ミントにはたくさんの可能性が!リラックス効果を生む天然ミントのすごさ
暑くなる時期によく見かけるのが、ミント。スーっとする爽快感で涼しさを感じさせてくれるミントには、合成ミントと天然ミントがあるんです。そして、合成ミントよりも天然ミントのほうが、長くリラックス効果を感じるようで...。(詳細は記事にて!)ミントに興味津々のライター地主恵亮が、天然ミントのリラックス効果についてライオンの研究員に直撃します!
清涼感を求める季節…つまり、ミントの季節がやってきた!
「汗ばむわ」という季節がやってきました。これからさらなる「汗ばむわ」という季節になっていきます。そんな時に欲するのはなんでしょうか。そうです、「ミント」です。ミント類には独特の清涼感のある芳香があります。メントールが含まれることから、古くから清涼剤として活用されてきました。
ミントの代表的な品種は「ペパーミント」と「スペアミント」です。「ハッカ」も有名で、その3つが三大ミントなどといわれますが、今回はペパーミントとスペアミントについて取り上げようと思います。理由としてはホームセンターに行ったら、その2つが売られていたからです。
今回買った2つのミントはどっちも同じに見えるのですが、小さな看板的なものに、名前が書いてあるので、ペパーミントとスペアミントだと思います。
ペパーミントはハッカと比べて香りが強く、料理やハーブティーになどにもよく利用されています。ヨーロッパ原産で、自然交雑によって生まれたそうです。イギリスでは17世紀に本種が認められ、その後、ヨーロッパ各地に広がりました。ミント類のなかでは一番用途が広く、生産量はアメリカが1番です。
スペアミントはヨーロッパでも生産されていますが、やはり生産量はアメリカが1番です。精油には、香り成分であるカルボンやリモネンが多く含まれていて、ペパーミントよりも穏やかな香りなんだそう。
ミントの植え付けは通常、春と秋の2回行われます。ミントは交雑しやすいので、雑種が多々存在しています。栽培する時はそれを避けるために、交雑の可能性がない適正な種子で行いましょう。成分量を増やすには多肥(たひ)が好ましいです、と本に書いてありました!一応、ぽいことを書いておこうと思い書きました。
参考文献
『農業技術大系 花卉編』農文協編 農山漁村文化協会 2010
『農業技術大系 野菜編』農文協編 農山漁村文化協会 2009
さて、ミントの香りにはリラックス効果がある気がします。これはあくまでも私の感想で、エビデンスはないのですが、ミントの香りは私にリラックスをもたらします。昔からそう感じるのでミントの香りが好きです。だから、ミントを買って育てようと思ったわけです。
私の感じているリラックスにエビデンスはないかと思っていたら、ライオン株式会社がそのような研究を行っているようで、合成ミントよりも天然ミントのほうが長くリラックス効果を感じるという話を小耳にはさみました。私の感想は間違いなかったわけです。せっかくなので詳しくライオンの研究員の方に話を聞きたいと思います。
ちなみに私は歯みがきが大好きです。使っていますよ、ライオンのハミガキ。ハミガキにはミントはつきものなので、なんだか急にかじりたくなったのかもしれません。
すっきりして気持ちがいいんですよね、ミント。ただ鉢から直にかじると土が混ざる感じでして、二度とかじらないと決めました。二度とかじらず大切に育てたいと思います。
ミントの研究って何をしているの?
ということで、ライオンの研究所を訪れました。私は歯みがきが好きなので聖地といってもいいですね。
ミントが好きで何気なしに育ててみている私ですが、ライオンの研究員さんは、さぞかしミントにお詳しいのであろう!
【左】天川 純一(あまかわ じゅんいち)
2009年、ライオン株式会社入社。オーラルケア研究所にてハミガキの組成開発に従事したあと、2011年より香料科学研究所のフレーバリストとして、様々なブランドのハミガキの香料開発に携わる。主な担当ブランドは「NONIO」「システマ」。
【右】斎藤 快(さいとう かい)
2019年、ライオン株式会社入社。香料科学研究所にて、香りが気分や感情に与える影響を検証するといった、基礎研究に携わる。
地主です、本日はよろしくお願いします!
