【検証】催眠術をかけたらどうなる?自己催眠で「やる気」を起こしてみた
掃除や洗濯、毎日の運動など、面倒でやる気の起きないことばかり。では、自分自身で思うがままに「やる気」をコントロールすることができたら、自堕落な生活を変えることはできるのでしょうか。そこで今回は、認知心理学からのアプローチで催眠術を研究する漆原正貴さんに「自己催眠」や「自己暗示」について教わることに。「やる気」を自分でコントロールし、毎日の行動へのモチベーションを催眠術で高めたら、日常生活はもっとポジティブなものになるのか?さっそくからだを張って実験してみました。
こんにちは、ライター・ちみをです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私ですか?
私ならこのありさまです。もうダメ。
というか私、そもそも「やる気」というものをお母さんのお腹に忘れてきた超自堕落人間でして、面倒くさがりだし、飽きっぽいし、年初の抱負などやり遂げたことがありません。
もちろん「新年度こそは…」と4月に立てていた目標なんぞ、あっさり風化。
1ミリたりとも動く気力なんて起きません。
本当はこんなことがしたいぞ
そもそも私、この春はこんな目標を立てておりました。
①早起きして朝のジョギングを習慣化したい
朝からスッキリ目覚めて運動不足を解消し、バリっと仕事したい…。
②しっかり家事をしたい
取り込みも畳むのも面倒くさい洗濯物、何年もほったらかしのレンジフード、どうにかしたい…。
③寝る前に毎日、日記をつけたい
ライターは文章を書き続けないとすぐ腕が鈍るので、毎晩日記を書いて鍛えておきたい…。
④ぬか漬けの手入れをしたい
毎日必要な糠床の手入れもちゃんとしたい…。
⑤禁酒したい
禁酒が無理でも、せめて酒量を減らしたい…。
はい。いまだに1つもできてません。
ぬか床に至っては、途中で面倒になって冷凍庫行き。
「やる気」はどうやったら出せる?
この世に本当に「やる気を起こすアイテム」があるのなら、100万円までは出す用意はあるのですが、残念ながらそんな便利なものを見かけたことがありません。
要は「自分の意思(=やる気)をコントロール」できればいいのでしょう。
でも、それが可能だったらこんな苦労はしないはずです。
きっと不可能なのでしょう。
「…いや、待てよ」
そういえばテレビで見る催眠術とか暗示って、辛いものを甘く感じさせたり、自分を動物だと思い込ませたり、人間を自由自在に操ってるよな?
↓
それってつまり、「人間の意思をコントロール」してるってことだよな?
↓
だったら自分で自分に催眠術をかけて、「自分の意思をコントロール」すれば、やる気だってもっと簡単に引き出せるんじゃないのかな?
「って、そんなうまい話、あるかい!」などとツッコミたくもなるわけですが…。
そこは変なところでやる気の出し方がおかしいLidea編集部。
企画が持ち上がるや否や速攻で催眠術師の方へアポをとりつけてしまいました。
あの…そもそも私、催眠術なんて一切信じていないんですけど…。
漆原 正貴 (うるしはら まさたか)
1990年生まれ。幼少期からマジックに傾倒。学生時代はマジシャンのアルバイトをしつつ、手品や催眠の認知科学を研究。東京大学・同大学院では、認知心理学からのアプローチで、催眠術を研究する。現在は出版社に勤務しながら、催眠術師としても活動中。
そもそも「催眠」って何?存在するの?
