかしい気がします。「はっ、なつなつなつなつ〜!!あっ、ふゆふゆふゆふゆ〜〜〜!!!」みたいな。

だからこそ、急に寒くなって気持ちが追いつかない!

それに日が沈むのが早いので、あっという間に1日が終わってしまう…。かといって「昼間が短いぶん有意義に動こう」とはなかなか思えず、なんとなく憂うつで、私はいつまでも布団やこたつでゴロゴロ。とんでもなく自堕落な格好でどうもすみません……。

冬が苦手な人でも、冬を楽しく元気に乗り越えるには、どういうことをすればいいんでしょうか。具体的な方法があるならぜひ知りたい!

そこで、メンタルヘルス問題予防の専門家、竹中晃二先生に冬を元気に乗り越える方法について、お話を聞いてみました。

竹中教授プロフィール写真

竹中 晃二(たけなか こうじ)
早稲田大学 人間科学学術院 教授。健康心理学の専門家として、心身の健康を高めるための行動変容を研究しているほか、メンタルヘルス問題の予防やその予防活動のプロモーション活動にも力を入れている。早稲田大学大学院において、健康科学専攻の研究指導を担当している。

冬はなぜ気分が落ち込むの?日光が少ないとどうなる?

日照時間が短い冬場は気分が落ち込みがちな様子

今日はよろしくお願いします!私は冬になると元気がなくなって何もやる気が起こらなくなることがよくあるのですが、これって何が原因なんでしょうか…?

冬に元気がなくなってしまうことは、季節性感情障害としてよく知られています。持続的に気分が落ち込んだり、毎日の活動の中で楽しみや興味がなくなってしまう事例がよく報告されていますね。

竹中教授
ヒラヤマ

わかります!私は目覚めが悪いわけじゃないですけど、目が覚めても起き上がれずに、スマホをいじりながら布団にこもってしまいます。

ヒラヤマさんはメラトニンというホルモンを知っていますか?

竹中教授
ヒラヤマ

メラトニン…?

体内時計に働きかけるホルモンのことです。メラトニンが夜に分泌されることで眠くなり、朝の光を浴びて分泌が止まることで覚醒します。

竹中教授
日照時間とメラトニンの分泌バランスの関係

夜にメラトニンが分泌されることで眠くなり、朝に日光を浴びることでメラトニンの分泌が止まり覚醒する

秋冬は日光に当たる時間が少ないので、メラトニンの分泌が変化し、体内時計のバランスが崩れがちです。だから、朝の目覚めが悪くなりやすいと言われています。

竹中教授
ヒラヤマ

日照時間が目覚めの悪さに影響していたんですね…!ちなみに、冬に元気がなくなりがちな人の特徴ってあるんですか?

寒さが苦手な人は冬に元気がなくなるかもしれませんね。寒さが苦手な人は部屋に閉じこもって活動自体が減りやすく、いろいろなことを先送りにしたり、やらないままになってしまう。その結果、抑うつ感も増えてしまいます。

竹中教授
ヒラヤマ

なるほど…。我が家は築年数の古い木造住宅なので冬がものすごく寒くて、ついつい家にこもっていろいろなことを先送りしがちです…。

あらら、それだといろいろ億劫になっちゃいますね。

竹中教授
ヒラヤマ

そうなんです。寒いと、掃除や洗濯がより面倒くさくて…。結局、こたつに籠城しちゃってこたつを中心にモノがとっ散らかってああああ〜!!!(泣)

寒い時期は、特に掃除や洗濯が億劫になりがちですよね。ただ、面倒だからといって先延ばしにすることで、抑うつ感情や自尊心の低下などメンタルにもネガティブな影響を与えてしまうので、対策を打つことが大切です。

竹中教授
ヒラヤマ

確かに、面倒にまかせて掃除や洗濯をサボると、部屋が散らかってさらにメンタルが下がって…と負のサイクルに入りがちです…。

まずは行動について優先順位を決めたり、目の前にある、すぐにできそうな課題から取り組んでみましょう。

竹中教授

「やらなきゃいけないけど、面倒臭い!」は行動の習慣化で解決できる

ヒラヤマ

ただ、先生……!寒いからって動かないのはよくないとか、先延ばしにしちゃいけないとか、まずはやってみることから!とか全部「わかっちゃいるけどできない!」んです……。できることなら、億劫な気分なんて感じずに、掃除や洗濯をこなしたい!なるべく元気に冬の生活を乗り越えたいんです!!

