「頭寒足熱」で集中力が上がる?効果について検証してみた
頭を冷やし、足元を温める「頭寒足熱」。風邪を引いた時の対処法として聞くことが多い言葉ですが、実は血の巡りを良くして全身を温めるだけでなく、集中力アップの効果が期待できるとか。冷えに悩むライター・倉重あゆみが、漢方薬処方をメインに診療を行うイシハラクリニックの石原新菜先生にその真意を伺い、からだを張った集中力テストに挑戦します。
こんにちは、倉重あゆみです。この時期なにがつらいって、オフィスが寒いこと。え、寒いの私だけですか?みんな快適そうに見えるのはなぜ?私なんて、PCを打つ指はかじかむし、足先なんてガチガチ。
とはいえ、暖房をMAXにすると今度は頭がボーっとして眠気が…。これじゃあいつまで経っても仕事が捗らないし、環境的にもエコじゃない!
ということで、からだを温めながら仕事に集中できる方法を調べていたら「頭寒足熱」というキーワードがヒット!風邪を引いた時、“足元を温めて頭は冷やすとよく眠れて早く治る”と聞いたことはあるような…。だけど、それが集中力アップになるというのは初耳。
というわけで、早速『きれいな人は温めている』など、冷えに関する書籍を多数執筆しているイシハラクリニックの石原新菜先生に話を聞きました。
石原 新菜(いしはら にいな)
1980年長崎県生まれ。医師・イシハラクリニック副院長を務め、漢方医学や自然療法、食事療法による病気の治療にあたっている。わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄でテレビ出演、講演、執筆活動と幅広く活躍中。著書には『病気にならない 蒸しショウガ健康法』(アスコム健康BOOKS)『やせる、不調が消える読む冷えとり』(主婦の友社)『オトナ女子の不調がみるみる改善する本』(徳間書店)など。
冷え性の人の足元は25℃以下かも!?
「頭寒足熱」って漢字からなんとなくイメージは湧くのですが、どういった状態を指すのでしょうか?
今日は東洋医学の観点からお話しますね。東洋医学では、からだの中にある「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」が過不足なく巡っている状態が理想的かつ、健康な状態とされています。
全身に血液を送り出しているのは、心臓です。そして、人のからだは、心臓から離れているほど血液を流す力が弱まり、血管も細くなってしまいます。
なるほど。足先が一番心臓から離れた場所にありますね。
そうですね。さらに、足先から心臓へ戻る血流は重力に逆らうことにもなるので、血流が悪くなりやすい部位なんです。
ふむふむ。
さらに、下半身が冷えていると血管が収縮してしまい、全身を巡るはずの血液が上半身に集まって、様々な不調につながります。
なんと…。足元の冷えは恐ろしいですね。
そうなんです。全身にきちんと血を巡らせるために足元を温めることはとても大切で、その状態を「頭寒足熱」といいます。
「頭寒足熱」を意識すると、体内の血の巡りが良くなり、さらに気、水の巡りも良くめぐる=健康につながる、ということ…?
はい、その通りです。実は、上半身は36℃ほど体温があっても、足先は25℃くらいという人が多いんですよ。冷え性の自覚がある人は、25℃以下という場合もあります。
え!そんなに温度差があるんですか!?全然知りませんでした。
倉重さんは、頭痛、肩こり、むくみ、便秘などの不調はありませんか?
肩こり、むくみは当てはまります…。
これらの不調は「未病」といって、病気になる一歩手前の状態のようなもの。「からだの冷え」が原因であることも少なくありません。頭寒足熱は日頃からぜひ心がけてもらいたいですね!
頭寒足熱をつくるカギは運動!
具体的にどんなことを心がければ、頭寒足熱の状態をキープできるのでしょうか?
何よりも大切なのは、運動すること!日頃からよく足を動かしている人は、おへそから下の下半身にも、しっかり血液が巡っています。
それはつまり、下半身の筋肉を動かすことがポイントということでしょうか?
そうですね。足腰を動かすと、筋肉を動かすために血液がどんどん下半身に送られて、血管も開きます。からだを動かしていないと「頭寒足熱」の逆、「頭熱足寒」になってしまいます。
冷え性の自覚があったので、なるべく温かいものを食べたり飲んだりしていたつもりだけど、やっぱり一番は運動か…。
食事面の心がけも、もちろん大切です。でも、ヒトが自分のからだで熱を作れるのは“筋肉”しかありません。体温の約40%は筋肉から産生されるといわれているんですよ。
筋肉をつければ、体温が上げられるんですね!
