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我々が胸キュン漫画にハマる理由とは?少女漫画アプリPalcy編集長に聞いてみた!

我々が胸キュン漫画にハマる理由とは?少女漫画アプリPalcy編集長に聞いてみた!

現代女性が夢中になる胸キュン漫画は、どうやってうまれるの?大ヒットマンガ『東京タラレバ娘』などを手がけた、講談社の女子向けマンガアプリ「Palcy(パルシィ)」編集長・助宗佑美さんに、胸キュンコンテンツ制作の裏側を伺います。さらに、現実世界でも胸キュンするにはどうすればいいのか脳科学者の細田千尋先生にもお話を聞くと、暮らしを整え、気持ちに余裕を持つことが大切だと気づきました。

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今日も少女漫画によるトキメキが止まらない…

こんにちは、ライターの七夜なぎです。

子どものころに「なかよし」「りぼん」「ちゃお」のシャワーを浴びて以来、大人になった今に至るまでずっと少女漫画からトキメキを摂取しています。

メチャクチャ疲れている深夜に、気になっていた漫画をオンラインで一気買いしたり、アプリで一気に課金してしまったり…という経験は一度や二度ではありません。私にとって胸キュンは、毎日の暮らしに必要不可欠なものです。

本棚に並ぶ漫画

最近はもっぱらアプリで読むことが多いですが、本棚には大好きな漫画が並んでいます

でもこんな風に毎日胸キュンさせられていると、「少女漫画の胸キュンって、どうやってできているんだ…?」と舞台裏が気になってくるもの。 “仕掛け人”は胸キュンコンテンツに対してどんなことを考えているのか、気になる…!

そこで、今回は大ヒットマンガ『東京タラレバ娘』などを手がけ、現在は女子向けマンガアプリ「Palcy(パルシィ)」編集長・助宗佑美さんに、胸キュンコンテンツ制作の裏側を伺ってきました。

Palcy編集長 助宗佑美さん

助宗 佑美(すけむね ゆみ)

静岡県出身。2006年に、講談社入社。少女漫画の編集者として『東京タラレバ娘』『海月姫』(ともに東村アキコ作)、『コミンカビヨリ』(高須賀由枝作)、『カカフカカ』(石田拓実作)など数々の人気作品を担当。「Kiss」編集部を経て、20192月、漫画アプリ「Palcy(パルシィ)」編集長に就任。

少女漫画の肝!胸キュンは「欲求」から生まれている

ライター 七夜なぎ

はじめまして!七夜なぎです。『タラレバ娘』、いつもハラハラしながら読んでいました!今日は「胸キュン」の秘密を教えてもらいます。よろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

さっそくですが、作り手の皆さんは胸キュンをどのように考えているんでしょうか?

少女漫画や女性漫画にとって、「胸キュン」は“肝(キモ)”ですね!作品の売りポイントになりますし、漫画を作る時には「どんな胸キュンが必要かな?」という話を必ずします。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

やっぱり!具体的にどんな話をしているんですか?

「今はこういう胸キュンブームがあるよ」といったマーケティング的な話をしながら作ることもあります。でも、ほとんどは「どんな人が好きか」「どんなシチュエーションがグッとくるか」といった恋愛観を話していくうちにできていきますね。

Palcy編集長 助宗さん
助宗さんのインタビューカット

取材はオンラインで行いました。

ライター 七夜なぎ

そうなんですね!