ヒラヤマさんと同じように考えている人は多いと思いますよ。

竹中教授
ヒラヤマ

ズボラで横着なのはわかってるんです!でも、こう、何かいい手立てはないですか!?

億劫に感じないで実践するためにはコツがあります。「イフ・ゼン・プラン」と呼ばれるものです。イフ・ゼン・プランは、「AをしたらBをする」という組み合わせの活動を習慣化させる方法です。

例えば、「ダイエット」が目標の場合、

A:お風呂場で裸になったら(イフ)
B:すぐさま体重計に乗って体重をチェックする(ゼン)

といったイメージが分かりやすいでしょうか。

竹中教授
イフ・ゼン・プランのイメージ

「A(イフ)をしたらB(ゼン)をする」の組み合わせで活動を習慣化させる

ヒラヤマ

そういう習慣づくりを冬場の生活で意識すればいいと。

イフ・ゼン・プランで注意しなければいけないことは、A(イフ)が日常生活において頻繁に起こる出来事であり、そのあとに続くB(ゼン)はすぐさまできてハードルが低い行動でなければいけません。いくら冬場に日光を意図的に浴びるのが大事でも、「起きたら(A)、近所を5km歩く(B)」なんてのはいきなりは無理です。まずは、「起きたらカーテンを開ける」といった、簡単なことから始めましょう。

竹中教授
ヒラヤマ

起きたらカーテンを開けて陽の光を部屋に入れるのは簡単ですね!仮にまた布団に戻ったとしても、暗い部屋でモゾモゾしているよりはずっとよさそう。

落ち込みやすい時は、「●●するとうれしくなること」を自分に与えてみる

次に「●●をするとうれしくなる、楽しい」という行動パターンを見つけることです。特に抑うつ状態では、何かに対してワクワクする、幸せな気持ちになるなど、ポジティブな感情を自覚できないことが、落ち込んでしまう原因となっています。

竹中教授
ヒラヤマ

なるほど…!元気がない時は、何をしても楽しくないと感じてしまうことがありますが、それは楽しくないんじゃなくて、楽しさを自覚できていなかったんですね。

そのとおりです。そのため、何か行動することで「楽しい」「ワクワクする」といったポジティブな感情に目を向けることが大事です。「朝、陽の光を浴びながら深呼吸したら気持ちよかった」とか「旧友と久しぶりに電話したら思い出話に花が咲いて楽しかった」とか、日々のちょっとした楽しいと思えることに意識を向けることが大切です。

竹中教授
ヒラヤマ

自分がうれしいと感じる行動をとることで、メンタルヘルスを良好に保つことができるわけですね!

ええ。そうです。私たちは、メンタルヘルスを良好に保つための行動として「ABC活動」を推奨しています。

竹中教授
ヒラヤマ

「ABC活動」?

からだ・こころ・人とも活動的になるという「Act」、集団への所属を自覚する「Belong」、やったことがない新しい活動に挑戦したり困った人を助けるという「Challenge」の3つに分類し、その頭文字をとったものですね。

竹中教授
ヒラヤマ

具体的な例としてはどんなものがありますか?