いきなりすいません。そもそも催眠とか暗示というものを信じてないのですが、催眠術ってなんなんですか?TVとかを観ていても全部やらせだと思ってしまうのですが。
がっつり疑ってますね。たしかに、誰もが納得するようなたった一つの「催眠術の定義」というものは存在しません。米国心理学会でも「催眠の定義については研究者によっていろいろな見解がある」と説明されていて、それだけまだ未知の領域が多いものなんです。
またずいぶんフワッとしていますね。とはいえ「米国の学会で」といわれると、なんだか本当にありそうな気がしますね。
心理学や神経科学の分野でも催眠は研究されていますし、とある催眠状態の時にだけ見られる特有の脳活動も見つかっているんです。ただ、催眠すべてを説明できるような脳の仕組みはまだ解明されていないんです。
なるほど。あるにはあるけど、なんでそうなるのかまだ詳しくわかっていない、という感じですかね。
おおむねそういう感じです。催眠状態が確かに存在することを説明する際に使う画像があるのですが、まずこの画像の文字の色を左から読み上げてもらえますか。
えーと。みどり、あか? き、み、みどり…なんですかこれ、超読みづらいですね…。
「ストループ効果」といって、2つの矛盾するものを同時に処理する時に脳の処理速度が落ちてしまうという現象のせいです。
これは最近まで絶対に制御ができないといわれていたものだったのですが、ある実験で被験者に対し「この文字は、異国の全く知らない記号です」と催眠をかけたところ、文字が読めなくなったおかげでストループ効果が起きなくなって、スラスラ色を答えられたんですね。
催眠術でその文字を読めなくなるよう暗示をかけたら、ストループ効果が起こらずに文字の色だけを認識できたんですね。
初めて「催眠でなければできないこと」が発見できて、確かに催眠はあるんだという明確な根拠になったんです。それに、ストループ効果が起きている時に活発になる「ACC(前帯状皮質)」と呼ばれる脳の部位があるのですが、催眠にかかっている被験者のACCの活動が抑制されたという実験結果が出たんですね。
それで「催眠状態ならではの脳の活動の変化」も科学的に示されたんです。
おおすごい。そういうお話を聞いていると、どんどん催眠術肯定派になってきました。
ちなみに私なりの理解で「催眠とは何か」を申し上げると、「何かが起こるという期待があった時、実際にその期待が実現してしまうこと」を「催眠」と呼んでいます。催眠の8割~9割は自己催眠だと考えているんですよ。
え、あれって催眠術師の波動とか気功とかでかけているものじゃないんですか?
あんな簡単に人のことを操れたら大変です。あくまで催眠にかかる側の人が考える「なってみたいと期待する状態」が前提にあって、その状態へと適切に誘導する…登山でいうところのガイドのようなものが催眠術師の役割なんです。登るのは本人で、登り方を教えるのが催眠術師と考えるとわかりやすいですね。
意外でした…そもそもかかる人が「かかってほしいなぁ」って期待することが前提なんですね。
はい。ですので、研究者によっては「催眠とはつまるところすべて自己催眠(暗示)であり、他者による催眠というのは存在しないのでは」という見解すらあります。
実際に催眠術をかけてもらいました
とりあえず一度、催眠にかかってみましょう。普段はほとんど使わないんですけど、わかりやすいので5円玉を使います。
催眠ショーとかでよく見るやつですね、あ、自分で持つんですね。
手に持って、まずは5円玉の動きを止めてください、行きますよ…。
これから左右に揺れると想像してください、ドンドン揺れると想像してください。右左右左右左、ドンドン揺れが大きくなる大きくなる――今揺れ始めたのがわかりますか?
1回手を叩くと今度は時計回りに回り始めます。ドンドン回ります、ドンドンドンドン大きくなっていきます!
えええ?あれ、あれれ?めっちゃ揺れてる…。
別にご自身でわざと揺らしてないですよね?
