介護をしている人のための「手の衛生」と「手荒れケア」
介護をしている人は衛生意識が高く、1日に何度も手を洗います。手を洗い過ぎるとバイ菌をバリアする機能が低下し、手荒れや感染の原因になることも。衛生を保ちながら手荒れがひどくならないよう、手を洗ったあとには十分にハンドケアをしたり、お手ふきシートなどを上手に活用しましょう。
介護をしている人が悩んでいる「手荒れ」
家族を介護するようになって「手の衛生に気をつけるようになった」という人は多いのではないでしょうか。
ライオンが、要介護者と同居中の女性を対象に行った「介護をしている人の手指の衛生に関する意識・実態」調査※1では、「介護をすることになったタイミングで菌や汚れに対する意識が高まった」という人が6割以上いました。
食事や着替え、入浴、排泄など介助の場面では、手でからだに直接触れたり必要なものの準備や片づけをします。手はウイルスなどの感染経路にもなり、要介護者の健康を守る上でも「介護をしている人の手指が清潔かどうか」はいつも気になりますよね。
- 1 ライオン調査、デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリテーション)を利用している要介護者と同居中で、家庭内の掃除を主に自分がしている20~70代の女性 N=50、2017年調査
「手指に関する悩み」の項目では、「手荒れ」に悩んでいる人が目立ちました。具体的には「ハンドソープなどで手洗いをする回数が多く、手が荒れる」(44%)、「手指消毒剤を使用する回数が多く、手が荒れる」(34%)という結果でした。
手や指の衛生を保ちながら手荒れをケア
介護をしている人は菌や汚れに対する意識が高く、1日に何度も手洗いをしたり、手指消毒剤を使用しているようです。手洗い回数や手指消毒剤の使用回数が多くなると、ウイルスや細菌の侵入からからだを守ってくれる「バイ菌バリア」の機能を低下させてしまい、手荒れや感染の原因になってしまうことがあります。
手が荒れると、お世話の時や手を洗うたびに痛んでつらいもの。また、手荒れを起こすと、菌が増殖することもあり、衛生面でもマイナスです。
手指を清潔にするにはハンドソープなどで手を洗うのが基本ですが、手を洗ったら、手荒れ防止のためにも「ハンドクリームを塗る」などのハンドケアをしっかり行うことも忘れずに。もし手荒れがひどくなってしまったら、保湿性に優れ、抗炎症成分などが配合されているクリームを使ってしっかりケアしましょう。
また、お手ふきシートも便利なグッズです。高い除菌性能があり、しかもデリケートな肌にも使いやすいノンアルコール処方のお手ふきシートなどもありますので、上手に活用してください。
「要介護者の手が洗いにくい」という声も多く聞かれますが、要介護者の手指の汚れをふき取り清潔にする時にも役立ちますね。
お手ふきシートの上手な使い方
手の汚れを効果的にふき取るためには、ちょっとしたコツがあるのをご存じですか?手のひらや手の甲だけをふいてすませていませんか?ここで使い方のポイントをおさらいしておきましょう。
まず、手や指の「汚れが残りやすい」ところをチェックしましょう。
手の中でもっとも汚れがつきやすいのは、ものによく触れる指先です。効果的に汚れをふき取るには、手のひらや手の甲だけでなく、「指の腹から爪の生え際」を意識して、指先をぬぐうといいでしょう。ほかにも、上の図の赤線で囲んだ部分は汚れが残りやすいので、意識して清潔にしましょう。
お手ふきシートの効果的な使い方
1.まず、手のひらをしっかりふきます。
2.シートを裏返して、手の甲をふきます。
3. 親指のつけ根から指先にかけて汚れをふきとります。
4.人差し指から小指も、指先にかけてていねいにふきます。
これで手指全体がくまなく清潔に!
手指消毒剤を使う時も、手のひらをこすり合わせるだけですませず、汚れが残りやすい部分にもしっかりすり込むのがポイントです。
ハンドクリームで手のガサガサ対策を!
