【マンガ】いつまでもペットと幸せに過ごすために知っておきたいこと
おうち時間が増えたことによって、わんちゃん猫ちゃんなどのペットを飼いたいと思う人が増えています。特に一人暮らしの場合には、ちゃんと育てられるかな...と不安を感じることでしょう。ペットを迎え入れる前にしっかりと考えておきたいこと、ペットと最期まで幸せに暮らすために知っておきたいことを、フォレストドッグケアセンター代表で獣医師の田村通夫さんに伺いました。愛犬を最期まで看取った、ある女性のエピソード漫画とあわせてお届けします。
エピソード漫画:サスケと私の物語
縁があって家族になったペットに、幸せな生涯を送って欲しい。けれど私たちの5年後10年後の生活は、ワークスタイルの変化や結婚などのライフイベントによって大きく変わることもあるかもしれません。そんな時、ペットとの関係はどうなるのか。飼う前にはしっかりと考えておかなければならないことがあります。
飼い主とペットに寄り添ったデイリーケアや病気治療を行い、獣医師が在勤する老犬ホーム「フォレストケアドッグセンター」代表の田村先生にお話を伺いました。
田村 通夫(たむら みちお)
昭和57年わたりだ動物病院を開業・院長を務める。公益社団法人川崎市獣医師会 会長。
平成元年フォレスト・ドッグケアセンター開設・代表。日本では、老犬や老猫のための施設が足りないことに疑問を抱き、自ら獣医師をしながら老年のペットに対して最期まで愛情を注ぐことのできる施設を運営する。
https://forest-dog.com/
ペットを迎え入れる時は、直感も下調べも大切に
現在、犬猫などの動物50匹と生活している田村先生は「ペットを迎え入れる時に必ず心に決めて欲しいのは、最期まで責任を持って世話をする覚悟」だといいます。
田村「ペットがいると安らぎが得られて、飼い主のストレスが緩和されるというのは、私自身も日々実感しています。アニマルセラピーも認知度が上がっていますし、実際に病気への抵抗力が増すなどのエビデンスも実証され始めています。また、早起きする習慣が身についたり、散歩によって運動不足が解消されたり、飼い主の生活にハリがでるという声もよく聞きますね。飼い主は出会った瞬間にビビビ!と何かを感じて飼うことを決めたという話も珍しくないですし、そういった直感を感じた子の方が、きっと相性も良いと思います」
ただし注意したいのは、その動物の習性をよく知らないまま衝動飼いしてしまうこと。平均寿命や基本的な性格の他、細かい部分までいえば、毎月の餌代はどれくらいか、トリミングの必要頻度などの情報も、予め知っておきたい情報です。
田村「お金や時間の使い方は皆さん当然考えるものだと思いますが、意外と見落としがちなのが、動物それぞれの習性の把握です。動物の種類による違いはもちろん、同じ犬でも犬種によって差がありますよ。また動物にも個性があります。人間に合わせて生活する子もいれば、本能から夜中や早朝に活発に活動する子や、のんびりした性格の子もいれば臆病ですぐ吠えてしまう子など、飼い始めてから、『こんなはずじゃなかった…』と思っても、それはペットのせいではありません。ペットショップの情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分でしっかり調べることが大切です。『必ず最期までお世話をする』という心構えを大切にすれば、当然できるはずです」
一人暮らしの人がペットを飼うのは難しい?
一人暮らしの若い人の場合、引越しなどのこれから起こるであろう生活環境の変化を懸念して、ペットを飼うことを躊躇してしまう人もいるでしょう。しかし、田村先生からは「僕の経験からいうと、飼い主の引っ越し自体は全く問題ないです」との答えが返ってきました。
田村「もちろん最初は環境の変化に戸惑うかもしれませんが、動物は場所に慣れてくれます。犬は人間をリーダーだと思っているので、環境が変わったとしても飼い主の意識が変わらなければ従うもの。また『猫は家につく』ともいわれ、住んでいる家に愛着を持っているように思われていますが、犬と同じように猫も人について安心しているように思います」
また引越しといった住環境の変化だけでなく、結婚や出産などがきっかけで家族が増えることもまた、ペットにストレスを与えてしまうのか気になるところ。
田村「一緒に住むパートナーがペットに無関心だとストレスを与えてしまいます。同居する者同士で認め合い、みんなで家族になっていくことが大切です。子どもが産まれた時も、ペットへ愛情を注ぐことを忘れないようにしましょう」
なかには、飼い主の愛情不足を感じると、いじけたり、体調を崩したりするペットもいるのだそう。とはいえ、犬や猫は賢いので、赤ちゃんは弱い存在だと、きちんと認識しています。
田村「我が家の場合はベビーベッドの中で猫が一緒に寝て子守りをしてくれていましたし、犬は赤ちゃんにギュッとからだに触れられても我慢する、といういじらしさを見せることもあるんですよ。飼い主が気を付けて様子を見なければなりませんが、子どもとペットが一緒に暮らすことは十分に可能です。兄弟のように仲良く育つこともあります」
取り巻く環境が変わっても、飼い主がペットを大切に想う気持ちがあれば、必要以上の心配は不要。単身者もペットとの生活がグッと想像しやすくなります。
田村「今は一人暮らしの飼い主のために、ペットカメラや便利なタイマー付きの自動給餌機などのアイテムも充実しています。どうしても留守にしてしまう時は、これらを活用すると良いでしょう。また、ペットのかかりつけ医を見つけてこまめに相談するなど、周囲を頼ることも無理なくペットを飼うために覚えておきたいポイントですね。獣医もスタッフもみな動物好きなので、悩みも気軽に相談してくださいね。普段から相談に行く感覚で病院に通い、獣医と親しくなっているとより安心ですよ」
また、ペットと上手に暮らしている人の共通点として「過干渉しない」という点が挙げられると話します。
「例えば、寝ているところを起こして撫でたり、逃げているのを無理やり抱き上げたりするのも、飼い主は可愛がっているつもりでもペットにとってはストレスの一因になることもあります。ストレスを与えないことは、ペットと仲良く過ごす何よりの秘訣でしょう」
医療の発達によるペットの高齢化とうまく向き合うには?