いやまったくです。勝手にめちゃくちゃ揺れるし回るし、ちょっと恐ろしくなりました。いや私も意外とアッサリかかりましたね、催眠術。
これは催眠を行うときによくやる基本的なテストです。「観念運動」といって、自身の頭の中で想像したことが、実際に身体的な運動となって起こってしまう現象を体験してもらいました。
次は「条件付け」の実験をします。目をつぶったら背もたれに倒れる、目を開けたら状態を起こす、を10回から15回繰り返してください。
はい(10回くらい繰り返す)。
では、今度はあえて背もたれに倒れる必要はありません、ただ目を閉じてみてください。
え? 倒れちゃう…!こわ(笑)。
このように一瞬で条件付けが作れるわけです。実は催眠術で使う暗示って、このくらいの言葉の延長なんですね。これでおわかりかと思いますが、ご自身でどこか「5円玉が回るかも」とか「後ろに倒れるかも」って思っているんですね。その「何かが起こるかもしれない」という期待を、ちょっと暗示で補強してあげることで、ドンドン増幅されていく。
この振り子の実験も、条件付けの実験も、どちらも自宅で一人でできますので、もしご興味があれば同じようにやってみてください。
いや思ったより簡単にコロッとかかりましたね…信じられない。
いよいよ「自己催眠」のやり方を習います
催眠とはどのようなものなのかを実感してもらったところで、次に自己催眠の方法をお教えしましょう。最初にやっていただきたいのは「リラクゼーションの自己催眠」です。椅子などに座ってゆったりリラックスしてください。
自分の頭の中で「今、自分の気持ちは落ち着いている」と4、5回繰り返してください。目を閉じても開いても、自分が集中できる方でOKです。次に、膝の上に手を置いてもらい「自分の右手がドンドン重くなる」と頭の中で繰り返し唱えてください。そうすると左手は持ち上がるけど、右手が持ち上がらないなという感じになってきます。
右手、ほんと持ち上がらないです…。
今度は左手、右足、左足、と順番に、同じように「重くなっていく」と唱えていってください。するとドンドン身体が重くなって、無理に立とうなどと思わない、立てない状態になってくると思います。
続いて右手がドンドン温かくなっていくことを想像してください。右手だけ日向に差し出したような、ヒーターが前にあるような状態を想像して「右手がドンドン温かくなる」と頭の中で唱えていくと、少しずつ右手がボワッと温かくなっていく感じを受けると思います。
なんか、じわじわ右手が温かくなっている気がします。
今行っていただいたのは「自律訓練法」という自己催眠のメソッドの一部ですね。これは自分自身で毎日繰り返すことで、ドンドン効果が強く、より早く感じられるようになってくるものです。まず自己催眠の導入として「思い込みで自分の感覚をセルフコントロールできる」ということを実感するために行っています。
なるほど、今すごくリラックスしてます。心拍数が下がったというか。
この気持ちが整った状態で頭の中で、自分が望む自己催眠の「構文」を唱えます。例えば「洗濯物を畳むとスッキリする、洗濯物を畳むとスッキリする、洗濯物を畳むとスッキリする」と、洗濯物を畳んでいるところを想像しながら繰り返します。まずはこれだけでOK。すごくシンプルです。
へぇ、簡単ですね。
構文を唱え終わったら、「解除動作」を行いましょう。右手と左手を同時に4、5回開いたり閉じたりしてください、次に肘の曲げ伸ばしを4、5回繰り返したら完了です。これは自己催眠をかけた状態を自分だけで解くための決まりごとです。必ず行ってください。
催眠はどこまでコントロール出来るの?
ということは、催眠術で眠っていた自分の能力を引き出すというのは可能なんでしょうかね?
ここまでのお話どおり、催眠というのは「自分の思い込みや期待を暗示で強化して、実現していくこと」と言えます。そして、催眠のポジティブな効果は主に2つあります。
1つ目は「リラクゼーション効果」で、催眠を行う上で、全身の力を抜いてリラックスし自分自身に集中することの効果。瞑想やマインドフルネスに近いですね。2つ目が「セルフコントロール効果」。自分で自分をコントロールできるという感覚を持つことができるので、これはモチベーションコントロールなどへ繋がっていきます。
なるほど。
あくまでセルフコントロールですから、本人が持っていない能力までは引き出せません。例えば「あなたはアメリカ人です」という催眠をかけると、恥じらいなく自然に英語が出てくるようにはなりますが、決して知らない英単語が話せるようになるわけではありません。
そりゃそうですよね。もともと本人が持っている能力以上のことはできないということですね。
「自己催眠」で、どれだけ生活の質を上げられるか?
