ボコボコ音は排水口の悲鳴!?熱湯、油、髪...排水口に流してはダメなものは?
皆さんは、パスタのゆで汁などの熱湯や、ラーメンの残り汁、調理油などをそのまま排水口に流していませんか?それらをしっかり処理せず排水口に流すことで、ニオイや詰まりなどの原因になることがあります。今回、ひょんなことをきっかけに「流していいものとダメなものを、ちゃんと理解して欲しい...」という、天の声ならぬ排水口の声(!?)を聞いたライターの野田せいぞが、水ジャーナリストの橋本淳司さんに取材を実施。排水口に流してはいけないモノ、排水口トラブルを事前に防ぐ方法について学べる、ちょっぴりファンタジーなお話です。
水に流したいあんなこと、こんなこと…
どうも、野田せいぞです。
皆さんには、水に流して欲しい過去の出来事はありますか?
ぼくは自分で水に流したい(なかったことにしたい)思い出が振り返るとたくさんあります。
もやもやもや…
道でアイドルの歌を原曲キーで歌っている時に同級生と出会ったり
アニメキャラの口癖を日常会話で使っていたり
カッコいいからという理由でAB型だと嘘をついたり
久々に笑ったら「変!」って言われたり
「笑顔が怖い」という理由でバイトの持ち場をホールからキッチンに移動させられたり
こんな小さいけどイヤな思い出が不意に襲ってきます。
橋本 淳司(はしもと じゅんじ)
水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表、武蔵野大学客員教授。水問題・解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携して様々な水のプロジェクトを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として、「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。著書に『水道民営化で水はどうなるのか』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る~水ジャーナリストの20年〜』(文研出版)などがある。
生活排水はどこを通り、どこに行く?
初めまして。排水口からご紹介いただきました野田です。
こんにちは。今日は排水口マスターに近づくためのアドバイスをしてほしいと聞いていますが…。
はい!実は、水に流したい過去がいろいろありまして…。
ん!?過去を水に流す?
いや、なんでもないです…。とにかく、排水口に流していいモノ・ダメなモノをちゃんと勉強したくて、今日はお時間をいただきました!
その話をする前に、野田さんにお伺いしたいのですが、そもそも排水口に流した生活排水は、どこを流れて、どこにたどりつくか知っていますか?
地下!…ですか?
……、間違いではないのですが…。
いわゆる生活排水は、下水道が設置されている場合、排水口から下水道管に流れてそのまま下水処理場まで行き、適切に処理されてから、川や海などの自然環境へ流されます。
なるほど。(超ざっくりいうと)排水口って海や川に繋がっているんですね。
そうなんです。だから、自然に棲む生物を守るためにも、排水口に流していいモノ・ダメなモノをちゃんと理解しておくことが大切なんです。
(排水口に流すモノって、めっちゃ重要じゃん…)
それに生活排水をちゃんと処理していないと、下水道管が詰まる危険性もあります。そうすると、配管に硫化水素ガスが発生し、それが酸化すると硫酸に変わって、コンクリート製の下水道管を溶かしてしまうんですよ。
こわすぎる。
下水道管に穴が空いてしまうと、道路陥没など大きな事故に繋がってしまうこともあるのです。
排水口を雑に扱うと、自然環境だけでなく自分たちの生活も危なくなるんですね。
上下水道管は使用料金を払って地域のみんなで共有しているものです。蛇口をひねれば衛生的な水が出るのは上水道管のおかげですし、大雨が降っても安全に暮らせているのは下水道管があるからこそ。なかなか自覚しづらいですが、実は私たちの暮らしに密接に関わっているんですよね。
僕も自覚が足りませんでした…。すみません…。
特に下水道管は大きいのでコストもかかるんです。だから修復にお金が回らない可能性も出てきます。
恐ろしい。だからこそ下水道管を大事に使っていくことが大切ですね。
はい。下水道管は自分たちの持ち物だと考えてほしいです。
排水口に流していいモノ、ダメなモノを知りたい
それでは、具体的に「排水口に流してもいいモノ・ダメなモノ」について教えてください。まず「熱湯」はどうでしょう?「野菜のゆで汁」とか「パスタのゆで汁」とか。
絶対ダメです。
いきなり断言!
配管は材質的に高温に弱いので、お湯を流すと配管が軟化して傷んでしまいます。熱湯を流した時に聞こえる「ボコッ」っていうあの音は、ダメージを受けている音です。
(悲鳴だ) あとは、「カップ焼きそばの湯切り」はどうですか?
