「親の老後どうする座談会」開催!令和を生きる元気なシニアとどう話す?
親が元気なうちに話し合っておきたい"老後"や"終活"の話。しかし、いざ話を切り出すとなるとタイミングや伝え方がわからず、戸惑ってしまう人も少なくないのでは。親も子も、明るく前向きに話をするためには、どうコミュニケーションを取るといいのでしょうか。一般社団法人 終活カウンセラー協会・代表理事の武藤頼胡さんをお迎えして、実例を交えた30〜40代のリアル相談会を開きました。
こんにちは。イラストレーターの原あいみです。突然ですが、皆さんは親の老後や介護について家族でしっかり話し合っていますか?先日、友人とのランチで「親の老後の話って切り出しにくい」という話題で盛り上がってしまいました。同じように悩みを抱える30~40代は少なくないのかもしれない…!そう思い、座談会を開催することにしました。まずは、今回集まってくれた皆さんを紹介します。
武藤 頼胡(むとう よりこ)
株式会社リンテアライン代表取締役。一般社団法人・終活カウンセラー協会代表理事。一般財団法人葬務事業振興会理事。終活カウンセラーの生みの親。「終活」という考えを普及すべく、テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数。全国の公民館や地域包括支援センター(行政)などでのセミナー講師を担い、一人ひとりに「終活」を伝えている。
原あいみ(40代)/既婚・子持ち・実家は名古屋
Aさん(30代)/未婚・一人暮らし・実家は大阪
Bさん(30代)/既婚・子なし・実家は千葉
正月の集まりで、突然話を切り出されたけれど…
<相談者プロフィール>
・最初の相談者は、この記事の書き手・原あいみ(43歳)
・既婚、子持ち、実家は名古屋
・家族構成は父(72歳)、母(70歳)、 兄(45歳)
・18歳で上京、東京で結婚したため、両親のことは兄に任せっぱなし
両親と明るく前向きな話し合いがしたい!
前回の帰省の時、父が「病気になった際の希望」を書いたプリントを家族全員に配布。これをきっかけに、両親の終活に対する希望をできるだけ叶えてあげたい!と思うように。ただし、その後は具体的なコミュニケーションが取れていないため、明るく前向きな感じで話し合うコツが知りたい!
お父さま、素晴らしいですね!親御さんから切り出してもらえるなんて、ありがたい話ですよ。
プリントをもらった時はびっくりしましたが、こういう準備をしているんだなぁって安心しました。
神パパ!!プリントには何が書いてあったんですか?
「延命治療」「終末期を過ごす場所」「葬儀」などについてです。このプリントをきっかけに、そういえば昔「葬式では、モーツァルトのレクイエムを流してほしい」なんて言っていたのを思い出しまして。なるべく希望を叶えてあげたいなと思えるようになりました。
いいことですね!でもね、終活に対しての希望って、実はしょっちゅう変わるものなんです。
え!そうなんですか?
私自身も延命治療はしたくない派だったんだけど、父の最期を看取ったら「延命治療してもいいかな」と思えたんですよ。死生観が変わることって結構あるから、毎年ちゃんと聞くといいですよ。
一度希望を聞いておけば安心だと思っていました。ここから、どう聞いていったらいいでしょうか?
プリントに書いてある内容を「エンディングノート」に転記して、「ここから変わってない?」なんて聞くと話しやすいですね。今日は私が作っているノートも持ってきました。
見たーい!
私は「終活ノート」と呼んでいるのですが、大事なのは、お父さまの生きてきた「これまで」について聞いてあげること。
「これから」ではなく「これまで」?父の幼少期からの話を聞く、ということですか?
そう!そうすると、おのずと希望が出てくるものなの。あれは誰々に譲りたいな、とか、本人も自分の希望に気付きやすくなるの。
なるほどー!
皆さん、お父さまのこと、どのくらい知ってます?お父さまの尊敬する人って誰かわかります?
知らない…。
お父さまの名前の由来は?