例えば、好きな本や音楽に触れるとか、からだを動かしたり、仲の良い人とおしゃべりをしたりするのが「Act」。友人との食事会や、趣味の会、スポーツクラブに所属するなど、自分のアイデンティティを意識したり孤独感を感じずにすむために何かの会に所属するのが「Belong」。そして、「Challenge」は習い事を始めてみるとか、ボランティア活動に参加してみるとか、何か新しい活動を始めることです。

竹中教授
ABC活動の図解

毎日の仕事や家事で目一杯、余裕のない人は、なるべく日々の生活の中で「うれしくなる、楽しいと感じること」を見つけるようにするのです。

竹中教授
ヒラヤマ

例えば、Act(心身ともに活動的になること)だと「手際よく作業して、20分で家族4人分、3種類のおかずをつくれた!」とかでしょうか……?日々、忙しくしているのでおかずの数が少なくなったり、惣菜を買いがちなので、手際よくおかずが作れるとうれしい気持ちになります。

そうですね。ここで重要なのは「ポジティブなことに目を向けること」です。仮にもっと作りたいメニューがあったとしても「20分で4人分のおかずを3種類つくれた」という点を評価して、前向きな気持ちを持つこと。反すうすることによって大きくなりやすいネガティブな気持ちを、ポジティブ思考や行動を増やすことで、小さくすることができます。

竹中教授
ヒラヤマ

なるほど!では、ご飯を食べる時も「おいしいものを食べるの、最高!」と「おいしい」と感じていることに意識向けるのもよさそうですね。何も考えずに食べるのとでは、同じメニューでも満足度がかなり違ってきそう。

そうですね。メンタルヘルスを良好に保つには、日々の生活において能動的に活動するという意識が大事なんです。心がうれしい、楽しくなる経験を増やしていくことで、メンタルヘルスが悪くなることを予防できます。寒々しい季節だからこそ、ポジティブな要素を習慣化する挑戦をしてみてください。ただ、何がうれしくなる行動かは人によって異なるので、皆さんそれぞれのABCを探してみてくださいね。

竹中教授
ヒラヤマ

ありがとうございます!さっそくやってみたいと思います!

行動の習慣化と、自分なりの「●●をするとうれしい」を集めて行動してみた

日差しが眩しい

先生の話を聞いて、次の週末、私なりの生活習慣や「●●するとうれしい、楽しいと思える活動」について考え、それを意識しながら生活を送ることにしました。

まずは朝の目覚めから。クワ〜〜!朝陽が沁みるぜ……!

起きてすぐ朝日を浴びるのはすごく好きなので、

A:朝起きたら(イフ)
B:即、カーテンを開けて外の空気を吸ってみる(ゼン)

を実践することに!

これならわりと早く習慣化できそうでした。

カーテンを開ける様子

特に変わった取り組みではないし、むしろ当たり前といえば当たり前の行動ですが、漫然と朝陽を浴びるのではなく、 朝陽でジワジワとからだが覚醒していく感覚に意識を向けると、不思議といつも以上にスッキリする気がする!!

太陽の光を浴びる様子

そして、えいやで外に出てみたら、朝陽、超気持ちいい〜〜!!!

太陽の光を浴びて、じわじわからだがあったまっていきます。メラトニンが抑制されて、からだがオンモードになっていくのがわかる……。

朝日が気持ちいい

暗めの服を着て、全力で熱を吸収するの図。

余力がある日は、ラジオ体操や軽めの筋トレなどの運動を実践することに。竹中先生から教わったABC活動のChallenge(新しいことをする)です。

日頃のデスクワークでバッキバキになったからだに血液が巡るのが気持ちいい!毎朝やるところまではまだいきませんが、「朝陽を浴びて気持ちいい」の感情がなくならないうちに運動まで持っていけたら、かなり前向きに朝をスタートさせることができました。

続いて、掃除。

掃除機で部屋を掃除

おりゃおりゃ〜〜!!!

ABC活動のAct(心身ともに活動的になること)として、掃除機をかけながら屈伸すると、ほどよく筋トレになって一石二鳥です。ものをどかす時も腰を折らず屈伸してやるとグッド。

余談ですが、性能のいい掃除機を使うと気分が上がる気がします!

洗濯物を干す

そして、日照時間が少ない冬場だからこそ布団を干すのは朝がチャンス!日光を最大限利用できた達成感があって気持ちいいですね。小さなことだけど「ポジティブなことに目を向ける」って、けっこう大事かも!

保存食づくり

さらに保存食づくりも!スライスした柿と大根を干して乾燥させます。

1つひとつは些細なことだし、掃除もすみずみまで完璧にできたわけではないですが、「やった」ということが大事!