よろしくおねがいします。私は、ハミガキの香料開発を行っています。世界最大のミントの産地・アメリカに行って、天然ミントオイルを選定している人間でもありますので、ミントのこだわりなどをお話しできたらと思っております。
おお、あのアメリカに!ミントの本場!!
私自身はハミガキなどの製品を使うとお客さまがどういう気分になるのか?どういうことが起きるのか?という感情を科学的に調べる研究を行っています。今回の研究で、ミントはリラックスするというデータを取りました。
ライオンは毎日の歯みがきを楽しんでもらいたいと思ってハミガキの香料開発をしています。オーラルケアの香料で一番重要なのがミドルノートといわれる、口の中の爽快感といったハミガキの核となるもので、味や使い心地に大きく影響するんですね。
天川さんいわく、ハミガキのフレーバーは3つの要素の三角形で成り立っているそうです。一番下がスパイスや抽出物などで香味の土台などを作り、真ん中(ミドルノート)がペパーミントやスペアミントなどで口内の爽快感を出す部分。一番上がフルーツやフローラルで第一印象となる特長や情緒的なイメージを演出するそうです。
私たちはミドルノートに高品質の天然ミントオイルを使っています。その理由は、天然ミントには、合成ミントにないおいしさと味わいがあり、おいしさ=使い心地の良さにつながるからです。
合成ミントでは、同じ味わいは作り出せないってことですか?
天然ミントオイルを分析にかけると何百種類という成分が出てくるんですよね。それを成分表どおりに入れて合成ミントを作っても、天然ミントとは味が変わってくるんです。分析ではわからない超微量な成分など、関係しているんだと思います。
つまり合成ミントは、天然ミントの味わいには敵わないってことか!だからこそライオンは天然ミントにこだわり、その天然ミントを使うことで、スッキリした、あの晴れた青空のような爽快感を生み出せているわけなんですね。
ちなみに、どれくらい天然ミントを輸入しているんですか?
どのくらいアメリカからミントオイルを調達しているのかは言えないのですが、世界のなかで小さい日本の会社なのに、そのわりにはけっこう買っているな、という感じです。
ほうほう。かなりなのですね!かなりなミント。かなり過ぎて、かなりとしか言えないくらい、かなりミントってことですね。かなりですな、かなり。
1週間分くらいのかなりを今聞きましたが、実際「かなり」の量です。
ミントを徹底的に研究する「フレーバリスト」のお仕事とは?
「かなり」のミントを調達してハミガキができるわけなので、ライオンのミントの質を担っているのがフレーバリストの天川さんってことですね!
そうですね。選定は現地でとにかく、各農家さんから集められたミントオイルを嗅いでいます。1日で100種類くらいのミントオイルの香りを確認して、それを2週間続けます。これが非常にプレッシャーでして…というのも、このミントの選定が、ライオンのハミガキの味を決めてしまうので。
天然であることから、毎年ミントの出来は異なります。けれど、ハミガキという製品である限り、ワインの「ボジョレー ヌーヴォー」のように毎年の出来にばらつきが出てはならないそうです。
ライオンでは7つ(清涼感、華やかさ、ボディの厚み、ミンティな甘さ、加熱的な甘さ、底の甘さ、全体の強さ)の官能特性によってミントを評価しています。私たちは各農家さんから集められたミントオイルを片っぱしから嗅いで、ライオンのクオリティに合っているものを選んでいきます。
どんな感じで選定していくんでしょうか?