知らない…。
自分の親のことって、知ってるようで実は知らない。親がさらに歳を重ねて、できないことが増えて、行動範囲が狭くなったとしても、これまでの人生の色々を聞いていたら、「〇〇に行ったら喜ぶかな」とか想像しやすくなるんですよ。
確かに…。今、父がどこに行きたいかなんて、わからない。父は幼少時代、長野に住んでいて、昔の貧乏暮らしの話は子どもの頃よく聞いていましたが、改めてもっと聞いてみたくなりました。両親の半生を聞く作業は、単純に面白そうです。エンディングノートって、いきなりお葬式の希望を聞くわけではないんですね(笑)。
私も書いていますが、結構楽しいですよ。最初に「これまでの人生を漢字一文字に例えると何?」なんて質問を家族みんなでやると盛り上がるんです。
えー!おもしろいー!
原さんは聞きやすい状況になっているので、今がチャンスですよ。一緒に考えてから、書いてくれたことについて「これってどういうこと?」と、質問していけばいい。
エンディングノートって、死ぬ前の準備というネガティブなイメージがあったので、どんなことが書いてあるかも正直よく知らなかった。でも、もっと「今、話そうよ!」ってノートなんですね。
コミュニケーションのきっかけですね。
そうそう、お父さんの人生をたっぷりと聞けば、自ずと希望が見えてきますよ。
親の価値観が見えてくるんですね。
そして、一度聞いたら終わりではなく、定期的に確認してください。人の気持ちも家族の状況も、社会も変わるので。
原さんのまとめ
・老後の希望を聞くだけではなく、親のこれまでの人生を聞くことで、自ずと親の希望が見えてくる!
・家族みんなでやると、より盛り上がるかも!
東京⇔大阪 離れて暮らす両親が気になるAさんの場合
<相談者プロフィール>
・次の相談者はAさん(36歳)、未婚・一人暮らし・実家は大阪
・家族構成は父(67歳)、母(64歳)、 弟(31歳)
・免許返納、保険、貯金など気になることがありすぎて、もはや何から話せばいいのかわからない
やっぱり話しづらい「終活の話」どう切り出せばいい?
お正月に集まった時に、母が「70歳くらいのほどほどで死にたい(あと6年後!)。お墓もいらない、散骨でいい。お父さんのことはよろしくね」と言い始めたが、「縁起でもないでしょ!」と話をそらしてしまいました。どう返すのが正解だったのでしょうか?
今年になって、突然母が老後の話を始めたんです。「私は70くらいで逝くけど、お父さんは100まで生きるからよろしくね」なんて言い出して。でも、私の方が話をそらしてしまったんです。
わかります。突然言われたらびっくりしますよね。
母がきっかけをくれたのに大失敗です。「免許返納」「保険」「貯金」などなど本当は聞きたいことが山ほどあるんですけど、この後どう切り出すのがいいですかね。
ちなみに、お母さまはなぜ70歳って言っているのだと思いますか?
元気なうちに、ピンピンコロリがいいんだと思います。
なるほど(笑)でもね、寿命はなかなか自分で決められないもの。今、100歳以上の方って、日本全国に7万1000人以上いるんです。
多い!
皆さん「金さん銀さん」という双子姉妹を覚えていますか?25年くらい前に、なんであんなにテレビに出ていたのかわかりますか?
…あ、100歳がまだ珍しかったから、ですか?
その通り!当時は確か4000人くらいしかいなかった。でも2050年には、100歳以上の方が53万人になるといわれています。
ひえー!!
いいですか、私たちの親世代は100歳まで生きる可能性が大なんです。明日死ぬ可能性もあるけど、100歳まで生きる可能性もある。半々です。だから、人生100年時代っていうのは、本当なの。
そうですね。私たちなんてまだまだ、ですね。
でもなぜ、皆さん早く死にたいっていうか。それはね、残念ながら、長生きはリスクだと思っているからなんです。「健康大丈夫かな」「お金足りるかな」「子どもに迷惑かけないかな」なんてね。
母も、まさにその通りだと思います!
本来、生きていることは楽しいはず。だから、終活とはどう楽しく生きるかを親と一緒に考えるかだと思ってほしい。
終活ノートって「死に支度」と言われがちだけど、本当は「生き支度」なんですよ。
はぁーーーー!目から鱗!
そのためには、やはり健康寿命が大事。私の父は、お手洗いから出る時に転んで、動きが制限されるようになり、そのあと心臓を悪くして亡くなったの。段差たったの3センチ。実は、65歳以上の高齢者のケガは約77%が家の中で起こっているの。
えぇっ!家の中なんてびっくり!
