衣類への「花粉の付着」を防ぐ3つのポイント
衣類に付着する花粉の量は、衣類の素材や発生する静電気によって変わります。セーター等の凹凸のある服や静電気が起きやすいウールや化学繊維の衣類には注意。静電気が発生しやすいのは「かばんとこすれる部分」や「コートやスラックスの裾」。静電気防止スプレーや柔軟剤を活用して静電気の発生を防ぎましょう。
「衣類」に付着するたくさんの花粉
「花粉」の飛散が気になる時期は、衣類への花粉の付着が気になりますよね。実は、衣類に付着する花粉の量は、衣類の素材や静電気によって変わることをご存じですか?今回は、衣服への「花粉の付着を防止する」方法をご紹介します。
花粉の付着量は「衣類の素材」や「静電気」に影響する
下のグラフは「衣類の素材」の違いによる、花粉の付着量を「ウールセーター」「ポリエステルフリース」「綿シャツ」で比較した実験結果です。「静電気を発生させた場合(帯電あり)」と「静電気を発生させていない場合(帯電なし)」とで行いました。なお、綿シャツは、静電気が発生しにくいので、帯電なしのみで測定しました。
その結果、ウールセーターと綿シャツを比べると、ウールセーターの方が花粉の付着量は多くなる傾向にありました。これは、ウールセーターは綿シャツと比較して、表面に凸凹があり、花粉がひっかかりやすいこと、静電気(帯電圧)の発生により花粉が付着したことが原因です。
また、表面に凹凸があるウールセーターとポリエステルフリースの両方とも、衣類の静電気の発生をおさえ帯電していない場合は、花粉の付着量が少ないことがわかりました。つまり、衣類の静電気の発生をおさえることで、花粉の付着量を少なくすることができるのです。
静電気が発生しやすい部位は、「かばんとこすれる部分」「コートやスラックスの裾」
花粉は静電気によって付着することから、からだのどの部分に静電気が発生しやすいかを調べるために、ライオンの研究所に勤めている20〜50代の男性25名、女性27名を対象に、出勤時の静電気(帯電圧)を測ってみました。
測定の結果、男性は「かばんとこすれる部分」「ふくらはぎ」「スラックスの裾」、女性は「かばんとこすれる部分」「コートの裾」「おへそまわり」に静電気が発生しやすいことがわかりました。このことから、上半身より動きの大きい下半身の方が、静電気が発生しやすく、花粉が付着しやすくなると思われます。そのため、外出先から戻って花粉を払う場合は、肩、胸、腕だけでなく、「かばんとこすれる部分」や「コートやスラックスの裾」なども忘れず行いましょう。
「衣類の静電気」をおさえる方法
衣類へ花粉が付着する原因の1つである「静電気の発生」をおさえるには、以下のような対策が有効です。
1.静電気防止スプレーを使用する
外出前、衣類に静電気防止スプレーをしておきましょう。30cm四方に4秒程度の使用量を目安にスプレーします。特に、かばんとこすれる部分やコート、スカート、スラックスの裾は、表だけでなくこすれやすい裏の部分にも忘れずスプレーしましょう。
なお、着用中にスプレーする場合には、必ず自分でスプレーをしましょう。他人がスプレーすると、まれに静電火花が発生して衣類を焦がすことがあります。
<静電気防止スプレーの効果>
下の写真は、静電気防止スプレーを使用した時、また使用していない時の花粉の付着を実験した結果です。
静電気防止スプレーを使用した布の表面には、花粉の付着はほとんど見られません。一方、使用していない布の表面には、花粉がたくさんついていました。静電気防止スプレーを使用すると花粉の付着を抑えることができます。
動画で見ると、さらに違いがよくわかります。
静電気防止スプレーを使用した布、また使用していない布を摩擦して、擬似花粉(石松子※)の付着の様子を実験してみました。
「静電気防止スプレー」による花粉付着防止効果
- 実験方法:クリーンルームの中で、摩擦して静電気を帯びたナイロン布をつるし、約40cm離れた場所から耳かき1杯分程度の擬似花粉(石松子)を少しずつ飛散させた。微粒子可視化システム(新日本空調㈱製)にて撮影。[測定条件:温度25℃、湿度35%RH]
ご覧のとおり、静電気防止スプレーを使用していない布には、擬似花粉が吸い寄せられています。その一方で、静電気防止スプレーを使用した布には、ほとんど吸い寄せられませんでした。
2.お洗濯できる衣類には柔軟剤を使用する
柔軟剤には静電気の発生をおさえる効果があります。お洗濯できる衣類は、日常のお洗濯の時、柔軟剤を使って仕上げをしましょう。
3.静電気の起こりにくい衣類の組み合わせにする
衣類の組み合わせも静電気の発生しやすさに関係します。静電気の発生しにくい素材の組み合わせを参考にコーディネイトすると、花粉の付着をおさえることができます。詳しくは、こちらをご覧下さい。
また、衣類の表面の凹凸の状態によっても、花粉の付着しやすさが変わります。外側に着る服は、花粉が付着しにくい「平滑なもの」を選ぶと良いでしょう。
<花粉が付着しにくい衣類>
凹凸が少ない生地でできた衣類(トレンチコート、ジャンパー、トレーナー、チノパン等)
<花粉が付着しやすい衣類>
毛羽や凹凸がある生地でできた衣類(ウールのコート、セーター、コーデュロイのパンツ等)
この記事を作成・監修した
マイスター
お洗濯マイスター
片木 徹也
かたぎ てつや
洗濯用洗剤などの製品開発に約15年携わってきました。
日々のお洗濯を楽しく、快適に行っていただけるよう、技術に基づいたノウハウをわかりやすくお伝えしていきます。
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