では、さきほど習った「自己催眠」で「やる気」をコントロールして自堕落生活を変えたいんですが、それは可能でしょうか。例えば毎朝ジョギングしたり…。
「〇〇をすればするほど〇〇になる」のような「構文」を作れるような行為であれば、自己催眠に適していますね。かつ、「〇〇になる」が自分で実感しやすい具体的なものだと、より効果が期待できます。
なるほど、構文の内容がポジティブなものだと実感できれば、期待や思い込みの強さが増して、さらに暗示にかかりやすくなるわけですね。
手順としては、まず「リラクゼーションの自己催眠」で催眠にかかりやすい状態になるための「催眠誘導」を行います。そのあとに構文を唱えて、身体感覚や知覚の変化を起こすための「催眠暗示」をかけていきます。
さきほど一度かかっているので、今後はかかりやすいと思います。「〇〇をすればするほど〇〇になる」の構文を何度も暗唱してみましょう。
ちなみにかけるときのポイントや注意点はありますか?
かける時のリラックス状態の作り方ですね。集中力が削がれるようなことがない場所でやりましょう。あと構文を唱えたあとの解除動作は必ず行ってください。それと、なんとなく気分が悪くなったりしたらすぐに中止しましょう。
わかりました、では具体的にこんなことがしたいのですが…可能ですかね?
①早起きして朝のジョギングを習慣化したい
「走れば走るほど、楽しくなる」という構文で自己暗示をかけてみましょう。ジョギングしながらさらに走る楽しさを再認識できれば、催眠が強化されていくと思います。それよりも「朝、ちゃんと起きられるかどうか」のほうが難しそうですが(笑)。
そこは目覚まし時計の力を借ります…。
②しっかり家事をしたい
「洗濯物をたたむと、すっきりした感じがする」という構文がいいと思います。レンジフードは…とりあえず汚い部分を毎日見るようにしましょう。そうすると「キレイなレンジフードへの期待感」が募って、実際に家事をするための行動に移りやすいはずです。
③寝る前に毎日、日記をつけたい
聞いたところ、ポジティブなことだけを書く日記をつけると精神衛生上もいいらしいので。
お疲れなんですね…。では「書けば書くほど、癒される」という構文にしてみましょうか。でも、そもそも日記を書き始めるまでのハードルが高そうなので、それだけだとはじめは効果が見えづらそうですね。
これはもはや催眠でもなく関連付け(既存の行動に対して、習慣化したい行動を関連付けること)のテクニックの応用ですが、毎日ペンを持って必ず日記の最初の「今日は」を書き出すところまでを徹底すると続けやすくなると思います。
④ぬか漬けの手入れをしたい
ぬか漬けって毎日かき混ぜないといけなくて、ちょっとだるいんですよね。
これは「混ぜれば混ぜるほど楽しくなる」という構文でしょうか。それと関連付けのテクニックで「帰ってきて手を洗ったら、まずはかき混ぜる」を習慣化させてみましょう。
⑤禁酒したい
やる気がどうとか以前の問題なんですが、最近晩酌の量が多くて。そろそろ少しの間でも禁酒してみたいんです。ノンアルコールビールで我慢しようと思っても、そこに焼酎を入れちゃったりするし…。
(それ、禁酒になってないし…)催眠術だけで禁酒をするのは、まず難しいでしょう。先行研究でも、禁酒や禁煙に対して、催眠は万能ではないという結果が出ているんです。ですので今回は無理せず、減酒くらいを目標にしますか。
まず構文は「ビールの後に炭酸水を飲んだら、スッキリ眠れる」とかにして、炭酸水を飲むことを心がけましょう。さらに関連付けのテクニックの応用で「ビール1缶飲んだ後は、炭酸水を1本飲む」をはじめの数日は徹底してみてください。
ありがとうございます! これでやる気コントロールし放題ですね! これでまずは1週間試してみます。
【日常生活で検証】1週間、自己催眠生活を試してみた
それではここで、漆原さんから伝授してもらった自己催眠のかけ方を今一度おさらい。
