ナポレオン・ダヴィンチ・エジソン...。偉人達もしていた「昼寝」はなぜ脳にいいのか
ナポレオンや、エジソン、レオナルド・ダ・ヴィンチといった歴史上の偉人たちは、ショートスリーパーだったといわれています。一方で、彼らは上手な昼寝によって、効率的に脳の疲労回復をしていたという説も。仮眠によって起きる脳内の変化や、正しい昼寝の方法を雨晴クリニック副院長の坪田聡先生に教えていただきました。
寝不足兼業ライターは昼寝について知りたい
こんにちは、兼業ライターのスギモトアイです。1日の平均睡眠時間が4〜5時間という寝不足な日々を過ごしています。そのためか、ランチ後や会議中についウトウトしてしまうのが悩み。どうにか眠気に打ち勝っても、頭がぼぉ〜っとしてケアレスミスをしてしまうことも…。
そんな現状をどうにかするため、「寝不足でもパフォーマンスを上げる方法」を検索していると、レオナルド・ダ・ヴィンチや、ナポレオンといった歴史上の偉人たちは、ショートスリーパーでありながら、上手な昼寝で効率良く脳の疲れを取り、最大限のパフォーマンスを発揮していたとの情報をキャッチ!(※諸説あります)
偉人たちの昼寝には、現代人にも生かせる仮眠のヒントがあるのでは?と考え、医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍する坪田聡先生にお話を伺うことに。
坪田 聡(つぼた さとる)
医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。『睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法』(TJMOOK 宝島社)、『パワーナップ仮眠法』(フォレスト出版)他、監修・著書多数。
昼寝の達人その1:イタリアの芸術家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
今日は、歴史上の偉人たちの昼寝について教えてください!よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
早速ですが、『モナ・リザ』や『最後の晩餐』の作者として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ(以下、ダ・ヴィンチ)は「4時間ごとに15分ずつ仮眠していた」という逸話があります。
なるほど。ダ・ヴィンチは「パワー・ナップ」のような仮眠をこまめに取っていたのかも知れませんね。
パワー・ナップとは?
20分の仮眠です。厚生労働省が発表した『睡眠12箇条』にも、午後の作業効率を上げるための方法として紹介されています。GoogleやAppleなど世界的IT企業も推奨しており、仮眠の王道として欧米ではすでに常識となりつつありますよ。
パワー・ナップには、どんなメリットがありますか?
脳内の「睡眠物質」が減って、集中力や記憶力のアップ、ストレス軽減効果が期待できるといわれています。
そんなにうれしい効果が!でも、睡眠物質ってなんですか?
睡眠物質とは、「アデノシン」をはじめとする数十種類の物質の総称です。生体エネルギーの燃えかすのような存在で、起きていると脳にどんどん蓄積され、ある一定量を超えると眠気が出てきて、集中力や記憶力を低下させてしまいます。
睡眠物質が減るから、頭がスッキリするんですね。
はい。私たちの脳は定期的に睡眠物質を取り除いてあげないと、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまうのです。
でも、ダ・ヴィンチのような睡眠は健康的に問題ないのでしょうか?ざっと計算すると、1日90分程度しか寝ないなんて辛そうです…。
ダ・ヴィンチは67歳まで生きたという記録があるので、健康的に大きな問題はなかったと思います。しかし、あまり現実的な睡眠ではないですよね。パワー・ナップは、夜の睡眠をしっかり取った上で行ってこそ効果が発揮されると考えてください。
昼寝の達人その2:フランスの革命家 ナポレオン・ボナパルト
フランスの軍人、そして政治家でもあったナポレオンは、夜は3時間睡眠で過ごし、よく昼寝をしていたそうです。「馬に乗りながら寝ていた」なんていう逸話を見つけました。
う〜ん…。あくまでも仮定ですが、「マイクロ・ナップ」なら馬の上でも可能かもしれません。
マイクロ・ナップとは?
マイクロ・ナップは、数秒から1分ほど目を閉じる仮眠です。一般的に考えて馬の上は揺れるので、もし眠れたとしても数秒〜数十秒でしょう。
秒単位の睡眠だと全く寝た気にならなそうですが、パワー・ナップのようにメリットはありますか?
脳にとって視覚情報は大きな負担です。1分間目をつぶって視覚情報をシャットアウトするだけで、脳を休めることができます。
たった1分でも脳を休める効果があるんですね!マイクロ・ナップのポイントを教えてください。
眠気に襲われる前に取るのがポイントです。ミスが増えたり、考えがまとまらなくなったりしたら、その場で目をつぶりましょう。移動中や会議の前、トイレなどのちょっとした時間に行うのも良いでしょう。
昼寝の達人その3:アメリカの発明家 トーマス・エジソン
研究によって連日のように徹夜をしていたエジソンは、「4時間以上眠ると体調が悪くなる」と語っていたそう。一方で、「日中に2時間程度の仮眠を数回取ることで、人並みの睡眠時間を確保していた」とも記録されています。
それはおそらく、「ホリデー・ナップ」の一種でしょう。慢性的な睡眠不足が解消されない場合、時間に余裕のある日に90分の昼寝を取るのは有効ですね。
もしや、いわゆる「寝だめ」ですか?たまにやります。
いえ、睡眠の研究を続けた医師の立場から断言しますが、「寝だめ」はできません。あくまで、ホリデー・ナップは、これまでの睡眠不足を取り戻すために行うものを考えてください。
では、ホリデー・ナップのポイントは?