私は胸キュンって「欲求」に紐づいていると思っていて。漫画家さんや編集部員との打ち合わせは、普通なら親友にしか話せないような自分のフェチズムをどんどん開示していて、自分でも「欲望にまみれているな」と感じます(笑)。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

恋バナしているみたいだ…。

例えば今、「筋肉男子」への注目が高まっているんですが、「筋肉が好きな人が描いた筋肉」と「筋肉に興味がない人がリクエストされて描いた筋肉」はやっぱり違いが出るんですよ。「筋肉のこの盛り上がり部分が好き!」というフェチズムがある漫画家さんだと、ステキな絵にもなりますね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

なるほど〜。おもしろい!私たちが読むのは一瞬だけど、1コマ1コマに作家さんの好きな気持ちが反映されているんですね。

漫画家さんの好みを理解し、それを読者のニーズとマッチングさせるにはどうするかを考えて、「新しい胸キュンの価値」を読者に提示するのが、編集者の役割ですね。「なぜ、どこにキュンとするんだろう?」と漫画家さんが掘り下げてくれたものが輝くように、胸キュンシーンを作る手助けをしています。

Palcy編集長 助宗さん

胸キュンは「驚き」と「想像力」の二段構え!

ライター 七夜なぎ

助宗さんは、どんな胸キュンを意識して作られているのでしょうか?

「驚き」と「想像力の拡張」の二段構えを意識しています。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

詳しく教えてください!!!

まず「驚き」は、体験したことがない初めて見るシチュエーションだけど、「こんなことされたらドキドキするかもしれない!」という「発見」の胸キュンですね。これが最初に来て、次に「想像力の拡張」。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

そ、想像力とは…???

「驚き」の胸キュンシーンをさらに読み解いていくと、相手の男の子の要素や関係性が含まれていて、「ヒロインのこと大好きじゃん!」とわかって、さらにドキドキすることですね!「驚き」の段階だけの胸キュンを感じてくれてもいいけれど、ていねいに読んで深く味わうと、よりときめくという、それに耐えうる「胸キュンの厚み」が必要だと作り手としては思います。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

助宗さんが担当した作品で、「想像力の拡張」を感じた作品はなんでしょうか?

石田拓実先生の『カカフカカ』(※1)は、1話で智也という男の子が、主人公の亜希を抱きしめて離れようとしたところを、引き留めるシーンがあるんです。まだ1話だから智也がどういう男の子かわからないけれど、彼の引き留め方を見て「私、このキャラクター好きだな」と思ったんですよ。

Palcy編集長 助宗さん
カカフカカ1巻P42-43

カカフカカ1巻P42-43

※1: 作者は石田拓実さん。シェアハウスで元カレと再会した主人公・亜希の恋模様を描く。電子版を含めた累計発行部数は250万部を突破、テレビドラマ化もされた人気作品。

ライター 七夜なぎ

最初の抱きしめられるシーンだけでも胸キュンを感じますが…引き留め方ですか?

このシーンの智也って、亜希の服だけを触っていますよね。人を引き留める時って、腕をつかんだり、もっと強く引いたりも考えられるけれど、智也はギリギリ服だけをつかむ。強気な性格ではないのに、それでも亜希に行ってほしくない気持ちが、この触り方ひとつでわかったんです。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

な、なるほど!

キャリアや才能ある漫画家さんだと、「この男の子はこういう性格で、こういう思いを主人公に抱いているから、こういうつかみ方をする」としっかり考えているから、つかみ方ひとつで胸キュンさせながらキャラクターも描くことができるんですね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

まずハグと引き留めでキュンとするし、指先で智也の魅力が伝わって二度キュンとする…これが胸キュンの二段構えですね!?

はい。そうなると、「智也は『壁ドン』はしないけど急に後ろから首筋をかいできそうだよね」みたいに、その子に見合った胸キュンシーンがどんどん盛り上がって話せるようになります。いわゆる「壁ドン」みたいな、派手な胸キュンシーンが注目を浴びますが、想像力を働かせて胸キュンシーンを味わうのも少女漫画の醍醐味です!

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

多彩な胸キュンの例、もっと伺いたいです!

そうですね。『東京タラレバ娘』(※2)のメインキャラクター・KEYは出会って早々、主人公である倫子たち“タラレバ娘”に厳しいことを言います。あれって一般的な胸キュンシーンではない…ですよね?

