「洗剤」の成分を詳しく解説!お洗濯で汚れが落ちるメカニズム

「洗剤」の成分を詳しく解説!お洗濯で汚れが落ちるメカニズム

汗などの「水に溶けやすい汚れ」と、皮脂などの「水に溶けにくい汚れ」を両方キレイに落とすため、洗剤には様々な成分が配合されています。水と油を仲介する「界面活性剤」、しつこい汚れを分解する「酵素」、衣類に白さを出す「蛍光増白剤」、シミを落とす「漂白剤」など、それぞれが働くことで汚れがキレイになるのです。

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洗剤は衣類をキレイに仕上げるため様々な成分が配合されている

洗濯物には、汗や皮脂、泥汚れ、食べ物汚れなど、多くの種類の汚れがついています。これらの汚れを効果的に落とすために、「洗剤」には様々な成分が配合されています。
また、汚れを取り除くだけではなく、「洗濯に悪影響を及ぼす物質を取り除く」「衣類の白さを回復させる」などの働きをもった成分もあり、配合された成分の総合力で、洗濯物をキレイにします。
ここでは、洗剤の成分がどのように働くのか、メカニズムを学んでいきましょう。

お洗濯の洗剤の「5つの成分」を解説!

洗剤の裏面などには、配合されている成分が記載されていますが、ここでは洗濯用の洗剤によく配合されている、5つの成分について詳しくご紹介します。「この成分はなぜ必要なの?」「どんな働きをするの?」と、疑問に思った方は、ぜひチェックしてみてください。

1.界面活性剤

<どんな特徴があるの?>
皮脂や油を水と混ざりやすくし、汚れを落とすための主成分です。1つの分子の中に「水と仲がよい部分(親水基)」と「油と仲がよい部分(親油基)」を持っています。油と水は混ざりませんが、界面活性剤が仲立ちすることで混ざるようになります。
界面活性剤には、以下の3つの機能があります。

<洗剤中の成分の例>
・ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル
・アルキルエーテル硫酸エステル塩
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル
・純石けん分(脂肪酸ナトリウム)

(1)浸透作用

繊維の中に溶液を浸透させ濡れやすくすることで、繊維または繊維に付着した汚れに洗剤成分が作用しやすくする作用です。

<動画の説明>繊維(素材:ウール)を水に浮かべても、水が繊維の中に浸透しにくいためなかなか沈みません(左のビーカー)。一方、界面活性剤が入った洗剤液の中に繊維を入れると、繊維に水が浸透するため、素早く繊維が沈みます(右のビーカー)。

(2)乳化・分散作用

汚れを水の中に混ざりやすくする作用です。実際の洗濯では、この作用により、繊維に付着している汚れが溶かし出され、洗濯液に汚れが移っていきます。

<動画の説明>本来水と油(見やすくするため赤く着色しています)は混ざりあうことはなく分離してしまいます(左のビーカー)。しかし界面活性剤の入った洗剤液であれば、水と油が混ざり合い、ピンク色の均一な液体になります(右のビーカー)。

(3)再付着防止作用

一度繊維からはがされて落ちた汚れが、再び繊維に付着することを防ぐ作用です。

<動画の説明>水と混ざっていない油(見やすくするため赤く着色しています)は紙に付着します(左のビーカー)。しかし、界面活性剤が入った洗剤液では(乳化作用により水と油が混ざり、ピンク色の均一な液体になっています)、水中の汚れが紙に付着しにくくなります(右のビーカー)。

汚れを落とす洗剤(界面活性剤)の様子

皮脂や油などの汚れの付いた衣類を洗剤液中に入れると、洗剤中に含まれる界面活性剤が水と一緒に汚れと繊維の間に入り込み(浸透作用)、汚れを繊維から引き離し、水中に取り出していきます(乳化・分散作用)。水中に取り出された汚れは、表面に界面活性剤が付いているため、これらがバリアになって再び繊維に付くことはありません(再付着防止作用)

2.水軟化剤

<どんな特徴があるの?>
水道水や井戸水には、カルシウムやマグネシウムなどの「金属イオン」が含まれています。金属イオンは、界面活性剤と結合して、界面活性剤の汚れを落とす効果を低下させます(下記のメカニズム①参照)。また、金属イオンは汚れや繊維と結合するため、汚れをとれにくくしてしまいます(下記のメカニズム②参照)。水軟化剤は、このように洗濯に悪影響を及ぼす金属イオンと結合することで、界面活性剤の働きの低下を防ぎ、汚れを落ちやすくします

<洗剤中の成分の例>
・アルミノけい酸塩
・アクリル酸/マレイン酸系高分子

金属イオンが洗濯に悪影響を及ぼすメカニズム①

→界面活性剤を無力化してしまう!