午後3時までに昼寝を済ませることです。これ以上遅い時間帯に寝てしまうと、夜の睡眠に影響が出てしまいますから、気をつけましょう。
眠気のピークタイムは、午後2〜4時にやってくる!
昼寝にもいろんなパターンがあるのですね!ちなみに私は、ランチ後によく眠くなってしまいます。
人は体内リズムの影響で、午前午後ともに2時〜4時に睡眠のピークが訪れます。厳密にいうと、午前2〜4時は一番強いピーク、午後2〜4時は小さなピークなのですが。
ランチ後は満腹だから、眠くなるのかと思っていました。
食後は体を動かさず、じっとしていることも多いでしょう。睡眠のピークタイムに食後が副次的に作用する午後3時までのタイミングでパワー・ナップを取るのは、オススメですよ。
寝過ぎ防止!理想の昼寝スタイルを伝授
うっかり寝過ぎてしまうのが怖いです。どうしたら良いでしょうか?
まず大切なのは、完全に横にならないこと。椅子に座った状態、もしくは机に伏せる姿勢が基本です。ネクタイやシャツのボタンを緩め、時計やアクセサリーなど締め付けのあるものを外すと、よりリラックスできますよ。
光や音を遮断できる環境が望ましいですか?
昼寝の場合、光を浴びていても問題ありません。もし光や音が気になる場合はアイマスクや耳栓をしても良いでしょう。起きたい時間の30分前にカフェインを摂取しておくと、目覚めやすくなります。
コーヒーを飲んだら眠れなくなると思っていましたが、昼寝の前なら効果的なんですね。ちょっと時間があれば、20分以上寝てしまっても良いでしょうか?
気持ちはわかりますが、パワー・ナップにとどめましょう。20分という時間がちょっとしたポイントなんです。
それはなぜですか?
睡眠には、脳を休ませる「ノンレム睡眠」と、脳が情報を整理する「レム睡眠」があります。
どちらも聞いたことがあります!
人は90分サイクルで、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しているのですが、眠りにつくと、まずはノンレム睡眠に突入します。これは、パソコンでいうスリープ状態で、脳も体も休息を始めます。
ほう…。
ノンレム睡眠は深さによって4段階に分けられるのですが、最も眠りの浅い段階=20分以内のタイミングで目覚めることにより、短時間でもスッキリと脳の疲れを取ることができるのです。
ちなみに、先生は昼寝をしていますか?
平日は昼食後に20分、休日は90分の昼寝をしていますよ。
パワー・ナップとホリデー・ナップの合わせ技ですね!
そうですね。基本的には夜6〜8時間の睡眠を取り、その上で平日はパワー・ナップとマイクロ・ナップを、それでも疲れを感じるならば、休日にホリデー・ナップを取り入れてみてくださいね。
坪田先生、ありがとうございました!
効果的な昼寝は、パフォーマンス向上の第一歩!
ライター・スギモトが実際にパワー・ナップを取り入れたところ、たった20分でもかなり頭がスッキリして、午後も集中して業務に取り組むことができました。腕時計やアクセサリーはもちろん、靴を脱ぐのもリラックス感が増したので個人的にはオススメです。
また、マイクロ・ナップも「集中力が切れてしまったけれど休憩している暇はない!」というときにこまめに実践しました。先生に効果を教えてもらったおかげか、ただ目を閉じるだけなのに脳…・そして心をしっかり休めることができたと思います。
坪田先生によると、仮眠で大切なのは「熟睡」することではなく、「回復している」という意識を持つことだそう。睡眠不足を解消したい!という気持ちでお話を伺いましたが、それだけでなく、パフォーマンスを上げるために昼寝をする大切さを知りました。
忙しいと、つい休むことをサボってしまうみなさん!ぜひ適切な昼寝を取り入れてみてはいかがでしょうか。
〈参考文献〉
・『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎リンゲージ)
・『パワーナップ仮眠法』(フォレスト出版)
編集:ノオト
イラスト:マキゾウ
・当記事に掲載の情報は、監修者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
スギモトアイ
1988年生まれの兼業ライター。医科学(修士)。健康・ヘルスケアをはじめ、ビジネスやIT関係のテーマにも取り組む。散歩と食べることが好きで、新しい土地を散策するのが趣味。
X(旧Twitter) @o_sugisan
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