Palcy編集長 助宗さん
東京タラレバ娘1巻P62-63

東京タラレバ娘1巻P62-63

※2: 作者は東村アキ子さん。30歳・独身・彼氏ナシの売れない脚本家の主人公・倫子の仕事や恋愛など、アラサー女性のリアルな悩みや葛藤を描く。KEYは、初対面の倫子たちに苦言を呈する人気モデル。

ライター 七夜なぎ

胸キュンシーンというよりは、説教シーンに感じるかもしれません。

でも、「本音で接している」という目線で考えれば、胸キュンシーンとして捉えることができる。他人に注意することが少なくなっている世の中で、真剣に対峙してくれる人は珍しいですから。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

確かに…。

KEYの性格もありますが、手厳しいコミュニケーションがあった上で、関係性のステージが次に上がっています。「好き」「愛してる」以外の愛の示し方というか、「道を間違いかけている時に『それ違うんじゃない?』と言ってくれる」ことも広い意味では胸キュンだな、と思った作品です。

Palcy編集長 助宗さん

時代ごとに求められる胸キュンは変化!今は「溺愛ブーム」!?

ライター 七夜なぎ

15年以上ときめきを届けてきた助宗さんですが、少女漫画で求められている胸キュンの変化を感じることはありますか?

「何にときめくか」の基本は変わっていないと思います。具体的にいうと「自分が愛されているということが何かしらの形で証明される」「男性と女性の肉体差」のふたつ。たとえば手をつないだ時に自分より手が大きいのを感じるとか、並んでいる時に相手を見上げるだとか。「お姫様抱っこ」や「壁ドン」も、体格の違いから性差を感じてときめくというポイントがあったのかもしれません。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

根本的な部分は変わらない、と。

一方で、受け手のスタンスの変化は感じます。「男の子にこういう風にされたい」「男の子のこういうところを見てみたい」という、胸キュンを感じたいという主体性が強くなっているような。いろいろなタイプの胸キュンが欲しいし、新しいタイプのときめきをいっぱい見たい!という欲求を感じます。

Palcy編集長 助宗さん
助宗さんのインタビューカット

編集者視点の胸キュン話っておもしろい…。

ライター 七夜なぎ

そのあたり、詳しく聞きたいです。

少女漫画が歴史を重ねてきたからかもしれませんが、「少女漫画がくれる喜び」をみんなわかって、自分の欲しいものがどこで手に入るかもわかっている。ただ、ここ数年は「一時の現実逃避のための胸キュン」がより求められている感覚があります。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

どういうことでしょうか??

例えば、「私はSNSのフォロワーが○人だけどあの子はもっと多い。それって私にセンスがないのかな」みたいに、自己評価を他者と比べてしまうつらさがあるように思います。だから、「自分を認めてほしい」という欲求が強くなっている感じがしますね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

なんとなくわかる気がします。

さらに新型コロナがあって、親しい人に会えなかったり、雇用が不安定になったりと、現実的に生活がしにくくなることが重なって、さらに「安息としての胸キュン」が求められていますね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

助宗さんが編集長を務める「パルシィ」でもその傾向を感じますか?

パルシィでもそうですし、少女漫画全体が「とにかく愛されたい、許されたい」という流れがありますね。ここ数年のトレンドを振り返ると、『逃げるは恥だが役に立つ』『「東京タラレバ娘』が支持され、「女の子はどう生きればいいのか」という問題提起を含む作品の存在感がありました。その後の『凪のお暇』は、問題提起をしつつ「自分らしくのんびり生きなよ」というメッセージがあった。そしてまさに今は、少女漫画も恋愛ドラマも、もっと甘々なものへの欲求が加速しているように感じます。それは今の社会状況の厳しさを反映していると思うのです。

Palcy編集長 助宗さん

主人公は明るい方がいい?愛されるキャラクターの傾向

ライター 七夜なぎ

個人的に、最近「支持されやすい主人公の性格」が変わってきているような気がするのですが、人気のあるキャラクターにも変化はありますか?