はい。ウォーキングやジョギング、スクワット、もも上げなど、とにかく下半身の筋肉をしっかり鍛える運動をしましょう!
うっ……わかりました。運動します!先生は日頃から運動しているんですか?
朝はランニングと筋トレ、クリニックには自転車通勤、仕事が終わって時間があればジムで泳ぎますよ〜。ちなみに、朝食は自家製の人参りんごジュース、昼食は黒糖と生姜紅茶を飲んでいます。よかったら一口どうぞ。
いただきます!黒糖おいしいです。もうからだがポカポカしてきました。
でしょ?私は毎日湯船に浸かるのも習慣で、平熱は37℃なの。
37℃!すごい!
あはは。でも、私も元々は平熱が36℃だったんですよ。生活習慣を見直すことで1℃アップすることができました。
え!そんなに変わるんですか!できることからマネしたいと思います…。
頭寒足熱と集中力の関係性
ところで、頭寒足熱は「集中力アップにも効果がある」と聞いたのですが、ほんとですか?
はい。効果はあるでしょう。勉強や仕事をしていると頭がヒートアップしてくることがありますよね。その熱がうまく発散できずにこもってしまうと、集中力の妨げになってしまいます。下半身の血の巡りが悪いと不調の原因だけでなく、集中力の低下にも繋がる可能性が高いです。
体調も良くなって、集中力もアップするなんて最高…!運動以外に、手軽にできる頭寒足熱にはどんなものがありますか?
腹巻、レギンス、レッグウォーマー、靴下、ひざ掛けなど、衣類などを取り入れるのもいいですね。できることから始めてみましょう。
それなら、今日からすぐ取り入れられます!
下半身を温めるのはもちろんですが、私は、国家試験の勉強時に、おでこに冷却シートを貼って勉強していました。勉強も捗ったような…(笑)。
え~!そうなんですね。それはいいことを聞きました。よし!いろんな頭寒足熱を試してみたいと思います!
「頭寒足熱シチュエーション」を集中力テストに挑戦!
石原先生に教えていただいた「頭寒足熱」のお話を元に、「集中力が最もアップする頭寒足熱シチュエーション」を検証してみたいと思います!
用意した集中力テストは、編集部特製の「ひらがな探し」。A4用紙5枚にびっしりと並ぶ「め」の中から5つだけ紛れ込んだ「ぬ」を探すというもの。え?それだけ?と思いますよね…?
しかし、これが意外にも大変なんです。
まず、特にからだを温めることもなく通常状態で行った結果は…
かかった時間は「4:00」(4分)でした。
1つ探すのも結構苦労するのですが、5つ探すのには、相当な集中力が必要。
見つけられない時は、ずっと「め」の文字を追い続けることになります。
さて、これから自分なりに考えた頭寒足熱のシチュエーションで、最も集中力が高まる方法を探りたいと思います!タイムを縮めることはできるのか!?
検証①:ポータブルファン×足つぼマッサージ
冷えのツボ「三陰交」をグリグリ。内くるぶしの頂点から指幅4本分上がったところで、骨と筋肉の境目あたり。わかりやすく赤シールを貼りました。
ゆっくり息を吐きながら静かに押して、息を吸いながら離します。押すだけでだいぶ痛いです(からだが冷えている証拠らしい…)。
でも、足つぼの効き目はすごい!すぐにからだがポカポカしてきました!おまけに痛みで目も覚める…。これは良いかもしれない…?
「ブゥ〜〜ン」と涼しい風を、結構な勢いで送り出すポータブルファンを片手にテストスタート。
いやいやいや、目が乾いて仕方ないし、そもそも風、うざい(笑)。
まったくもって集中できません!
結果は…「3:46」!
ちょっとタイムは縮まったけど、これはもうやりたくない…。
検証②:アイス×こたつ
日本の冬の代名詞・こたつはまさに「頭寒足熱」を商品化したものと言っても過言ではないでしょう!入ったそばから暖か〜い。
下半身がぬくぬくしてきたところで、アイスクリームをいただきます。アイスとこたつの組み合わせ最高だわ…。糖分も摂取できて、なんだか調子が上がってきた気がする!