朝から達成感がすご〜い!!!からだも心も活動的になることってメンタルヘルスにめちゃくちゃ効くんだなあ!!!

洗濯物を畳む

そのあとは、洗濯物を畳みます。これで、面倒くさくて溜まっていた家事を午前中に済ませることができた……!

まあ、洗濯物、前日に取り込んだまま床にほったらかしてたので多少しわはあるけど……。でも仕事しながら洗濯物干したのも偉いし、翌朝に畳めたんだから偉くない!?

もっと完璧にやる方法もありますが、まずは「やった」ということが大事!「ポジティブなことに目を向ける」って、こういうことですかね、先生……!?

この調子で、午後はたくさんの「うれしい」ことをやってみたいと思います。

破けたジーンズを補修する様子

部屋が自然光で明るいうちに裁縫仕事。10年ほど履いていたジーンズの内股部分が破れてしまったのを、裁縫糸で補修してみました。

針仕事は得意じゃないけど、達成感もある上に洋服代の節約にもなるので、「服を補修するとうれしい」と1つインプット。

菜花を購入

そのあとは、散歩ついでにちょっと遠くの直売所までお出かけしました。売られていた菜花が春を先取りしていて心がウキウキ。

夕暮れ時の海岸

さらに歩いて夕暮れの海岸まで行くと、夕暮れの美しい風景にも出会えて、プチ感動。
寒くても散歩に出かけるとうれしい!!

流石にからだを動かさなきゃ…と思って渋々外に出るのと、季節の移ろいを感じられる出会いがあるからと意識して外に出るのとでは、感じ方がかなり違ってきますね。

「●●するとうれしい」ことって、日々の中にたくさん可能性があるんだなと実感できました。

そして、わたしの一番の「●●するとうれしい」は、気心知れた人と一緒に飲むこと!これは竹中先生に教わったABC活動のBelong(所属を自覚すること)!

旬の食材でちょっと手の込んだ料理を作って、それを片手にみんなでワイワイ家飲みをするのが大好きなのです。

飲み会の様子

ある時は近海で獲れた魚と日本酒で一杯やったり。

タコスパーティーの様子

またある時はホットプレートでタコスパーティをしたりと、かなり充実した家飲みをしてます。

柿の葉寿司

この日は、お友達の家に柿の葉寿司を仕込んで持っていきました。

チャチャっとつくる日々のご飯も好きだけど、手の込んだ休日のごちそうは自分も相手も喜ぶいいコミュニケーションツール。

コロナ禍によって人と集まることが断たれた数年があったからこそ、誰かと一緒に飲み食べする時間がよりうれしい!
※家飲みは、少人数でこまめな消毒・換気をするなど感染対策しながら楽しみました。

このひと時のおかげで、わたしは寒い季節も乗り切れているんだなあ……と、ほろ酔いの帰り道、ABC活動のBelong(集団への所属を自覚)の効果を改めて感じました。

暮らしの「うれしいこと」を意識すると、苦手な季節の過ごし方も変わってくる

枯れ葉が落ちている様子

冬場って寒くて苦手だと思っていました……いや、今も苦手なのは変わっていませんが、暮らしの中の「うれしいこと」を意識すると、鬱々と家で丸まって耐えているのは単純にもったいないなと。

自分の意識1つで、憂うつな季節も楽しくなる可能性に満ち溢れているんですね。

お日様の光を浴びて、運動を意識しながら掃除して、あったかいお風呂に入って、季節のおいしいものを食べて……。

習慣化で億劫さをなるべく減らして、私なりのうれしいことを探しながら、暖かな春がやってくるのをポジティブに待とうと思います!

イラスト:まずりん

・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、すべてがライオン株式会社の見解を示すものではありません。

この記事を書いた人

ヒラヤマヤスコ

ヒラヤマヤスコ

編集者・ライター・料理人。飲食やローカルコンテンツをテーマにWebメディアや雑誌などで執筆活動をしたり、料理人としてポップアップの酒場をイベント開催したりしている。現在、京都と逗子を行ったり来たりする二拠点生活中

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