「こんな私がなぜ愛されるの?」という自己肯定感が低い主人公より、素直に健やかに生きている主人公が増えてきた気がしますね。今の少女漫画市場は「溺愛ブーム」がきているんですよ。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

確かに最近、「溺愛」という言葉が帯やタイトルに含まれている作品をよく見るかも。

溺愛作品は、「とにかく男の子が私のことを好いている」という状態から物語が始まることが多い。「こんなダメな私がなぜ?」という主人公だと、「こうだから好きなんだよ」という、マイナスからプラスになるまでの物語をしっかりと描かないと溺愛までたどり着けないですよね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

ふむふむ。

一方、明るく健やかな主人公であれば、そのマイナスを描かなくていい分、その分早く溺愛されるシーンに突入できるということがある。そうすると欲しいものがはっきりしている読者に、より早くそれを提供できる…という観点があります。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

「契約結婚」とか「彼女のフリ」ものもそうですか? より早い段階でイチャイチャが見れて、読者としてはどんどん買ってしまうのですが…。

そうそう。今は両思いになるスピードも早い。1巻で気持ちを伝えあって、そのあとは「両思いという関係性の中でどんな紆余曲折があるか」を描く作品も多いですね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

以前と比べて、関係性の変化がスピーディーになっているんですね。

読者の環境も関係しているのかもしれません。現実がいろいろと大変になっているから、漫画を読む時くらいは揺らいだ気持ちにならない漫画や、スピーディーに甘々な胸キュンを楽しめる漫画が求められているのかなと思います。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

私が毎日漫画を読みたくなるのも、そういう心理からきていたのかもしれない…。

私たちはそういう女の子たちを抱きしめてあげたいし、溺愛だったり胸キュンシーンだったりが一時でも気持ちを休めるものになって、明日への活力になるといいよねと思って漫画を作っています。 ホットミルクみたいなものですね、今夜はこれを飲んでよく眠って、明日はまた頑張れるといいよね、っていう。

Palcy編集長 助宗さん

漫画での胸キュンは、現実世界の胸キュンを遠ざける…?

ライター 七夜なぎ

私たち読者は、確かに「こういう胸キュンが欲しい!」とどんどん素直になっている気がしてきました。でも一方で、現実の恋愛にはときめかない女子が増えているという話もあります。どうして現実には胸キュンしなくなっているのでしょうか?

リアルとドリームが乖離しているのかな?昔から「少女漫画に出てくる男の子はいないよ」と言われていたけど、それがもっと激しくなっているのかも。読者の欲しいものがはっきりしていって、作り手側もそのニーズを理解して作っていくと、どんどん夢みたいな男の子ができていく。でも、現実って夢ばかり見れないじゃないですか(笑)。

Palcy編集長 助宗さん
助宗さんのインタビューカット

その通りですね…。

ライター 七夜なぎ

そ、そうですね。

相手を思いやって、理解して、時には弱点を抱きしめていかなければいけない。偶像を作り上げたドリームの世界の男の子と、現実に生きている普通の男の子の差異が大きくなっている。だからときめきにくくなっているのかもしれません。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

さっきの「展開」の話でいうと、現実の男の子ってかなり展開が遅いですもんね。

付き合ってからの物語を描く漫画が増えているけど、付き合う以前をどう乗り越えるかという“お手本”が少女漫画カルチャーの中に少なくなっているのかもしれないですね。現実で自分がどう振る舞って相手に何をしてあげればいいのかというところから少し離れているというか。…ただ、付き合うまでに何巻も読んでいた昔の私たちが、現実の付き合いが上手だったかと言われるとかなり不安はあるんですが…(笑)。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

うっ。特にうまくなかった気がします……。

あとは人に対しても「採点」をしてしまうのかも。SNSでは、コミュニケーションを取らなくても発言ひとつで「この人ってこういう人なんだ」と思いがちですよね。それを現実でもしてしまうというところはあるのかなと。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

仲良くしているうちに段々いいやつだとわかるとか、特にタイプじゃなかったけどいつも一緒にいたら気が合った…というチャンスがなかなかない時代ですね。

そうそう。自分の理想に合致した人間じゃないと好きと思えないし、ちょっとした情報で「この人はこういう人」と思ってしまうところがありそうです。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

ううーん…(悩)。少女漫画は結果として、「恋愛の教科書」「人生の教科書」のところがあると、一読者としては思っているんです。そういう意味では、少女漫画は理想と現実のギャップを加速させている原因になっている一面もあるような気がしてきたのですが…作り手としてジレンマはありますか?