また、長い月日を共にすると、変化するのは飼い主の環境だけではありません。近年は、室内飼いやペット医療の発達により、ペットの平均寿命が伸びているとのこと。なんと、田村先生のもとでは24歳まで生きた犬猫もいるそう。
田村「老年期は種類によって違うため一概に何歳からとは言えませんが、フォレスト・ドッグケアセンターでは10歳前後になると、犬や猫の健康により気を付けるようにしています。高齢になると、寝たきりで床ずれをしたり、鼻がきかずに食事介助が必要になったり、特に犬に多い痴呆では夜に徘徊したり鳴いたりすることもあります」
あどけない可愛らしさが残る赤ちゃん動物からはなかなか想像しにくいかもしれませんが、ペットを飼い始める時には頭の片隅に「介護」という言葉を覚えておくことも必要かもしれません。
田村「介護が必要になった時は、プロに相談して知識をつけましょう。うちの施設では、介護教室を開いてノウハウを教えてオススメのグッズを紹介もしています。例えば、市販品のおむつもちょっと手を加えるだけで格段に使いやすくなりますが、それを知らない人は多いもの。自己流の介護によって、飼い主もペットも疲れてしまうというのはよく聞く話です」
介護は慣れている人に聞くのがいちばん勉強になるそう。近所の動物病院やペットの健康を相談できる窓口などを気軽に利用してみましょう。そして、ペットの健康だけに気を配るのではなく、自分の心やからだも大切にして欲しいと田村先生は言います。
田村「自分が疲れてしまった時は、動物病院やペット介護施設、ペットホテルなどにペットを3〜4日預けるという選択肢も持っておきましょう。ペットは飼い主の顔色、声のトーンの変化などもよく察知するので、疲れはお互いの精神衛生上にもよくありません。リフレッシュして前向きな気持ちになれるように、安心して預けられる場所を作っておけるといいですね」
また、ペットの医療費には保険がきかないので、100%飼い主負担。通院になると出費がかさんでしまうこともあります。ペット保険を利用したり、少額でも毎月積み立てしておいたりすると、いざという時のお守りになるはずです。
かけがえのないペットとの時間を慈しんで
ほとんどのペットは人間より寿命が短いため、多くの飼い主には最期を看取る時が訪れます。
田村「ペットを亡くすと悲しい気持ちになるのは当然のこと。私も経験があるので、よくわかります。しかし、ペットがいた人生がどれだけ幸福だったのか。彼らがいて楽しかったことや助かったことなど、ともに過ごしたかけがえのない時間を思い出して欲しいのです。私も今まで一緒に暮らした子たちのことはずっと覚えています。彼らと過ごせた幸せは、いつまでも心に残っているものですよ」
ペットがいたことで明るく前向きになれたり、癒しや幸せを感じたりした時間は、なにものにもかえがたいもの。お別れの時が来てしまっても、ペットとの楽しかった思い出を覚えておけるのは飼い主だけなのですから、いつまでも慈しんであげたいですね。
初めてペットを飼う時は、ペットの習性を知り、一緒に生きていくために必要なものの準備をしてから、お迎えしましょう。近所の動物病院もチェックして、フォロー体制も整えておくとなおベスト。生活には思わぬ変化やトラブルもつきものですが、飼い主がどっしりと構えて向き合うことで、ペットも安心して過ごせそうです。ぜひ皆さんも、これから出会うペットと、素敵な生活を送ってくださいね。
・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
マンガ・イラスト:じゅん
エピソード提供:小野百々子
編集:ノオト
この記事を書いた人
西田タニシ
おしゃれライター&編集者。雑誌や書籍、Webメディアなどで“女子がかわいく上手に生きること”をモットーにどんよくに活動中。
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