カップ焼きそばぐらいならば、お湯自体が少量かつ5分ほど待っていて、熱湯よりやや冷め始めているので、そんなに気にしなくても大丈夫です。
なら、ゆで汁も時間を置いて冷まして流すのがいいんですね。
そうですね。
では「カップ麵の残り汁」は、流してもいいのでしょうか?
う~ん、これは悩ましいですね。ほんとは流さない方がいいんですが…。適切に下水処理されれば問題ありません。
下水処理されないケースとは?
例えば、集中豪雨などで大雨が降った時に、マンホールの蓋から溢れ出してしまうこともあります。
なるほど。飲み干すのが、正解ってことか…。
いや、古布や新聞紙に吸い取って、乾燥させてから燃えるゴミとして捨てるといいでしょう。
油分を含むマヨネーズも流しちゃダメ!
「調理油」はやはり流してはいけないのでしょうか?人間のからだに良いとされるちょっとお高い油なら流してもいいとか…。
油はどんな種類であっても、排水口から流すべきではありません。配管に引っついて接着剤のような役割を果たしてしまうからです。あとから流れてくるものをくっつけて汚れが重なっていく原因になります。
あと油は冷えると固まる性質があるので、酸化して配管を痛めることになります。
もし大量に流してしまうとどうなるのでしょうか?
オイルボールといって自然環境に出てきて悪臭を発する原因になります。
調理油などの油類は本当に流さないでおこう…。お皿についた「マヨネーズ」も、そのまま流さない方がいいですか?
マヨネーズも油分をたっぷり含んでいるので、紙などでふき取って、可燃ごみとして捨てるのが理想的ですね。結果的に汚れが落としやすくなって、洗剤や水道代の節約にも繋がります。
高分子吸水シートも要注意…!
そのほかに絶対に流してはいけないモノは何かありますか?
「プラスチック類」など水に溶けないモノは流してはいけません。
そうですよね。でも、それは滅多に流さない気がします。
キッチンではあまりないと思いますが、洗面所やトイレなども含めると、それが意外とあるんですよ。
あ…うっかり流しているかも…。
近年は、「ペット用おむつ」なども流されているそうです。高分子吸水シートは水を含むと大きくなるので、それが配管の詰まりの原因になります。
小さいしオッケーだと勘違いしそう。
家庭の排水口の詰まりは台所のシンクだけじゃなくトイレから流れてくるモノもあるんですね。「野菜の泥」はどうでしょうか?
野菜の泥は、できれば三角コーナーに集めるのが理想ですが、一般的なスーパーや八百屋などで購入する野菜についている泥の量程度ならば問題ないと思います。
たしかに最近は泥付きの野菜ってあまり売られてないですね。
野菜といえば、皮は流さないで、乾かして可燃ごみで捨てる方がいいですね。
お米の研ぎ汁は、植物の水やりなどに活用しよう!
調理中に流れてしまうモノだと、「お米の研ぎ汁」は大丈夫でしょうか?
基本的には下水処理されるので大丈夫です。
「基本的には…」とは、どういうことでしょう?
大雨などで排水管が溢れかえった場合に、下水処理されない状態のまま自然環境に流れ出してしまうと、魚などの生物にダメージを与えてしまうことがあります。
お米の研ぎ汁って、油みたいにベタベタしていないし、自然環境に悪そうなイメージがないから驚きです。
例えば、750mlの研ぎ汁が下水処理されずにそのまま川や海に流してしまった場合、魚が住める環境レベルの水質に戻すには、追加で270Lの水が必要といわれています。
ええ!?想像以上に悪い影響があるんですね。
ちなみに、サラダ油は大さじ1杯(15ml)で5100Lの水が必要になります。これはお風呂約17杯分の計算になります。
5100!?個人の力じゃどうにもできない量だ…。
お米の研ぎ汁は、油ほど気にする必要はありませんが、できれば植物の水やりに利用するなどしましょう。
「入浴剤」は問題ないでしょうか?色のついた水を多くの量、流してしまいますが…。
国内で売られている一般的な入浴剤は流しても問題ありません。たまに油分がかなり多く含まれている入浴剤があるのですが、それは詰まってしまうことがあるらしいです。
変わったモノでなければ大丈夫なんですね!あとお風呂だと、「ヒゲ」も流してしまいます。
ヒゲは短いので大丈夫です!
毎日剃るタイプだったので安心しました。
ただ、ヒゲより長い髪の毛の場合は、そのまま流すと排水口が詰まる原因になってしまうので、小さめのブラシなどでかき集めて可燃ごみとして捨てるようにしましょう。
学校でよく流されている「絵具」はどうでしょうか?