だから、とにかくまずケガをしないように、一緒に家の中を見て、「床にある物を片付ける」「通り道を確保する」といった安全対策をする。そうすれば、「娘は心配してくれてるんだなぁ」と、きっと気持ちも伝わるはず。
そうですね、すぐにやりたい!
親に「生前整理をさせる」ではなく、元気に過ごすために、まず「怪我しないようにする」と考えるんです。
生前整理をさせようとする娘と、怪我しないように考えてくれる娘、大違いですねっ。なんだか考え方がガラリと変わりました。
Aさんのまとめ1
・終活は「死に支度」ではなく「生き支度」!
・これからも一緒に楽しく生きるための話、と思えば切り出しやすい!
親だからこそ切り出しにくいけれど、お金の話がしたい!
親の稼ぎや貯金の額を一切知りません。聞くのがはばかられて今に至ります。しかし、老後2000万円問題がある今、残額は大丈夫なのか不安に…。お金のことってどう切り出せばいいのでしょうか?
実はもう一つ相談がありまして…。私、親の稼ぎや貯金を全然知らないんです。保険もそうですけど…お金の話ってどうしたらいいですか?
わかる、お金のことってなんて聞いたらいいか…難しいです。
それはね、聞こうとするからいけないんです。
え!?どういうことですか?感じろってこと!?
そりゃ、知っているに越したことないですけどね。でも、知らなくてもいいんです。ようは、親がちゃんと自分の老後に必要な分を確保できていることを認識できればいいだけの話。
確かに、具体的な貯金額を知っている必要はないですね。
そのためにはどうすればいいかというと…ずばり、自分自身がやってみることです。
自分の貯金をさらけ出すってことですか!?
いえいえ、金額を見せなくてもいいんですけどね(笑)自分自身が、人生100年時代を想定して、老後のことを考えている、という姿を見せればいいんです。そもそもみなさん、自分がやってもいないのに、終活ノートやお金のプランニングを、親に「やれやれ」って言ってませんか?
ギクッ!
私たちも、明日死ぬかもしれないのに、なぜか勝手に「親が先だ」って思ってるでしょ?
ギク!ギク!!
2000万円問題って言うじゃない?あれは、親世代ではなく自分たちの方が問題なのよ。だから、自分の問題としてやってみる。自分の人生100年と考えて、プランを立ててみるの。その姿を見せると、親も自然とやってくれるかもしれませんよ?
例えばどんなことをすればいいですか?
まず、これから100歳までのことを考えるためには、自分が今どのくらいのモノを持っているかを知る必要がありますね。金融資産から「金目のモノ」まで、自分の持ち物を余すことなく書き出してみるんです。
書き出す?実際にノートとかに書くんですか?
そうです。現金に関しては、なんとなく自分が今いくら持っているか、わかっている人が多いけれど、「金目のモノ」は意外と何を持っているかわかっていない。
「金目のモノ」って、時計やアクセサリーなどですか?
そうです。それらを、ぜーんぶ書き出します。この作業をやってみると、不必要なモノが多いことや、存在を忘れていた通帳などに気付いたりして、自然とスリム化されていくんですよ。私も実際にやってみたら、貯金通帳の数が整理され、減らすことができました。そして、余計なものを買わなくなる!(笑)
それはいいですね!
ちなみに、ご年配の方がこの作業をやると、自然と相続について考えるきっかけになるんです。相続問題って、つい「誰に相続させるか」を考えがちですが、まずは「自分が何を持っているのか」を整理する方が大事です。
ほほーう!
さて、自分が老後を迎えた時のお金のプラン二ングに話を戻します。自分がどのくらいの物をもっているかを知った上で…次は「ありたい未来像」を考えます。
将来の夢ってことですか?
そう。それによって、必要なお金って変わるでしょ?例えば、老後に世界旅行に行きたいと思うなら…50歳で仕事をやめようかと思っていたけど、70歳まで働こうかなとか、今から投資をやってみようかな、とかね。
そうですね。パーッと世界旅行をしたい人と、いつもの日常を過ごせるのが幸せで年に〇〇円しか使いません。って人とでは、全然違うでしょう?