そうですね…結構ジレンマはありますね。現実を生きていく力が少し弱まってしまうんじゃないかなと。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

難しいところだ…。

つらい現実を見たくない気持ちも理解しているけれど、「女の子はどう生きるべきか」というリアルさを扱った作品を絶えさせてはいけないと思っています。それは少女・女性漫画の編集者はみんな感じているんじゃないでしょうか。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

なるほど。

一時の安らぎとして現実を生きるための漫画と、現実を学んで人生の教科書的になる漫画が両立できるカルチャーでありたいと思っています。変に混ぜると「こういうのが読みたかったわけじゃなかった」と思われることもあるので、切り分けと胸キュンの使い分けをもっと意識的に行うのが適切な編集手法になるかもしれません。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

ちなみに、少女漫画の男性読者について特に意識することはありますか?

パルシィにも1~2割男性読者はいるんです。アプリで見るデータ的に男性と判断されているからといって、いろいろなセクシャリティがあるので単純には分けられないですが…。漫画って欲求や理想に基づいているがゆえに、男女関係なく勝手に異性に夢を見る文化がありますよね。それは時に「多様な社会であったほうがいい」という今の世の中の流れとは、少しズレがあると思うんです。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

確かに。「かっこよくて優しくて仕事ができて経済的に豊かな男性キャラクター」にときめく気持ちと、「男性も仕事をしすぎたら大変だよね」という現実の気持ちって、ある面では矛盾します。

だから男性がパルシィで男性キャラクターを読んだ時に、性差別的に感じないといいな…と強く思っています。その逆も然りですけど。世の中の流れと、好かれる胸キュンやキャラクターがどのように関連するのか、それとも関連しないのかには個人的に大きな興味がありますね。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

すごく興味深いです。

今の少女漫画は社会と連動して、「疲れているのでより夢を見たい」という漫画と、「相互に助け合いたいよね」という漫画の2ラインが走っていると思っていて。「男の子だから」「女の子だから」というところから脱却する新しい胸キュンを作ることはできるはずと思っています。

Palcy編集長 助宗さん

ときめきつつ、「人生の予習」をする!?

ライター 七夜なぎ

最後に、胸キュンに限らずどんな思いを込めて少女漫画を世に送り出しているのか教えてください!

若者のTwitterやツイキャスを見ていると、苦手なものや知らないものを体験して「どうしたらいいのかわからない」と悩んでいる人が多いなと感じます。SNSやアプリで簡単に自分の好きなジャンルを見つけられるようになっている分、「知らない世界」「出会わない世界」が増えている。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

確かに、そうかもしれないです。

だからこそ、漫画によって多様な生き方や恋愛や胸キュンを届けて「こういう世界があるんだ」「こういう選択肢もアリなんだ」と多様なパターンを見せてあげたいです。現実で予想外な出来事にぶつかった時に「こういう物語があった気がする」と思えるだけで、心が救われるんじゃないかなと。

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

人生の「予習」を漫画でする感じですね!

はい。漫画アプリの編集者としては、読者に求められている作品も出すけれど、色々な作品とも出会える道筋を残したいと思っています。多様な価値観を提示できるのが漫画のカルチャーですし、いろいろなときめきに出会ってもらいたいです!

Palcy編集長 助宗さん
ライター 七夜なぎ

今日はありがとうございました!

現実世界でときめくにはどうしたらいい?