1.リラックスした状態で「今、自分の気持ちは落ち着いている」と4、5回繰り返す。
2.「両手や両足がどんどん重くなる」「手がどんどん温かくなる」という暗示を頭の中で繰り返して、実際に自分の感覚がそのように変わることを実感する。
3.自己暗示の構文を繰り返す。
4.構文を唱え終わったら、催眠状態の解除動作へ。右手と左手を同時に4、5回開いたり閉じたりを繰り返し、次に肘の曲げ伸ばしを4、5回繰り返したら完了。
私の日記を通じて1週間の自己催眠生活を御覧ください。
(写真を自分のスマホで撮っているので、画質がイマイチなのはご愛嬌)
▼1日目
今日は自己催眠生活初日。
さっそく朝から自己催眠かけてジョギングでもしてやろうと思ったのに、玄関あけたら雨だった。でもそのおかげで二度寝ができたので気持ちよかった。
二度寝って気持ちいいよね。なんででしょう。小学生のころ二度寝が好き過ぎてわざと5時とかに目覚ましかけていたことがあったことを思い出した。当時から俺はキレキレだったのだな、さすが俺。
夜は教えてもらった自己催眠(「ビールの後に炭酸水を飲んだら、スッキリ眠れる」)と条件付け(「ビール1缶飲んだ後は、炭酸水を1本飲む」)を実践。
ビールを1缶で我慢し炭酸水に切り替えることに成功。
さらにぬか漬けも再開。まずは家の大量のナスを漬けるところから。初日はジョギング以外を順調に終えたので良かった。
▼2日目
今日は6:30に起きて自己催眠、からのジョギングを慣行。我ながらよく起きました、偉い。
それから流れで昨日忘れていた「汚れたレンジフードを眺める」をこなしつつ、早めに出勤。
ジョギング効果なのか、なんとなく頭が冴えている…気がする。
昼も非常に食欲があり、体調の変化を実感。
さらに夕方くらいから眠くなりだし、朝方っぽいリズムなった気がする。感動。
帰ってからもういっちょ自己催眠して、ぬかを触りビールを飲んで炭酸水飲んで就寝。水分の取り過ぎで夜に目が覚めてしまうものの基本的に安眠。自己催眠の効果より、まだこのチャレンジへの義務感のようなものが勝っている気がするが、いずれにしても目的は達成しているので素晴らしい。
▼3日目
今日はなんと風邪をひく。若干熱があったので自宅で仕事。通勤しなくていいため1日が長く感じる。昼休みの時間は自分の布団で昼寝ができるし、これは天国ではなかろうか。
さすがにジョギングはお休みしたが、これは致し方ない。
だがビールは飲んでしまう。風邪をひいてる時にビールはどうかと思うが1缶だけ飲んだら炭酸水に移行できたので良しとしよう。
「混ぜれば混ぜるほど楽しくなる」の構文を唱え、ぬか漬けを混ぜることも難なく成功。
ナスにまだハリがあるので半分に切って糠床に戻した。どうなるか楽しみ。日記をつけることもこうして続いてるので、おおむね順調といえるだろう。
▼4日目
今日はまだ体調が悪かったので会社を休み、自宅で仕事をすることに。
ジョギングは今日もお休み。リモートワークが快適すぎて、このまま明日も体調が悪いままでいいや、などど考えてしまう。昼ご飯は自炊できるし、というか外に出ないと本当にお金を使わない、経済的で良い。
今夜も「書けば書くほど、癒される」「混ぜれば混ぜるほどおいしくなる」などの構文をリラックスした状態で唱えてみる。
お仕事後に糠漬けを混ぜてみた。、少しだけナスを味見してみたがいい感じになっていた。体調は悪いものの、日記をつけることはこのように続いているし、自己催眠の効果は感じている。
はじめに「今日は」を書く条件付けのテクニックが効いている気がする。暗くて落ち着くのでトイレで自己催眠をかけているが、トイレに行くこと自体が習慣的に行うことなので、自己催眠をかけることを忘れなくていいと思った。
▼5日目
今日は体調が回復したので早起きし、自己催眠(「走れば走るほど、楽しくなる」の構文)からのジョギングに成功。いやはや気持ちの良いものだ。