これは底の甘さはないけど、ミンティの甘さはあるね、とか、各農家さんのミントでも良い所と悪い所があるんです。それを私たちは、農家さんAのミントオイルと農家さんBのミントオイルをこのようなバランスで混ぜてくださいと、その場で処方を書いて、ミントディーラーの方に渡します。処方どおりに作ってもらいそれを嗅いで、ライオンのミントとしては、まだここが足りないからもっと甘さをつけていこうと処方を書き直していきます。
すべては天川さんたちフレーバリストの鼻で判断されるってことですね。
今の技術では、機械に頼った分析ではまだまだ判断できない部分が多く、フレーバリストの鼻の方が早くて確かなのだそうです。
ちなみに、この業界では10年経って一人前といわれます。配属して3か月から6か月は基礎のトレーニングがあるんですけど、初めは嗅ぎ方がわからないので、やり過ぎて鼻血が出る人もいるんですよ。
嗅ぐってかなり大変なことなんだな…。私も天川さんの仕事場を見学させてもらった時、いろいろな香りを嗅ぎ過ぎて、香りに酔ってしまいそうになりました。私が嗅ぎ方の素人だからなんでしょうね。
ペパーミントの主成分はメントール、スペアミントの主成分はカルボンで、カルボンはキーンという鋭い感じなので、勢いよく嗅ぐと頭を貫かれます!私たちは、勢いよく嗅ぐのではなく、自然な感じで漂ってくるものを嗅いでいるんですよ。
いやあ、貫かれました!嗅ぐぞ!と思って嗅いじゃダメ。嗅ぎ方にもテクニックがあるんですね。ちなみに天川さんは虫歯になった経験は?
人生で一度もないですね。
さすが、ライオン社員すごい!
ちなみに、ジェラート屋さんに行って、3種類選べるとなったら、これとこのペアは香料の成分的に近しいからとか、遠いからとか、3種類のジェラートの構成を考えたりしますね。例えば誰かが私が選ばない3つを選んだら、「その組み合わせ、成分的に違うぞ!?」と心の中で思っています。
生粋のフレーバリストだ…!
1年かけて科学的な立証に!ミントによる感情の変化って?
ところで本題に入りたいのですが、ミントによってリラックスするという研究をされているそうですね。なぜ研究してみようと思われたんですか?確かに実感としてあるんですよ、リラックスする、というのは。それが私の感想ではなく、エビデンスがあるってことですよね!
弊社はもともと、天然のミントにこだわりを持っています。口に入れるものであることから、おいしさを追求しているわけなんですが、お客さまがおいしいと感じる先にも何かあるんじゃないかな、と。気分に響くような何かがあるんじゃないかな、ということで、リラックスに行き着いたんです。
どうやって、リラックス効果の測定はやるんですか?
今回はハミガキを使って測定を行ったのですが、ハミガキの前後での気持ちの変化を比較するのはこれまでも検討されています。でも、歯みがきをしながらその最中の気持ちを測るというのはなかなか難しくて、我々はそこが知りたかったんです。そして、なるべく普段の歯みがきに近い状態で実験したい。そこで我々が着目したのが、視線を追う機械です。
※普段使用しているハブラシと同じものを用いて、画面を見ながら普段どおりに3分以内で歯みがきをした際の評価。画面の項目は、TDMS(二次元気分尺度)より引用。
画面の上にカメラがついていて、被験者の視線を測れるようになっています。被験者には、画面を見て歯みがきをしてもらい、その時々の気分に最も近い言葉を目で追ってもらいました。指差しだと、普段の歯みがきの様子とは異なってしまい、気分に様々な影響が出てしまう可能性があったので、視線での回答にしました。
視線を使っての実験は世の中にたくさんありますが、歯みがきで使う会社は世界中を見てもなかなかないそうです。でも、歯をみがく人の直前の出来事で気持ちが変わることはないのかなあ…?
例えば、歯みがきする直前に落ち込むようなことがあったらどうでしょうか?例えば、体重計に乗ったら、2キロくらい体重が増えていたとか。
落ち込んだ気持ちが歯みがきで吹き飛ばせればいいんですけどね!正直に言って、かなり左右されてしまいます。ですから、この実験をする前に目を瞑って安静にしてもらうとか、なるべく直前にあった出来事を抑えて実験できるようにしました。あとは、実験する人数を増やしてその影響が出にくいようにします。今回は20人ほどで行いました。
20人って数はどうなんですか?私のような一般ピープルには少なく感じるんですが。
このような実験は、いかに少ない人数で大人数と同じ結果がだせるかが研究員の腕の見せ所です。被験者の気持ちを安定させるなど、先人たちの長年の知見があるからできることです。
なるほど!長年の知見があるからできるんですね!