何気なく読んでいる胸キュン作品たちが、こんなにも時代や人々の心が求めるものを反映していたなんて。ここまで来たら、より胸キュンの仕組みを知りたくなってきました!そこで、脳科学者の細田千尋先生に、「脳科学的に見た胸キュン」についても聞いてきました。

脳科学者 細田千尋先生

細田千尋 (ほそだ ちひろ)さん

医学博士 認知科学者・脳科学者。東京大学大学院総合文化研究科特任研究員・帝京大学戦略的イノベーション研究センター講師を兼任。

ライター 七夜なぎ

脳科学的に、「胸キュン」とはどういう状態ですか?

胸キュンは、脳科学的に言えば「報酬系」という脳の深いところにある神経のネットワークシステムが活動している状態だと思います。この報酬系に当たる部分に刺激を与えると、欲求が満たされた快さや、「愛」「喜び」のような心の動きが起こることが、さまざまな実験からわかっています。

脳科学者 細田千尋先生
ライター 七夜なぎ

どんな実験があるのでしょうか?

ヒトを対象にした実験では、「魅力的な容姿の異性を見ている」「交際開始後間もない恋人の顔写真を見ている」といった状態の時、報酬系が強く活動しているという結果が出ています。また、ラットの実験では、「レバーを押すと報酬系に電気を流して活動させる」という仕組みを作った結果、ラットが寝食を忘れてレバーを押し続けるようになるという結果も。

脳科学者 細田千尋先生
ライター 七夜なぎ

つまり…レバーを押すと胸キュンできる装置をラットに与えると、ずっと胸キュンを求めて押し続けるということでしょうか?思ったより怖いですね、胸キュン…!

ラットが胸キュンしているわけではないと思いますが、胸キュンとは、それが度を越すと依存になる、「快」の状況と言えるのかもしれません。

脳科学者 細田千尋先生
ライター 七夜なぎ

では「恋愛コンテンツは楽しめるのに現実世界ではなかなか胸がキュンとしない」というのは、脳科学的にはどんな状態なのでしょうか。

欠点のない恋愛世界をコンテンツで楽しむことができてしまって、報酬系がそのコンテンツでは活発に動く。一方で、コンテンツと比べると「難がある」といえる現実では、難点に目がいってしまうことで、報酬系が活動しないのかもしれませんね。

脳科学者 細田千尋先生
ライター 七夜なぎ

(おお、助宗さんに教えてもらったことに近い気がする!)「理想と現実」のギャップがあることで、私たちの脳が現実の世界でキュンとしづらくなっているかもしれないんですね。どうすれば現実でもキュンとするようになるのでしょうか…?

ラットだと、報酬系に電気刺激を流せばいいのでしょうが、人ではそうはいきませんよね(笑)。胸キュンという「快」状態は、尖った気持ち、否定的な思考で生活をしていると、なかなかなることができません。様々なものに対して「かわいい」「素敵」と思えるように、自分の中の感情に余裕と柔軟さを持たせて、素直になっている方が良いのかもしれません。

脳科学者 細田千尋先生

日々の心の余裕で「きゅん」を増やしたい!

助宗さんと細田先生に胸キュンにまつわる話を聞いてみると、思いがけず「我々は日々の仕事や家事に追われて、知らず知らずのうちに心の余裕がなくなっているのかも…」という気づきがありました。

毎日胸キュン漫画でワクワクするのもいいけれど、日常生活でも胸キュンを感じやすくなるように、暮らしを整え気持ちの余裕を作り出すことも、きっと大切。時短アイテムの日用品を選んだり、お気に入りで自分を癒す時間を作ったりして、素直に「素敵」「かわいい」と感じる毎日を過ごしたいなと思いました。

・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。

編集:ノオト

この記事を書いた人

七夜なぎ

七夜なぎ

インタビューライター。少女漫画生まれ少女漫画育ち、好き&得意ジャンルは漫画などのコンテンツとお金。

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