服の虫食い予防・対策!ウール素材などの衣替え時に行いたいお手入れのコツ
虫食い被害を最小限に防ぐには、衣替え前に「しまい洗い」が大切。おしゃれ着の場合は、脇の下やエリ・そでの汚れには「おしゃれ着用洗剤」の原液を、黄ばみや食べこぼしには「液体酸素系漂白剤」を直接塗ってから洗濯すると効果的。衣類は立てて収納し、防虫剤を一番上に乗せると、ケース全体に成分がいきわたりますよ。
「収納する前のお手入れ」が虫食い被害にあわないポイント
衣替えの時、衣装ケースやタンスにしまった衣類を取り出してみたら、「穴が開いていた!」という経験はありませんか?虫に食われるイメージの強い、セーターやスーツのようなウール素材などの動物繊維だけでなく、綿のような植物繊維やレーヨンなどの半合成繊維、ポリエステルのような合成繊維までも、虫食いの被害にあうことがあるので、きちんとした対策が必要となります。虫食い防止には、「収納する前のお手入れ」がとても重要!虫食いの被害を防ぐ衣替えの時の「しまい洗い」から収納方法までを詳しく解説します。
冬物衣類のしまい洗いは「5月のゴールデンウィークまで」が最適
衣類を食べる害虫は、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガなどです。これらの害虫が衣類を食べるのは、「幼虫」の時期のみです。「さなぎ」や「成虫」の時期は、衣類を食べることはありませんが、「成虫」の産卵期になるとせっかくお洗濯した衣類を干している間に、卵を産み落とす危険があります。下記に示した、ヒメカツオブシムシと同様、多くの害虫は5月のゴールデンウィーク明けには「成虫」になるので、冬物衣類のしまい洗いは「成虫」が産み落とした卵ごと収納してしまわないように、遅くとも「5月ゴールデンウィーク」までには行うことをおすすめします。
ウール以外の素材も注意!「食べこぼし」などの汚れで虫食いの被害拡大!
下に示している写真は、ウール、シルク、レーヨンの布上にヒメカツオブシムシの幼虫を入れ、1か月後に虫食いが発生するかどうかを調べた結果です。布に汚れが付着していない場合は、ウール、シルクに穴が開いており、レーヨンははっきりした被害にあっていませんでした。これは、動物繊維であるウールやシルクに含まれるたんぱく質が害虫の栄養源になるためです。
しかし、「食べこぼし」の汚れが残っているとウールやシルクだけではなく、レーヨンにも大きな穴が開いてしまい、虫食いの被害が拡大してしまいました。食べこぼしだけではなく、皮脂や汗などの汚れがついたまま収納すると、大きな穴が開いてしまう可能性があります。そのため、しっかりとした対策が必要です。
- 実験条件:5×5㎠の布をシャーレに入れ、ヒメカツオブシムシの幼虫をおき、1か月放置したあと、穴が開いているかを観察する。
実際の衣類でも虫食いの被害を確認しました。
「虫食いの被害を防ぐ」ためのしまい洗い
それでは、どのようにすれば「虫食いの被害」を防ぐことができるのでしょうか?その方法をご紹介します。
1.汚れをしっかり落とす
何度も着た衣類はもちろん、1度しか着ていない衣類でも、そのまま収納せずに、必ずお洗濯してから収納しましょう。また、食べこぼしや汗などの汚れがついている場合は、以下の方法でしっかり汚れを落としておきます。
<おしゃれ着の場合>
脇の下やエリ・そでの汚れには、「おしゃれ着用洗剤の原液」を、黄ばみや食べこぼしには、「シミ用の部分洗い剤」や「液体酸素系漂白剤」を直接塗ってからお洗濯しましょう。
<普段着の場合>
脇の下やエリ・そでの汚れには、「エリ・そで用の部分洗い剤」または、「液体洗剤の原液」を、黄ばみや食べこぼしには、「シミ用の部分洗い剤」や「液体酸素系漂白剤」を直接塗ってからお洗濯しましょう。
機能性インナーやTシャツなど広い範囲に汗などの汚れがついていたり、ニオイが気になる衣類は、「つけおき」をしてからお洗濯します。洗濯桶に、衣類がつかる程度の量の「ぬるま湯」(40℃くらい)を用意し、そこに通常使用する1回分の酵素入り粉末洗剤、またはニオイ汚れに効果の高い液体洗剤と、適量の液体酸素系漂白剤を溶かします。その中に衣類を入れ、30分~2時間くらいつけおきします。そのあと、つけおきした洗剤液と衣類を洗濯機に入れ、水とほかの衣類を足して、通常通り一緒に洗います。また、洗濯機の洗濯槽を洗濯桶代わりにしてつけおきをしたり、洗濯機のつけおきコースを利用してもOKです。
2.お天気の良い日にしっかり乾かす
害虫は湿気を好むので、湿度の低い晴れの日に、しっかり乾かしてから収納します。また、部屋干しの場合は、湿気の多いお風呂場ではなく、なるべく風の通る部屋に、しっかり乾くまで干してから収納しましょう。
「収納方法」変えて解決!機能性インナーなどの虫食い被害を防止する方法
衣類を積み重ねて収納すると上に置いた衣類に付着した害虫は、光を避け、下の衣類に移動するといわれています。例えば、害虫が好むウールのセーターの下に、機能性インナーやカットソー、ブラウスなどを収納すると、これらの衣類にも穴が開いてしまう可能性が高くなります。そのため、「積み重ねて収納」するのではなく、「立てて収納」しましょう。また、「立てて収納」すると、何が入っているか見やすくなるので、取り出すときにも便利ですよ。
収納ケースに衣類を収納したら、防虫剤を忘れずに入れましょう。防虫剤は必ず一番上に入れます。成分が空気より重いので、下に入れたのでは収納ケース全体にいきわたりません。防虫剤の個数は、パッケージに記載されている数を入れましょう。また、ピレスロイド系防虫剤と、樟脳(しょうのう)が使われた防虫剤は、混ぜることができないので、同じ種類のものを使いましょう。
このように、衣類の「収納方法」を変えるだけで、虫食いの被害を抑えることができます。
「大切な1枚」を虫食いから守るための方法
絶対に虫食いで穴を開けたくない、「大切な1枚」を持っている方もいますよね。特別な衣類には、もう一手間加えることで、虫食いを最大限、防ぐことが可能となります。上記の虫食いを防ぐお洗濯を行ったあと、下記のように処理しましょう。
1.衣類全体にアイロンをかける
衣類の全体にアイロンをかけることで、害虫の卵や幼虫が残っていた場合でも、アイロンの熱で死んでしまいます。この方法は、洗えない衣類にも使用できます。
2.衣類用圧縮袋に入れる
衣類1枚の大きさに合わせた圧縮袋に入れ空気を抜き、しっかり封をしましょう。衣類用圧縮袋に入れることで害虫の進入を防ぎます。また、時間が経っても開かないように、気をつけましょう。
これらの害虫は、タンスや衣類の収納ケースから、突然わいてくるものではありません。実は、家の中に潜んでいるといわれていて、コイガの幼虫は、1mm以下の隙間でも侵入する可能性があります。しっかりとしたしまい洗いと収納で、虫食いの被害をなくし、次のシーズンも気持ち良く着たいですね。
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
大貫 和泉
おおぬき いずみ
洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきました。
母親としての経験と研究活動を融合し、日々のお洗濯に役立つ情報をわかりやすくお伝えしていきます。
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