などとツラっと書いているがこの日記、実は6日目に書いていることを告白しなければならない。
なぜなら金曜日なので、夜は自宅で結構な量のお酒を飲んでしまったからである。漆原さんも無理せずとおっしゃっていたので、お言葉に甘えた形だ。
なので、この日はビールもたくさん飲むし糠もかき混ぜないし日記も書かなかった。だが朝ジョギングだけはしているので良かったと思う。
▼6日目
昨夜酔っぱらって覚ましをかけなかったのでジョギングのタイミングを逃してしまったが、今日は天気が良いのでお洗濯。洗濯機を回し自己催眠をかけてからレッツ作業。
「洗濯物をたためば、部屋がすっきりする」の構文を唱えまくり、「干す」「取り込む」「たたむ」の一連の動作、この日は取り込むまではスムーズに。
最後の「たたむ」で催眠が解けてきたのかちょっと面倒になるが、夜には無事にすべての洗濯物をたたみ終わってビールを開封、上出来の一日である。
ぬか漬けも混ぜてみたところ、非常においしそう。だいぶ好みの漬かり具合になってきているようだ。ぬか床を触りながらレンジフードに一瞥をくれる。明日こそ掃除するぞ。
▼7日目
今日は最終日。昨日は早寝だったのでさっくり起床してジョギング。大変気持ちが良い。
帰ってからラスボスのレンジフードと対峙。これも自己催眠を掛けてあっさり退治。とにかく掃除にとりかかってしまえばたいした作業ではないのがわかったのも大きな収穫だ。
夜はビールを空けつつナスを食べてみる。
がっつり漬かっていて最高だ。最高なのでビールを2缶飲んだが今日は催眠生活最終日。打ち上げということで良しとしよう。
どうやら「自己催眠生活」成功?
▼8日目
今日は、まだ日記を書いている。どうやら催眠生活が板についてきたようだ。
この企画への責任感なのか催眠の効果なのかが途中でわからなくなってきたが、いずれにせよ様々な成果が(100%じゃないにせよ)得られたわけで、私にとっては意味があったものに違いない。ありがとう漆原さん。
今日はジョギングこそしなかったが糠漬けは混ぜた。糠床に干しシイタケを追加、さらに鷹の爪と昆布を投入しチューンナップを施した。
これからも自己催眠を活用して糠を育て上げたいと思っている。
だがお酒は気がついたらまた2缶飲んでいた。そもそも冷蔵庫にストックがある時点でそもそもダメなんでしょうな。減酒は無理っぽいです、すいません漆原さん。
【検証結果】
①朝のジョギング:1週間で3回成功
②しっかり家事:お洗濯もレンジフード掃除も成功
③日記をつける:1日さぼっただけで成功
④糠漬けをかき混ぜる:おいしくできたので成功
⑤禁酒(減酒):無理でした
……以上の結果となりました。
自己催眠のポイントは、「やりとげるまでの心理的なハードルの高い無理めな題材を選ばないことこと」でしょうか。
そんなわけで、今回の学びはこちら。
●自己催眠とは、自分で自分にポジティブな暗示を与えることと言える
●ポジティブな自己暗示ほど、実際の行動や習慣化につながりやすい
●自分で作った漬物はやっぱりうまい
「やる気コントロールし放題!」とまではいかないものの、個人的にはわりと効果があった気がしています。
ぜひ皆様も一度騙されたと思ってお試しあれ。
・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
・この記事は2020年3月1日に取材しました。
書いた人
ちみを
1980年生。ライター。銀河で一番美味しく飯を喰らい酒を呑む才能を持ち、食と何かを無理やり結合させることを得意とする食コンテンツサプライヤー。昼はしめやかにリーマンを営む。好きな言葉は「牛飲馬食」。好きな女優は「80年代のかたせ梨乃」。
X(旧Twitter):@chimiwo
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