自分が何を望んでいるか、100歳までの目標を立ててみることで、いくらくらい必要かが見えてくるんです。
なるほど…。
親御さんの中には、老後の準備といっても何をしたらいいのかわからない、という人もいるはず。でも最初の一歩さえ踏み出せば、あとは世の中にたくさんのハウツー本が出ていますからね(笑)まずはきっかけを作れるといいですね。
そうかぁ、私たちが聞くことは「貯金いくらあるの!?大丈夫なの!?」じゃないんですね。
そう!夢を聞くんです。何歳になっても、夢を見るのは自由。私の周りには、色々と素敵な目標を持った方がいますよ。「小学生の孫の結婚式でスピーチをする!」とか、「80歳になったら夫婦で喫茶店を開きたい!」とか。本当にやるかは別として、夢があった方が生きているのが楽しいでしょ。
うちの母も「お母さんはきっと早く死ぬ」とか言います。からだが弱いからかもしれませんが、「あまり先のこと考えると、寂しくなるから言わない」みたいな雰囲気がある。でも、夢を持って生きた方が楽しくない?って言えばいいんですね。
そうよ、人は希望がないと生きていけない。死ぬって、医学的なところで言えば心臓が止まるってことだけど、「生きる」「死ぬ」ってそれだけの話じゃないですよね。人が生きるって未来に何かを残すってことかなって思うんです。
うーん!深い!
Aさんまとめ2
・聞きづらいお金の話。まずは自分のことを整理してみて、その姿を親に見せよう!
・100歳までの夢や目標を考えて、そのために必要なお金を親と一緒に考えよう!
一人暮らしの実母&年金頼りの義母が気になるBさんの場合
<相談者プロフィール>
・最後の相談者はBさん(35歳)
・家族構成は夫(37歳)、実母(68歳)、義母(65歳)
・どちらも独り身の実母&義母が気になっている
老後の話をはぐらかす実母はどうしたらいい!?
仕事をバリバリこなし、定年退職後もカルチャーセンターで学び続ける好奇心旺盛な母。しかし面倒なことは後回しにする傾向が…。母とは日頃からよく会うが、老後の話をすると「そんな冷たいこと言わないで」とかわされてしまうのは、どうしたらいいのでしょうか…?
シングルマザーで私を育ててくれた、パワフルな母。元気なのはありがたいのですが、お金もまぁまぁ浪費するんです。車もやっぱりドイツ車よねって、いい車買ったりして…。貯金がなさそうで不安です。
お元気そう!なんだか姿が目に浮かびますね。
長野からちょくちょく上京してきて、勝手に我が家に居座ったりして…なんか、同棲に持ち込む彼女みたいな感じなんです!!
すごい!面白い!(笑)
私は資産運用などに興味があるので、母にもいろいろ提案するのですが「すごいね〜っ」って感じであしらわれます。高齢者施設の話も「寂しいこと言うね〜」って言われておしまい。資料も取り寄せて渡したのに、目も通してないようで…。
すごい、Bさんはご自身が「終活」話に積極的ですね。
うちは、原さんとAさんのご家族と全く違うんです。こんなにいろいろやってるのに、これ以上私は何をしたらいいんでしょう?
お母さま、本当に考えてないのかな?どうだろうね?
考えていないというか、考えたくなさそうです。それよりももっと、「今」やりたいことがあるって感じで…。私が助けてくれると期待している気がします。
なるほど。
Bさんがしっかりしすぎてるんじゃないですか?
どうなんでしょう。とにかく、行動に移してくれないし、嫌なことは後回し。
でも、それだけやりたいことをやっているということは、お母さまの心に余裕があるんですよ(笑)
そうなんですかねぇ…でも、娘の私は不安です!
「不安」の原因は、「はっきりしていないこと」が多い時。例えば、貯金のことに関しては、誰も全貌をわかってない状態ですか?
はい、知りません。
お母さまは、持ち家?
持ち家です。
ということは…持ち家と車があるから、もしもの時は、家と車を売ればなんとかなるって思ってるんじゃない?
そうだとしても、イライラしちゃうんですよ。
まぁまぁ(笑)お母さまに「一緒に住みたい?」って聞いたことある?
ないですよ、怖くて!!
でも、住みたいなら早めに言われた方が良くない?切羽詰まった時に、突然住み込まれたらどうする?
それはもっと怖い!(笑) でも…一緒に住むの、嫌だったら、断ってもいいんですかね?
いいと思いますよ。でも、なんで嫌なんですか?