手を洗ったあとは、その都度ハンドクリームなどでケアすることが理想的です。放置して水仕事などをすると、さらに症状が悪化することもあります。また、手荒れと言っても「カサカサ肌」「ひび割れ」「かゆみ・炎症が起きている」などその症状はさまざまです。手荒れがひどいときは「薬用成分配合」など、症状に合ったクリームを選びましょう。
ハンドクリームの正しい使い方
「たくさん使うともったいない!」と、ついつい少量ですませていませんか?量を減らすとうるおい効果が弱くなってしまうため、適量を使うことをおすすめします。両手の使用で約1gが目安ですが、使用前に商品説明をよく読んで確認して、効果を最大限に発揮させましょう。
また、手のひらと手の甲を塗って終わりという人が多いかもしれませんが、手の隅々まで塗り込むことが大切です。忘れがちな「指と指の間」「指先、爪まわり」「手首」もしっかり塗るようにしましょう。
1.手のひらにハンドクリームを取り、両手でこすりながらクリームを温めるように塗る
2.手の甲をやさしく押さえ、クリームをなじませる
3.指のつけ根から指先まで、両手の指を使って伸ばしていく
4.指先、爪まわりなどは、円を描くように塗る
5.手首に塗る
介護をしている人は、子育て中の人より衛生意識がさらに高い傾向
介護をしている人は、頻繁に手洗いをしたり、手指消毒剤を使用するなど衛生意識の高さがうかがえます。でも一般的に「衛生意識が高い層」というと、小さい子どもを育てる女性層が思い浮かびますよね。
そこで、子育て中の女性層※2(以下、「子育て層」)と介護をしている女性層※3(以下、「介護者層」)の衛生意識や掃除頻度を比べてみました。
- 2 末子年齢が小学生以下の子どもがいる20~40代女性 N=300
- 3 デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリテーション)を利用している要介護者と同居中で、家庭内の掃除を主に自分がしている20~70代の女性 N=50
まず、「現在使用している衛生用品」を調べたところ、液体ハンドソープやウエットティッシュ、手指消毒剤などの衛生用品において、子育て層より介護者層の方が使用率が高い結果でした。
「家の中は清潔にして居心地よくしているか」についても、「あてはまる」「まああてはまる」と答えた人の割合は、介護者層が63%、子育て層が51%と介護者層の方が10%以上も高いという結果に。介護者層の衛生意識がいかに高いかがわかりますね。
掃除も介護者層の方が子育て層より頻繁
では、「掃除」についてはどの程度しているでしょうか?1日に何度も手指で触り、家の中でも汚れ度合いが高い※4「冷蔵庫のドアやドアの開閉ボタン」「テレビのリモコン」の掃除頻度を比べてみました。
1か月に1回以上掃除する人の割合は、介護者層は84%、子育て層は70%でした。
1か月に1回以上掃除する人の割合は、介護者層は67%、子育て層は56%でした。
掃除頻度を比べた場合も、介護者層の頻度が高い傾向が見受けられました。
体力や病気に対する抵抗力が落ちている高齢者をお世話する介護者層は、衛生面をとても意識していて、こまめに掃除をするなど、実際に衛生に配慮した行動を取っている実態がうかがえました。
世界有数の超高齢社会である日本。要介護認定者は年々増え続け、平成28年(2016年)で約618万7000人※5。国が60歳以上の男女に行った「介護を受けたい場所」のアンケート※6によると、「自宅で介護してほしい」と希望する人が最も多く、今後ますます在宅介護が増えていきそうです。
介護中は手荒れしやすい環境にありますが、手指の衛生を保ちながら、肌をいたわっていきましょう。
- 5 「介護保険事業状況報告」概要(厚生労働省)。「第1号被保険者(65歳以上)の要介護認定者数の推移」から算出
- 6 「平成29年版高齢社会白書」(内閣府) (https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html)
この記事を作成・監修した
マイスター
衛生マイスター
浅野 ほたか
あさの ほたか
界面活性剤の基礎研究14年、身体洗浄・消毒(手、身体、毛髪)や台所用洗剤、調理分野の製品開発17年と、およそ30年間研究に携わってきました。
これまでの経験を活かし、生活における様々なシーンでの衛生に関わる情報をわかりやすく発信していきます。
ヘルスケアマイスター
芳賀 理佳
はが りか
くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。
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