洗濯水の中に金属イオンが存在すると、プラスの電気を帯びた金属イオン(例えばカルシウムイオン(Ca2+))と、マイナスの電気を帯びた洗剤の成分(例えば石けんなどのアニオン界面活性剤)が結合し、複合体になります。複合体になると、界面活性剤の洗浄性能は無力化されてしまいます。また、複合体は水に溶けないため、「石けんカス」(金属石けん)となり、すすぎ時に洗濯物に汚れとして付着する場合があります。

金属イオンが洗濯に悪影響を及ぼすメカニズム②

→汚れを集めて、落ちにくくしてしまう!

洗剤が溶けた洗濯水中では、大部分の汚れや繊維はマイナスの電気を帯びていて、汚れと汚れの間には電気的な反発力が生まれています。その結果、洗濯時に汚れが分解しやすくなります。そこにプラスの電気を帯びた金属イオン(たとえばカルシウムイオン(Ca2+))が入ると、橋渡し成分となって、汚れ同士が塊になって分解しにくくなり、洗濯で除去しにくくなってしまいます(左図)。

また、汚れと繊維も同様です。汚れと繊維の間には反発力が生まれていて洗濯時に汚れがはがれやすくなるのですが、金属イオンが橋渡し成分となると汚れと繊維が強く結びついてしまい、洗濯で除去しにくくなります(右図)。

汚れ同士の場合

汚れと繊維の場合

3.酵素

<どんな特徴があるの?>
酵素は繊維の奥まで入り込んだしつこい皮脂汚れたんぱく質汚れ(例えば、食べ物汚れや血液汚れなど)など、界面活性剤だけでは落としにくい汚れを分解して落としやすくします。具体的には、汚れの中の特定の構造を分解し、水に溶けにくかった汚れを、水に溶けやすい物質に変換する働きがあります。酵素には様々な種類がありますが、たんぱく質汚れを分解する働きをもつプロテアーゼが、よく使われています。
つけおき洗いをすると特に効果的です。

<洗剤中の成分の例>
・プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)
・リパーゼ(脂質分解酵素)
・アミラーゼ(デンプン分解酵素)
・セルラーゼ(セルロース分解酵素)

プロテアーゼが作用して、たんぱく質汚れを落とすメカニズム

プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)は、たんぱく質の中の特定の分子構造を分解(化学的には、ペプチド結合と呼ばれる構造を加水分解)し、水に溶けにくいたんぱく質を、水に溶けやすい大きさの小さい物質に変換します。

「酵素」が配合された洗剤を使うときの注意点

「塩素系の漂白剤」は酵素の働きをおさえるので、併用は避けましょう。

4.蛍光増白剤

<どんな特徴があるの?>
蛍光増白剤は、白く見せるようにする一種の染料です。市販の白い衣類の多くは、黄ばみを防ぎ、仕上がりをより白くするために、製造段階から蛍光増白剤が使われています。でも、着用時や外干し時の日光で分解されたり、洗濯を繰り返すうちにだんだん落ちてしまいます。これを洗濯のたびに補い、元の白さに戻すために、蛍光増白剤が使用されます。

<洗剤中の成分の例>
・蛍光増白剤

蛍光増白剤が使われた繊維が、白く見えるメカニズム

白い衣類は、太陽の光などを全て反射しているため白く見えています。すなわち、400700nm付近の光(可視光)をほとんど反射できている状態です(左図)。
一方、黄ばんでしまった衣類は、青紫の光(400500nm付近の光)を反射しにくくなっているために、結果として黄色の光の反射が目立ち、肉眼で黄ばんで見えます(右図)。

白い衣類 黄ばんだ衣類

蛍光増白剤は、太陽光に含まれる紫外線が当たると、青紫色の光(蛍光)を発します(中図)。黄ばんだ衣類が反射しにくくなった青紫色の光を、蛍光増白剤から発せられた青色の光で補うため、黄色味を帯びていても、肉眼では白く感じられるのです(下図)。

「蛍光増白剤」が配合された洗剤を使うときの注意点

蛍光増白剤を使っていない淡い色合いの衣類に使用すると、衣類の白さが増すことによって、かえって色が変わったように見えてしまうことがあります。たとえば、生成り(きなり)や淡色の綿、麻などの天然繊維素材の衣類です。このような素材のお洗濯には、蛍光増白剤が配合されていない洗剤の使用をおすすめします。洗剤のパッケージに記載がありますので、裏面を確認しましょう。製品のパッケージに「無けい光」もしくは「蛍光剤無配合」などの記載があるものです。

5.アルカリ剤

<どんな特徴があるの?>
洗濯液のpH※をアルカリ性にするための成分です。洗濯液がアルカリ性になることで、汚れの性質を変化させたり、汚れ同士あるいは汚れと繊維の繋がりを弱めたりすることで、一部の汚れを取りやすくします。

    ※読み方は、ペーハーまたはピーエイチが一般的です。水溶液の性質を表す指数で、水溶液中の水素イオン(H+)濃度を用いて算出します。通常0~14の数値で表され、7が「中性」、7より小さければ「酸性」、大きければ「アルカリ性」。