元気な母なら、いいんです。でも、介護が必要だとか、認知症になってしまったら、自分でケアできる自信はないので、プロに頼みたいですね。
そう言えばいいのよ。「元気な時なら一緒に住みたいって思うけど、そうでない場合はやっぱり難しいじゃない?そうなった時ってお金大丈夫かなぁ?」って聞けばいいんじゃない?
「住んでもいいって思ってる」じゃなく「元気なら一緒に住みたい」って言うんですねっ!?
最初から「住みたくない」って感じで聞くのは良くない(笑)同じこと聞いても、言い方でだいぶ変わりますよ。
そうですかぁ…。
実は私もシングルマザーなんだけどね、うちの息子にそう言われてるんじゃないかって思っちゃった!状況がお母さまに似てる(笑)
なんと!
だから…私だったらどう言われたら嬉しいかなって考えてました。「大事にしてるよ、でも、大変になることだってあるじゃん」って話を切り出され方が気分がいいですね。
なるほどー。まずは、大事にしているという気持ちを伝えるのがポイントですね。
だと思う。お話聞いていると、お母さま自由な方だし、元気だから、そんなにすぐ「一緒に住みたい」なんて思わないですよ、きっと!私だって息子の家に、少しの間泊まるならいいけど、やっぱりひとりが楽だもの(笑)大丈夫!だから、言い方よ、言い方。あとは、突然のことってあるからね。そういう時どうするかって話ですね。
そうなんです、もしもって時に“なし崩し”に同居になるのが怖い。
そうね。お連れ合いの方がいたら、それぞれのことはどちらかに聞けばわかるけど、お一人だと、娘さんが聞いておくしかないからね。だからこそ、終活ノートを一緒に作っておくといいの。
お母さま、リアルに100歳まで生きそうですもんね。
例えば、お母さまの誕生日にきっかけを作って、Bさんも一緒に書けばいいかも。不安なのは、お母さまの考えを把握していないから。それがわかったら、自由奔放にやってる姿も微笑ましく見えるかも。
確かに…。こちらから情報を渡すばかりで、一方通行だった感じがします。
私に相談にきている方で、親御さんと仲良くない方がいるの。実家に行く度に、喧嘩するだけで終わっちゃうような親子。その方に「この前実家に帰った時、どんな風に話したの?」って聞いてみたら…「エンディングノートもらったから、書いてよ。て言いました」ってさ。
ダメなんですか?
まずは「お母さん、いつも忙しいから今日は手伝うよ」とかが先でしょ!終活の話も大事だけど、そういう普段のコミュニケーションの方がもっと大事なんですよ。
わ、耳が痛いです。
だって、考えてみてください。親子って実はそんなに頻繁に会わないですよね。血の繋がりだけで分かり合えるなんてことはないんです。ちゃんとコミュニケーションをしないとだめ。
確かに…!
うちは息子が独立した時に「私とあなたは、今日から“仲の良い他人さん”だよ」って言いました、自分が子離れするためにです。そうしたらね、結構いい会社に就職したのに、すぐに辞めちゃったの!親だったら怒りたいところだけど、グッと堪えて「あなたの人生だから自由にしたら?」って言いました。
わぁ、すごいですね!
だって、他人ですもんね。すると息子も、その後お金が足りなくなった時に、足りない電気代の分だけ、ぴったりの金額で貸して欲しいって言ってきたの。普通、親になら多めに1万円貸して、とかって言いますよね。この関係が、仲の良い他人さんです。
そうかぁ、私も母に対して、甘えがあったのかもしれませんね。仲の良い他人さんとして接していたら、高齢者施設のおすすめの仕方だって違ったかも。
無理に入居を勧める雰囲気ではなく、「こんな面白いところがあるんだって!」という伝え方にすれば、お母さまの反応も変わるかも、ね?
なるほど〜。
Bさんのまとめ1
・親子こそ、普段から節度あるコミュニケーションが大切!
・家族であっても“仲の良い他人”だと思って接してみよう!
義母、義兄夫婦の考えが知りたい!
専業主婦だった義母は、今は亡き父の退職金&遺族年金で暮らしていますが、この先の経済状況が不安です。年に数回しか会わないので本人と直接話すのか、あるいは義兄夫婦と話し合うべきか、どうしたらいいのかわかりません。
あと、義理の母、義理の兄夫婦とも、終活について話をしたことがなく不安です。実母なら同居もなくはないですが、義理の母とは、絶対に一緒に住めないので…。
お義母さまはどう?考えてそう?