水性絵具は問題ないのですが、「ペンキ」や「ニス類」は油分が入っているので配管にこびりついて詰まりの原因になります。
なるほど。ペンキは新聞紙で拭こうって学校で習った気がしますが、油分に注意が必要なのですね。
今回のお話で伺ったモノを一覧表にしました。こう見てみると流していい、流してはダメと一言では片付けられない問題ですね。
※上記の一覧表は一般的な地域の状況を示しています。住んでいる地域によって下水処理設備が異なるため、実際に排水口に流していいモノ・ダメなモノは各地域の下水処理設備の状況をご確認ください。
排水口トラブルを事前に防ぐために…
ちなみに、排水口まわりの掃除を定期的にすることで、詰まりやニオイなどの排水口トラブルを事前に防げる可能生は高くなるのでしょうか?
なります!手が届く範囲だけでも掃除して油分を取り払えば、汚れが引っ付きにくくなります。
なるほど!汚れが少なければ、その分、詰まりやニオイも軽減されるってことですね。
そうですね。
(これからは、ちゃんと掃除をするようにしよう…)
排水口掃除が、地球環境を考えるきっかけになる!?
それに、排水口を定期的に掃除している人ほど、さきほどお話した排水口に流していいモノ・ダメなモノへの意識が高くなる傾向があります。
なるべく排水口をキレイに維持したいと思うからですかね?
それもあると思うのですが…、地球環境のことも考えているんじゃないかなと、私は思っています。
ん!?どういうことでしょうか…?
水の流れって、↓のように大きく巡っていて、その中に私たちがいます。
まず、川や地下水にある水が「浄水場」を経由して私たちの元に届きます。そして、最初にも言いましたが、各家庭から出た生活排水は「下水処理場」で適切な処理をされてから、川や海へ流れていきます。
はい…。
排水口の掃除をしたり、正しく生活排水の処理をすることが、各家庭から出た水の行き先である川や海、つまり地球環境のことまで考えるきっかけになるのかもしれません。
なるほど。「見えないからいいや」ではなく、排水口の向こう側を考えられるようになるのか…。
あと、水を通じて地球環境のことを考えるためにも、一番自分の家から近い川にも行ってみてほしいです。
川ですか!長い間見てないかも。
川の生き物の様子や水の匂い、音を感じてほしいですね。その川が汚れていたら、もしかすると自分の生活と何か関係があるのかな?と想像してみてほしいです。
川…行きます!!!今日はありがとうございました!!!
近所の川に行ってみた
橋本さんのおかげで排水口への理解が深められたぞ!
それに今回の取材を通じて、自分ひとりぐらいと思って熱湯やカップ麺のスープを捨てていたな…と反省しました。
「下水道管は自分たちの持ちものである」という意識は今までなかったからもっと大切に使っていこうと思います!
その後、近所の川へ行ってみました。
鳥が水を飲みに来ていたり、おばあさんが眺めていたりと、ゆったりした時間。
これも下水処理のおかげなんだな。
ありがとう。水道…下水道…
よ~し!!12月だし排水口も含めて大掃除するか!!
いざ、排水口の大掃除!
台所の排水口には「ルックプラス 清潔リセット」を使います!
泡で洗うタイプなので触ることなく洗浄できるそう。
これが泡の元…はたして泡になるのか…
さーーーーーーーーーーー
ぼこぼこぼこぼこ!!!!
す、すごい!泡が一気に出てきた!
汚れを浮かしてるのも見えて気持ちいい!
続けて、お風呂の排水口掃除へ!
お風呂の排水口には「ルックパイプマン スムースジェル」を使用します。
パイプマン!かっこいい名前です。
大容量なので1本あれば家中の排水管を洗浄できそう!
トロトロトロトロ………………
この濃厚具合、安心感ありますね。
そして、どちらの商品も30分ほど待つタイプなので、その間に別の掃除をしましょう。
掃除ってするまでがだるいですよね。でも、やり始めると夢中になってしまって、これでもかというくらいトコトンやってしまう。
この間に排水口2つも洗浄されている。なんて効率がいいんだ!
放置系の洗浄は最高だな…。
そして30分後
お風呂場と…
台所の泡を流したらおしまい!
楽すぎる!たわしでゴシゴシする時代は終わったんだな。
編集:ノオト
・当記事に掲載の情報は、執筆者、取材対象者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
野田せいぞ
ライターの野田せいぞです。イラストも描いています。シェアハウスに住んでいるので2カ月に1度必ず掃除当番がやってきます。つまり掃除が大好きです。この間はカレーを8人前作りました。つまり料理が大好きです。洗濯はあまり好きではありません(無条件で)
SNS:https://twitter.com/nodanosei
- トップページ
- ボコボコ音は排水口の悲鳴!?熱湯、油、髪...排水口に流してはダメなものは?
下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容コメント内容