<洗剤中の成分の例>
・炭酸塩
・けい酸塩
・アルカノールアミン

脂肪酸が石けんに変化し、汚れを落とすメカニズム

洗濯物に付着する体の皮脂には、「脂肪酸」という成分が多く含まれています。
脂肪酸は、アルカリ性の洗濯液に接すると、洗浄性能を有する「石けん」に変化します。石けんはまわりの皮脂を乳化(溶解)するとともに、石けん自体も洗濯水に溶けるため、汚れが衣類から引きはがされやすくなります。

汚れと繊維がマイナスの電気を帯び、汚れが分解しやすく、繊維からはがれやすくなるメカニズム

汚れや繊維などの物質の表面は、通常、プラスの電気とマイナスの電気が同じ数だけあり、電気的に中和されています。しかし、アルカリ性の洗濯液の中では、汚れや繊維などの物質はマイナスの電気を帯びます。これは、アルカリ性水溶液に含まれる水酸化物イオン(OH-)が、物質からプラスの電気を帯びた水素イオン(H+)を奪い取るためです。

残されたマイナスの電気は、電気的に反発しあう力を生み出すため、汚れが分解されやすくなります。また、汚れと繊維との間にも同様の反発力が生まれるため、繊維から汚れがはがれやすくなります。

その他の成分について

洗剤には、主な5つの成分のほかに、以下のような成分が含まれているものもあります。

●漂白剤
シミや汚れの色素を化学的に分解する成分です。

●再汚染防止剤 
洗剤液で洗って落ちた汚れを、再び衣類に付かないようにする成分です。

●泡調整剤 
泡を調整するための成分です。

●安定化剤 
液体洗剤が凍結したり、分離したり、また粉末洗剤の成分の一部が固まったりするのを防止し、洗剤の形態や性能を安定的に保つ成分です。

●工程剤
製品を製造する時に、作業工程をスムーズにする働きをします。

●pH調整剤
洗剤液のpHを調整する成分

TEACH ME, MEISTER!
教えてマイスター!

洗剤の製品裏面の成分表示と、ウェブサイトの成分表示が違うのはなぜ?

情報開示についてのルールが違うからです

洗剤や漂白剤などの製品裏面に書いてある成分表示は、消費者庁が管轄する「家庭用品品質表示法」に基づいています。一方、ウェブサイトの成分表示は、日本石鹸洗剤工業会に加盟しているメーカーが、「家庭用消費者製品における成分情報開示に関する自主基準」に基づいて情報を開示しています。それぞれに記載についてのルールが違うため、同じ洗剤でも、成分表示の書き方は違っています。
なお、日本石鹸洗剤工業会の自主基準は、使用する製品について更に詳しい情報を求める消費者の希望に応えること、海外でも自主的な成分情報開示が進められていることなどの背景を受け2011年に制定されました。

以下、同じお洗濯の洗剤で比較してみましょう。

「製品裏面」の成分情報をチェック!

→「家庭用品品質表示法」に基づいている

例えば、界面活性剤については、「括弧(かっこ)書きで、含有率(総量)と3%以上含有されている界面活性剤についてはその種類の名称を記載する」というルールがあるため、界面活性剤の含有率(56%)と、ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルなど4つの種類を明記しています。

また、りん酸塩以外の洗浄補助剤や、その他の添加剤については、「含有率が10パーセント以上のものについては、その成分の機能の名称の次に、かっこ書きで種類の名称を表示する」「含有率が1パーセント以上のものについては、その機能を示す用語を表示する」というルールがあります。(上の成分表の「安定化剤」「pH調整剤」「再汚染防止剤」が該当。)

家庭用品品質表示法では、含有量が1%以下の成分は記載されません。ただし、蛍光増白剤、酵素、漂白剤を配合しているものについては、含有量にかかわらずそれを記載するといったルールもあります(上の成分表の「酵素」が該当)。

詳しくは消費者庁のウェブサイトをご参照ください。

「ウェブサイト」の成分情報をチェック!

→日本石鹸洗剤工業会の「家庭用消費者製品における成分情報開示に関する自主基準」に基づいている
この基準の対象製品は、「成分名称とともに、その成分の機能あるいは配合目的を開示する」「1%以上の成分については、含有量の多い順に開示し、1%未満の成分は、順不同で開示してもよい」というルールに従い、一覧にしています。

バランス剤
界面活性剤 ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル
界面活性剤 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル
界面活性剤 アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
安定化剤 安定化剤
界面活性剤 脂肪酸塩
安定化剤 エチルアルコール
pH調整剤 アルカノールアミン
再汚染防止剤 再汚染防止剤
香料 香料
酵素 酵素
安定化剤 安定化剤
安定化剤 安定化剤
安定化剤 クエン酸
分散剤 分散剤
再汚染防止剤 再汚染防止剤
酸化防止剤 BHT
安定化剤 安定化剤
pH調整剤 水酸化ナトリウム
着色剤 着色剤

より詳しく知りたい場合には、こちらをチェックしてください。

この記事を作成・監修した
マイスター

片木 徹也

お洗濯マイスター

片木 徹也

かたぎ てつや

洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。

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