考えていそうな感じはします。息子たちが何より大切な方なので、迷惑かけないようにするタイプに見えます。
なるほど。ご主人とお義母さまはどう?話、してそう?
いや、話していないと思います。夫はそもそもコミュニケーションが苦手なタイプなので。お義母さんも息子のそういう性格を知っているから、老後の話を息子にふることはしない。
一般的に男性は母親が大好きなので、お母さんには死んで欲しくない。だから考えたくないって人が多い。
とはいえ、嫁の私が話を持ち出すのはおかしいし…。
そういう場合は、まず、Bさんがご主人に聞くのがいいと思いますよ。「お義母さん一人だけど、もしもの時どう思ってるの?うちに来て欲しい?お兄さんところに行って欲しい?」ってストレートに聞いちゃう。
前に一度、さらっと聞いてみたんですが、特に根拠もなく「兄ちゃんがなんとかするでしょ」って言われて終わりました。この曖昧な感じが不安なんです。
なんで不安なの?
ええと、実はお兄さん夫婦が頼りないんです。だから、なし崩しでうちに来ることになりそうで。でも、やっぱりそれは無理。なので、きちんとしておきたいんです。
ご主人はいざとなったら、自分が面倒見てもいいかって思ってる感じ?
そうなんです!
なるほど。いざという時になってから話すと喧嘩になりがちなんですよね。何も起きていない時に話せば、喧嘩になりにくい。だから、今のうちに「本心はどう思ってる?」と聞いてみて。基本的にはお兄さん夫婦に任せるけど、年に何カ月かはうちで見てもいい、とか、いろいろ譲歩の仕方もありますからね。
ほぉ。確かに。
まずは「夫婦間」でちゃんと話しておくと良いです。
うちもなかなか話せていないんですが、こういう話って夫婦でどんなふうに切り出せばいいですかね?
いきなり真剣に話し出すと気まずいですからね。「今日テレビでやってたんだけど」「友達がこんな話してたんだけど」とか、なるべくさらりと話すといいですよ。話しづらければ、きっかけとしてダイニングテーブルに、終活ノートをさりげなく置いておくだけでもいい。
これ何?って言わせるんですね(笑)
親の終活って、親子の話だけでなく、むしろ夫婦の話だったりするんです。なんとなくは話したことがあるけど「本心ではどう思っているか」は話せてないご夫婦が多いかもしれませんね。
話しづらい話題だからってお互い避けずに、ちゃんと自分の希望を伝えておいた方が絶対に幸せですよね。うまくお義母さまの希望を聞き出せるといいですねぇ。
いやぁ…でも、人を変えようと思ったらまず自分を変えなきゃ、ですね。
本当、その通り!!
Bさんのまとめ2
・親の終活の話は、実は自分たち夫婦の話!
・いざという時に喧嘩にならないためにも、まずは夫婦間の意思をしっかり確認しておくことが大切!
皆さん、今日はいかがでしたか?
終活ってネガティブな話をするイメージがあったのが、実は逆だった、というのが眼から鱗でした。もっと親と話したくなりましたし、楽しみになりました。1年に数回の帰省じゃ、足りない!
終活が死ぬための支度ではなく「生き支度」だっていうのが、驚きでしたね。そして、親のことではなく自分のことだった!というのが今日の大反省ポイントでした。
思いやりを持って接することで、親も心を開いてくれたり、歩み寄ったりしてくれるのかな、と思いました。親なんだから、いい年なんだから、こうしてよ!というコミュニケーションしかしてこなかったので、仲の良い他人として、節度ある態度で一緒に終活ノートを作っていきます。
終活で大事にしたいのは、手続きどうこうだけではなく「心」のお話です。私も毎年誕生日に自分の終活ノートを更新していますが、とっても楽しいですよ。ぜひ、楽しみながら、家族でコミュニケーションを取ってくださいね。
編集:ノオト
撮影:小野奈那子
当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
原あいみ
難しいことをわかりやすく“マンガ”で伝えることが得意なイラストレーター。小学生の娘を持つワーママ。
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よろしいですか?
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