実際に始めると、普段の歯みがきに近い状態で実験してもらうために、いろいろ気になり出しました。歯みがきの時間やハブラシはどうするかなど。検討していたら1年くらいかかっちゃいました(笑)。
1年!野生動物なら、生まれて成長し、もう親離れして、草原をかけまわっていますね!
動物のことは研究していないのでわからないんですけどね!でもそれくらい時間と愛情をかけてこの実験を育てました!親になった気分です!
素人にも天然ミントと合成ミントの違いがわかるのか?
今回は私も天然ミントと合成ミントの味の違いと、みがいた時のリラックス効果を体験させてもらいました。斎藤さんが持っているハミガキの1つは天然ミントで、もう1つが合成ミント。成分はほぼ同じで、ミントだけが天然か合成かで異なるものです。
もちろん私はどっちがどっちかは知りません!
おいしいですね!うん、悪くない。全然いいですよ、やっぱり天然ミントは違いますね(当てずっぽう)
あ!!!!!!!ふたつ目すごい!爽快感、味に深み!天然ミント、これだ!ふたつ目ですよね?上手く説明できないですけど、気持ちいいんですよ。最初のもいいんですけど、比べると全然違う…!ふたつ目の味わいを知ったら、最初のやつには戻れない!あ、、、、、でも、これで違ったらあれだな…………。
1個目は天然ミントが一切含まれていない合成ミントですよ!2個目が天然ミントです!
うわあああやっぱり!!!いや、これ比べたら全然違いますよ!海(うみ)と膿(うみ)くらい違う!天然ミントすげぇ!!!天然ミント以外考えられないくらいすごい!味がいいからか、自然とリラックスした気にもほんとになった!!!ちょっとみんなもぜひ比べてみてほしい、ほんと味わい違うから!
このような実験を繰り返した結果、天然ミントはリラックス効果が長く続くということがわかったそうです。
以下はその研究結果です。
私も本当にリラックスするように感じているから、天然ミントはやっぱりすごいし、この実験結果関係なく、天然ミントにはリラックス効果があると密かに思っていた私も実はすごいのではないか、と思っています。
※評価項目は、TDMS(二次元気分尺度)を参考にしています。
合成ミントは中盤に「リラックスした気分」を感じるけれど、天然ミントは中盤から終盤にかけて「リラックスした気分」を感じるそう。天然ミントはリラックスが継続するということですね。
このような実験は食品で行うことが多いんですよ。食べながら、飲みながら、人はどんな気持ちになるのかと。次に多いのは、化粧品。でも、ハミガキに感情を結びつけるということは、これまでなかった。今回実験をしてみて、ハミガキで感情が動くことが証明されたというわけです。
僕が普段からなんとなく感じていた、歯みがきするとリラックスする、は間違いではなかったんだ!
ちなみに今回の実験では、ペパーミントを主成分とした実験だったんですけど、将来的にはスペアミントなど、ほかの香りやいろいろな感情にまつわる実験もやってみたいと思っています!
ミントの可能性は無限大!
今後のさらなる「汗ばむわ」を解決しようとミントを買いにホームセンターに走ったわけですが、天然ミントはやはりすごい、と研究結果を見て実感しました。
だってリラックスできるんですよ。結果だけではなく、そもそも感じていたことが証明されたという喜びもあります。ミントにさらに興味が湧いたし、育て始めたので、今後はミントとともに、おはようからおやすみまでリラックスしっぱなしの夏を過ごしたいと思います。
・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、すべてがライオン株式会社の見解を示すものではありません。
「MINT PRIDE ~120年創り続ける意味~」篇
「MINT PRIDE ~天然ミントにこだわる理由~」篇
この記事を書いた人
地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「ひとりぼっちを全力で楽しむ」(すばる舎)がある。
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下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
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