結果は…「3:00」!
お!タイムがだいぶ縮まりました!
ご褒美があるとやる気になる体質なのかもしれません。
ただし、アイスは食べすぎるとお腹が痛くなってしまいそうなので、この技を使えるのは1日1回までですね(笑)。
検証③:冷えピタ×こたつ
アイス×こたつはおいしくて幸せだったのですが、お腹も冷えるし、ずっとアイスを食べ続けるわけにもいきません。ということで、冷えピタを貼ってみることにしました!
石原先生も太鼓判を押していた冷えピタ。冷んやりして気持ち良い〜!ハーブの香りも、スーっとして好きなんですよね。
テスト中も快適。いつもは室内でもストールをぐるぐる巻いているけど、こたつに入っていれば上半身はニット一枚でも寒くありません。なにより、動きやすい。
結果は…「2:06」と、良い感じ!
ただ、正直ずっとこたつに入っていると、ちょっとだけ眠くなってしまいます…。
こたつって幸せ指数が高いので、脳がリラックスモードになってしまうのかもしれません。
ね、眠い…。
検証④:冷えピタ×もも上げ
というわけで、残念ですが、こたつから出て運動します。冷えピタはつけたままです。大嫌いなもも上げを30回×2セット!
全身が温まりました。一言にもも上げと言っても、結構な全身運動。い、息が…。全身の血の巡りが良くなっているのは実感できるものの、どっと疲れた…。
なんだか集中力も散漫…。結果は「5:11」!
「頭寒足熱」はからだを動かすことが大事ではあるけれど、からだを動かしたあとにすぐテストはできないということが、身を持ってわかりました…。
検証⑤:冷えピタ×足裏カイロ
「毛細血管が集まっている足の裏から温めると効果的ですよ!」という石原先生の助言から、用意したのは貼るカイロ!貼ると足裏が即座に「じわ〜ん」と温まってきました。
足の裏が暖かいだけで、こんなに全身の体感温度も上がるんですね。期待が高まります。
結果は…「1:25」のベストタイム!
暑くもなく、寒くもなく。そして足の裏にカイロ、おでこに冷えピタが貼ってあるだけで、限りなく通常の仕事スタイルに近いのですごく落ち着きます。
検証⑥:冷えピタ×足湯
さて次は足湯です!
マッサージに行くとたまにやってもらうのですが、私、足湯大好きなんです。
石原先生曰く、43〜45度のお湯に15分ですが、足を温めるのに最適な温度とのこと。
足を入れた瞬間は「熱くて痛い!」。けどこれって足が冷えている証拠ですよね……。
3分も経たないうちにお湯に浸けている部分だけが真っ赤になりました。あ〜このまま全身浸かりたい。
今回は足湯に浸かったままテストスタート!
15分も経つと全身がポカポカ、額にはうっすら汗が浮かんできましたが、冷えピタが心地良いです。
結果は「足裏カイロ×冷えピタ」に続き、「1:29」と好タイムを記録!
今回6パターン試してみた中で、最もテスト結果が良かったのは、「冷えピタ×足裏カイロ」の組み合わせでした。
個人的な体感としては、暑すぎることもなく、全身がじわ~っと温まるので、とにかく快適。
頭は冷んやり気持ちよく、からだは足元からぽかぽかする組み合わせが、集中力が発揮される環境なのかもしれません。
日ごろから頭寒足熱を取り入れてみたら…
「頭寒足熱」の効果を学んでから、日ごろから下半身を温めることを意識しています。
実践しているのは、ヒーターの温度を上げる前に足裏カイロを活用すること。
そうすると、頭がぼ~っとせずに体はぽかぽか。寒さを気にせず、いつもより仕事に集中できるようになりました。
とはいえ、もも上げなどの運動は不足気味…。次は内側からからだを温めるように運動も取り入れていきたいと思います!
ぜひみなさんも、勉強や仕事など集中したい時には、頭寒足熱を意識して生活に取り入れてみてくださいね。
編集:ノオト
撮影:栃久保誠(9枚目以外)
・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
倉重あゆみ
編集者/ライター。フリーランスで雑誌やWEBメディアを中心に活動中。音楽フェスに合わせて、どこかしらの土地へと旅行に出かけるのが毎年の楽しみ。
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